インタビュー
往年の2D RPGに浸った人に贈る新時代のRPG。PS Vitaの基本無料オンラインRPG「ガーディアンハーツオンライン」先行プレイ&インタビューを掲載
基本プレイ無料(アイテム課金制)という,家庭用ゲーム機のソフトとしては珍しいサービス形式に加え,MORPGという,こちらも家庭用ゲーム機としてはまだ珍しいジャンルの組み合わせだ。
珍しい尽くしのガーディアンハーツオンラインとは,いったいどんなゲームなのか? 先行プレイレポートとキューエンタテインメントのスタッフへのインタビューを交えて紹介していこう。
PS Vitaに正統派のファンタジーオンラインRPG登場
魔神の力を利用しようとする魔法帝国「ラデューゼスタ」。未知の魔神に干渉するのを避ける連環要塞国家「ファルバイド・セブン」。そして最強騎士団の力で魔神の完全消滅を目指す「ヴェル・ジ・バーナ」。プレイヤーはいずれかの国に所属する「ガーディアン」となり,あるときは一人で,またあるときは,ほかのガーディアン達と協力して凶悪なモンスターを討伐していく。
携帯電話版とPS Vita版は,ゲームのストーリーや基本システムはほぼ同一であるものの,それぞれ独立したサーバーで運用され,キャラクターデータの共有や相互に乗り入れての協力プレイなどは残念ながら不可能となっている。しかし,PS Vita版はグラフィックスがPS Vitaの解像度に合わせて全面的に修正されているのに加え,パッド操作,バランスの再調整により,とくに序盤が遊びやすくなっているなど,携帯電話版で遊んでいた人にとっても新鮮な気持ちで取り組める仕上がりになっていると言っていいだろう。
元々が携帯電話版なので,PS Vitaのほかのタイトルと見比べると画面的にさびしいと感じる人はいるかもしれない。ただ,このゲームは,スーパーファミコンなどの2D RPG全盛期のゲームを強く意識して制作されており,むしろこういった2Dのドット絵表現にこだわっている節がある。往年のJRPG黄金期の雰囲気を受け継いだゲームを,どこにでも持ち歩き,しかも終わりのないオンラインゲームとして楽しめるというあたりが本作最大の魅力となっている。
また,オンラインゲームを遊ぶうえで気になるのはアップデートの追加頻度だが,本作はすでに携帯電話版として3年サービスが継続されており,この点については心配する必要はなさそうだ。
王道的2D RPGで遊びやすいシステム
本作のティザーサイトには「RPGが楽しかった頃のあなたに捧ぐRPG」というキャッチコピーが掲げられている。本作のシステムは,2Dのマップを歩いているとモンスターとのエンカウント(遭遇)が発生し,リアルタイム要素を含んだコマンド入力式の戦闘が繰り広げられるという,往年の国産2D RPGに親しんでいた人には非常に分かりやすいものとなっている。
PS Vita版の動作は実に軽快。マップを移動するにしても,モンスターとの戦闘モードに移行するにしても,待ち時間というものがほとんど存在しない。町の中では「町内テレポート」というメニュー一つで重要施設に移動できるシステムが使用できるし,戦闘モードには自動で攻撃を繰り返す「オートバトル」が用意されている。元々の処理自体が快適なのに加え,こうした配慮がされているため,慣れない人でも操作にイラつくことなくゲームの世界に入れそうだ。
先行テストプレイは,キューエンタテインメントのテストサーバーにポケットWi-Fiで接続するという実際のプレイに近い環境で行われたが,データセーブなどの際の通信で少し待たされることはあったものの,プレイは総じて快適なものだった。Wi-Fiでのプレイが推奨されているものの,3G回線でも十分ゲームを楽しめるとのことで,さまざまな場所からガーディアンハーツオンラインの世界にアクセスすることができそうだ。
本作には「スタンドアロン」と「ワールドライド」の二つのモードが存在する。
スタンドアロンはいわゆる一人用モード。かつて魔神と人間が戦った「魔神聖戦」の真相や,そこで活躍した八英雄の運命など壮大な物語が展開する。
ゲームを始めたばかりでまだ仲間がいなくても大丈夫。スタンドアロンモードで使える「傭兵システム」は,ガーディアン同士を仲立ちしてくれる仕組みだ。傭兵として登録されたプレイヤーをシルバー(ゲーム内マネー)で雇えば,心強い仲間として共に冒険できる。もちろん,自分自身も傭兵として登録が可能。ゲームに接続していない間にほかのプレイヤーから雇ってもらえば,報酬の85%が自分の懐に入ってくるのだ。
普段のプレイを日記にし,気になる仲間がいれば伝言板でコンタクトし,国やギルドごとの雑談を掲示板で楽しむ。目的に合わせたコミュニケーション手段が用意されているというわけだ。
PS Vita版はソフトウェアキーボードが使えるため,携帯電話版より素早く書き込みできるだろう。ガーディアンハーツオンラインの運営ディレクターである諸星富展氏によれば,伝言板や掲示板と傭兵システムを組み合わせれば,よりゲームを深く楽しめるとのこと。傭兵はログアウト時に装備していた武器やスキルを使うことができるのだが,携帯電話版では,「どんな武器やスキルをセッティングしてほしいか」を伝言板で伝えるなどして活用されていたそうだ。
四つの「信仰」と8種の武器を組み合わせて戦え
ガーディアンハーツオンラインの戦闘システムは,リアルタイム性のあるコマンド入力方式となっている。攻撃や防御,スキルといったコマンドを入力すると「クールタイム」ないし「ウェイト」と呼ばれる準備時間が発生する。これがゼロになるとコマンドの効果が発動する「アクティブリンケージバトル」となっている。ウェイトの長短はスキルによって異なり,強力なものほど発動までに長い時間がかかるのだが,この攻防を奥深くするのが「キャストブレイク」と「チェインシステム」だ。
キャストブレイクとは,平たく言えば,大ダメージを与えることで相手のスキルを中断させるというシステムで,スキルの中にはキャストブレイクに適したものも存在するため,相手の状況を見てのコマンド入力が重要となってくる。
チェインシステムとは,いわゆるコンボシステム。攻撃を連続して当てれば大ダメージを与えることができる。ワールドライドでは,仲間の攻撃とうまくタイミングを合わせることでより効果が高くなる。
ガーディアン達には,いわゆる「職業」というものが存在しない。代わりに,四柱の神の「信仰」と武器固有のスキルを組み合わせることで,さまざまな能力を発揮できるようになっている。
信仰はガーディアンの特性を決定するきわめて重要な要素だ。グランガイアの自然を司る四柱の神,そのいずれかを信仰することにより,さまざまな魔法スキルを使えるようになる。焔武神「アグニス」は攻撃スキルに優れ,海神「リリー」は仲間を回復させるスキルが多く,天空神「カルティア」は敵の弱体化を得意とし,地母神「テイル」は防御系のスキルが強力だ。
焔武神アグニス |
海神リリー |
天空神カルティア |
地母神テイル |
信仰は一度決めると変更できないが,諸星氏によれば,どの信仰を選んでも途中で詰まってしまうようなことはないそうだ。携帯電話版ではアグニス信仰が多く,リリー信仰は人口が少ないもののワールドライドの仲間や傭兵として大きな人気を誇っていたとのこと。主なスキルリストを掲載しておくので,今からどの信仰を選ぶか考えておくのも面白いだろう。
一方,武器はマイホームで変更が可能だ。「大剣」「槍」「斧」「双剣」「杖」「拳」「弓」「銃」という8種の武器はそれぞれ固有のスキルを持っている。クエストの内容や仲間の装備に合わせて変更していくといいだろう。
スキルの中には入手方法が特殊なものもある。具体的な条件に関してはあえて掲載しないが,すべて合わせると総数は1000以上になるとのことで,スキルを極めるための旅も楽しいものとなりそうだ。
「長く遊べる定番を,無料で」を目指す携帯型RPGの方向性とは
ガーディアンハーツオンラインの見どころについて,キューエンタテインメント クロスメディアサービス!事業部所属のガーディアンハーツオンラインチーフプロデューサー 清水信彦氏と,同作運営ディレクターである諸星富展氏に話を聞いてみたので紹介しておこう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。ガーディアンハーツオンラインのPS Vita版ですが,セールスポイントはどういったものでしょうか?
2Dの王道RPGを楽しんでいただきつつ,オンラインでの協力プレイができることですね。王道というのは,往年のJRPG独特のストーリー展開の他、オーソドックスなインタフェースで,どなたでも触ってすぐに遊んでいただけるということです。スタンドアロンモードでは物語を,ワールドライドでは協力プレイをそれぞれ楽しむことができます。
チーフプロデューサー 清水信彦氏(以下,清水氏):
通常のオンラインゲームでは,ほかのプレイヤーさんがいないと成り立たないことが多いのですが,ガーディアンハーツオンラインは一人でもしっかり遊べます。もちろん協力して遊ぶこともできます。例えば,4人でクエストに行けるワールドライドでは,フィールド上で仲間が戦闘しているところに突入していくことで,一緒に戦うことができるんです。携帯電話版では,パーティのみんなで分散してマップを探索しつつ,ボスを見つけたらチャットで声をかけ,タイミングを合わせて戦闘に突入するようなチームプレイが見られました。戦闘モードは,分かりやすいコマンド入力でありつつ,リアルタイム性があるものなんですが,仲間とうまくタイミングを合わせれば威力の高い連続攻撃が可能です。
4Gamer:
信仰が四つ,国が三つありますが,選択によってゲームの難度が変化したりするのですか?
諸星氏:
国の選択は難度に関係ないですね。国が変わるとストーリークエストにおける,物語の見え方が変わってきます。三つの国は魔神に対するスタンスが異なっているので,一つの物語を三つの側面から見る形となります。一方,信仰はプレイに直接関係してきます。それぞれに使えるスキルが異なるのですが,いずれも協力プレイ時の役割がありますので,プレイスタイルに沿って選んでいただきたいですね。
4Gamer:
初心者向けの信仰はどれなんでしょう?
諸星氏:
マイペースに進めるのであれば自己回復できてバランスの良い土のテイル,ガンガン攻めたいのであれば火のアグニスですね。
信仰によって有利不利というのはとくにありません。傭兵システムを使えば,ほかの信仰を持ったプレイヤーさんのキャラクターと一緒に冒険ができますので。必要であれば,自分の信仰では補えないスキルを持った傭兵を雇えばいいんです。
4Gamer:
傭兵を使うことで,直接コミュニケーションを取らなくても交流ができるというのは面白いですね。
諸星氏:
傭兵システムがあることで,このゲームは,常に同じ時間にログインしていなくても間接的に一緒に遊べるものになっています。そのあたりは自由度がありますね。スキルも自由に組み替えられますので,伝言板などで「こんなスキルセットの傭兵を募集中です」とコミュニケーションを取るのも楽しいです。
4Gamer:
では,最後に4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
清水氏:
定番のRPGを無料で,かつ長い時間遊んでいただけるようなものとなっていますので,ガーディアンハーツオンラインをよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
PCでは当たり前の基本プレイ無料だが,家庭用ゲーム機ではまだまだ珍しいビジネスモデル。本作は,家庭用ゲーム機での基本プレイ無料の今後を占う意味でも興味深いタイトルといえるだろう。
最新のゲーム機とオンラインのシステム上で構築された,懐かしい雰囲気を持つゲーム。本作では,異色の取り合わせがうまくまとめられている。ファミコンなどで往年の2D RPGの世界にどっぷり浸った過去を持つ人なら試してみて損はないだろう。
「ガーディアンハーツオンライン」公式サイト
- 関連タイトル:
ガーディアンハーツオンライン
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