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“基本プレイ無料”のアーケードゲーム「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」。ロケテスト会場で,プロデューサー渡邉氏にその狙いを聞いてみた
「ぷよぷよ」といえば,セガが誇る人気アクションパズルシリーズとして知られ,アーケードをはじめ,数々のコンシューマー機にも移植されている人気タイトルだ。記事を読まれている方なら,一度は遊んだ経験があるのではないだろうか。
最新作「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」は,アーケードゲームとしては,「ぷよぷよフィーバー」以来約10年ぶりとなる新作として開発中のタイトルで,ネットワークを使った協力プレイなど,さまざまな新しいフィーチャーが搭載されている。またアーケードゲームとしては,おそらく初の試みとなる「基本プレイ無料」のタイトルとして,「ぷよぷよ」ファン以外からも大きな注目を集めている。
4Gamerでは,今回「クラブセガ秋葉原新館」で開催されているロケテストにお邪魔し,実際に本作をプレイしてみた。また居合わせた本作のプロデューサー・渡邉正勝氏にも話を聞いている。単に「ぷよぷよ」シリーズの新作というだけでなく,ビジネスモデル的にも可能性を秘めたタイトルといえる本作。その狙いとは? プレイレポートと合わせて掲載していこう。
「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」公式サイト
タッチパネルを操作して連鎖を組み立てる新タイプの「ぷよぷよ」
筆者がロケテスト会場に到着した16:00頃以降,「クラブセガ秋葉原新館」の6Fに4台設置された本作の筐体は,ほぼ常に満席の状態だった。ロケテスト開始から,すでに1週間ほどが経過しているので,混雑しているというわけではないのだが,繰り返しプレイしている人も見られ,すでに固定客を掴んでいるようだ。
さて「ぷよぷよ」といえば,2つ1組で落下してくる「ぷよ」を同じ色で4つ以上組み合わせて消していく,いわゆる対戦型の落ち物アクションパズルゲームだ。しかし「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」では,対戦の要素がなくなり,代わりにオンラインでマッチングしたプレイヤーと共に敵を倒していくという,パズルとRPG要素を組み合わせた,協力型のゲームとなっている。
実際の遊び方については,公式サイトにも掲載されているチュートリアル動画を見てもらうのが早いのだが,本稿では筆者の感想なども交えつつ,改めて紹介していこう。
本作のゲームプレイは,まずゲームのマップに示された場所で,クエストを選択するところから始まる。クエスト選択後はバトルに参加する味方モンスターを設定して,パーティを編成すればクエストスタートだ。ネットワークを介したマッチングによって,同じクエストに挑戦するプレイヤーと協力して,次々と登場する敵モンスターと,パズルを使って戦っていくことになる。
クエストを選択すると,敵として出現するモンスターの一覧が表示される。パーティ編成のときに役立つ情報なので,必ずチェックしよう |
お供のモンスターには属性や必殺技がある。敵のタイプに合わせて編成を組むのが攻略の秘訣だ |
バトルは,敵モンスターへの攻撃力を決定するパズルパートと,実際に攻撃を行うバトルパートに分かれており,パズルパートが,いわゆる「ぷよぷよ」タイプのゲームになっている。ただし,これまでのように上から落ちてくるぷよを,レバーとボタン操作で並べていくのではなく,画面いっぱいに配置されたぷよを,タッチパネル操作で並べ替える方式に変更されている。並べ替えは何度でも行えものの,制限時間が決められているので,いかに早く多くの連鎖を作れるかが,本作のポイントというわけだ。
いままでのアーケードで使用されたレバーとボタンの操作から,タッチパネルの操作に切り替わったのは大きな変更点だろう |
落ち物パズルの印象が強すぎて,画面にびっしり詰まったぷよ達に戸惑う筆者。まずはぷよを動かしてみて,操作に慣れていこう |
制限時間が来てパズルパートが終了すると,バトルパート開始となる。消したぷよの量や,連鎖数に応じてパーティの攻撃力が変わり,そのまま見ていれば自動で攻撃がスタートする。ただし,この時にコマンドでお供のモンスターに応じた「ひっさつ技」や,クエスト中に1度だけ使える「だいまほう」を準備しておくと,より強力な攻撃を繰り出すことができるのだ。
クエストは基本的に,この2パートを繰り返し行って,出てくる敵モンスターをすべて倒せればクリアとなる。クエストクリア後は,成績に応じたクエスト達成ポイントがもらえるほか,クエストで倒したモンスターが仲間になることもある。こうして,より強力な強いパーティを編成し,より上級のクエストに挑戦していく,というのが本作の遊び方というわけだ。
ちなみに気になる「基本プレイ無料」の部分だが,これはクエストを選択する時に消費されるポイントである“げんき”が残っている間は,無料でプレイできるという仕組みになっている。“げんき”の数は,セガタイトルでおなじみのデータカード「Aime」を使用すると保存され,リアルの時間の経過によって自動的に回復するほか,クレジットを投入することによっても回復が可能。時間による自動回復では,3分ほどで1ポイント回復し(自動回復によるげんきの最大値は100),クレジットでは1回の投入によって100ポイント回復する(クレジットを使った場合の最大値は200)。
課金要素としては,このほかにクエスト失敗時のコンティニューや,ゲーム内の「星の神殿」から選べる「金の神殿」でのモンスター召喚(いわゆるガチャ要素)などが用意されている(「金の神殿」は,課金のほかゲーム内で入手できる「スペシャルスター」でも利用可能)。
以上が本作の大まかな概要になるが,遊んでみた感想としては,パズル部分はしっかりと「ぷよぷよ」していながらも,ゲームとしての楽しみは,そのほかの部分――パーティ編成やモンスターのコレクション要素,またほかのプレイヤーとの協力などに大きく比重を置いているように感じられた。従来の「ぷよぷよ」が,かわいらしい見た目にも関わらず,かなり“ガチ”な対戦ゲームだったことを考えると,より初心者に優しい作りになったとも言えるだろう。
もちろん複雑な連鎖を組み立てられるほど有利になるので,上級者ならより楽しめることは間違いない。初心者にとっても,上級者が味方についたときなどは,かなり頼もしく感じられるのではないだろうか。
さて,ここまでの説明で気付いた人も少なくないのではと思うが,本作のゲームシステムは,近年のスマートフォン向けゲームの定石に近いように感じられる。とくに,パズルの外側にあるゲームシステムや課金システムにそれらは顕著で,こういったモデルをアーケードに持ち込もうというあたりに,本作の狙いが隠れているようだ。本作のプロデューサー・渡邉正勝氏に,その辺りの疑問をぶつけてみた。
プロデューサーに聞く,「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」の狙いとは
アーケードでは実に10年ぶりとなる「ぷよぷよ」シリーズの新作となりました。まず,本作のコンセプトから教えてください。
渡邉正勝氏(以下,渡邉氏):
本作の場合,「ぷよぷよ」の新作を作ろうというより,まず多くの人に遊んでもらえるタイトルを創りたいというのがコンセプトでした。ふだんはゲームセンターに来ない人や,フラっと立ち寄った人が遊べるゲームを考えていて,その中で出たきたのが,パズルゲームというジャンルと,基本プレイ無料というスタイルなんです。
4Gamer:
なるほど。まず,とにかく遊んでもらえる環境を作ろうということですね。
渡邉氏:
そうですね。最初の1コインを入れるハードルを,まずなくしてみようと思ったんです。でも,そこのハードルが下がったとしても,実際にどんなゲームなのか分からないと,ゲームをプレイしてもらえるかは,まだ分からない。そこで,誰もが知っている「ぷよぷよ」というコンテンツがマッチすると考えました。
4Gamer:
確かに「ぷよぷよ」なら知名度も高いですし,デザインもカワイイからとっつきやすいですね。この基本プレイ無料というのは,アーケードではかなり挑戦的な要素だと思うのですが,反響はいかがでしたか。
渡邉氏:
アンケート結果やネットなどの反響を見る限り,期待値と注目度は高いと感じます。ゲームセンターには,ほかにも面白いゲームがたくさんあるので,本作を遊ぶために足を運んでもらえれば,全体として大きなプラスになると思っています。
4Gamer:
溜まった“げんき”を使うために,日常的にアーケードに通うようになってくれたら,ほかのゲームを遊ぶ機会も増えそうです。ではロケテストの反応という意味ではどうでしょう。
渡邉氏:
基本プレイ無料というのと,「ぷよぷよ」の新作という話題性もあり,今のところ評判はすごくいいですね。予想以上の数のお客さんがプレイしてくれていて,製品化に向けて良い結果,意見が集められたと思っています。プレイヤーさんから応援のメッセージもいただいていて,本当にありがたいです。
4Gamer:
ゲームの内容についてうかがわせてください。基本プレイ無料ということもあり,ゲームシステム的には,本作はスマートフォン向けゲームを強く意識しているように感じました。その点はいかがでしょうか。
渡邉氏:
タッチパネル操作という点では共通する部分もありますが,アーケードならではの大画面ですし,操作性にフォーカスして開発しているので,一度プレイすれば,その気持ちよさに気づいていただけると思います。また「じっくり考えながら大連鎖を組んで,発動させたときの爽快感」は,まさに「ぷよぷよ」ならではだと思うので,足を運べる方は,ぜひロケテストで味わってもらいたいですね。
4Gamer:
確かにパズル部分はしっかり「ぷよぷよ」でしたね。でも,従来のレバーとボタンによる操作から,タッチパネル操作に変更したのはなぜなんですか?
渡邉氏:
従来のレバー+ボタン操作も考えたのですが,先ほどお話した「ふだんアーケードに足を運ばない人に向けて作る」というコンセプトから,直感的に操作できるタッチパネルを採用することにしました。セガは,タッチパネルを使ったアーケードタイトルを長年作っていますから,その技術やノウハウもあります。それを活かしつつ「同じ色のぷよを4つ以上揃えると消える」という基本ルールを踏襲して,タッチパネル操作に適したプレイフィールを目指しました。
4Gamer:
iOS版の「ぷよぷよ!!クエスト」が,2013年春のリリース予定なので,それと連動する形なのかと想像していたのですが……。
渡邉氏:
iOS版「ぷよぷよ!!クエスト」は,アクションパズルの「ぷよぷよ!!」から派生しているという点で同じ流れをくむものですが,基本的には別のゲームです。今のところ連動したものではありませんが,今後ということであれば,ぜひやりたいですね。
4Gamer:
てっきりアーケード版と“げんき”が共有されたりとか,そういうシステムなのかと。
渡邉氏:
今のところは,そういうわけじゃないです(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。稼動は今のところ未定とのことですが,もう少し具体的には?
渡邉氏:
なるべく早いタイミングでリリースしたいと思っていますので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
では,最後に全国のぷよぷよファンに向けたメッセージなどがあれば,お願いします。
渡邉氏:
基本は無料で遊べるタイトルなので,ぜひ一度,実際にプレイしてみてほしいです。ロケテストは今週の日曜日,4月7日までやっていますので,まずアーケードに足を運んでいただければと。そのついでに,ほかのゲームも遊んでいただけると,嬉しいですね。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
誕生から20年以上経つぷよぷよシリーズの最新作「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」。インタビュー中にもあったように,インタフェースは変われど,連鎖を作って一気に消していく爽快感などは,「ぷよぷよ」そのものだ。
そしてまた,基本プレイ無料という仕組みでロケーションの活性化を狙う挑戦も,長らくアーケードを支え続けてきた,セガらしい試みといえるだろう。今週末に向けたロケテスト後半では,レアモンスターが追加されるなどのイベントがあり,また,ロケテスト特典なども用意されている。首都圏近郊のアーケードゲーマーは,ぜひ最寄りの店舗まで足を運んで,本作を体験してみよう。
「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」公式サイト
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ぷよぷよ!!クエスト アーケード
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