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「第4回 eスポーツ JAPAN CUP」が開催。「FIFA 13」「StarCraft II」「鉄拳タッグトーナメント2」にて繰り広げられた決勝をレポート
この大会は,日本におけるeスポーツ(Electronic Sports)プロリーグの発足を見据え継続的に開催されている。4回目の開催となる今回は,下記の大会概要のもと,全国から集まった5チームの代表選手が複数のゲームタイトルで競い合った。本稿では,2013年1月20日に行われた決勝戦の模様をお伝えしよう。
●競技開催種目(ゲームタイトル)
「FIFA 13 ワールドクラス サッカー」
「StarCraft II: Wings of Liberty」
「鉄拳タッグトーナメント2」※男性部門と女性部門で開催
●参加チーム
Naturals HOKKAIDO(北海道)
東京ストロベリーフィールズ((東京)
e-DOGS Chiba(千葉)
GAMES okinawa(沖縄)
TODA CYCOLOTIX(埼玉)
●種目別の順位決定ルール
各種目ごとに総当たり戦。勝利数の多い上位2名が決勝戦に進出し,勝利したものを優勝とする。
【勝利数が同じであった場合】
「STAR CRAFT II」
セット率(セット率=総得点セット/総喪失セット)
当該選手同士の試合結果
抽選
以上の順で比較し,順位を決定する。
「FIFA13」
得失点差
総得点
当該選手同士の試合結果
抽選
以上の順で比較し,順位を決定する。
「鉄拳タッグトーナメント2」
セット率(セット率=総得セット/総失セット)
ラウンド率(ラウンド率=総得ラウンド/総失ラウンド)
当該選手同士の試合結果
抽選
以上の順番で比較し,順位を決定する。
●チーム優勝決定ルール
各種目の結果により与えられるポイントの合計を換算し,チーム順位を決定する。
試合の模様をお伝えする前に,本大会中に登場したゲストなどを紹介しておこう。
インターバル中に披露されたのは,本大会のアドバイザーを務めるcomcept CEO/コンセプターの稲船敬二氏から寄せられたビデオメッセージだ。稲船氏は,出場選手達のがんばりが氏自身に熱気をもたらすと同時に,日本のゲーマーを元気にするだろうとコメント。ひいては日本のゲーム業界全体が盛り上がるのではないかと展望を述べ,「ぜひ世界大会で優勝できるよう腕を磨いてほしい。まずはこの大会で優勝を目指し,切磋琢磨してほしい」と,選手達を鼓舞していた。
また優勝チームのメンバーには,現在,稲船氏が開発を手がけているPlayStation VITA用ソフト「SOUL SACRIFICE」がプレゼントされることもこのビデオメッセージにて明かされた。
「鉄拳タッグトーナメント2」の決勝戦が行われる直前には,本大会の格闘ゲーム部門にて総合プロデューサーを務めるプロレスラーの蝶野正洋選手が登場。第1回大会では,eスポーツと言われてもピンと来ていなかったという蝶野選手だが,こうして回を重ねるごとに,ゲーム上の対戦にもスポーツマンシップが存在することを理解したと語る。また決勝戦前の選手控え室の様子を,「まさにリアル格闘技の試合前と同じく,ピリピリとした緊張感に包まれている」と表現した。
いずれ劣らぬ実力の持ち主が個人とチームの優勝を懸けて対戦
それでは,お待ちかねの決勝戦の様子を見ていこう。
初めに行われたのは競技は「FIFA 13」。JAPAN CUPはこの第4回大会から同タイトルのパブリッシャであるエレクトロニック・アーツの公認大会となった。
決勝に進出したのは,e-DOGS Chibaの嵯峨野 昴選手と,Naturals HOKKAIDOの羽染貴芳選手で,両選手ともレアル・マドリードを使用した。さまざまな大会を通じて親交が深いという両選手の実力はどうやら拮抗しているようだ。本大会において勢いを味方につけていた嵯峨野選手だったが,羽染選手は逆境に強いプレイヤーとのことで,どちらが勝つか本当に分からない状況となった。
Naturals HOKKAIDO 羽染貴芳選手 |
e-DOGS Chiba 嵯峨野 昴選手 |
前半戦は,両者譲らぬテクニカルな攻防が続き,0-0のまま終了。続く後半戦,59分43秒で羽染選手が,嵯峨野選手の一瞬の隙を突いて,ついに1点を先取した。以降,羽染選手は戦術を切り替え,無理に攻めることなく,確実に嵯峨野選手の攻撃を封じていく。結局,試合終了まで嵯峨野選手がチャンスをものにできないまま時間が経過し,羽染選手が優勝を決めた。
決勝後のインタビューにて羽染選手は,JAPAN CUPでは前々回3位,前回2位だったので,今回は優勝を目指したと話す。また戦術に関しては,「FIFA 13」がシリーズの中でも比較的得点しやすい仕様となっていることを逆手に取り,相手の攻撃を封じ込めることを意識したという。
「StarCraft II」の決勝では,GAMES okinawaの西村直紘選手と,e-DOGS Chibaの小池 光選手が3試合の2本先取で戦った。基本的には両選手とも内政を伸ばして戦力を向上させ,相手の情報を探りながら攻めるチャンスをうかがうというRTSの定石を踏まえつつ,巧みにゲームを進めていく。
e-DOGS Chiba 小池 光選手 |
GAMES okinawa 西村直紘選手 |
第1試合を制したのは西村選手。フェイクを織り交ぜて時間を稼ぎ,戦力を蓄えたことが勝利の鍵となった。第2試合以降は小池選手の動きがかなり慎重なものになって西村選手の怒涛の攻めを一瞬の判断で対処することにつながる局面も見られたのだが,最終的に2-1で西村選手が優勝となった。
西村選手は,今後の自身の進退を考えるにあたり,本大会で自身の実力がどのくらいなのか見極めたかったとコメント。このJAPAN CUPでの優勝をきっかけに,2013年は大きく躍進したいと展望を述べた。
「鉄拳タッグトーナメント2」の決勝は,従来の女性部門/男性部門に加え,特定のチームに所属していない一般選手が腕を競う新設の「eスポーツ JAPAN OPEN」が行われた。ルールは,いずれも1試合3ラウンドの2試合先取制だ。
JAPAN OPENの決勝では,影丸選手とAO選手が対戦。実のところ,両選手はさまざまな格闘ゲーム大会で好成績を収めており,この一戦では影丸選手がブルース&ジャック-6,AO選手がアリサ&ミゲルを使用した。
試合は,両選手ともにキャラを細かく切り替え,ダメージが大きく蓄積される前に回復を図る戦術を多用したため,かなり目まぐるしい展開に。接近戦で攻めて行く影丸選手の隙を,ディフェンス重視のAO選手が的確に突いていく局面などが見受けられ,2試合ともAO選手が3-1で影丸選手を降して優勝を決めた。
AO選手 |
影丸選手 |
女性部門は,GAMES okinawaの加藤ほずみ選手と,e-DOGS Chibaの高田美樹選手が優勝を争った。加藤選手の使用キャラはシャオユウ&ザフィーナ,高田選手は飛鳥&準である。スピーディな展開となったこの一戦は両者譲らぬシーソーゲームとなり,第1試合を高田選手が3-2で制した。続く第2試合は,2ラウンド目に加藤選手が被ダメージゼロのパーフェクトを叩き出すなど要所で大きな見せ場を作ったが,それを一歩上回った高田選手が3-2で試合を決め,前回大会に続く二連覇を飾った。
e-DOGS Chiba 高田美樹選手 |
GAMES okinawa 加藤ほずみ選手 |
男性部門は,Naturals HOKKAIDOの中山大地選手と,TODA CYCOLOTIXの加藤祐二選手が戦った。前回大会の決勝と同カードの一戦だが,チーム優勝を目指す中山選手はやや緊張した面持ちだった。一方の加藤選手は,前回大会などの経緯を踏まえて自身の勝率を3%と極めて控えめにコメント。使用キャラは,中山選手がラース&ドラグノフ,加藤選手がフェン&レオである。
TODA CYCOLOTIX 加藤祐二選手 |
Naturals HOKKAIDO 中山大地選手 |
第1試合は,細かなチャンスを狙っていく中山選手に対して,要所でコンボを決めるなど勢いを見せた加藤選手が3-1で獲得。逆に第2試合では,中山選手が3-1で獲得したが,加藤選手の勢いを完全に断つことはできなかった。
第3試合は,勢いに乗る加藤選手が2ラウンドを先取したものの,続く2ラウンドを中山選手が丁寧にチャンスを拾って連続獲得し,まだ勝敗は読めないという状況に。興奮と緊張が入り混じる最終ラウンドは,ピンチを見事に切り返す中山選手を,勢いで一歩上回った加藤選手が獲得。加藤選手が前回大会の雪辱を晴らし,優勝を決めた。
試合後のインタビューでは,男性部門で優勝した加藤選手が,実力では負けていたが,格闘ゲーム経験の差で中山選手に勝てたのではないかと,自身を分析。次回大会でも優勝を目指したいと展望を語った。
女性部門で優勝した高田選手は,対戦相手の加藤ほずみ選手を「女性で一番強いプレイヤー」と表現し,「(彼女に)勝てたのでうれしい」と二連覇した喜びをあらわしていた。
さて,すべての決勝を終え,チーム戦の結果は下記のとおりとなった。なお,Naturals HOKKAIDOの優勝は,「鉄拳タッグトーナメント2」男性部門決勝の前の累計ポイントですでに決まっていたとのことで,中山選手の勝敗に関わらず優勝だったという。すなわちNaturals HOKKAIDOがポイント計算を誤っていたということのようで,あるいは中山選手が必要以上に緊張することもなかったのかもしれない。
1位 Naturals HOKKAIDO(北海道)
2位 e-DOGS Chiba(千葉)
3位 GAMES okinawa(沖縄)
4位 TODA CYCOLOTIX(埼玉)
5位 東京ストロベリーフィールズ(東京)
閉会式ではeスポーツ JAPAN CUP 大会委員長を務める筧 誠一郎氏が,出場選手達の成長と熱闘を絶賛。本大会に賛同した関係各社とゲスト,会場スタッフに感謝の意を示すとともに,次回の大会開催に期待してほしいと述べ,大会を締めくくった。
「eスポーツ JAPAN CUP」公式サイト
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- ライター:大陸新秩序
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