［E3 2012］Ubisoftプレスカンファレンスまとめ。「Far Cry 3」や「Assassin’s Creed III」，新作「Watch Dogs」など見どころ盛りだくさん

Ubisoftのプレスカンファレンス会場となったLos Angeles Theatre

　アメリカ現時時間の2012年6月4日，ロサンゼルスの中心街にあるLos Angeles Theatreにおいて，Ubisoft Entertainmentが恒例のプレスカンファレンス「E3 2012 Ubisoft Media Briefing」を開催した。プレゼンターを務めたアイーシャ・タイラー（Aisha Tyler）さんは，女優としても活躍中のコメディエンヌだが，以前は「Halo: Reach」のお披露目にも顔を出すなど，ゲーム業界とは関わりの深い人物である。

　今年のUbisoftのプレスカンファレンスでは，気になる作品のうちいくつかは，公開されなかった。その中でも，Gearbox Softwareの開発する「Brother in Arms: Furious 4」（PC/PS3/Xbox 360）と，先ごろ発表されたばかりの「Tom Clancy’s Rainbow 6: Patriots」（PC/PS3/Xbox 360）は，どちらも2013年以降のソフトであるが，今回のカンファレンスで紹介されていないことは気になるところ。

　とはいえ，「Tom Clancy’s Splinter Cell: Blacklist」や「ZombiU」「Watch Dogs」などの新作発表はしっかりと行われ，割と盛りだくさんな内容となっていたのは確かだ。とにかく，タイラーさんのメリハリの利いたトークで紹介されたUbisoftの2012年後半〜2013年度のラインアップは，以下のようなものだった。

Just Dance 4 (0:18:25頃)

　カンファレンスのオープニングを飾ったのは，シリーズで2900万本という世界的なヒットを記録しているダンスゲームのシリーズ第4弾「Just Dance 4」（PlayStation 3 / Xbox 360 / Wii / Wii U）だ。本作にフィーチャーされる40曲のトラックの中から，リアーナの「Disturbia」やマルーン5の「Moves Like Jagger」，ニッキー・ミナージュの「Super Bass」といったノリの良いサウンドに合わせて6人の女性ダンサーが踊るなか，ラッパーのFlo-Rida本人が登場し，会場をいきなり盛り上げるという趣向になっていた。Just Dance 4では，プレイヤーがダンスの技を競い合うバトルモードがフィーチャーされている。


　PlayStation 3，Xbox 360，Wii向けに欧米では10月発売予定。Wii U向けのローンチタイトルでもあり，こちらには5人目のプレイヤーがゲームパッドでダンスルーチンを変更できるといった専用モードが搭載されるという。

Far Cry 3 (0:24:30頃)

　Ubisoftの本年度コア向け主力作品といえば，日本でも知名度の高いFPS最新作「Far Cry 3」（PC / PlayStation 3 / Xbox 360）である。今回のライブデモは，舞台となる島の住民と思われる，ボディペイントを施した半裸の女性の恍惚とした表情からのスタート。一人称視点によるアダルトなシーンというぶったまげな描写だが，どうやらこれは彼らの一員に加わるための，イニシエーションの一部であるらしい。プレイヤーキャラクターの左腕には謎めいたタトゥーが施されている。プレイヤーキャラクターが，ひれ伏す一族の前で，Faas率いる盗賊達から島を奪い返すよう鼓舞するという，初公開の展開が紹介された。


　その後，Faasの隠れ家と思われる場所に潜入するミッションへと移るが，本作ではクロスボウや火炎放射器といった武器がフィーチャーされている。Faasを追い詰めたと思ったところで妙な幻想シーンが始まってしまったのだが，ストーリーの筋立てが具体的に明かされたという収穫は大きい。ハンググライダーで飛び回ることもできるようで，孤島を空から堪能するのも楽しそうだ。PC，PlayStation 3，Xbox 360で，9月中に発売される予定となっている。

Tom Clancy’s Splinter Cell: Blacklist (0:35:10頃)

　「Tom Clancy’s Splinter Cell: Blacklist」（PC / PlayStation 3 / Xbox 360）は，すでにMicrosoftのプレスブリーフィングで目玉の1つとして公開された。Ubisoftのカンファレンスでは「Welcome to Fourth Echelon」という新たなトレイラーが公開され，アフリカ東部と思われる紛争地帯に潜入する主人公サム・フィッチャーが，遠方から援護してくれるスナイパー，そしてサムが救助した人物の3人で脱出するシーンが描かれている。
　カンファレンスではクリエイティブ・ディレクターのMax Beland氏が，前作「Splinter Cell: Conviction」より大幅に改良されたCo-opモードを搭載していると説明，おそらくプレイヤー同士で助け合う仕組みが用意されているものと思われる。


　Splinter Cell: Blacklistのストーリーは，アメリカ大統領からの命令にしか応えないという精鋭部隊“Fourth Echelon”を率いるサム・フィッシャーが，アメリカ本土への攻撃を企む12人のテロリストをブラックリスト化し，1人ずつ血祭りに上げていくというものになっている。これまでのシリーズとは随分と雰囲気が異なり，日が照る中で複数人を相手にするような戦いに焦点が当てられているようだ。現時点では，PlayStation 3およびXbox 360向けの発売が予定されている。

Avengers: The Battle for Earth (0:38:20頃)

　Ubisoftとしては珍しいMarvel Comicsからのライセンス作品となるのが，Xbox 360，そしてWii Uでの発売が計画されている「Avengers: Battle for Earth」で，もともとはTHQが発売する予定だった作品であるようだ。もちろん，人気アクション映画となった「アベンジャーズ」に登場したアイアンマンやソーを中心に，20人ほどのキャラクターから選べるという解説が行われているが，現時点ではジャンルまでは公表されていない。ストーリーは，異星人“スクラルズ”の侵略を描いたコミック「Secret Invasion」をベースにしているらしい。

Rayman: Legends (0:41:15頃)

　すでにWii Uのローンチタイトルとなることが発表されているのが，Ubisoftの看板キャラクターの1人“レイマン”の最新作となる「Rayman: Legends」である。今回は，任天堂のプレスカンファレンス以外では初めてと思われる，Wii Uのデモ機を利用したライブデモが行われ，Wii UゲームパッドならびにPro Controller2台による，3人のCo-opモードが紹介された。


　このRayman: Legendsで新たに登場するのが，羽根の生えたカエルのような“マーフィ”というキャラクター。飛行にはタッチ操作のほうがコントロールしやすらしく，高所にあるパズルやオブジェクトをマーフィが担当することで，スムーズな連係プレイを実現できていたのが印象的だ。
　また今回はWii Uゲームパッドならではの遊びとして，ゲームパッドのスクリーンに限り，目の玉のようなボタンがマップ上に表示されており，プレイヤーはそれを押していくことで音楽を奏でるという，リズムゲームの要素を取り入れた新モードが公開された。

ZombiU (0:47:05頃)

　「ZombiU」に関しては，ほとんど情報は明らかになっていないが，Wii U専用の18禁FPSとして開発中されているという。現時点では，ロンドンを舞台にしたゾンビものだということくらいしか分からない。詳しくは別記事を参照していただきたい。

Assassin’s Creed III (0:51:45頃)

　すでにE3 2012関連の記事を複数掲載済みだが，Ubisoftで現在最も人気があるシリーズの作品「Assassin’s Creed III」（PC / PlayStation 3 / Xbox 360 / Wii U）も，今回のプレスカンファレンスでみっちりと紹介された。


　上映されたのは1776年冬の時代設定となる10分ほどのライブデモ。Assassin’s Creed IIIは，これまで以上にアクションにフォーカスされたゲームプレイになっており，複数の敵が一度に襲ってくるのを，プレイヤーキャラクターはスムーズに回避したり，相手の動きをいなして武器を取り上げたりと，モーション面での大きな改善が見られる。
　フリーランニング要素では，新たに手の動作を取り入れており，枝につかまりながら木から木へと移っていけるほか，ロッククライミングもできるようになっている。雪深い場所では歩行速度が遅くなるというような，細かいながらもゲームプレイに非常に重要な役割を果たすシーンも，映像で見られる。


　18世紀後半のアメリカが舞台になっているものの，依然「アサシン集団 vs. テンプル騎士団」という根本的な敵対構造は変わっていないようだ。ジョージ・ワシントンら歴史人物が登場する，史実と空想が見事に融和した作品だけに，イギリスからの独立戦争を通して何が浮かび上がっていくのかという，ストーリーの展開に興味をそそられる。日本でもシリーズを重ねるごとにファンを増やしているアクションアドベンチャー最新作は，北米で10月30日の発売がアナウンスされている。

Shootmania Storm (1:08:10頃)

　「Shootmania Storm」は，プレイヤーが自分自身でマップを作成するという，UCC（ユーザー・クリエイテッド・コンテンツ）の要素を取り入れることで人気を得ているNadeoの新作である。今回のデモは，「Team Fortress 2」などの大会優勝者である男女6人を集めてチーム対戦を行うという趣向になっていたが，マップだけでなくゲームのルールをプレイヤーが決定できるのもShootmania: Stormの特徴であるらしい。


　今回は，防御側の3人と強力なレールガンを持った攻撃側1人，というゲームを順番にこなし，計6回の対戦を行うという遊び方が紹介されていた。どれも1分ほどで決着がつくようになっており，ゲームを見守る攻撃側の2人も，それほど退屈にはならない模様。結果は男性チームが勝利したが，この続きはE3エキスポ会場でも行われるという。

Watch Dogs (1:17:15頃)

　UbisoftのCEO，イブ・ギルモ（Yves Guillemot）氏自らが登場し，今回のプレスカンファレンス最大のシークレットとして紹介したのが，Ubisoft Montrealが開発する新作「Watch Dogs」である。こちらも，別記事で詳しく解説しているので参照していただければと思う。公式ムービーも公開されているので，リンクしておこう。

UbisoftのCEOであるYves Guillemot氏。カンファレンスの最後に「Watch Dogs」を電撃発表した

　Watch Dogsは，電力会社の従業員が自社のグリッドにバグをインストールした結果，暑い夏の盛りに大停電が発生してしまい，16人もの命が失われたという2003年にニューヨークで発生した実際の事件を元にしている。その対策として，アメリカの大都市は俗に“スマートグリッド”と呼ばれる電波や回線の統合的コントロールを推し進めるのだが，それが逆にハッカーにとっては都合の良いものになってしまった，という設定だ。


　主人公エイデン・スピアーズは，ハッキングを生業とする犯罪者なのか，それともハッキングを通じて悪を裁く陰のヒーローなのかは分からないのだが，とにかくハッカーだ。携帯電話の傍受や信号のジャックなどをうまく利用し，狙ったターゲットを追い詰めていくことになる。Ubisoftお得意のステルスアクションゲームではあるものの，その世界感が非常に格好良く，今回のカンファレンスのサプライズに相応しい，納得の作品であったといえるだろう。

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