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「GREE Platform Summer Conference 2012」開催。基調講演では田中氏が海外展開への手応えをアピール
田中氏は続いて,前回の「GREE Platform Conference 2012」からの約半年を振り返り,その期間にグリーが行ってきた事業内容を解説した。
この期間における大きなトピックはGREE Platformの海外展開である。田中氏は,5月に米国の開発企業Funzioを買収したことや,「E3」「Chaina Joy」といったイベントに出展したこと,そして,カナダのバンクーバーに新たなオフィスを設立したことなど,着実に海外への展開が進んでいることをアピールした。また,現時点でGREE Platformは,169か国に配信できる状態にあり,9月には現在サポートされている日本語と英語を含め,14か国語に対応するとのことだ。
グローバルでのサービス展開をするにあたり,田中氏は,これまで利用者の性別や年齢などの視点から検証していたデータも,国という視点を加えていく必要がある。それに伴い,業務自体や意思決定の方法も変えていかなければならないと述べる。田中氏が「会社で働いているさまざまな人の意識を変えることが大切」と語るように,グローバル展開を成功させるためのハードルはそれなりに高いようである。
このほか,グリーでは,バンダイナムコゲームスなどのゲーム開発会社や,アニメ/ゲームのキャラクター版権を保有する企業と組んだ事業展開を行っている。7月に同社の「探検ドリランド」をモチーフとしたアニメ放送を開始した件に触れ,自社コンテンツのIPビジネス化を進め,「成功事例を作っていきたい」(田中氏)と述べていた。
なお,田中氏によれば,7〜9月の期間で約60タイトル,2012年末までに数百タイトルをGREEでリリースする予定とのことだ。
紹介されたのは3パターンで,GREEにおける主要ジャンルである「カードバトル」「シミュレーション」「恋愛ゲーム」だ。この3ジャンルそれぞれで,「KPI」(Key Performance Indicator,業績評価指標)の基本的な要素である「継続率」「消費率」「ARPU」(Average Revenue Per User,ユーザー1人当たりの売り上げ高)をランク付けしていた。
それらの課題を解決する方法は,ゲームジャンルによって異なってくると小竹氏。「提供開始から1年が経過していても,そういった課題を改善すれば数字として跳ね返ってくる。課題を分析し,解決していくことが海外展開していくうえで重要になってくる」と氏は述べた。
さて,実際にどうやって課題を解決していったか見ていこう。
カードバトルでは,ファンタジーをモチーフにし,スマートフォンとフィーチャーフォン向けにリリースされ1年弱が経過したタイトルを例に話が展開された。コイン消費は月間1億コイン程度となっている。このタイトルの問題は,プレイヤーがゲームを開始してから1日後の継続率が低いことだという。
これに対して調査を行い,登録時やチュートリアル後にもらえる報酬が魅力的でないこと,ゲームバランスやUIに問題があることなどを原因と仮定。人気のある同ジャンルのタイトルと比較した結果,仮定が正しかったと判断したそうだ。
その対策として,プレイヤーのログイン時に体力回復薬をプレゼントしたり,レベル20までは経験値が2倍得られるようにしたり,離脱者が多かったシーンを改善したり,カーソルの位置を変更したりしたところ,プレイ開始から1日後の継続率が,以前の180%に向上したという。
シミュレーションや恋愛ゲームにおいても同様に,課題から問題点を仮定し,実際に調査を行ったうえで,その対策を行う。そうすることで,改善率を向上させることができたそうだ。
小竹氏によれば,「仮説設定」「データ分析」「施策実施」という改善のプロセスを使えば,ユーザーの満足度を高めることができるとのこと。グリーでは,パートナー企業にそういったサポートを最大限に行っていくと小竹氏はアピールしていた。
ソーシャルゲームのプロデューサーによる
パネルディスカッションも実施
パネルディスカッションには,「拡散性ミリオンアーサー」(iOS / Android)などのプロデューサーで知られるスクウェア・エニックスの安藤武博氏,「任侠道」のプロデューサーであるgumiの今泉 潤氏,「ドラゴンコレクション」の企画,ディレクション,プロデュースを手掛けたコナミデジタルエンタテインメントの兼吉完聡氏がパネリストとして,「釣り☆スタ」「探検ドリランド」「モンプラ」などの統括,監修を行ったグリーの吉田大成氏がモデレーターとして登壇した。
スクウェア・エニックス 特モバイル二部 ジェネラルマネージャー兼プロデューサー 安藤武博氏 |
gumi執行役員 企画制作部長兼プロデューサー 今泉 潤氏 |
コナミデジタルエンタテインメント エグゼクティブプロデューサー 兼吉完聡氏 |
最初に提示された議題は,「ヒットタイトルを生み出すために必要なもの3箇条」だ。
これに対し,安藤氏は,3箇条でまとめられるほど簡単なものではないが,あえて3つに絞ると,「時代を切り取れるか」「ユーザーに届くものがあるか」「心の底から世界で一番になる作品だと言い切れるか」とコメント。氏が手掛けた拡散性ミリオンアーサーを例に挙げ,拡散性ミリオンアーサーでは,プレイヤーがカードを手に入れるのが何よりも楽しくなることを心がけて制作したという。そのために,音楽やストーリーを追加していったと語る。また,同作の登録状況からすると,今後はiOSとAndroidを同列に考えていかなければならないとも述べていた。
今泉氏は,「コンセプト」「パッケージ感」「情熱」の3点を意識しているそうだ。自分が一番愛せるタイトルならば,作品に不思議な魔法がかかってヒットするという。
任侠道では,制作陣が面白いアイディアを出し合い,それらをうまく取り入れられたことが成功の秘訣かもしれないと今泉氏。氏は,前職が映像業界のプロデューサーだったそうで,映像にしたらヒットするんじゃないかということを常に考えているとも述べていた。
兼吉氏は,「クリエイターとしてのこだわりを変える」「スピード感を重視する」「面白いものを作る」が3箇条だと話した。コンシューマ機でゲームを作っていた兼吉氏は,コンシューマ時代とは違い,あえて仕様を削ることも重要になってくるという。ドラゴンコレクションは,ありがちだが,誰もやらなかったテーマだったと述べ,そういうところに目を付けられるかがポイントになってくるとした。
今泉氏は,「まず本人が面白いと思えることが重要,そしてユーザーの継続率を上げていくことも必須だ」という。
兼吉氏も継続率は重視しているそうで,7日めの継続率を目安にして,3か月後や半年後を予想しているとのこと。半年くらいをスパンの目処に次の展開を計画しているが,きっちりと計画しすぎても面白くなくなってしまうので,注意していると述べていた。
3つめのテーマは「注目ゲームジャンルandチャレンジゲームジャンル」だ。
これに対し,安藤氏は,「スクウェア・エニックスは,RPGに強く,ファンタジーに強いというイメージがあると思う。そういった色を出していければ,ジャンルにはこだわらない」と述べた。「それはさておき,来年の今頃にはソーシャルゲームの概念が変わるような大物を用意している」とも語っていたので,期待しておきたいところである。
今泉氏は,「スピード感を重視したカードバトルをやっていきたい」とコメント。兼吉氏は,「常に革新的な作品を作っていきたい。当社は,ゲームジャンルを広くカバーしている会社なので,新しいフィールドに展開したとしてもうまくいくんじゃないですかね」と述べていた。
最後に今後の取り組みについて質問された3名は,「カードとガチャに頼らない新しいコンテンツを作りたい」(安藤氏),「海外を意識してはいるが,まずは国内に注力したい」(今泉氏),「常に新しいことをやっていくのが使命」(兼吉氏)とそれぞれ展望を語り,パネルディスカッションは閉幕した。
総合大賞に選ばれたのは,コナミデジタルエンタテインメントの「クローズ×WORST〜最強伝説〜」だ。授賞式では,ゲームロフトの「FIFAワールドクラスサッカー」が「殿堂入り」を果たしているほか,すでに殿堂入りしているコナミデジタルエンタテインメントの「ドラゴンコレクション」が「殿堂入り特別表彰」されている。
そのほか,表彰されたタイトルは以下のとおりだ。
●RPG最優秀賞
- 「モンハン探検記 まぼろしの島」(カプコン)
●シミュレーションゲーム最優秀賞
- 「デジモンコレクターズ」(バンダイナムコオンライン)
●恋愛ゲーム最優秀賞
- 「王子様のプロポーズforGREE」(ボルテージ)
●優秀賞
- 「100万人のWinning Post」(コーエーテクモゲームス)
- 「ぼくのレストラン2」(Synphonies)
- 「騎士道」(gumi)
- 「GANTZ」(インデックス)
- 「キャプテン翼〜つくろうドリームチーム〜」(KLab)
- 「バハムートブレイブ」(オルトプラス)
●特別賞
- 「メジャーリーグオールスターズ」(Cyber X)
- 「ドラゴンキャバリア -最後の騎士団-」(スーパーアプリ)
- 「ビーストバトルクロニクル」(メディアインクルーズ)
- 「アイログ」(タイトー)
- 「戦国フロンティア」(ドリコム)
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バハムートブレイブ
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ビーストバトルクロニクル
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