イベント
[TGS 2012]会場で見つけた原田Pに突撃インタビュー。「鉄拳タッグトーナメント2 Wii U EDITION」についてアレコレ聞いてみた
実際に遊んでみたインプレッションについては,先の記事中で一とおり触れているのだが,色々と気になる点があるなあ……と思っていたところ,会場にてファンからのサインに応じる鉄拳シリーズプロデューサー,原田勝弘氏を発見! 突撃インタビュー行った。
というわけで,本稿では主に「鉄拳タッグトーナメント2 Wii U EDITION」の話題を中心に,原田氏から聞いた内容についてお届けしていく。
出展バージョンを遊んだだけでは分からなかった,Wii U版のキモになる機能や,キノコバトル実装の由縁など,面白いトピックも満載なので,Wii U版に期待している人はもちろん,ハードコアな鉄拳erの方も要チェックだ。
■関連記事:
「鉄拳タッグトーナメント2 Wii U Edition」公式サイト
Wii U版「鉄拳タッグトーナメント2」のコンセプト
4Gamer:
突然のお願いにも関わらず,取材に応じていただきありがとうございます。Wii U版,バンダイナムコゲームスブースにて早速プレイさせていただきましたが,グラフィックスなどは,ほかのプラットフォーム版と比べても,引けを取らないと感じました。実際のところ,どうなんでしょうか。
原田勝弘氏(以下,原田氏):
うん。ぱっと見ていただいたとおりで,良い意味で変わりないですよ。Wii U GamePadの画面で遊んでも,ちゃんと秒間60フレームで動いてますし。
4Gamer:
鉄拳が30フレームになってたら,誰でも気付きますよね(笑)。遅延の話だと,Wii U GamePadのタッチスクリーン側の表示でも,遅延がほとんど感じられないですね。ちょっとびっくりしました。
※ Wii U GamePadを2台接続した場合,フレームレートが半分になるとの情報が,任天堂の公式Twitterで発表されている。
原田氏:
そう! あれ,ないんですよ。すごいよね。
4Gamer:
今回の展示では「キノコバトル」モードのみの試遊でしたが,キャラクターの登場シーンまでは同じ映像が表示されるじゃないですか。並べて見比べてみたんですが,完璧に同じタイミングで表示されていました。
原田氏:
格闘ゲームって,とくに皆,遅延を気にするじゃないですか。日本なら地デジ化が進んだこともあって,あまり問題になることもないんですが,欧米のディスプレイ環境だと,古い液晶テレビを使っていることが多くて,平気で5〜6フレーム遅れたりするからね。
そこへいくと,Wii U版ならテレビがどんなに悪くても,Wii U GamePadで遅延なく遊べるわけで,そこは大きなメリットです。
4Gamer:
ああ,なるほど。それはいいですね。
原田氏:
それとね,結婚して家庭を持っている方は分かると思うんですが,ゲームでテレビを使っていると,奥さんに怒られたりするわけですよ。でも不思議なことに,PSPとかPlayStation VITA,ニンテンドー3DSのような携帯ゲーム機だと,食卓で遊んでいても怒られない(笑)。そこでシームレスに切り替えられるのが,イイところなんだな。
4Gamer:
子供がテレビで遊んでいるうちに両親が帰ってきて,ゲームは止めなさいって言われたりして。じゃあWii U GamePadで続けよう,とか。
うん。任天堂の岩田社長も「家庭のリビングで誰かがテレビを見ていても,画面を占有することなくハイエンドのゲームが手元で遊べる」って言ってたでしょう? そのコンセプトに忠実に,無理に2画面を使った遊びを作るのではなく,1画面で完結できるものをシチュエーションによって切り替えて遊ぶ。そういう方向性を目指しました。
4Gamer:
テレビに映し出したときは,Wii U GamePadのゲームパッド側はコマンドリストになっていて,タッチスクリーンのタッチで技が出せますよね。
原田氏:
そうです。1画面で遊べるけど,2画面だとちょっと便利になる,みたいな感じで。ニンテンドー3DSの「鉄拳 3D プライムエディション」にもあった機能だけど,画面4分割ではなくて,コマンドリストからそのまま出せる感じになってます。プラクティスモードなんかでもできるようにする予定なので,便利だと思いますよ。
4Gamer:
出展バージョンではタッチスクリーンのショートカットで出せる技が決まっていましたが,ここはカスタマイズできるようになります?
原田氏:
できるようにしようと思ってます。コマンドリストを見ながら「この技はコマンドがややこしいから,ショートカットにセットしちゃおう」とかね。
4Gamer:
キーをレコードしたものを登録できたら面白いと思うんですが,どうでしょうか。例えば最速風神拳を登録しておいて……。
原田氏:
それは確かに……いやいや,最速風神拳がワンタッチで出せたら,いくらなんでも強過ぎやろ!
4Gamer:
確かに(笑)。でもお父さんにやってもらって,子供が使ったりしたら面白い気がするんですけど。
「キノコバトル」はどうして生まれたのか
4Gamer:
では今回試遊できた「キノコバトル」モードですが,あのアイデアは……一体どこから思い付いたんでしょう。
原田氏:
キャラクターモデルを大きくしたり小さくしたりって機能って,実は開発バージョンには1年以上前からあって,開発スタッフの間で,そういう遊びをやってたんですよ。それで,これをゲームモードにしたら面白いって話になったんですけど……ぶっちゃけ必然性がないじゃないですか。
4Gamer:
確かに。意味が分からないですよね(笑)。
原田氏:
そう,普通にやったらワケが分からない。で,そのときはアイデアだけで諦めていたんだけど,Wii Uでやるとなったときに,任天堂→マリオ→キノコ? おや,キノコなら必然性があるぞ? って(笑)。
4Gamer:
なるほど!
原田氏:
それで任天堂さんにお話してみたら,あちらのノリも良くて。音楽はマリオのアレンジで,効果音は提供してもらったりと,色々と監修までしてもらって。おかげできっちり作り込むことができました。
4Gamer:
子供や女性には,とくにウケが良さそうです。
原田氏:
うん。出展ブースを眺めていると,まず音に反応しちゃうみたいで,女性の方も結構並んでくれてましたね。普段格闘ゲームをやらない人でも,マリオが好きなら楽しめると思います。
4Gamer:
ちょっと格ゲープレイヤー目線で言わせてもらうと,あれキノコを取り過ぎると不利ですよね。技が全然当たらなくて。
原田氏:
まあ,今回の出展バージョンは,まだゲームデザインの途中なんですけど。僕らとしては,基本的にキノコをたくさん取ってデカくなった方が有利という形にしたいと思ってます。ただ,確かに大きくなりすぎると上段攻撃なんかが当たらなくなるので,一応テクニックが必要にはなるのかな。
4Gamer:
なんとなく,PS版の「鉄拳3」に収録されていた,“鉄拳ボール”を彷彿とさせるものがありました。
原田氏:
そうそう。ちょっとバカバカしいけど,うまくなっていくと戦略が出てきて,ガチで対戦しても意外と面白いんだよ(笑)。
Wii U版と鉄拳シリーズの今後について
まだ,発表されていない部分が多いタイトルですが,お話しいただける範囲でそのほかの部分についてもお聞かせください。PS3版やXbox 360版ではキャラクターパックなどの追加コンテンツも用意されましたが,Wii U版ではこの辺りはどうなるのでしょうか。
原田氏:
まだWii Uのネットワークサービスがどうなるのか分からないので,こちらとしてもまだ何ともいえないんですよね。ただ,PS3やXbox 360よりもかなり後発での発売になるわけだし,なるべく最初からソフトに入れておくようにしたほうが親切なのかなあと。その辺りは任天堂さんの発表に合わせて,僕らからも情報を出していこうと思っています。
4Gamer:
PS3版やXbox 360版のように,オンライン対戦は可能ですか?
原田氏:
もちろん。ご存知のとおり,今回PS3版,Xbox 360版ともに,オンライン対戦の評価がすごく高いじゃないですか。あの感じでいけるはずです。
4Gamer:
キノコバトルやコラボレーションコスチューム以外に,Wii U版限定の要素はあるのでしょうか?
原田氏:
コラボ衣装については,まだ発表していないのがあります。あと,任天堂さんとのコラボレーションではないけど,まだ発表していない追加要素もありますね。
4Gamer:
おお。それは楽しみですね。
原田氏:
ただ,ここは書いておいてほしいんだけど,こういう追加要素をもって,Wii U版が完全版だ,みたいな言われ方をするのは不本意なんですよ。PS3版とXbox 360版にいるハードコアなファンに向けたサービスと,後発で買ってくれる,それも任天堂ハードであるWii Uのお客さんに向けたサービスを,単純に分けているだけですから。だから,どっちが優れているとかではなく,落ち着いて今後の展開を見てほしいと思います。
それぞれのハードでしかできない事もあるし,既存のプレイヤーが遊んでいるPS3とXbo 360には,コアなネットワークサービスがありますので。
4Gamer:
分かりました。しっかり書いておきます(笑)。では最後に,鉄拳シリーズ全体の今後についてお聞かせください。
原田氏:
うーん……実はコンシューマ版の「鉄拳タッグトーナメント2」の反響を見て,僕らとしてもいい意味で今後の展開が見えなくなっているところなんですよね。普通ゲームソフトって,初週で売れた後って勢いが落ちるものなんだけど,今回はそれが落ちずに売れ続けてるんです。
4Gamer:
確かにそれは珍しいですね。
原田氏:
それでいま,2年前ぐらい前から立てていた計画を,練り直してるところです。なので,今のところは今後の続報に期待して,としか言えない。
おかげさまで色々な国の人からポジティブなフィードバックがたくさん届いているし,このいい流れを消さないよう,運営面でもできるだけ盛り上げつつ,次の製品にもつなげたいと思っていますので,ぜひ応援をいただければと。
4Gamer:
それはアーケードも含めて,ということでいいですか。
原田氏:
アーケードも含めて。この間もコンシューマ版とバージョンを合わせるアップデートをしましたけど,そこの火を絶やすつもりはないので。
4Gamer:
分かりました。今後の発表に期待させていただきます。本日はお忙しいところ,ありがとうございました。
Wii U版ではコアプレイヤーとは異なるファンに向けたサービスを展開したいと語る原田氏。プレイアブル出展バージョンを遊んだときも感じたことだが,本作がライトなファン,あるいは任天堂ファンに向けて作られていることは確かなようだ。
しかし原田氏が語るとおり,先行する他機種版と同じように遊べることもまた,間違いない。なおMad Catzブースで行われた同作のイベントでは,Wii U版のアーケードコントローラの発売もほのめかされており,ライトな層からコア層まで,幅広く遊べるタイトルになりそうである。
こと格闘ゲームといえば,1フレームを追求するようなコアな遊び方ばかりが話題になりがちだが,実際のところ,その一握りのプレイヤー達を支えているのは,大多数のカジュアルなプレイヤー達である。本作によってより広がりを見せる,鉄拳ワールドの今後に期待しよう。
「鉄拳タッグトーナメント2 Wii U Edition」公式サイト
- 関連タイトル:
鉄拳タッグトーナメント2 Wii U EDITION
- この記事のURL:
キーワード
(C) 2012 NBGI