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「鉄拳タッグトーナメント2 アンリミテッド」の5on5トーナメント「MASTERCUP.6」をレポート。日韓の強豪達による混成チームが優勝
もともとは富山での開催が通例となっていた本大会だが,前回の「MASTERCUP.5」から,開催地を東京に変更。東京レジャーランド パレットタウン店での開催は,今回で2度目となる。参加したのはなんと150チーム,750人。前回の125チーム,625人を上回る参加者が集まった。
また,本大会には,「実力で日本に勝るのではないか」と言われている韓国から,精鋭5名を集めたドリームチームが参戦。そのほか,「鉄拳5 DARK RESURRECTION」時代に来日し,日本中の鉄拳王を降格させて日本のプレイヤーに衝撃を与えたqudans選手が日韓混成のチームで出場するなど,見どころの多い大会となった。鉄拳プレイヤーなら誰もが気になる本大会をレポートしていこう。
大会の模様は,ニコニコ動画の公式生放送による中継も行われ,のべ13万人以上の視聴者数を獲得。写真は実況のげんや氏(左)と,解説のハメコ。氏(右) |
協賛のMad Catzブースでは,Tシャツなどが販売されていたほか,試遊台が設置されており,プレイヤー同士による対戦が行われていた |
「MASTERCUP」公式サイト
「鉄拳TAG TOURNAMENT2」公式サイト
1次予選
1次予選は,1ブロック4〜5チームによるトーナメント戦で,全31ブロック。ここで,全150チームが31チームへと絞り込まれる。負けが許されない厳しい形式の予選だが,強豪と見られるチームのほとんどは,順調に予選を突破していた。
強豪チームとは別の意味で注目を浴びていたのが,チーム「原田いったらんかい」。鉄拳シリーズのプロデューサーである原田勝弘氏や,ディレクターである米盛祐一氏らが参加しているという異色のチームで,その試合を一目見ようと,多くのギャラリーがその周囲に集まっていた。
2次予選
出場チームの平均レベルがぐっと上がってくる2次予選では,1次予選と敗者復活戦で勝ちあがった全32チームを8ブロックに分けての試合が行われた。決勝トーナメントへは,各ブロックを勝ち抜いた1位のチームのみが駒を進められる。
波乱が起きたのは「しゅうでぃプロデュース」対「TEAM GREEN ARCADE」の試合だ。TEAM GREEN ARCADEは,韓国のトッププレイヤー5名によるドリームチームで,世界最強プレイヤーとの呼び声が高いKnee選手のほか,直近の世界大会で優勝を収めたSaint選手,闘劇優勝経験を持つ古豪Nin選手など,そうそうたる面子が勢揃いしており,今大会の優勝候補ナンバーワンと目されていた。
TEAM GREEN ARCADEの試合は,旅費などを負担したというグリーンアーケードゲームセンターのオーナーが静かに見守っていたのが印象的だった |
現在は,韓国TVの専門チャンネルで,鉄拳の大会の解説などを務めるNin氏。大舞台の経験が多く,大会での勝負強さに定評がある |
しかし,この試合でしゅうでぃプロデュースのしゅうでぃ選手が大爆発。Knee選手から金星をあげて勢いに乗ると,続くNin選手,Saint選手,knee選手,MoQ選手を続けざまに破り,破竹の4連勝でチームを勝利に導いた。
決勝トーナメント
激しい予選を勝ち進み,決勝トーナメントに駒を進めたのは以下の8チームだ。
※選手名は敬称略,エントリー時の並び順。
「大日本風力発電所(外伝)」 スペシャルハんマーs/LEE・DRA,弦キッズ/BOB・LEO,ゆったりゆーき/LAW・LEE,くりくん/LIL・LAR,ゆーた/LEO・HWO |
「しゅうでぃプロデュース」 しゅうでぃ/LEE・JIN,こうすけ/KAZ・HEI,ぉわた/YOS・ALI,ペールナ/JAY・GAN,蜃気楼/KAZ・JIN |
「まさかりマスターズ」 オカティ/BOB・JIN,カジ/ZAF・LAR,ダンディー/KAZ・HEI,とってぃー/LAR・BOB,ダブル/LAW・NIN |
「たいせいの為に」 たたたたたたたいせい/BRU・JAC,5フレ猫にゃんちゅー/JAC・GAN,しゃな/LAR・BOB,SHOへい/PAU・GAN,いえもん/XIA・HEI |
「セレムラコーポレーションX」 じんぺー/KAZ・HEI,ミスター/HWO・YOS,ノブ/DEV・HEI,ゆき/JAY・ARM,りょう/DEV・HEI |
「東京エクストリーム鉄拳クラブ」 ノビ/DRA・LAR,ユウ/FEN・LEO,古水/LEI・DRA,BKC/BRY・BRU,影丸/JAC・BRU |
「24時間チクリンTV『鉄拳はチクリンを救う』」 チクリン/DEV・LAR,KEISUKE/KAZ・DRA,むらくも/BOB・JIN,まふゆ/BRY・BOB,タイカレー/FEN・LAR |
「AOちゃん大好きーキスして」 FRB AO/ALI・MIG,Secret/BOB・BRU,ZEUGARU/OGR・JAC,qudans/KAZ・DEV,PON/KIN・MAR |
8:00に開始された予選トーナメントが終了し,決勝トーナメントが始まったのは19:00を過ぎた頃。選手たちの疲労も溜まってくる頃合だが,予選とは比べ物にならないハイレベルな試合が予想されるため,選手たちは気を引き締め直している様子だった。
決勝トーナメントの対戦カードは,くじ引きによって順番を決め,その順に従ってトーナメントのスタート位置を選択していく,いわゆるK-1方式(フォーチュンボックス式)によって決定された。
準決勝では,「AOちゃん大好きーキスして」と「東京エクストリーム鉄拳クラブ」が激突。前者は,「MASTERCUP.5」の準優勝メンバー3人に,伝説のプレイヤーqudans選手と,韓国の強豪Secret選手を加えた日韓混成チーム,後者は日本を代表するプレイヤーであるノビ選手をはじめとする,関東のトッププレイヤー5人のチームだ。
この試合の勝敗を分けたのは,qudans選手とノビ選手の試合だ。先に2セットを連取したノビ選手が,とどめのコンボをミスしてしまい,そこからまさかの逆転負け。これで息を吹き返した大将のqudans選手は,続く副将のユウ選手,大将の影丸選手を続けざまに破り,土壇場からの3人抜きで,チームを決勝戦へと導いた。
決勝戦は,「AOちゃん大好きーキスして」と「大日本風力発電所(外伝)」の戦いとなった。この試合では,若干13歳ながら日本トップクラスの実力を持つ弦キッズ選手に注目が集まったが,AOちゃん大好きーキスしてのSecret選手が逆転勝利。その後は決勝戦にふさわしい一進一退の勝負が続いたが,AOちゃん大好きーキスしてのPON選手が副将のゆーた選手,大将のスペシャルハんマーs選手を破る活躍を見せ,見事優勝を決めた。
優勝チーム「AOちゃん大好きーキスして」の韓国プレイヤーqudans選手,Secret選手にインタビュー
4Gamer:
優勝おめでとうございます。朝8:00の開始から,すでに15時間ほど経過していてお疲れだと思いますが,今日1日の感想をお聞かせください。
韓国の大会は,2試合先取や3試合先取の形式が一般的ですが,今回は一発勝負だったので,自分の実力がちゃんと発揮できるか不安でした。そのため,試合中にとても緊張してしまったのですが,優勝という最高の結果を残すことができたので非常に嬉しいです。
qudans選手:
優勝できたことは非常に嬉しく思います。ですが,それ以上に嬉しかったのは,6年前に来日したときに戦い,そして友達になった鉄拳プレイヤー達と再会できたことです。そして,その友達と,同じ舞台で戦うことができた……。兵役のために,一度辞めることになった「鉄拳」というゲームにまた戻ってきて,本当に良かったと思います。
4Gamer:
長いブランクがあったと思いますが,兵役を終えてまた鉄拳をやり始めたときには,どのような苦労があったのでしょうか。
最初は,コマンド入力の精度や対戦の感覚など,いろいろなものが欠如してしまっていて,対戦の内容もひどいものでした。何よりも辛かったのは,周りからそういったプレイを見られて,昔のプレイと比較されることでしたね。ですから,今回の大会に参加を決めたときも,「昔の私のようなプレイを,皆さんの前で見せることができないのではないか」という重圧を感じていました。
4Gamer:
実際の試合では,素晴らしいプレイと活躍を見ることができました。qudans選手の試合では,ひときわ大きな歓声があがっていたと思います。
qudans選手:
ありがとうございます。
4Gamer:
最後に,日本の鉄拳プレイヤー達にコメントをお願いします。
Secret選手:
韓国と日本の鉄拳のプレイスタイルは大きく異なると思います。日本のプレイヤーは手数がとても多くて,連携も豊富なので勉強になりました。あと,試合の応援で大きな声を出すところとか(笑)。日本と韓国,どちらのスタイルが良いとか悪いということではなく,どちらにも長所があると思います。ですから,お互いにその良い部分を吸収して,ライバルとして競い続けることができたらいいですね。
qudans選手:
今日は本当に素晴らしい一日でした。日本にたくさんの友達ができたのも,その友達に再会できたのも,すべて鉄拳というゲームのおかげです。ですから皆さん,鉄拳をプレイし続けましょう(笑)。
4Gamer:
また大きな大会で,日本と韓国の熱い戦いが見られることを期待しています。ありがとうございました。
MASTERCUP.6が終了したのは,23:00頃のこと。15時間にもおよぶ大会となっただけに,選手達もさすがに疲労を感じているかと思ったが,大会が終わり実際に彼らの顔に浮かんでいたのは,笑顔と涙だった。
数々の名勝負が生まれ,数々のドラマが生まれた本大会を見ていて,格闘ゲームの歴史に新たなる1ページを書き加えていくのは,ほかならぬユーザー自身なのだと,改めて思い知らされた次第だ。
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