レビュー
「Forza Motorsport」シリーズの新たな展開。舞台はオープンワールドへ
Forza Horizon
Xbox 360を代表する人気レースゲーム「Forza Motorsport」シリーズ。その最新作となる「Forza Horizon」が2012年10月25日に発売された。
Forza HorizonはForzaシリーズの最新作だが,ナンバリングタイトルでないことからも分かるように,Forzaシリーズのスピンオフ作品という位置付けになっている。開発は新たに,イギリスのデベロッパPlayground Gamesが担当しており,これまでForzaシリーズを制作してきたTurn 10 Studiosは監修という立場。そのためか,これまでのForzaシリーズとはまったく違う雰囲気のゲームに仕上がっているのだ。
「Forza Horizon」公式サイト
そんな本作を先行してプレイする機会を得たので,ここでそのインプレッションをお届けしたい。なお,今回はマルチプレイはプレイできなかったため,シングルプレイが中心となっている。
探し物がいっぱい
広大なオープンワールドを走り回ろう
これまでのForza Motorsportシリーズは,筆者でもがんばれば買える市販車から,セレブしか乗れない高級スポーツカー,そして限られた人だけが操作できるレーシングカーなど,さまざまな車を駆り,実在する世界中のサーキットで白熱したレースを楽しむというゲームだった。
しかし今回,プレイヤーは車好きが集う「Horizon フェスティバル」に参加し,アメリカ・コロラド州をモチーフとした広大なオープンワールドを走り回り,各所で開催されるレースイベントに参加していくというスタイルになっているのだ。
イメージ的には「テストドライブ アンリミテッド」シリーズや「バーンアウト」シリーズに近いシステムになっている。
舞台になるのがサーキットではないため,ライバル車のほかに多数の一般車も走っている。したがって,レースが始まると頻繁に接触事故が起きる。また,いたるところにスピード違反を取り締まるオービスが設置されているが,実はこれ,いくつかのレースモードのために用意されているもので,一般車と接触してもスピード違反をしても,警察は来ないから安心してほしい。
目的地へ行くにはナビ機能を使うことになるが,いちいち移動するのは面倒という人のために「アウトポスト」と呼ばれる施設が各地に用意されている。そこでファストトラベル(つまりワープ)を使ってアウトポスト間を瞬時に移動すれば楽チンだ。ただし,ファストトラベルは有料で,お値段は少々お高め。
ゲームでは「PRスタント」と呼ばれる3つの課題に挑戦し,一つクリアするごとに割引され,3つすべてクリアすれば無料になる。けど,結構難しいんだわこれが。
また,コレクション要素も用意されており,道路脇に100か所設置されているディスカウントサイン(つまり看板)を破壊すれば,1つ破壊するごとにアップグレード費用が1%割引されるほか,レアな車が入っている小屋を見つければ,その車に乗れるようになる。
コロラド州をモチーフにした風景も見応えがある。田舎っぽい景色が広がっていたかと思えば,山間部へ入ると剥き出しの岩肌が圧倒的な迫力で迫り,トンネルを抜けると紅葉の森が美しかったりする。吹き上がる間欠泉を眺めていたらうっかり事故ってしまったこともあるが,キョロキョロしながらドライブするのは実に面白い。次第に日が落ちて夜になるなど,昼夜の移り変わりも再現されているので,いろんな景色を見ながら走り回りたい。
最初は寂しかったマップも,ゲームを進めるにつれてマークが増え,賑やかになってくる |
時間があれば,レアな車が眠る小屋を見つけよう。レストアしてもらえば,自由に乗れるようになる |
答えは簡単
ライバルよりも先にフィニッシュラインを通過するだけだ
本作に登場するレースイベントは,基本的に誰よりも先にフィニッシュラインを通過すればオッケーというピュアなもの。ここでは,各所で繰り広げられるレースイベントについて紹介しよう。
レースイベントは,8人のライバルとレースを戦う「フェスティバルレース」,自分と同じレベルのライバルとレースを行い,勝負に勝つとライバルの車が手に入る「ライバルレース」,あらかじめ用意された車を使い,飛行機や気球などより速くゴールすれば,その車が手に入る「ショーケース」のほか,ストリートレースハブに行って高額賞金のかかった多数のレースに挑戦できる「ストリートレース」が用意されている。また,道にも多数のライバル達(車の上に名前が表示されている)が縦横無尽に走り回っており,彼らの後ろにつけて合図を送れば即席レースが始まる。
これらのレースの開催場所はマップにアイコン表示されているが,レースイベントごとに使用できるマシンの種類,クラスなどに制限があり,(ショーケースを除いて)それに見合った車を所有していないと参加できない。
どのレースイベントも参加すると経験ポイントを獲得でき,そのポイントが貯まるとプレイヤーレベルが上がる。レベルはリストバンドの色で区別されており,レベルアップするごとにそのレベルに応じたレースイベントがマップに登場し,挑戦できる仕組みだ。
もちろん,上位クラスのマシンを使ったレースイベントに参加するために,新たな車を購入する必要が出てくるが,下位クラスの車をアップグレードして上位クラスのレースに挑むことも可能となっている。
ポイントが所定の値になるとスポンサーから報酬が贈られるし,人気はないよりあったほうがいいので,常にポイントを気にしたカッコいい走りを心がけたい。
名前のついたライバルカーにエンカウントバトルを申し込む際,賞金と難度が分かる。勝てそうならゴー |
ライバルカーだけでなく,飛行機や気球とレースをすることも。飛行機とのレースは,体験版でも楽しめる |
ただし,このポイントは加算されるまで若干のタイムラグがあり,加算前にクラッシュなどを起こすと消滅してしまうから油断できない。ドリフトを繰り返してポイントを稼いだけれど,ミスってすべて台なしなんてことが普通に起きるので,調子に乗って無理しなければ良かったと後悔することもしばしばだ。ともあれ,レースに勝つのは当然のこととして,あらゆるテクニックを使ってファンを沸かす走りが必要になる。このへんが,腕の見せどころだ。
往年の名車から最新スーパーカーまで
120台以上の車が競演
レースゲームの主役といえば,やっぱり車だ。本作には,世界中の自動車メーカーの実在する市販車が大量に収録されている。フェラーリ,ランボルギーニ,メルセデスベンツ,マクラーレン,アウディといった海外の有名メーカーのほか,トヨタ,日産などの国産メーカーも収録されており,現在のところ公式サイトで公開されている車種は120車種以上。つまり,毎日1台乗り回しても,すべて乗るには3か月かかるわけだ。
車種についても,Ferrari 430 Scuderia,Ferrari 458 Spider,Lamborghini Aventador LP700-4,Mercedes-Benz S 65 AMGといった最新車種はもちろんのこと,Abarth 500 esseesse,Audi Sport quattro,Ferrari 250 California,Lamborghini Miura P400など,カーエンスーにはたまらない往年の名車も収録されている。もちろん,いわゆるスポーツカーではない車種も多数登場するが,これまでのForzaシリーズに収録されていたコテコテのレーシングカーは登場しない。
登場する車はクラス分けされており,クラスによって操作の難度に違いがある。全体的な車の挙動は,アーケード寄りだ。
セッティングは,シリーズでおなじみのもので,エアロ,タイヤ&ホイール,エンジンなどの動力系,エアクリーナーやインタークーラー,マフラーなどの吸排気系,ミッションなどの駆動系向けに用意されたカスタムパーツを取っ替え引っ替えして,変化を楽しめる。自分に合ったパーツを一つずつ取り付けてもかまわないが,ワンタッチで最適なパーツを組み込んでくれるオートアップグレードもあるので,分からなくても心配する必要はない。
ディスカウントサインを1つ破壊するごとにカスタマイズ料金が1%割引に。マップにサインの位置が表示されるのもありがたい |
大小さまざまなダメージが再現されているが,プレイした限り,ダメージが挙動に影響を与えることはなかった |
また,初心者から上級者までドライブの楽しさを味わえるように,さまざまなアシスト機能が選択できる。ライバル車の速さやTCS(トラクションコントロール),ブレーキ,ボディダメージ,リワインド(巻き戻し機能)などについて設定が可能で,最初は多くのアシスト機能を使い,慣れてくるにつれて外していくことになるだろう。アシスト機能をうまく使ってレースを楽しんでほしい。
幅広い層で楽しめるゲーム性は健在
ステアリングでプレイすれば面白さ倍増
最後に,本作を楽しむためのコントローラについても触れておきたい。本作は標準のゲームパッドでも十分楽しめるが,猛烈にスピードが出せて,ステアリング操作に対する反応が軽やかなスーパーカーになると,一般車を避けたり,とっさにカウンターステアが必要なシーンなどでは操作が難しい。
そこでオススメしたいのが,Xbox 360 ワイヤレス スピード ホイールだ。ちゃんと操作できるの? というイメージを持つ人がいると思うが,想像以上に快適に操作できるので安心だ。設置の必要もなく,サッと取り出して使えるのも嬉しいところで,興味のある人は使ってみよう。
また,残念ながら生産が終了したXbox 360 ワイヤレス レーシング ホイールが,個人的に一番使いやすかったこともお伝えしたい。ステアリング,アクセル/ブレーキペダルが独立しているので,プレイフィールは最高で,ピーキーな挙動を示す車を走らせた場合も,細かいカウンターステアに対応でき,とっさの挙動変化にも自然に反応できる。また,凹凸のある路面での振動,反発力の再現などにより,車をコントロールしている楽しさが味わえるのだ。本作との相性は抜群なので,すでに所有している人しか使えないのが残念だ。
本作もKinect(キネクト)に対応しているが,ジェスチャーによるステアリング操作や視点移動には対応しておらず,音声認識のみサポートされている。この音声認識により走行中にGPSナビの行き先設定が行え,例えば「GPS」と言ったあと「ニアレスト」(レースイベント)→「フェスティバルレース」と続ければ,近いフェスティバルレースまでのルートが設定されるという感じだ。いちいちポーズしてマップを表示させ,カーソルで目的地を設定して……なんてまどろっこしいことから解放されるわけで,これはかなり便利。
「Forza Horizon」公式サイト
今回,一足お先に本作をプレイしたわけだが,シリーズ従来作とは異なる姿になったForzaは,かなりユニークなレースゲームに仕上がっている印象だ。全体を通してカジュアルな作りになっているので,Forzaシリーズをプレイしたことがないという人でも手軽に楽しめるし,今回は試せなかったが,マルチプレイでほかのプレイヤーと競えば,ベテランゲーマーでも,手に汗握るレースが満喫できるだろう。単純に高級スポーツカーをぶっ飛ばし,作り込まれた広大な土地を自由にドライブするだけでも魅力的で,現状はスピンオフ扱いとなる本作も,ぜひシリーズ化してほしいところだ。今回はアメリカ西部がモチーフだったが,例えば南の島や大都市なども面白いのではないだろうか。
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