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[GDC 2016]「Gear VR」向け「Minecraft」がプレイアブルで初公開。Oculus VRの超有名人3名のコメントも掲載
Samsung Electronics製のスマートフォンを装着して使うタイプのVRデバイス「Gear VR」は,その安価な価格帯と利便性から,以前よりカーマック氏が入れ込んでいるVR機器のひとつである。「Minecraft」を移植するという企画を持ち込んだのもカーマック氏自身であり,当初は「Minecraft: Pocket Edition」をベースに1人で作業を始めていたほどの,熱の入れようだったという。
このGear VR版「Minecraft」の存在に関しては,2015年9月に開催された「Oculus Connect 2」でもアナウンスされていたものの,プレイアブルでメディア向けに公開されたのは,今回が初めてになる。
実際にAndroid対応のワイヤレスコントローラを使ってプレイしてみると,シアター風のロケーションが目の前に広がり,そこにあるスクリーンでMinecraftが起動する。そのまま劇場で遊んでいるかのような感覚でプレイ可能だ。さらに,デバイス本体の右側面についているボタン中央をタップすると,ゲーム中のキャラクター視点にテレポート。シアターがMinecraftの世界に変化するという演出になっていた。
映像の雰囲気としては,「Minecraft: Pocket Edition」のグラフィックスをベースに,Riftに対応した「Minecraft: Windows 10 Edition」のようなインタフェースを使って操作を行っているという感覚で,その没入感と見回す限りがブロッキーな世界は圧巻のひと言。Minecraftのファンにとっては格別な体験となるであろう。
もっとも,移動時には明らかにフレームレートが落ちるような場面もあり,スマートフォンのスペックに限界があるのではと少し不安になった。会場の熱気や長時間の利用による熱の影響だったという理由であれば良いのだが……今後のカーマック氏と開発チームの奮闘に期待しておきたいところである。
今のところ,発売時期や価格帯,販売方法などは明らかにされていない。先ごろ紹介したRift対応版「Minecraft: Windows 10 Edition」は,無料アップグレードとしてリリースされるが,このGear VR対応版に関しては,開発を主導するのがOculus VRの内部開発チームであること,Mojangを傘下に収めるMicrosoftからライセンス供与を受けて開発を進めていることを考えると,果たして同じような形でのリリースができるかどうかは考えどころだろう。実際,そのあたりを会場にいた複数のスタッフに聞き回ってはみたものの,やはりというか,誰もが「未定」や「近日中に明らかにする」としか答えてはくれなかった。
なお,このイベントで,カーマック氏に加えて,Riftを開発した若き天才Palmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏,そしてNaughty Dogの創設者であり現在はOculus VRでファーストパーティタイトルを統括するJason Rubin(ジェイソン・ルービン)氏という,Oculus VRの中でもとびっきりの著名人にコメントをもらえたので紹介しておこう。
ジョン・カーマック氏:
いつもいつも聞かれるけど,Voxelベースのゲームエンジンなら1週間もあれば作れる自信はあります。でも,それで「Minecraft」の偽物を作ってどうなるというんですか? 「Minecraft」には,リリース以来築かれてきたコミュニティがあり,彼らが共有するゲーム体験があり,それらが財産になっているはずです。
現実的に考えて,VR体験がメインストリームに浸透していくのを主導するのは,ゲームアプリではなく映像になるのではないでしょうか。だからこそ,VR映像を簡単に体験できるGear VRで,「Minecraft」のようなゲームを少しでも多くの人にプレイしてもらいたいのです。
パルマー・ラッキー氏:
(北米で399ドルと発表された)PlayStation VRが,そのあたりの価格帯になるだろうというのは以前から予測していました。Riftは,ハイエンドPCを所有するハイエンドユーザーを主力に,ゲーム以外でも広範囲の層にアピールしていくものですから,PlayStation VRとはターゲットにしている市場そのものが違います。
でも,大切なことはすべてのVR機器が成功し,少しでも多くの人の生活になくてはならないものにするということ。どのハードウェアやゲームが良いかという“ひいき”はせず,皆さんにいろいろなVR体験を楽しんでほしいです。
いまのラインナップに,VR世代最初のキラーアプリになるゲームがあるかって? VRゲーム市場がまったく新しいものだけに,それは我々にとっても予測の付かないことです。でも,結局「どのゲームがキラーアプリになるのか」というのは,プレイヤーの皆さんがプレイし,コミュニティで体験談を共有することによって生み出されていくものだと思っています。
それは,いまのラインアップにあるかは分からないし,ひょっとしたら1年後,2年後に登場してくるかもしれない。でも,いつかきっと,誰もがVRデバイスでプレイしたくなるようなキラーアプリが登場してくるのは間違いないです。
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