プレイレポート
[E3 2013]SNS機能を備えたPS4向けレースゲーム「Driveclub」をプレイ。硬派な見た目とは裏腹のカジュアルな操作感を持つタイトル
では,PlayStation 4(以下,PS4)のローンチタイトルにレースゲームは登場しないのかといえば,もちろんそんなことはない。今回紹介する「Driveclub」(※公式表記が割れているため,現時点ではSCE Americaのプレスサイト表記「Driveclub」に従う)がローンチタイトルとしてラインナップされているのだ。
今回,ファーストパーティ製のレースゲームとして大きく期待のかかるDriveclubをE3 2013会場でプレイしてきたので,本作がどんなゲームなのかを解説しつつ,インプレッションをお届けしよう。
SNS機能,そしてゴーストカーとの非同期レースが大きな特徴
Driveclubを手がけるのは,英国に本拠を構えるゲームデベロッパであるEvolution Studios。同社はレースゲーム専門のデベロッパで,PS3世代の代表作としてはMotorStormシリーズがある。
MotorStormシリーズは,ワンダリング挙動(※轍にステアリングをとられるなど,路面の凹凸によって生まれる不安定な車輌の挙動のこと)を物理シミュレーションに盛り込んだ初めてのレースゲームとして注目を集めた。早い話が,Evolution Studiosは,高い技術力を有した開発会社なのだ。
では,そんな同社が手がけるDriveclubがガチガチなリアル系ドライブシミュレータなのか。そこから聞いてみると,ブースの解説担当者からは即座に「そんなことはない」という回答が返ってきた。そう,Driveclubは意外にも,カジュアルテイストのレースゲームなのである。
まずDriveclubの操作系だが,ブースにいた担当者によれば,少なくとも発売時点ではステアリングコントローラに対応していないという。運転操作は,PS4の標準ゲームパッド「DUALSHOCK 4」か,「PlayStation Camera」によるジェスチャー入力で行うことになるそうだ。
収録されるコースは,北米および欧州,アジアなど,さまざまな国や地域の雰囲気を取り入れた,架空のオープンフィールド型コースが中心になるとのこと。周回型のコースも存在はするが,実在するサーキットを収録する予定はいまのところないとのことだった。
さて,Driveclubにおける大きな特徴の1つに,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の要素を取り入れたシステムが搭載される点があるだろう。プレイヤーは,自由に自分のフレンドコミュニティを作ることが可能で,コミュニティメンバー同士で草レースを企画して遊んだり,愛車自慢のメッセージをやりとりしたりするという楽しみ方ができる。
コミュニティに参加したプレイヤー間で,非同期のレースを楽しめるという点も面白い。コミュニティに参加しているプレイヤー達の走行リプレイデータ(具体的にはゴーストカーのデータ)がクラウド上に保存されており,それを仮想敵として,腕を競うことができるのだ。
Driveclubには,最近のレースゲームで流行している「Rewind」(※運転ミスしたとき,ゲームの進行を少し巻き戻せる機能)は用意されない。なので,従来の常識を当てはめるなら,「ゴーストカーとの対戦中に一度でも操作ミスをすると,ゴーストカーは遥か彼方へと走り去ってしまい,一気にやる気が失せる」ことになる。
しかし,Driveclubのゴーストカーデータは,あらかじめ設定された各区間でベストタイムを持つものが再生される。プレイヤーがレース中にどれだけミスをしても,チェックポイントを通過すると,次のチェックポイントまでの間でベストタイムを持つ,ほかのプレイヤーのゴーストカーが,新しく出現してくれるのだ。
この仕掛けによって,仮にトータルタイムでは負けていたとしても,「あの区間ではオレの方が速かった」というデータを残せる。やりがいはゴールラインを切る瞬間まで残り続けるわけである。これはうまいと思えるゲームシステムだ。
そのほか,PlayStation Vitaやタブレット端末を使用して,俯瞰視点で,ほかのプレイヤーがどこを走っているかなどの情報を見て楽しむことができる。自分が所属するコミュニティのレース大会にPS4で参加できなかったとしても,PS Vitaやタブレットから状況を確認して応援したり,レースの結果動画やスクリーンショットなどを閲覧したりできるのである。
美麗なグラフィックスにリアルな挙動。しかし操作感はカジュアル指向
今回,実際に本作をプレイしてみたが,DUALSHOCK 4やジェスチャー入力でのプレイが想定されているためか,操作感覚はややアーケード寄りという印象を持った。ブレーキで確実に減速しなければ曲がれないという,ドライブシミュレータライクにシビアな場面もあるにはあるが,基本的には,高い平均速度で走れる,爽快感重視のゲームと言えるだろう。
グラフィックスはさすがPS4と言ったところで,とにかく背景が美しい。動的な天候シミュレーションにより,長い時間走っている日がゆっくりと沈んで,少しずつ夕闇が訪れるような表現も楽しめた。
今回のE3で公開されたプレイアブルデモでは,マクラーレン「MP4-12C」を含む2台しか選択ができなかったが,内装の再現性も高く,革やカーボンの素材の違いも判別できるほど。初期リリース時の収録車種は約20台とのことなので,車種が少ない代わりに細部まで作り込んである,ということなのだろう。ちなみに車種はDLCによって随時追加されていくとのことだった。
前述のとおり,本作はPS4の本体と同時に発売される。PlayStationプラットフォームにおける有料ネットワークサービス「PlayStation Plus」(以下,PS Plus)に加入しているPS4ユーザーは,PS Plus版のDriveclubが無料で提供される。Driveclubはパッケージ版(フルプライス版?)もリリースされるが,PS Plus版とパッケージ版との機能差は不明だ。パッケージ版には,PS Plus版よりも多くのコースやクルマが収録されるのかもしれない。
実車系レーシングゲーム,しかも超美麗グラフィックスということで,ハードコアなレースゲームに見えるにもかかわらず,実はカジュアル指向なDriveclub。レースゲームに慣れないプレイヤーも,一度挑戦してみることをオススメしたい。
「Driveclub」公式サイト
4GamerのE3 2013特設ページ
- 関連タイトル:
DRIVECLUB
- この記事のURL:
(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Evolution Studios
- DRIVECLUB (初回封入特典:オリジナルカラーのクルマ3台(RUF R12 R/ McLaren 12C/ Mercedes SLS AMG Coupe Black Series)
- ビデオゲーム
- 発売日:2014/10/09
- 価格:¥5,310円(Amazon) / 5957円(Yahoo)