紹介記事
「黒い砂漠」であなたも作曲家に。作曲と演奏の機能,そして簡単なコツを紹介しよう
“そんなとき”が実際にあるのかは置いておくとして,コンテンツとして作曲や演奏機能があるということで,それらにチャレンジしてみようか,と思った人は少なからずいるだろう。ただ,こうしたクリエイト系コンテンツは,なかなかハードルが高いものだ。少し触れて,なんとなく音を出してみたものの,そこから先に踏み出せないということは多い。また,細かな機能をどう使えばいいか分からず面倒になることもあるだろう。
そこで今回は,まったく作曲やコンピューター音楽の作成を経験したことがない人向けに,簡単な打ち込み例を紹介しつつ,機能と曲について解説しよう。
※作曲や演奏の際は,著作権などが有効な楽曲の取り扱いには注意しよう
https://www.jp.playblackdesert.com/News/Notice/Detail?boardNo=338&countryType=ja-JP
作曲機能はゲーム開始後すぐに触れられる
黒い砂漠の作曲機能は開かれたコンテンツであり,どのキャラクターでもゲーム開始後すぐに始められる。さっそくEscメニューからコミュニティ(F9)→音楽アルバム を開いてみよう。
●作曲画面
作曲画面の基本的な使い方を紹介していこう。作曲機能は「MIDIシーケンサー」のようなピアノロール画面を利用して行う。音楽アルバムから,画面下部の「作曲」ボタンを押すと,「作曲/楽譜」の画面になる。
・音を鳴らすには「ノートを置いて再生する」
画面の左側には楽器が並んでいる。その右には鍵盤があり,さらに右の格子になっているエリアに譜面を入力していく形だ。縦軸は音の高さを示し,横軸は時間の経過を示していて,左から右に時間が流れていく。ピアノが弾ける人ならすぐに要領は分かると思うが,初心者に向けて軽く説明しておくと,鍵盤のCは“ド”といった感じで,CDEFGAB=ドレミファソラシに対応している。これは「音楽の授業で聞いたことがある!」という人も多いだろう。
楽器を選び,好きな高さとタイミングの場所で左クリックして「ノート」と呼ばれるオブジェクトを置くと音を配置できる。ノートを削除するには右クリックだ。ノートを置くと,そのノートの音の高さによって「C5」のように表示される。この場合は,“ド”の5番目の高さと考えればいい。
試しに適当にいくつかノートを置いたら,画面上部中央にある再生ボタンで再生してみよう。
●そのほか細かな機能
この項目は一応の機能説明のために書くが,流し読みで次に進んで問題ない。
画面上部のBPMは楽曲のテンポ(早さ)で,1分間に打つ4分音符の回数だと理解すればいい。要は数字を上げると曲のテンポが早くなるのだ。
拍子は,譜面上の格子の1区切り(1小節)で,4分音符を並べたときに並ぶ音符の数と考えると分かりやすいだろう。ポピュラーな“4分の4拍子”の場合,4分音符が4つ並んだ小節が4つ連なっているというイメージだ。本稿の解説では初期「4/4(4分の4拍子)」のままで進めている。
ノート属性は,ノートを入力する際の,音の長さと音の強さの基準を設定するものだ。左側の「1/4」となっているものは,ノートの長さ(音価)である。「1/4」が4回鳴れば1小節となるので,基準が4分音符であることが分かるだろう。つまり「1/8」なら8分音符を,「1/16」なら16分音符をデフォルトで配置できるわけだ。最高の長さは「1/4」となっているので,全音符や2分音符はどうするの?と思うかもしれないが,ノート設置後にドラッグで任意の長さに伸ばせるようになっている。複雑な楽曲を作る際にはちょくちょく変更を行う部分だが,本稿では基本的に「1/4」のままで進める。
また,右の100は音の強さ(※)を表しており,1〜127の範囲で設定できる。
※「ベロシティ」と呼ばれるもので,鍵盤を叩くときの強さ(もしくは速さ)。鍵盤をやさしく叩けば静かな音が,強く叩けば激しい音が出ると考えると分かりやすいのではないだろうか(数値が大きいほど強く叩く音になる。設定にはないが0が無音だ)。
画面右上には,入力のための「編集モード」と,ノートをまとめて選択して削除したり移動するための「選択モード」の切り替えボタンがある。
作曲開始!
●フルートのメロディを入力する前置きが長くなったが,ここからは実際に童謡「きらきら星」や「ABCの歌」などで用いられる,フランス民謡のメロディを4小節で作ってみようと思う。
作曲画面でフルートを選んで,1小節目(左端)から順番に,鍵盤の位置を確認しながら以下と同じノートをクリックで入力してみよう。先述したように,間違えたら右クリックで消すことができる。
|C5, | C5, | G5, | G5 | | | A5, | A5, | G5 | | |
|ド, | ド, | ソ, | ソ | | | ラ, | ラ, | ソ | | |
できたら画面上の再生ボタンを押すと,最初から再生される。再生される様子を見ると,縦軸が音の高さで横軸が時間だという仕組みがよく分かるだろう。
さて,続けていこう。3小節目のラインから以下のノートを入力する。
|F5, | F5, | E5, | E5 | | | D5, | D5, | C5 | | |
|ファ, | ファ, | ミ, | ミ | | | レ, | レ, | ド | | |
誌面の都合もあってちょっと短いが,これで最小単位のメロディはできあがった。画面下部で曲のタイトルを適当につけて保存をしておこう。
●ピアノの伴奏をつける
次は伴奏である。伴奏では複数の音を重ねてコード(和音)を鳴らしてみよう。ピアノやギターなどで聞く言葉だが,コードについて詳しく書くと複雑すぎて混乱しかねない。なので今回は,本当に最低限の情報に留めて,C,F,Gという3つのコードをメロディに組み合わせることにする。これらのコードは,下記の3つの音で成り立っている。
・C C3/E3/G3 (ド/ミ/ソ)
・F F3/A3/C4 (ファ/ラ/ド)
・G G2/B2/D3 (ソ/シ/レ)
この3つのコードをメロディと組み合わせていこう。ピアノを選び,また左端から入力していく。上記のとおり,3つの和音を一緒に設置する。CならC3/E3/G3を縦に同時に設置しよう。
一気に音楽っぽくなったのではないだろうか。Fが鳴ったときに雰囲気の変化が感じられるだろう。続けて,3小節目から残り半分も入力してみよう。
最後のGからCに移るときに,落ち着いて終わった感じがするだろう。これがコード進行の効果である。
●ギターのアルペジオをつける
ギターでサブの伴奏も作ってみよう。和音を重ねるのではなく,1音ずつ連続して鳴らしていく「アルペジオ」という奏法を使ってみる。これも左端から順に入力していくが,今回は少し細かい入力をしてみたい。
画面右上の「ノート属性」を「1/8」に変えよう。基準が8分音符の長さに代わり,画面の入力の網目も倍の細かさになったことが分かるだろう。ギターを選んで,左端から次のように入力しよう。
入力量が2倍になったのでちょっと大変かもしれないが,これでさらに音が複雑になったと思う。3小節目からの残り半分も入力してみよう。
●楽器の音量バランスを変えてみよう
さて,現時点では,全部の楽器が初期の音量で鳴っているだけだ。音の大きさは,左の「使用中の楽器」の項目のボリュームスライダーを調整して整えられる。
フルートはメロディなので目立つようにして,ギターとピアノはそれより少し小さくするなど,好みのバランスにしてみよう。ギターとピアノはどちらも伴奏的なものなので,片方ずつ音量をゼロにして聴き比べてみても面白いだろう。
●挑戦!オリジナルのメロディをつける
最後に,メロディを担当しているフルートの音量をゼロにして,代わりにリコーダーなどでオリジナルのメロディを載せてみよう。難しく感じるかもしれないが,音楽に詳しくない方も,ぜひ挑戦してみてほしい。以下の3つを参考にするとうまくいくはずだ。
1.「#(シャープ)」がついていない音を使うこと
2.その瞬間に鳴っている和音(コード)の音をメインに使うこと
3.ノートの長さや始まりの位置を変えて,リズムに変化をつけること
「なるほど,分からん」という部分があると思うので,1つずつ解説していこう。
まず1の「#がついていない音を使うこと」は,もっとも重要だ。今回の曲データでは,音楽用語でいうと「Cメジャー・スケール(※)」というルールで曲を作っている。基本的に使える音は,#がついていない白鍵盤だけというものだ。
使える音:C/D/E/F/G/A/B
使わない音:C#/D#/F#/G#/A#
※この「Cメジャー・スケール」というルールは,中世ヨーロッパの教会旋法として古くからあるもの。試しに#がついた音を一緒に鳴らしてみると,調和しない感じがするだろう。「#なしの白い鍵盤だけを使う」というルールは初心者にとって分かりやすく,楽興が破綻しにくいので,本稿の作例にも採用した。
2の「その瞬間に鳴っている和音(コード)の音をメインに使うこと」を守ると,和音がクリーンに聞こえる。CからBまで使える音が7種類あると言っても,実はコードに対して使いやすい音は決まっている。先ほど入力した曲の最初を見ると,メロディの“CCGGAAG(ドドソソララソ)”に対応したコードは,“CCGG(ドドソソ)”の部分でCのコード,“AA(ララ)”の部分でFのコードになっていることが分かるだろう。
では,C/E/G以外の音はCのコードが鳴っている間に使えないのか?というと,そんなことはない。ただ「長く鳴らしていると違和感,緊張感が出ることがある」という感じだ。その違和感・緊張感をうまく使うとオシャレな響きになったりするが,初心者はとりあえず補足的に使ってみるところから始めよう。
例えば,コード構成音以外は以下のように1/8くらいの音で階段状に置いたりすると,良いアクセントになる。
このようにして,伴奏(コード進行)が同じでも,まったく違う曲になるのが音楽の面白いところだ。よくある「あの曲とこの曲が似てる」「一緒に歌える」という現象は,伴奏のコード進行が同じだから起きる事象である。
駆け足気味だったが,基本作曲講座はここまで。
作曲画面の音や試聴の音はほかのプレイヤーには聞こえないので,どんどん試してみよう。譜面ができたら画面下部から名前を付けて保存するのをお忘れなく。
演奏は「シャイ」が担当
作曲したデータは「シャイ」というクラスで演奏可能だ。シャイを作成し,Lv56まで育てて「才能開花」の依頼を進め,「ソル」という装備を装着することで演奏可能になる。
シャイはこんな感じのとても可愛らしいキャラクターだ。これにはおじさんも思わずにっこり?? pic.twitter.com/Kub7in4dVy
— おっさんゲーマー? (@ossangamernet) June 8, 2019
また,別のキャラクターを使っているときも,家門内のシャイを呼び出して演奏してもらう「楽団」機能もある。その点で筆者は,シャイを自分自身の投影(アバター)……というより,マスコット的なキャラクターとして捉えている。その捉え方はともかく,演奏のためにシャイを作成しておくというのはアリだろう。
・シャイが使える楽器の種類
作曲画面では,どの楽器も自由に選べたが,演奏の際にはシャイがその楽器を使えるようにする必要がある。シャイが使える楽器は,大きく分けて「初心者用楽器」と「フローケストラ楽器」がある。
初心者用楽器はシャイが作曲序盤から使える以下の楽器群で,最初はフルートしか持っていない。
・フルート(初期から利用可能)
・ギター
・リコーダー
・ハンドドラム
・シンバル
・ハープ
・ピアノ
・バイオリン
上位楽器となる「フローケストラ楽器」は2021年秋に実装されたばかりだ。これらはシャイ専用の依頼(クエスト)を通じて,自分で製作できる。エフェクターを使ってリバーブ(残響効果)などをかけたり,ピチカートやトリルなどの特殊な演奏法を使用したりすることも可能で,初心者用楽器よりリッチな音が楽しめる。
フローケストラ楽器には以下の7種類がある。とくにリズム隊としてのドラムセットは欲しい人が多いだろう。
・アコースティックギター
・フルート
・ドラムセット
・ハープ
・ピアノ
・バイオリン
・タンドラム
なお,どの楽器もアイテムとしてバッグ内に獲得したあと,右クリックで「使用」すると演奏で利用可能になる。バッグ内からアイテム自体は消滅するし,所持楽器一覧が出るわけではないので,どの楽器を所持しているかはちょっと分かりづらい。所持している楽器の確認方法としては,全部の楽器パートを1音ずつ鳴らす曲を作っておき,演奏画面で楽器が選べるかで確認する方法がある。
・他の人に聞かせたり,一緒に演奏するには?
楽器を購入して使用し,ソルを装備したシャイを用意したら,演奏アクションを行うことで周囲に演奏できる。
音楽アルバムから演奏したい曲の「演奏」ボタンを選ぶと「楽団」の画面になり,ここで担当したい楽器や,独奏(1人で演奏),合奏(パーティで演奏)を選べる。家門にソルを装備したシャイがいれば,シャイ以外のキャラクターでもシャイを呼び出して演奏可能だ。その場合は,「演奏するシャイを選択」から家門所属のシャイを選ぼう。
合奏はシャイでプレイ時のみ可能となっていて,パーティメンバーそれぞれが担当したい楽譜とパートを選べる。パーティメンバーがそれぞれ楽譜を所有している必要があるので,同じ曲を演奏するときは誰かが作曲して,楽譜をシェアしたものを演奏するのが一般的だろう。
一般公開せずに特定の相手にだけ渡したい場合は,作成したデータをファイルでそのまま渡すことが可能だ。楽曲データは,“ドキュメント¥Black Desert¥Musicフォルダ”に楽曲名で保存されるので,ファイル共有サービスなどを使って該当の曲のファイルを相手に送ってあげよう。同じフォルダに入れて音楽アルバムを開けば,すぐに楽曲データを読み取ることができる。
パーティリーダーは,全員が準備完了になったら,「演奏開始」を押せば,合奏が始まるという流れだ。
長く,複雑な曲を演奏するには,シャイで「演奏等級」を上げる
作曲コンテンツに慣れてくると,より複雑で長い曲を作りたいと思ったり,ほかのプレイヤーから複雑な曲を受け取って合奏をする場合もあるだろう。その時に注意が必要なのが「演奏等級」である。
演奏等級とは,「音楽用のレベル」のようなものだ。シャイが演奏できるノートの数や,小節の長さの上限を決めるものとなっている。
・F:30小節,500ノートまで
・D-:34小節,555ノートまで
・D:42小節,665ノートまで
・D+:54小節,830ノートまで
・C-:70小節,1050ノートまで
・C:100小節,1200ノートまで
例えば,501個のノートを配置した楽曲は「D-」の演奏等級となるが,シャイの演奏等級はゲーム開始時は「F」なので,そのままでは演奏できない。その場合は,闇の精霊の「ガイド」の演奏等級関連依頼や,繰り返し依頼「[演奏熟練]流浪の音楽家のために」などで,シャイの演奏等級の経験値を稼ごう。
今回のデモも含め,16小節程度の小曲の作成は,F等級で足りることが多いだろう。
音楽経験者向けの楽しみ方もある
今回は作曲・演奏機能の基本を紹介しつつ,なるべく音楽初心者も真似できるように,という形で内容を構成した。とはいえ,聞き慣れない言葉も多いと思うので,分かったような,分からないような……という人もいるだろう。せっかく手元に作曲できる環境があるのだし,実際に紹介した譜面を入力して,どう聞こえるのかを体験してみると理解しやすいはずだ。さらに,「ここをこう変えたら,どう聞こえるのだろう?」と聞き比べてみると,新しい発見があるかもしれない。
一方,作曲ができる人にとっては物足りなかったかもしれないが,もう少し違った楽しみ方も提案できる。合奏は「各々が自分の持っている楽譜で演奏ができる」という点がポイントだ。つまり,パーティリーダーの楽譜をみんなが読み込んで演奏するのではなく,「各々が持っているデータを鳴らす」ことができる。
なので,例えば誰かがざっくりコードとメロディを作って,各パートの担当者がアレンジを加えて合奏,といったことが実現可能なのだ。アップロード時に作曲データ修正の可否を設定できるのも,その関係だろう。また,データを渡し合うことでリミックスを楽しんだりすることもできるだろう。
黒い砂漠において作曲・演奏機能はアーティスティックな要素であり,ゲーム的なメリットが大きくあるわけではないが,音楽初心者から作曲のベテランまで,音楽好き同士が集まるといろいろな楽しみ方ができるコミュニティコンテンツだと言える。
料理や釣りなど,放置系生活コンテンツの合間にも楽曲は編集できるので,気分転換に遊んでみてほしい。
「黒い砂漠」公式サイト
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