レビュー
ハッキング能力を駆使した新機軸アクションでシカゴの裏社会に挑む
ウォッチドッグス
多種多様なハッキング能力を駆使した新機軸アクションで挑む「ウォッチドッグス」
海外での初週販売本数が累計約400万本という記録を打ち立てた,ユービーアイソフトの「ウォッチドッグス」(PC / PlayStation 4 / PlayStation 3 / Xbox 360)が2014年6月26日についに日本でも発売となった。(Xbox One版は9月4日発売予定。Wii U版は発売日未定)
本作は同社の完全新規のプロジェクトとして2012年のE3で発表されたのだが,開発自体は2009年に始まっており,実に5年もの期間をかけて作られたタイトルなのだ。開発スタジオも同社の「ファークライ」シリーズや「アサシン クリード」シリーズなどを手がけたカナダのモントリオールスタジオが担当しており,このゲームにかける意気込み,そして本気度が伝わってくるはずだ。
すでに入手して楽しんでいる読者も多いと思うが,本作の購入に一歩踏み切れない人に,ウォッチドッグスって一体どんなゲームなの? というところをお伝えしよう。
「ウォッチドッグス」公式サイト
現実さながらに再現されたシカゴを舞台にエイデンの復讐劇が始まる
本作の舞台となるのは近未来のシカゴだ。広大なシカゴの街並みはゲームエンジン「Disrupt」によって現実さながらに描かれており,巨大な箱庭の中を徒歩や車,電車で自由に移動して,あんなことやこんなことができるオープンワールドタイプのゲームだ。パッと見からして「グランド・セフト・オート」シリーズや「inFAMOUS」シリーズのような,クライムアクションゲームと想像できるが,それは大正解。とはいえ,ウォッチドッグスでは今までのクライムアクションゲームにはない斬新なゲームシステムを採用している。
このシカゴの街は,コンピュータウイルスが蔓延したのをきっかけに,ブルーム社が開発した「ctOS(Central Operating System)」というシステムが導入され,電力や交通システム,監視カメラ,そして銀行預金やSNSなどの個人情報まで,あらゆるものが管理されている。
主人公のエイデン・ピアースは,特殊なスマートフォンを使ってこのctOSをハッキングすることで,その制御下に置かれた監視カメラや信号機などの電子機器をコントロールできるほか,通行人の個人情報や銀行口座からお金を抜き出すなど,ctOSが管理する都市機能のすべてを支配できるのだ。
エイデンはハッキングの仕事でミスをして身元を知られてしまい,その結果,家族までも事件に巻き込まれ,姪の命が奪われてしまう。それから11か月後……ハッキングの悪事から足を洗おうとしていたエイデンだったが,事件の裏に黒幕がいること知り,復讐のために再び立ち上がる。そして協力者の力を借りながら事件を調べていくうちに,徐々に真相へと近づいていくことになる。黒幕は一体,誰なのか……ネットワークでつながれたシカゴ全体を武器にエイデンの復讐劇が始まるのだ。
ストーリーはミッション形式で展開されていくので,1つのミッションをクリアすると次のミッションに挑戦できるという仕組みだ。少しネタばらしをしてしまうと,Act 1〜Act 5まで5つのパートが用意されており,合計43ミッションで物語は繰り広げられていく。もちろん,メインストーリーのミッションだけを進めても構わないし,数多く用意されているサブミッションを遊びまくっても構わない。このへんは,ほかのクライムアクションゲームと同様にプレイヤーの自由だ。
街に住まうすべての人々に感情移入してしまう不思議な感覚
まず,本作で「これはすげぇ」と思ったのが,登場するキャラクターそれぞれにプロフィールが割り当てられているという点だ。これまでのクライムアクションゲームでは街の中を歩いている人々は単なる雰囲気を演出するキャラクターであり,何も気にせずに銃で撃ったり,車で轢き殺したりしてきた。しかし,ウォッチドッグスの人々は,歩いている人,車を運転している人,建物の影でイチャイチャしているカップル,看板の裏でおぇーっとやってる人まで,しっかりとプロフィールが設定されているため,本当に生きているかのように感じられるのだ。そのため,これまで何とも思わなかったキャラクター達に思わず感情移入してしまうことが多々ある。
プロフィールは,名前のほか,趣味,年齢,職業,収入が設定されている。また「会社を辞めた」「スカイダイビング愛好家」「ラジオ番組のコンテスト優勝者」といったものから「拷問ポルノをよく見る」「性転換者」など,ちょっと人には知られたくない性癖までもが筒抜けになっており,それを眺めてウロウロしているだけでも楽しめる。逆に自分が引き金となって始まった銃撃戦に巻き込まれて倒れている人に「最近,結婚した」「最近,子供が生まれた」といった背景があると,何だか本当に申し訳ない気持ちになってしまう。
スマートフォンを使っている人にはハッキングが可能で,仕事の話や人には聞かれたくない秘密のお話などが盗聴ができるほか,チャット内容をのぞくことも可能だ。さらに銀行口座を操作してATMからお金を拝借するなんてことも簡単にできてしまう。
ボタン1つの簡単操作もマル さまざまなデバイスをハッキングして武器や道具として使おう
エイデンは電子制御されているものであればハッキング可能で,スマートフォン以外には,監視カメラ,自動車のセキュリティ,道路の信号機,自動ドアの操作パネル,悪い連中が持っている爆弾など,さまざまなデバイスを手元でコントロールできる。しかもハッキングするのに難しい手順は必要なく,コントロールできるデバイスはアイコンが表示されるので,その状態で□ボタン(PS4版)を長押しするだけで,なんでもかんでも制御できる手軽さが嬉しい。
例えば,警察や悪い連中に追いかけられているときに,信号機をハッキングして交通事故を引き起こし,道路を封鎖したり,車止めを持ち上げて通れなくしたり,そういったことが狙ってできるようになるとゲームの面白さは倍増する。
また,メインストーリーやサイドミッションでは,建物内にある端末をハッキングしながら極力戦いを避けて侵入してもいいし,銃を撃ちまくって,わんさかいる敵を倒しながら正面突破しても構わない。なかでも面白いのが,監視カメラや敵が持っているカメラ(スマホなど)をハッキングした状態で,そこに映ったほかのカメラをハッキングできるという点だ。これを利用すれば,建物の外からカメラを伝って目標の端末にアクセスするといったことも可能だ。ここは監視カメラを使ったパズル的要素ともいえる部分なので,何も考えずに肉弾戦で突入するのもありかもしれないが,まずはハッキングでの侵入も試したいところ。
寝不足必至! オンラインプレイで緊張感のあるプレイヤー同士の駆け引きを楽しもう
さらに寝る時間を削られる要素として,プレイヤー同士でハッキングしあったり,カーレースを楽しんだりできるオンラインプレイが用意されており,これが猛烈に熱いのだ。自分からオンラインプレイを申し込めるし(オンライン契約という),シングルプレイ中でもマッチングされればオンラインプレイへとシームレスに移行するので面倒くささはない。オンラインゲームモードは,ほかのプレイヤーと街を探索できる「オンラインフリーローム」,ほかのプレイヤーのゲームに入り,見つからないように監視する「オンライン尾行」,同じくハッキングを行う「オンラインハッキング」,配置された1つのファイルをほかのプレイヤーと奪い合う「オンライン解読」,レースで競い合う「オンラインレース」,そしてモバイルアプリのctOSモバイルで作成されたチャレンジに挑む「ctOSモバイルチャレンジ」の6種類が用意されている。
なかでも「オンラインハッキング」は,追いかける側と追われる側のどちらでプレイしてもかなり熱くなれる。追いかけるときは人間くさい動きをするプレイヤーを見逃さないようにしないとならないし,追われるときは気付かれないように行動しなければならない。それにいつ,見知らぬハッカーに侵入されるか予測できないので,これで面白くないわけがない。
筆者としては,ウォッチドッグスは今,間違いなく一押しのゲームだ。自由度の高さ,ハッキングという新しい要素の使い方,それを活かしたシングルプレイ,オンラインプレイのゲームモードの面白さは,寝る間も惜しんでプレイしてしまう魅力がある。筆者は約15時間ほどプレイしているが,寄り道できる要素が多すぎて,やっとAct 2の途中まで進んだところ。ストーリーがこれからどんな風に展開していくのかも楽しみだ。これまでオープンワールドタイプのゲームを遊んできた人はもちろんのこと,遊んだことがないという人も,まずは本作をプレイしてみてほしい。
そうそう,忘れるところだったが,本作はCEROレーティング「Z」(18才以上のみ対象)となっているが,海外版と比べると性的なシーンが変更になっているとのこと。しかし,筆者が街をウロウロする連中を念入りにチェックしたところ,エロ会話などはなかなかチャレンジングな翻訳がなされており,かなり頑張ってます! 思わずニンマリしちゃう内容が多いので,こういった部分もぜひチェックしてみてほしい。
「ウォッチドッグス」公式サイト
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