連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第219回「ドラゴンボール万能説」
それはもちろん,ドラゴンボールという作品が世の中の少年達にとって避けては通れないコンテンツだった世代だからなのね。ただ,直撃世代という要素を抜きにしても,私はドラゴンボールを人並み以上に好きな気がするわ。だって,いまだにドラゴンボールの新作ゲイムが出たら,無条件で入手しちゃう自分がいるわけだから。
だから先に言っておくけど,今週はニンテンドー3DSの「ドラゴンボール ヒーローズ アルティメットミッション」を紹介するわよ。でも,まだここではゲイムの内容には触れない。
だって,原作があるゲイムは,どれだけ原作を愛しているかを説明してからヒヒョーを展開しないと,読者の皆さんは気色悪く感じちゃうでしょ?
私がノーモーションで普通にドラゴンボールを語ったら愛があふれ過ぎる余り,「気功砲」は寿命を削ってまで放つ技だから,ゲイムだからといってあっさり出すのはおかしい! とか,でも原作でも天津飯はあっさり出してたじゃないか! とか,馬鹿野郎! 「新気功砲」では実際に命を失っているではないか! 描写は地味だったけど! とか,でもあれは餃子が死んでしまった怒りで我を忘れてそうなっただけであって,新気功砲自体の反動ではない! とか,それならなぜ天津飯は餃子が死んであそこまで我を忘れるほど怒り狂ったのか? やはりそういう薄い本が出るような関係? しかし超能力を使った薄い本が出るような行為ってどういうのかしら……というようなことを書いてしまいたくなっちゃうわけ。大人だから書かないけど。
だから,先にどれだけ私がドラゴンボールに愛を持っているかを見せびらかしたうえでないと,ゲイムの内容には触れられないのよ。気持ち悪いと思われたくないもん。
ところで,これを読んでいる読者にはおそらく分かってもらえると思うんだけど,男の世界では「週刊少年ジャンプ」のエースは何か? で,なんとなくの年齢が分かるわよね。今が「ワンピース」時代だとすると,我々の世代が青春を過ごしたのはドラゴンボール時代だったと言ってもいいでしょうね。細かく言うと,ドラゴンボールとワンピースの間に空白期間があるにはあるんだけども,その期間の週刊少年ジャンプのエースが「I'S」なのか「とっても! ラッキーマン」なのか「いちご100%」なのか,はたまたほかのマンガなのかは個人の解釈によるところが多いわね。室町時代と江戸時代の間に安土・桃山時代があるように,週刊少年ジャンプの歴史にも,ドラゴンボールとワンピースの間には世間的に認められる完全エースが抜けている状態があったのよ。もちろん個人的な見解だけど。
要するに,好き嫌いに関係なく,ドラゴンボールはそこまで世間的に大きな影響力を持っていたということが言いたいわけ。そういう背景を踏まえたうえで,ドラゴンボール万能説が私の中ではあるの。
ホラ,大人になると,会話をしないと気まずい局面っていっぱいあるでしょ。そんなとき,役に立つのがドラゴンボール。会話に困ったらドラゴンボールを交えて話をすれば,だいたいその場はどうにかなるのね。
いくつか例を出しましょうか。相手が何を言っているのか分かんないときには「ナメック語かよ!」,誰かがミスしたら「それはクリリンのことかーっ!!!!!」,お金がなかったら「みんな! オラに元気を分けてくれ!」等。これでだいたい通じちゃう。
なぜかと言うと,作品に目を通したことのある人の絶対数が違うから。そう,大体の人が読んできた作品だから,共通の話題になり得るの。お笑いのジャンルというか方法として「あるある」ってあるでしょ。よくあることや体験しがちなこと,みんなが共感できることをなぞると,それだけで面白く感じちゃうっていうアレ。アレが発生しちゃうわけね。
同時に,アニメのセリフや状況をなぞることで「そんなマニアックなこと誰が分かるんだ? でも自分は知ってるけど」的な,ある種の仲間意識的な面白さが生まれることもあるんだけど,ドラゴンボールくらいになると知っている人の数も多いから,必然的に多くの人がその面白さを感じられるという効果もあるわけ。
つまり,みんなが知ってるうえに,元ネタがマンガやアニメという,マニアックとされがちなジャンルであるから,ちょうどいい。非常に共有しやすいコンテンツなわけね,ドラゴンボールって。しかも再放送だけにとどまらず,いつの間にか新しいアニメとして放送されたり,新作映画が上映されたりもするから,今の子供でも知っている。というか,私ぐらいの直撃世代が自分の子供と一緒に楽しむような,そういう次元にまで達したわけね。こんな具合に,ドラゴンボールってまさに万能の話題なのね。
実際のところね,これまでのアクションゲイムになったドラゴンボールも,きちんと面白かったの。キャラクターとか派手な必殺技だとか,そういうのを見事に再現していたわ。そのうえで,アクションゲイムとして,とても面白い。これは間違いない。
でも,ただドラゴンボールが好きっていうだけの人には,ちょっとオススメしにくかったわ。それはドラゴンボールに限った話ではなくなっちゃうんだけど,アクションゲイムって,その人が得意かどうかでどこまで楽しめるかに差が生まれてしまうから。アクションゲイムってそういうもんだろ,と言われたらそれまでなんだけど。
で,今回発売されたドラゴンボール ヒーローズ アルティメットミッション。これは,カードゲイムです。ファミコン時代のドラゴンボールもカードゲイム風RPGだったけど,今回のはそれ以上にカードゲイム。
これはね,ずるいわよ。カードゲイムっていうことは,カードを集める要素があるわけで,そんなもん我々ドラゴンボール世代がワクワクしないわけがない。戦闘システムもそんなに難しいものじゃない。要するにカード収集の楽しみをドラゴンボールという万能なコンテンツでヤっちゃいましょうというゲイムなのよ。ホントずるい。こんなの,ハマるに決まってるじゃない。
何でも,ゲイムとしてはほぼ,アーケードのものと同じらしいのね。そっちはヤったことないから正確に比べることはできないんだけど,それでも私はきっと,アーケード版と3DS版には違いがあると思っているわ。
それは,アーケード版は手元にカードがあるという現実感とリアリティが楽しくて,3DS版は架空の世界でのプレイを重ねてカードを得るというリズムの良さが楽しいっていう違い。野球をヤる楽しさと野球ゲイムをヤる楽しさが違うようにね。
一見このゲイムは,アーケード版をヤってる人向けのタイトルのように感じるけど,実は逆。まだアーケードをプレイしたことない人こそ,この3DS版をプレイしたほうがいいと思うわ。やらしい話,アーケードと違ってゲイムの価格以上の出費はしなくていいわけだしね。内容的にも,ドラゴンボールが好きな人だったら遊んで損はないと思うわ。
意外とって言ったら失礼だけど,意外とオススメ。ドラゴンボールが好きで,なおかつカードゲイムが大の苦手ってわけじゃないなら,オススメ。ここからアーケードに行くもよし,このゲイムを極めるもよし。
亀仙人はドラゴンボールを作った神様に言ったわ。「たった一個のドラゴンボールからすべてが始まり,そして世界を救ったのです」と。これは,まんま私達読者が鳥山 明先生に向けて言えることでもあるわね。
鳥山先生は仕事でこの作品を描いていたのかもしれない。これだけの作品であるがゆえに,描いている過程で,きっとつらいこともあったと思うの。
それでも私達読者はドラゴンボールからたくさんのワクワクを受け取ったし,会話に困ったときに出てくる名言や話題は今でも色あせることがない。
ありがとうドラゴンボール。これからもよろしくドラゴンボール。七つ集めてないけれど,一つ願いをかなえてもらえるならば,こんな私を気持ち悪いと読者に思わせないでください。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「神様と運命革命のパラドクス」
PlayStation Vita:「限界凸騎 モンスターモンピース」
PSP:「グラス ハート プリンセス」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ドラゴンボール ヒーローズ アルティメットミッション」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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- 関連タイトル:
ドラゴンボール ヒーローズ アルティメットミッション
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