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[GDC 2015]EXPO会場で見かけたVR系デバイス+αをまとめて紹介
ちなみに,「こちら」の記事ではRazerブースに展示されていたOpen Source Virtual Reality Eco-System(以下,OSVR)関連製品を紹介しているので,合わせて目を通してもらえれば幸いだ。
●iWear 720
画面部は1280×720×2という,一般的なVR対応HMDと比べて解像度が高いのか低いのか判断に困る横長の視界を提供している。視野角は57度と狭めだ。サウンド用に,4cmドライバーを備えたドーム型ヘッドフォンが一体化されており,出力周波数帯は5〜25kHzとなっている。
また2個のノイズキャンセル対応マイク,センサー類として,3軸のジャイロセンサー,加速度センサー,地磁気センサー,入出力としてはminiHDMI入力端子×1,microUSB端子×1,3.5mmステレオヘッドフォンジャックが搭載されている。そのほか,バッテリーを内蔵しており,電源接続がなくても2.5時間の映像利用が可能だ。発売は2015年夏で,価格は499ドルが予定されている。
角度あたりだと「ドット密度が4倍」というのは,そのとおりかもしれないのだが,やはり一般的なVR対応HMDと比べるのは無理がある製品に思われる。一応,OSVR対応のソフトが利用できるとはいうものの,VR対応はオマケ程度に考えておくのがよさそうだ。逆に,VR対応で高解像度なものを求めている人には良い選択肢かもしれない。
会場ではShield Gamepadを接続して,ゲームを大画面で楽しめることがアピールされていた。
「iWear 720」公式サイト
●Omni TRAVR
Virtuixの歩行型VR対応機器「Omni TRAVR」が展示され,その上でガンガン歩いている様が注目を集めていた。Omni TRAVRの最終仕様については,CES 2015の「こちら」の記事に詳しいので参照してほしい。すでに早期割引は終了しており,現在予約すると一式で699ドルとなり,出荷は2015年6月頃の予定だ。
もうじき発売されることもあり,対応ゲームを増やさなければということで開発者にアピールしていた。Omni TRAVR自体は,WindowsからUSBゲームパッドとして認識されるので,そのまま既存のゲームにも対応できなくはないのだが,やはりちゃんと対応したゲームでないと魅力を引き出せないのは言うまでもない。
一応,日本からも購入可能であり,興味をひかれる人も多いことと思うが,設置場所を考えるとなかなか手を出しづらいところだろう。いっそアーケードゲームあたりが対応してくれないものだろうか。
Virtuix公式サイト
●EARTHLIGHT
Unreal Engine用のKinectプラグイン「K4U」のデモとして,Opaque Multimediaから「EARTHLIGHT」がプレイアブル出展されていた。Oculus Rift(DK2)とKinect 2というそれぞれの分野の定番機器を使用し,Unreal Engine 4で作成したVRゲームだ。この組み合わせは,いかにもありそうなのだが,意外とほかに思い浮かばない。
詳しいストーリーなどは分からなかったのだが,地球軌道上の宇宙ステーション(ISS)を修理(?)するVRアドベンチャーゲームになっているようだ。利用環境を選ぶので万人向けとはいかないだろうが,次世代ゲームの一つの形が垣間見られる作品になるかもしれない。
Opaque Multimedia公式サイト
●STEM System
SIXENSEの「STEM System」は,プレイヤーの身体の動きを取得する入力デバイスだ。会場では,そのうちの両手に持つデバイスとOculus Rift(DK2)を使って,スター・ウォーズのライトセーバーを再現するデモが公開されていた。機能的な部分ではだいたいPlayStation Moveと同じようなものだと思えばいいだろう。
STEM Systemには,両手に持つデバイスのほかにも,動き検出のために複数のセンサーを組み合わせることが可能で,足や頭に取り付けて身体全体の動きを検知することもできる。
VR用の入力デバイスにはまだ定番といえるものがないが,この製品は非常に軽快かつ精度も高く反応していたように見える。ただ,両手だけのデバイスで約300ドル,センサー3個を加えたフルセットで580ドルというのは,値段的にはちょっと厳しいかもしれない。
「STEM System」公式サイト
●Neuron
体中に付けるモーションセンサーと,指の動きの検出用にグローブ型センサーを組み合わせたものとなる。「スマホに入ってる位置センサーや動きセンサーってすごく小さいけど,あれを全身につけたらモーションキャプチャできるんじゃね?」的な発想だと思って,ほぼ間違いないだろう。
Kickstarter価格だが,両手+センサー30個で500ドルという安さが話題になっていた。
会場では,手と腕部分だけを使った構成で,Oculus Rift(DK2)と組み合わせて仮想空間内のオブジェクトにアクセスするデモが行われていた。それなりの精度が期待できるようなら,モーションキャプチャの価格破壊が起きるかもしれない。
Perception公式サイト
●Reactive Grip
Tactical Hapticsの「Reactive Grip」は,フォースフィードバック機能の付いたワイヤレスコントローラだ。モーションセンサー内蔵で,手に持って動かすと,その動きをゲームに伝えることができる。スティックやボタントリガーといったものも用意されている。
会場では,これを使った簡単なゲームデモが行われていた。銃のようにトリガーを引いて撃つ,火の玉をつかんで投げつけるといった操作で,迫りくるモンスターを撃退するという内容だ。ちなみに,投げる動作はちょっと難しかった。
最大の特徴は,グリップ部分が広がるようにしてフィードバックがかかる点だ。体感機器でよくある振動型ではなく,グリップ部分が変形して手にアクションを伝えてくる感じだ(振動系は特許をガチガチに押さえられているからだろうか)。
仮想空間のオブジェクトに触りたい,せっかく触れるなら感触のフィードバックが欲しい……と,人間の要求は常に肥大化していくので,VR用入力デバイスでは,フィードバックの有無にも注目しておきたい。
「Reactive Grip」公式サイト
●HapTech
HapTechブースでは,銃型デバイスに取り付けるリコイル再現デバイスとOculus Rift(DK2)を使ったシューティングゲームデモが行われていた。ガンデバイスのトリガーを引くと,突き出た銃身部が「パンパン」という感じで前後に動き,銃撃時の反動が体感できる。
VRの表示部分が急速に進化している現在では,その次に来るであろうフォースフィードバックの研究が重要になってくる。単純な仕組みではあるが,この製品はそれなりに効果を上げるデバイスだといえるだろう。
HapTech公式サイト
●Impression.PI
中国uSensのVR対応HMDフレーム「Impression.PI」が展示されていた。ぶっちゃけ,Gear VRのパクりのような製品で,iPhoneや各種Android端末を取り付けてVR HMDにするためのフレームである。Google Cardboardの豪華版ともいえるが,自ら「Gear VRみたい」と謳っているのだから,その認識で間違いないだろう。
特徴としては,折り畳みできることや,指の動作認識を行うことなどが挙げられている。Gear VRの倍の値段である400ドル程度とされていることから,指認識用のカメラ部を独自で持っているのではないかと思われる。今月中にKickstarterで出資募集を行うとのこと。
uSens公式サイト
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