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NHN Japan,「LINE GAME」の展開についての発表会を開催。LINEユーザー1万人が最終審査にあたる賞金1000万円のコンテストも発表に
今回発表されたコンテストは,「LINEにあったらいいな! と思うゲーム」をテーマに,iOSまたはAndroidで動作するゲームアプリを,ジャンルはもちろん,個人/法人/チームといった制作体制を問わずに募集するものとなっている。
作品の応募受付期間は,2013年1月21日から3月19日までで,応募されたアプリは同社内部での審査を経て,2013年5月中旬よりLINEユーザー1万人による最終審査を受ける予定。コンテストの大賞受賞者には,賞金1000万円が贈られるのに加え,応募されたゲームアプリがLINE GAME上で配信されるという。受賞作品は,LINEのキャラクターをゲームアプリ内で使用できるほか,マネタイズやLINEとの連携に関するサポートも受けられるのもポイントである。
LINE GAMEで成功するには,ゲームアプリの持つ「内部性」「外部性」に対する認識が不可欠
発表会の冒頭では,同社代表取締役社長の森川 亮氏と,ゲーム本部スマートフォン事業部事業部長の鎌田 誠氏が,2012年におけるLINEの総括と,今後の取り組みについての発表を行った。
NHN Japan代表取締役社長 森川 亮氏 |
NHN Japanゲーム本部スマートフォン事業部事業部長 鎌田 誠氏 |
LINEの会員数は,サービス開始からの18か月で8000万人を突破(内,国内ユーザーは3600万人)。1日に同サービスを利用するDAU(Daily Active Users)比率は65%で,1日に約22億件のコミュニケーションが行われているという。ローソンやすき家など,企業アカウントからも情報発信が行われており,海外では“TVCMでLINEアカウントを紹介する”という例もあるそうだ。
またLINE GAMEでは,ゲームの累計ダウンロード数が3000万,DAUは600万人を超え,例えばパズルゲーム「LINE POP」では,最大同時接続者数が160万人に達したという。
鎌田氏は,LINE GAMEでゲームアプリが成功するには,LINEとの連携,そして「内部性」「外部性」に関する認識が必要であると指摘する。内部性と外部性とは,それぞれ「同じゲームを遊ぶ友達とのやりとり」と,「まだゲームを遊んでいない友達とのやりとり」のことである。
例えば前述のLINE POPでは,ランキングを,友達に限ったり,一週間に一度リセットしたりすることで,内部性に働きかけている。ランキングがリセットされる月曜日には,売上やDAUが伸びるいった現象が見られるという。
そしてゲームアプリでは,友達にゲームを勧める,つまり外部性に働きかけることもユーザー拡大の鍵の一つとなる。同作では,ボタン一つで友達にゲームを勧められるようになっており,しかもお勧めのメッセージは通常のLINEトーク(チャット)のメッセージとして届けられる仕組みとなっている。つまり,メーラーなどほかのツールを使うことなく,あくまでもLINEだけで,友達をゲームに誘ったりできるというわけだ。
鍵となるのは「3つのステップ」。目指すは“コア層orライト層”で切り分けないゲーム体験
鎌田氏は,今後のLINE GAMEの取り組みについて,以下の3つのステップを考えていると語る。
ステップ1:「ゲームを通したコミュニケーション体験」
ステップ2:「ゲーム自体がコミュニケーションの場に」
ステップ3:「より深いゲーム体験 ゲーム世界での生活体験」
上記はいずれも“ユーザー体験”に基づいたものであり,あくまでコア層,ライト層という切り分けではないと鎌田氏は強調する。ユーザーをコア層とライト層に分類,そこに向けたゲームを出していく……というアプローチが一般論として正しいと思われているだけに,これは興味深い考え方だ。
そして,各ステップの目的を達成するためには,それぞれのステップに合致したジャンルのゲームアプリが必要であるというのが鎌田氏の考えである。パズルやシングルゲームでランキングを競い合い,育成ゲームやパーティーゲームにおいてゲーム内でやりとりを体験し,MMORPGやSNSゲームなどでパーティープレイやギルド戦などを楽しむ。
いずれも実際の友達と遊べるという点がLINEならではの価値として,各ステップの目的であるユーザー体験を提供していく,……というのがLINE GAMEの今後の取り組みだ。あくまで実際の友達との体験が重視されている点は,無料通話/メールアプリをコアとするLINE GAMEらしいといえるだろう。
NHN Japanは,これらのステップを実現すべく,さまざまなアイデアを盛り込んだゲームを企画しているという。会場では,「コース上に友達のアイコンが出現,これを取るとゲーム内で良い効果が起こるレースゲーム」「友達が進んだ地点にアイコンが出現するシューティングゲーム」「友達と一緒にメダルを投入していき,大当たりなどを共有できるメダルゲーム」といった構想が明らかにされた。
森川氏は「プラットフォームというものは,ただコンテンツを並べればいいというものではなく,サービスの中で潮流を作っていくことが非常に大事だと考えています。今までは自社の中でこれを行ってきましたが,来年はより多くのパートナー様と共に,価値を高めていきたい」と,コンテストを行うに至った考え方を明かし,発表会を締めくくった。
コア層,ライト層といった分類ではなく“実際の友達と遊ぶこと”が重要であるという考え方は,繋がりという意味での“ソーシャル”要素がますます重要となるであろう今後のゲームを考える上で,非常に興味深いといえるだろう。
急成長中のLINE,そしてLINE GAME。そこでのサービスともなれば,アプリ制作者にとっても大きなチャンスといえる。2013年5月の一般審査にどのような作品が出てくるのか,要注目だ。
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