レビュー
武装・変形・カスタマイズが爆アツ!!
ガイストクラッシャー
「ガイストクラッシャー」公式サイト
「ガイストクラッシャー」はゲームソフトだけでなく,テレビアニメや玩具,漫画,音楽などでも展開中のメディアミックスプロジェクトである。
物語の舞台は2064年,謎の金属「ガイメタル」に覆われた生命体「ガイスト」が突如出現し,人々を襲うようになっていた。この脅威に対抗するべく立ち上がったのが,可変武装「ガイストギア」を身につけた少年達「ガイストクラッシャー」だ。ガイストギアは全身を守る鎧や巨大な武器,そしてガイストそのものの姿と3つの形態に変形する。
主人公の白銀レッカは元気が取り柄の普通の中学生。しかし,ひょんなことから新米ガイストクラッシャーとなり,金剛寺ハヤト,真銅クラマ,シレン・クォーツハートら仲間と共に,ガイメタルを悪用する組織「イレイザー」と戦うことになる。この大まかなストーリーラインはゲームやテレビアニメ,漫画などでも同様だ。
ゲームの発売から1週間あまりが経過したが,本稿では実際にじっくりプレイして分かった本作の概要を“大人ゲーマーの観点”からレビューしてみたい。
良質なアクションの“手触り”
ここで特筆したいのは,アクションの“手触り”。カプコンとトレジャー,アクションゲームにおいて実績十分の両社が手がけているだけあって,シンプルな操作で思いどおりに多彩な技を繰り出し,敵にヒットすれば心地よい手応えが感じられる。そして強敵を粉砕したときの爽快感は格別なものがある。
小型ガイストとの戦いでは,多数の敵をいかにして効率良く撃退するかが重要 |
大型ガイストの一騎打ち! 一定の条件を満たして倒すと「クラッシュチャンス」が発生し,時間内に粉砕すればガイストギアを入手できる |
序盤のミッションは,ボタンを連打するだけでもクリアできるゲームバランスになっているが,これをもって本作を「子供向けの簡単なゲーム」と決めつけるのは間違いである。徐々に難しさを増していき,いずれはむやみに攻撃を繰り返すだけでは先に進めなくなる。敵のガイストにはそれぞれ予備動作があるので,これを見極めて応戦する必要があり,この駆け引きがプレイヤーを熱くさせるのだ。
さらにガイストギアは「メイルフォーム」「ウェポンフォーム」「エクストリームフォーム」という3つの形態に変形可能で,これらを使い分けることで,より奥深いテクニカルな戦いが楽しめるようになる。
ガイストギア「フレイム・フェンリル」のメイルフォーム。レッカが装備すると,荒削りな格闘攻撃を繰り出せる |
「フレイム・フェンリル」のウェポンフォームは大剣。豪快な攻撃で広範囲の敵を蹴散らす |
エクストリームフォームではガイストそのものの姿に変形。大型ガイスト同士の激突は迫力満点だ |
3つのフォームを使い分けよう!
それでは3つのフォームについて詳しく紹介していこう。
メイルフォームはパンチやキックなどで攻撃する,攻守のバランスが取れた安定感のあるフォームだ。その最大の特徴は,ガードが可能なこと。ガードと言っても,ただの防御ではなく,Bボタンを押し続けてから離すと,その時間の長さに応じて周囲に衝撃波を発生させる。敵を吹っ飛ばしたり,敵の攻撃を相殺したりできるので,攻守両面において重要なアクションとなっている。
衝撃波をうまく使いこなせば,「攻撃の最中に背後から近づいてきた敵を衝撃波で吹っ飛ばし,戦いを仕切り直す」「大型ガイストの攻撃を衝撃波で相殺し,ガードよりも迅速に反撃に転じる」など,アグレッシブな戦いが可能になる。防御手段から一転して攻撃につなげられるあたりに,トレジャーらしさを感じるのは筆者だけではないだろう。
メイルフォームのガードは攻防一体。衝撃波を使いこなせば,小型ガイスト戦がさらに楽しくなる |
こうしたガードのアクションは,“一対多”の戦いとなる小型ガイスト戦において効果的だ。ちょっと話が逸れてしまうが,一対多の戦いと言えばカプコンの伝統的なベルトスクロールアクションゲームである「ファイナルファイト」や「ダンジョンズ&ドラゴンズ」シリーズなどが思い出される。このようなタイトルでは,多数の敵に囲まれた状態からの仕切り直しや防御が大きなテーマとなっていた。
そこで,通称「メガクラッシュ」と呼ばれる大技(体力を消費する代わりに周囲の敵を攻撃する無敵アクション)やガードが実装されていたのだが,ゲーム初心者ほど体力が減るのを嫌ってメガクラッシュを敬遠したり,ガードの導入で操作が難しくなったりという側面があったと記憶している。
本作におけるガードは,この課題に対する一つの回答になっている点が興味深い。衝撃波を使っても体力は減らないが,その代わりに時間経過で回復する「ガッツゲージ」を消費するので使い続けることはできない。また,敵を吹っ飛ばせるがダメージを与えることはない。つまり,初心者でも躊躇せずに使いやすく,衝撃波だけでは敵を倒せないので大味にならず,ガードと衝撃波は同じボタンなので操作方法はいたってシンプルだ。
さらに,ガードはほとんどの通常技(メイルアーツ)において攻撃後のモーション(戻りモーション)をキャンセルできる。例えば,レッカの「バーニングキック」のように隙が大きい技でも,ガードでキャンセルすれば戦い方に新たな可能性が生まれるのだ。
ちなみに,通常技はプレイヤーが自由に組み合わせてカスタマイズができる。どのような技が使えるのかは操作するキャラクター(ガイストクラッシャー)によって異なり,戦いの素人であるレッカは荒削りな格闘系,拳法使いのハヤトは流麗な技,忍者のクラマはスライディングや手裏剣といったトリッキーな技,シレンは連打系のパンチ技が多いといった傾向がある。
小型ガイスト戦に備えて連打系の技を揃えたり,気絶値の高い技で大型ガイストを積極的に気絶させたりといった,ミッションや出現するガイストに応じて最適な組み合わせを考えるわけだ。カスタマイズ画面で技のモーションが確認できない点は残念だが,幅広い戦闘アクションを楽しめる要素は大きな魅力と言える。
2つめのガイストギアが武器に変形するウェポンフォームは,攻撃力と機動力に優れている。武器は大きく分けて「ブレイド」「ランス」「サイズ」「ハンマー」「ガン」の5系統があり,「フレイム・フェンリル」の場合は「ブレイド」系の「大剣」といったように,ガイストギアによって変形できる武器が決まっている。
また,ウェポンフォームに変形したときだけ,戦いをサポートしてくれる小さな味方「ソウル」が出現し,攻撃力や防御力がする,相手の攻撃を迎撃するといった,ガイストギアによって異なるメリットがあるのも見逃せない。
ウェポンフォームは高い攻撃力とブーストによる機動力が魅力だ |
「ウインド・ガルーダ」のウェポンフォームに変形すると,ソウルによって防御力がアップ |
メイルフォームとウェポンフォームはいつでも自由に変形可能だが,これは攻撃中でも例外ではなく,その場合は通常技の戻りモーションがキャンセルできる「クイックチェンジ」となる。
つまり,メイルフォームで攻撃したら変形して戻りモーションをキャンセル,続けてウェポンフォームで攻撃を繰り出し,さらに変形してキャンセル,再びメイルフォームで攻撃する――このような「変形コンボ」も成立するわけだ。
こうしたコンボは慣れるまではちょっと難しいかもしれないが,うまくつながったときの達成感が高く,筆者は新しいガイストギアが手に入るたびにトレーニングモードで練習に励んだほどである。なお,トレーニングモードではコンボ数やダメージが表示されるので,自分の上達ぶりが実感できるのが嬉しい。
そして3つめのエクストリームフォームは,専用ゲージが溜まった状態でないと変形できないが,ガイストそのものの姿に変身する“奥の手”。2体の大型ガイストが真っ向からぶつかり合う様子は,まさに怪獣大戦争といったところか。変形中は無敵になるうえ,一定のダメージを回復できるので,一気に勝負を決めたいときだけでなく,体力が少なくなったときにも有効だ。
大型ガイスト戦はアクションの魅力が爆盛り!
ひたすら距離を取って飛び道具で戦うこともできないわけではないが,背後からの攻撃は与えるダメージが大きい。つまり,リスクを冒して大きなリターンを得るという“アクションゲームのセオリー”が守られているわけだ。
序盤のミッションは,大型ガイストが近づいてきたら攻撃が終わるまでガードを続け,攻撃が止んだらボタンを連打してダメージを与えるだけでも切り抜けられないことはない。しかし,やはりフォームの切り替えを駆使したほうが格段に面白くなる。
通常はメイルフォームで戦いつつ,チャンスが到来したらウェポンフォームで一気に大ダメージを狙うのが鉄則だ。さらに前述のクイックチェンジによる連続攻撃を編み出して,自分なりの戦い方を追求する楽しさも味わえる。
大型ガイスト「ドリーム・バック」は見た目こそコミカルだが,広範囲におよぶ攻撃には要注意 |
背後からの攻撃は「バックアタック」となり,与えるダメージが大きくなる |
そして,大型ガイストを倒した後に発生するのが「クラッシュチャンス」だ。これは「300秒以内に倒す」「エクストリームフォームでトドメを刺す」などの条件を満たすと,ガイストの心臓部である「クラッシュメタル」が出現し,制限時間内に破壊できればガイメタル(ガイストギア)が入手できるというもの。もし実力不足でクラッシュできなかったとしても,ほかのミッションで経験値を溜めてから再挑戦することが可能だ。
もちろん新たに入手したガイストギアは,次のミッションから武装可能になる。しかもエクストリームフォームに変形すれば,強大な敵として立ちはだかっていた大型ガイストとして戦えるのだから,ガイメタル収集にも思わず熱が入ってしまうというものだ。
こうした要素は攻略を助けてくれるとともに,武装を選択する際の幅を狭めることにもなるが,このあたりは好みの問題だろう。
ガイメタルを装着して「ガイストオン!」
ちなみに,数量限定版「ガイストクラッシャー 爆アツ!ガイフォンセット」に同梱される「特別仕様ガイメタル」では,「ダーク・デュラハン★2」が追加できる。これは雷属性で通常技が使いやすく,なかなか便利なガイストギアだ。ゲームの難易度が大幅に変わるほどのものではないが,収集欲を刺激されることは確かだろう。また,12月下旬発売予定の「ガイメタル1弾 ヤマトガイスト討伐編」では,超レアなレジェンドガイストが登場するミッションと特別なストーリーが追加されるとのこと。興味のある人はチェックしてみてはいかがだろうか。
数量限定版「ガイストクラッシャー 爆アツ!ガイフォンセット」に同梱されるガイフォンカバーをニンテンドー3DSにセットし,「ダーク・デュラハン★2」をガイストオン! |
ゲーム内に「ダーク・デュラハン★2」のガイストギアが登場。まさになりきり玩具である |
ガイメタル1弾 ヤマトガイスト討伐編
発売日:12月下旬予定 メーカー希望小売価格:998円(税込)
【GM-06】イザナミ降臨!炎のナインテールセット
ガイストギア:アヤカシ・ナインテール シナリオ:ファントム・イザナミ戦
【GM-07】アマテラス降臨!風のバロンセット
ガイストギア:ロード・バロン シナリオ:ライジング・アマテラス戦
【GM-08】スサノオ降臨!地のクー・シーセット
ガイストギア:ミスト・クー・シー シナリオ・ブルータル・スサノオ戦
【GM-09】ツクヨミ降臨!氷のリュウジンセット
ガイストギア:テッコウ・リュウジン シナリオ:ムーンライト・ツクヨミ戦
【GM-10】イザナギ降臨!雷のエーギルセット
ガイストギア:アドミラル・エーギル シナリオ:エンシェント・イザナギ
このようなガイメタルとの連動要素に関しては,ゲームを起動するたびに二次元コードを読み込ませる必要があり,少々手間がかかる。また,ミッション選択画面からトレーニングモードに移行できない,通常技のカスタマイズ画面でモーションを確認できない……など細かい部分で不満がないわけではない。
しかし,カプコンとトレジャーというアクションゲームの制作に定評がある両社が,基本を大切にしたキッズ向け作品に挑んだことは,ゲーム業界の未来に向けて意義があると感じた。だからといって,大人ゲーマーが楽しめないわけではないというのが,本作を遊んでみた率直な感想だ(少なくとも筆者は発売日に購入し,アクションゲームとして楽しんでいる)。
もし購入しようかどうかを迷っているなら,まずはニンテンドーeショップで配信されている体験版で,“アクションの手触り”を確認してみてほしい。
「ガイストクラッシャー」公式サイト
バンダイ「ガイストクラッシャー」玩具紹介ページ
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