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「Miku Miku Akushu」の作者が「主婦ゆに!」を通じて示した,UnityとVRアプリ制作の未来像
「Unite Japan 2014」公式サイト
Unityと「Rift」でパーソナル化していくVRアプリの世界
「主婦ゆに!」こと「もしも、プログラミング経験がない文系の主婦がUnityをはじめて1ヶ月でミクさんを出してダンスさせることができたら」という企画をご存じだろうか。企画内容は説明するまでもないだろうが,エクシヴィの代表取締役である近藤義仁氏が,“プログラミング経験がない文系の主婦”であるsomeluさんにUnityの手ほどきをしたところ,みるみるうちにレベルアップ。ミクさんを踊らせるどころか,Oculus VRのヘッドマウントディスプレイ「Rift」用にVR(バーチャルリアリティ)ゲームを作り,体験イベントに出展するまでに成長した……という興味深い企画である。
分かりやすいプログラム開発環境を提供したUnityによって,「主婦ゆに!」のような状況が生まれた。今後は安価なRiftによってVRもパーソナル化されていくので,皆でVRアプリを作っていこう……と近藤氏は受講者に勧める。
Unityを使い1日で完成させた「Miku Miku Akushu」
そして「主婦ゆに!」のスタート
近藤氏といえば,Riftを使ってVR空間で初音ミクを眺める「Mikulus」や,ミクと握手できる「Miku Miku Akushu」などで知られるクリエイターだ(関連動画)。
中でもMiku Miku Akushuは,Riftと,Novintの3次元感触コントローラ「Novint Falcon」(関連記事),そして3Dプリンタで作られた“手”を組み合わせるというユニークなアイデアで注目を集めた。さまざまなイベントに出展されたMiku Miku Akushuだが,これがUnityを使うことにより,わずか1日で完成したというのだからから驚きだ。
このMiku Miku Akushuに大きな反応を示したのがsomeluさんだ。「ミクさんと握手するために」とわざわざネイルをして朝一番に現れたsomeluさんを,“ただ者ではない”と感じた近藤氏。イベント終了後もTwitterでコンタクトを取り続け,2013年12月に近藤氏が「主婦ゆに!」を発案したところ,someluさんがこれに乗ってきたことから,企画が本格的にスタートしたという。
想像を超えたレベルアップで生まれたVRゲーム
2014年2月には3Dモデリングをスタートし,3月の「Oculus Festival in Japan」には,“「Rift」を装着した頭を動してゲームフィールドを傾けることにより,ミクの入ったガラス玉を転がし,音符を回収する”というVRゲームを出展するまでに成長した。
someluさんが実家にRiftを持ち帰って家族に試してもらったところ,大きな反応を見せたのはsomeluさんのお母さんだったという。
someluさんのお母さんは無類のジェットコースター好きだが,膝を悪くしているため,思うようにジェットコースターに乗りに行けないのだという。しかしRiftがあれば,家にいながらにしてリアルなジェットコースター体験をすることも可能だ。someluさんのお母さんは「こんな楽しいものができるまで長生きできてよかったわ!」と大喜びしたという。
UnityとRiftがVRの世界を身近なものに
かねてよりVRに関心を持っていた氏は,UnityとRiftを使ったVRアプリの開発に着手した。引っ越し先の間取りを決めるために,Unityで再現した引っ越し先の部屋をRiftでVR体験できるシミュレータを開発するなど,UnityとRiftでパーソナル化したVRを活用しているという。
近藤氏は,「VRはこれからジェットコースターのように加速度的に発展していくので,あと300年くらいは生きていたいですね。UnityとRiftがあれば個人でもVRアプリを作ることができます。皆さんもUnityでVRアプリを作ってみてください」と,UnityとRift,そしてVRアプリの魅力を熱く語り,講演を締めくくった。