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[GDC 2017]PCおよびMac用クラウドゲームサービス「GeForce NOW」の概要が明らかに
基調講演では,GeForce NOWを実行中のPCで,Steamにログインしてゲームをプレイする様子が披露されたが,実際にはSteamだけでなく,それ以外の主要PCゲームプラットフォームにも対応する予定とのこと。謳い文句通りに実現されれば,クラウドゲームサービスの可能性を大きく広げるものとなりそうだ。
講演を担当したのは,GeForce NOW担当ジェネラルマネージャーのPhil Eisler氏である。
シングルサインオンで各社のゲームタイトルがプレイできるように
Eisler氏によれば,PCおよびMac用のGeForce NOWは,冒頭で触れたValveのSteamに加えて,Electronic Artsの「Origin」や,Ubisoft Entertainment(以下,
プレイヤーは,NVIDIAが提供するランチャーアプリ「GeForce App」上で,プレイするゲームを選択する。すると,
GeForce NOWで使うNVIDIAのアカウントと,SteamやOriginといった各ゲームプラットフォームのアカウントは,クラウド上で紐付けられるという。そのためGeForce NOWには,どちらかのアカウントでもログインできるし,GeForce NOWと各ゲームプラットフォームへ個別にログインする必要もないという,シングルサインオン環境を実現するとのことだ。
ゲーマーが所有している各ゲームプラットフォームのアカウントを利用できるので,たとえばUplayで購入済みのゲームは,GeForce NOWでもプレイできるとのこと。セーブデータもクラウド側に保存されるので,たとえば旅先に持っていったノートPCでゲームの続きするといったことが,可能になるわけである。
また,GeForce NOW上でオンラインマルチプレイのゲームをプレイすることも可能になる。ゲームそのものがNVIDIAのクラウド上で動作しているので,「クラウドサービスが使う超高速回線で,オンラインマルチプレイが可能になる」とEisler氏は利点を述べていた。
こうしてみると,20時間の利用で25ドルからという価格を除けば,GeForce NOWはゲーマーにとって,魅力的なサービスになりそうに思える。統合型グラフィックス機能しかないノートPCでも,GeForce NOWがあれば,PCゲームをプレイできるというのは,やはり素晴らしい。
というのも,今まさに筆者は,「DOOM」のキャンペーンを途中までやりかけた状態で,GDC 2017の取材に行くはめになったからだ。手元にあるノートPCは,
Eisler氏によれば,北米および欧州で,GeForce NOW向けのクラウドゲームサーバーを増強しているところだそうで,「全米で高速回線を持つ家庭の90%は,30ms以内の遅延に収まる環境になっている」(Eisler氏)という。30ms以内といえば,60fpsでは2フレーム弱程度。本当にこれだけの低遅延を実現できるなら,十分すぎるほど実用的だろう。
据え置き型ゲーム機の4倍のPascalパワーを一般家庭に
ゲーム開発者に向けた講演ということもあり,Eisler氏は,開発者にGeForce NOWの利点を強くアピールしていた。
とくにEisler氏が強調したのは,GeForce NOWのクラウドサーバーが,PascalベースのGPUを使っていることだ。氏によれば,Pascalは「一般的な据え置き型ゲーム機の4倍以上のパフォーマンスを持っている」そうで,「GeForce NOWなら,高性能を要求するPCゲームをリビングでプレイできる」と主張していた。
質疑応答でEisler氏は,「GPUやCPUの世代が新しくなったら,GeForce NOWのサーバーも更新されるのか」という問いに対して,「アップグレードする」と答えている。GeForce NOWのサーバーは,性能が向上するように更新し続けるという点も,Eisler氏がアピールしたいところのようだ。
これにより「アップデートに関わる手間やネットワーク帯域を,大幅に抑えることができる」と,Eisler氏は利点を説明していた。
Eisler氏は講演の最後に,「2017年第2四半期にスタート予定のEarly Access Programにぜひ登録してほしい」と呼びかけていた。これは誰でも登録できる早期体験プログラムだ。とはいえ,GeForce NOWのサービス地域に,今のところ日本は含まれていないので,登録してもあまり意味がないのが残念だ。
いずれにしても,NVIDIAは,GeForce NOWの展開に本気で取り組んでいるというのが,この講演でうかがえた。Early Access Programがスタートすれば,どの程度実用的に使えるかも見えてくるだろう。今後の情報に注目したい。
NVIDIAのGeForce NOW 公式Webページ(英語)
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