業界動向
任天堂,2011年度の決算発表。通期赤字なるも来期は好転か。「New スーパーマリオブラザーズ 2」以降はダウンロード版とパッケージ版の併売へ
今期の赤字転落はかなり早い時点から予測されていたことではあるが,同社がゲームビジネスを開始して以降で初めての通期赤字という結果は重く受け止められることになるだろう。
2011年度は,2010年第4四半期に発売されたニンテンドー3DSで,ソフトの少なさなどから初動以降の動きが鈍かったことから,第2四半期に思い切った価格改定が行われ,円高の影響もあって2011年10月と2012年1月に大幅赤字の修正予想が出されていた。今期の赤字はある意味想定内なのだろうが,このところの円安基調もあって,純利益では最終的に赤字であるものの,1月予測に比べて217億円の上振れの結果となっている。海外売上が多いだけに為替の影響は大きいようだ。ただ,かなり堅い読みかと思われた1月予想に対して売上高が下回っている。2011年代4四半期の売上高は,近年で最低のものとなっており,ゲームビジネス自体は低調に推移している。
とはいえ,今期で悪材料を出し尽くした感もあり,来期については好転するという予測から,任天堂では今期の無配は避け,配当金を出すという決定をしている。
任天堂IRニュース
決算時の社長説明で,同社社長岩田 聡氏は,2011年度の状況や今後の展開などを説明していた。そのなかで8月に発売される「New スーパーマリオブラザーズ 2」では,任天堂はパッケージソフトのダウンロード販売を開始することが発表されている。これ以降,同社ではパッケージ版とダウンロード版の併売という形でソフトを供給していくという。SDカードに保存されたゲームは,複数のゲームを手軽に持ち運べるというメリットがある一方,ダウンロードした本体でしか動作できないのでソフトの貸し借りができないというデメリットを持つため,利用形態に合わせて選択してもらうというのが任天堂のスタンスだ。
また,ダウンロード販売は,ニンテンドーeショップ以外に,ダウンロードソフトの店頭販売という方式が採用される。一般の小売店でダウンロードソフトを購入し,16桁のソフト引き換え番号を受け取るというシステムだ。これにはネットでのクレジットカード番号入力などが不要になり,店頭価格自体は販売店が決めることができるというメリットがある。
ダウンロード販売は時代の趨勢ではあったものの,従来のゲームパッケージ市場を支えていた小売店に対するダメージが懸念されていた。ダウンロードソフトの店頭販売というのは,小売店にも配慮した,任天堂らしい落しどころといえるだろう。
次期プラットフォームとなるWii Uについては,E3で詳細を発表するということで多くは語られなかったが,Wii Uでは,発売当初からパッケージ版とダウンロード版が同様のシステムで販売されることが明らかになった。
年末発売のWii Uに向けて,2012年度での任天堂の巻き返しに期待したい。
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New スーパーマリオブラザーズ 2
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