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遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く
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印刷2013/07/10 00:00

インタビュー

遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

モーション,レスポンス,音と,

“気持ち良さ”に力を入れたアクション


4Gamer:
 言い切っていただいた須田さんが,次の予定に向かわれましたので,ここからはアクションゲームとしてのKIDについて,新さんにお聞きしたいと思います。

新氏:
 お手柔らかにお願いします。

4Gamer:
 ゲームで遊んでいて何より感じたのは,メインウェポンであるGEKKOUにせよ,サブウェポンにせよ,使っているときの気持ち良さでした。

画像集#023のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く
新氏:
 ありがとうございます! けっこう気を使った部分なので,そう言っていただけると嬉しいですね。
 モーションはもちろんフレーム単位でコントロールしている部分もありますし,レスポンスも気を使っています。例えばビジュアルを優先すると,どうしてもレスポンスが落ちることがあるんですが,そこのバランスは最後まで調整していました。
 さらに僕がこだわった部分としては,音があります。

4Gamer:
 あ,音も良かったです。

新氏:
 剣で切ったときの音なんかは――本当はあんな音はしないはずなんですけど(笑)――最初から「こういう音にしたい」というイメージが明確にあったんです。空振りしたときの音,切ったときの音,ガードされたときの音なんかはとくに,何度も作り直しました。

4Gamer:
 動きや音で感じられる気持ち良さがあるからこそ,コンボがうまくつながっていくと快感で,その分,途中でコンボが途切れるとがっかりする感じがあるんですよね。

新氏:
 僕もそのがっかりは感じましたし,現場からも「がっかりするからコンボが途切れないようにしよう」という意見は上がっていました。でも,突き詰めて考えていくに従って,やはり途切れたらがっかりするのが正解だろうというところに行き着いたんです。
 というのは,やり込んでいくにつれて,コンボを途切れさせずに続けて行く方法が分かってくるんですね。そこを探してほしいということで。

4Gamer:
 そこは,より気持ち良く遊ぶためには,うまくなれ! ってことなんですね。コンボをつなげなくてもゲームを進めていけるようなバランスにはなっていますし。
 最初のうちはひたすらボタンを連打して攻撃一辺倒でも何とかなるんですけど,途中からそれではまったく通用しなくなりますよね。そのあたりも,ニクイなぁと思いました(笑)。

新氏:
 その言葉を待っていました。まさに,そう作っているんです。

4Gamer:
 うまく防御したり回避をしたりといったことが,とくにボス戦でうまくできないと……。

画像集#024のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

新氏:
 歯が立たないですね。
 実は須田からは,もっとプレイヤーのことを考えて,ボタン一つでもサクサク進めるようなバランスにする意識を持っておけという指示があったんです。それも非常に理解できるので,そこを忘れないようにしようという気持ちはありつつも……。
 やはりPlayStation 3やXbox 360を持っていて,なおかつアクションゲームを楽しもうという人の中には,ボタン一つでサクサク進むようなゲームを求めていない人が多いんじゃないかと思うんですよ。

4Gamer:
 据え置き機でアクションゲームを遊ぼうという,ある種,強い意志を持っているのは間違いないですよね。

新氏:
 実は僕自身もそうなんです。そういう人が,何度もやり込んだときに楽しいと思えるものを用意したい,そういう気持ちがありました。

4Gamer:
 プレイヤースキルの向上と,キャラクターの強化という二つの軸が,攻略に欠かせないゲームになっているとも感じたんです。とくにキャラクターを育てる方向や順番は,ある程度,プレイヤー任せになっていますし。
 そういったことも,アクションゲームとしての手応えを実現するために,意図的に狙った部分でしょうか?

新氏:
 そうですね。実際のところ,アクション自体はさほど多くないと思うんですが,組み合わせのバリエーションは,プレイヤーさんが選べるようにしておきたいと思いました。
 やっていることはものすごくシンプルで,ボタンも三つしか使わないんですよ。大ざっぱに言うと,剣,ガード崩し,避ける,という。でもその三つの組み合わせで,全然違うものが出てくるような,違うものをプレイヤーが作れるようなシステムにしました。

4Gamer:
 ゲームの序盤と,ある程度上達してからで,客観的に見てもモンドの戦い方が変わっているんですよね。

新氏:
 パッと見,シンプルすぎてスカスカに思われてしまうんじゃないかという不安もあったんですが,そういう風に感じてもらえて嬉しいです。

4Gamer:
 自分が上達していくにつれて,想像したとおりの戦い方ができるようになるのって,アクションゲームを遊ぶときに感じる喜びの一つだと思うんです。それをちゃんと感じられる作品だと思いました。……まあ,EASYでやってましたけど。

新氏:
 おっと(笑)。
 そこからNORMAL,HARDとやり込んでいただけると,より楽しめるような作りにしてありますので,クリアしたらそこで終わりというのではなく,ぜひ,引き続き遊んでください。


「スカーレットミッション」では,

遊んだ人から「ムカツク」と言われたい


4Gamer:
 ちなみに,難度を変えたとき,実際に変わるのは敵の数や配置,攻撃力や防御力ですか?

画像集#025のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く
新氏:
 バトルの基本は,3体の敵に対して1人で立ち向かうという形で,3体以上の敵が出てくるシーンは,ピンチをあえて作っているんですね。これが基本にあるので,難度を変えても敵の配置や数は変わりません。
 ただ,敵の攻撃力や防御力はもちろんのこと,AIも変わるんです。具体的には,同時に攻撃してくる人数や,攻撃のスパンなんかが異なるという形なんですが,HARDを選んだときは,矢継ぎ早に攻撃をしかけてきますよ。

4Gamer:
 それは,一回防御や回避をしくじると,たいへんなことになりそうです。

新氏:
 まあ,袋だたきにあいますね。
 ただ,敵同士が連携をとるようなAIにもなっていて,ある程度のサービスもしてくれるように調整してあります。AIを組んだプログラマーが優秀だったので,そのあたりの細かな部分にも気を配れました。

4Gamer:
 サービス,ですか?

新氏:
 ええ,敵はもちろんモンドを殺しにかかってくるわけですが,プレイヤーがある程度うまくなってくると,「あ,気持ちいいな」と思えるようなタイミングで攻撃してきて,そして死んでいくという(笑)。

4Gamer:
 ある程度うまくなったときに,時代劇の殺陣のような感じで,気持ち良く複数の敵を倒せたんですが……あれはサービスだったんですね。
 そうそう,それぐらいになっても,「スカーレットミッション」は妙に難しく感じたんですが。

画像集#014のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

新氏:
 難しいでしょう?(笑)
 あれはあくまでやり込み要素の一つという位置付けですので,一回目でクリアできてしまったら満足できないと思うんですよね。作り手とプレイヤーとの真剣勝負というか,「これ,クリアできますか?」みたいな感じで作りました。

4Gamer:
 どのミッションも一回ではなかなかクリアできないですし,クリアできないにしても,「こりゃまったく歯が立たない。もういいや」と放り出してしまう感じじゃなくて,「あとちょっとだったのに! 次こそは!」と,凄くむきになっちゃうんですよね。それが本当にムカツクんです。

新氏:
 いやぁ,それは最高の褒め言葉ですね。
 ムカツクって言われたいですもん(笑)。

4Gamer:
 そうだろうなと思いましたよヽ(`Д´)ノ
 あと2回でノルマのコンボ達成なのにっていうタイミングで,後ろから攻撃されたりして。でもやられた瞬間に,自分がどういうミスを犯したのかが分かるので,それがまた悔しいんです。理不尽じゃない,自分が悪いんだ……って。

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新氏:
 ありがとうございます(笑)。そういう風に思うということは,ちゃんと上達してるからだと思いますよ。
 それに実際,2週目に入ってから初めて挑戦しても,ちゃんと手こずるような位置付けにしていますから,手こずるのは当然なんですよ。

4Gamer:
 では,ゲームの進め方として理想的なのは,1週目ではスカーレットを見付けて,新しいスカーレットミッションがアンロックされても,その都度チャレンジするんじゃなく,2週目以降にまとめて……という流れですね。

新氏:
 そのほうが流れとしては良いと思います。もちろん,一つ一つ律儀にクリアしていくのも,ご褒美がちゃんとありますから悪くないんですが。

4Gamer:
 まあ,時間はかかりますよね。

新氏:
 そうなんですよ。ただ,あそこで頑張ることで,自分のスキルが上がるのも確かなんですよね。そうすると,ストーリーを進めやすくなるというのもあります。
 要は,敵の倒し方を理解していないとクリアできないのが,スカーレットミッションということです。

4Gamer:
 逆に,それを超えれば,敵の倒し方も自ずと理解できる,と。

新氏:
 ええ。なので一つのアクションを延々やらせたりするのは,それの使い方,使うタイミングを覚えてほしいという意図なんです。

4Gamer:
 ストーリーを進めている合間に,スカーレットミッションに何度も挑んだ末にクリアして,さあ次のエピソードだ! と遊んでみたら,さっき戦ったボスより弱くない? みたいなことがあったんですが,これってもしかして?

新氏:
 そうです。あなたがうまくなったんです! という。

4Gamer:
 完璧に掌の上でもてあそばれてしまった気分です。
 まあ,スカーレットからもらえるジゴログラス「キャッツアイ」は強力ですし,頑張るしかないんですよね。

新氏:
 ええ。ジゴロモードではご褒美映像も3段階あるんですが,それも全部見てもらいたいですし,そのためにも,スカーレットミッションを頑張るといいことがあるんだよ,ということはお伝えしておきたいです。

画像集#013のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く


「KILLER IS DEAD」は途中で死ぬのが当然の難度

“死なない”アクションゲームなんて面白くない


4Gamer:
 さて,KIDには各エピソードにやたらと個性的なボスが登場しますが,ボス戦においてバリエーションの付け方で注力した部分があれば教えてください。

新氏:
 実は,どのボスにも共通する倒し方みたいなものは用意してあるんです。これはいわば,戦い方のルールみたいなものですね。
 それに加えて,このボスは背景のシチュエーションをどんどん変えていこうとか,このボスはそれまでのルールが通用しない特殊な動きもさせてみようといった形で,各ボスに一つは固有の特徴を持たせています。

画像集#027のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

4Gamer:
 野暮なことを聞くようですが,一番強いのはどのボスですか?

新氏:
 やはりラスボスでしょうね。
 ちゃんとまっとうな意味で強いラスボスを用意しようというところには,けっこうこだわっています。

4Gamer:
 そういえば,ラスボスがあっさりしている作品も少なくはないですよね。

新氏:
 作品ごとに当然,意図はあると思うんです。
 ただKIDに関しては,最後は力と力が純粋にぶつかり合う真っ向勝負にしたくて。

4Gamer:
 倒し方は分かるんだけど,難しいっていうバランスでした。
 確か,2回ぐらいミカに救命してもらいましたし。

画像集#015のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

新氏:
 あー,いいですね。
 一昔前のアクションゲームって,死んで最初からやり直したり,コンティニューしながら何とかクリアしたりっていうのが当たり前でしたよね。でも最近は,一回でも死んでしまうと「難しい」と言われてしまいますが。

4Gamer:
 その傾向はありますね。自分自身もそう思ってしまうことはありますし。ゲームの親切さに慣れすぎてしまった代償とでも言うんでしょうか。

新氏:
 でも,死なないアクションゲームなんて面白くないと思うんです。みんな思い出して! という気持ちがあるんですよね。
 だからミカのシステムを用意したのも,死んで当然のゲームだから,残機を用意しようというイメージだったんですよ。ミカチケットを3枚持っているというのは,3回生き返れるから,その3回の中で死んだりしつつ,最後までクリアしてほしいな,という。
 それでも難しい場合は,オフィスでミカチケットを買っておけば,10回までは死ねるよ,と。

4Gamer:
 ミカチケットを購入する必要があるのは,そういう意図があったからなんですね。
 でも,モンドがやられて倒れるのって,敵の攻撃が激しいタイミングだと思うんですが,どうしてミカはそこに飛び込んでこれるんでしょう?

新氏:
 まあ,笑ってもらえるんじゃないかなって(笑)。
 ただ須田からの指令で,画面には映っていないところで,処刑事務所のメンバーがモンドのサポートをしている雰囲気を感じさせてほしいというものがあったんです。なので,ほとんどのエピソードでスタート時にはモンドの近くにミカがいるんですね。で,ミカがはけるんですが,あそこにモンドの近くで常に見守っているという意味を込めてあるんです。

4Gamer:
 帰ってしまったわけではないんですね。
 ……だったらもうちょっと戦力になってくれてもいいんですけどねぇ。

画像集#028のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

新氏:
 実はザッピングやCo-opみたいなものも構想にはあって,テストをしたこともあるんですけど,やっぱりゲームの主人公はモンドであり,その格好良さを全面的に出そうということになったんです。
 ヴィヴィアンを操作できるように……という話もあって,話だけだと面白そうではあるんですけど,形にしようとするとどこかで見たことがあるゲームになっていくんですよね。それだけは避けたかったんです。

4Gamer:
 男性キャラと女性キャラを切り替えながら巨悪に挑むようなゲームは,確かにありますね。

新氏:
 そういう作品も面白いと思うんですよ。でも,すでに面白さが確立されているところに,僕らが乗っかる必要はないだろう,と。

4Gamer:
 KIDとしての個性を追求していく道を選んだということですね。


「KILLER IS DEAD」は“マニュアル”な作品

アクションゲームが好きな人に遊んでもらいたい


4Gamer:
 ヴィヴィアンで思い出したんですが,彼女は設定上,どうしてあんな数の腕があるんでしょう?

新氏:
 彼女も人体を改造しているんです。彼女自身,「ヴィヴィアンファントム」という,隠し持った銃を16本の腕で操り,敵を撃ち抜いて瞬殺する処刑スキルを持っているんですね。
 実は16本の腕で……という設定は,須田が考えたものなんですが,元でも「腕が16本あるってどういうこと?」と,少し悩まされました。2本は生身の腕で,14本は機械の腕なんですが,彼女は美意識が高い女性ですから,機械っぽくない生身のような外見になっています。

画像集#016のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

4Gamer:
 16本も腕をつけるというのは,造形的にも難しそうな気がするんですが,そのあたりはいかがでしたか?

新氏:
 難しかったですねぇ。骨の数なんかを考えても,やっぱり多いわけですよ。生え際はどうなってるんだ? という議論もしましたし。でも須田が「16本」と言った以上,妥協して8本にしてしまったらこちらの負けですから,頑張りました。

4Gamer:
 なるほど。ところで,ゲームの中でヴィヴィアンが助けてくれるシーンが何度かありますが,あそこで飛んでくる銃弾は,きちんと敵に対する当たり判定があるものなんですか?

新氏:
 実はあるんです。エフェクトでばーっと飛ばして,何となく敵が吹っ飛んでいくというのではなく,内部的にちゃんと弾を飛ばしているんですよ。なので,ヴィヴィアンと敵との間に障害物があったりすると,全然,敵が倒れないんです。

画像集#017のサムネイル/遊ぶほどに気持ち良さの増すアクションゲーム,「KILLER IS DEAD」で描きたかったのは,京都に潜む危険性? エグゼクティブディレクター・須田剛一氏と,ディレクター・新 英幸氏に聞く

4Gamer:
 そういうことだったんですね。なんかヴィヴィアンが助けに来てくれてるんだけど,敵が減らない! と思ったことがありました。
 なんでイベントシーンにしなかったんでしょう?

新氏:
 やっぱり,アクションゲームとして楽しんでもらうためのこだわりの一つでしょうか。そこ以外でも,けっこうちゃんと計算している部分はあります。

4Gamer:
 イベントシーンにすると,モンドを動かせない時間が増えてしまいますしね。
 モンドを動かすことの気持ち良さを大事にしていると考えると,そういったこだわりにも納得できます。

新氏:
 昨今,アクションゲームはどんどんオートマチックになりつつあるんですが,KIDはマニュアルなアクションに近いと思います。ボタンを押したら,場面に応じて格好いいアクションが出るゲームが多い中で,どのタイミングでどのボタンを押すとどういうアクションになるかという部分が,完全にプレイヤー任せなんです。

4Gamer:
 アクションゲームらしいアクションゲームを目指したということですよね。

新氏:
 ええ。個人的にアクションゲームが好きなんですが,ここまでアクションゲームというものを見つめ直したのは,今回が初めてです。
 ただ,これができたのは僕だけの力ではなくて,アクションゲームに詳しいスタッフがチームに何人もいて,彼らと意見をぶつけ合いながら,グラスホッパーが作るアクションとは? というところを突き詰めることができたからだと思うんです。

4Gamer:
 きっと,チームを動かすうえでも,新さんがアクションゲームを見つめ直すことで生まれた思いのようなものが,共有されたということなんでしょうね。

新氏:
 そうだと思います。いいチームに恵まれました。
 とにかくみんな,ゲームが好きなんですよ。そこで意見をぶつけ合いながら答えを出しつつ作っていったのが,KIDなんです。そこに須田からハチャメチャなオーダーが来るんですけど,実はそれも楽しみだったりするんですよね。

4Gamer:
 楽しみ,ですか。

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新氏:
 開発に行き詰まるのって,技術的なことでも,チームのマネジメントのようなことでもなくて,新しいアイデアが出て来ないときなんです。けれど,そういうときに須田がぽこーんって,意味の分からないことを言ってくるんです。意味は分からないんだけど,何だか面白そうだなってことだけは分かるんですよね。不思議なもので,そこをきっかけに,停滞していたものが動き出したりして。

4Gamer:
 こっちが困ってるときに,何を言ってるんだ! と,喧嘩みたいにはならないんですか?

新氏:
 喧嘩にはならないですね。ただ,須田が言ったことを言葉だけでスタッフに伝えると,空気感みたいなものが抜け落ちてしまうので,僕なりにかみ砕いて伝えるんですよ。面白いことだけは分かるんで。で,それに食いついてくるスタッフがいて,僕よりも面白い解釈をしたりして,また違うものがそこから生まれていって盛り上がるんですよね。
 それを形にして,須田に「こうですよね?」と見せると,「いや,全然違う」って(笑)。

4Gamer:
 ひどい(笑)。

新氏:
 でも須田は,「違うんだけど,そっちのほうが面白い」と言ってくれたりもするんです。それってきっと,須田の中で面白かったものよりも,さらに面白くなっているはずですから,そこの判断は大事にしましたね。
 で,グラスホッパーの中で形にしたものを,角川ゲームスさんにぶつけて,先方が笑ってくれたらゴールみたいな感じで。

4Gamer:
 そして角川ゲームスがプレイヤーに届けて,プレイヤーが笑ってくれたら……。

新氏:
 もう最高ですよね!

4Gamer:
 では,笑う準備をしているであろう,KIDを楽しみにしている読者に向けて,メッセージをお願いします。

新氏:
 KIDは,けっこうクラシックな作りなんですが,アレンジの仕方によって,今までに見たことがないような形に仕上がっているアクションゲームだと思います。最初は戸惑うかもしれませんが,ある程度進めていただけると,なかなか離れられないような作りになっています。
 きっとグラスホッパーのアクションゲームの中で,感触が一番さくっとしていると思いますので,ぜひ,初回生産限定PREMIUM EDITIONをご予約のうえ,遊んでいただけると嬉しいです。

4Gamer:
 発売を楽しみにしています。
 ありがとうございました。

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