レビュー
AR機能でキミの周りの電波人間をキャッチせよ! ニンテンドー3DS「電波人間のRPG」のレビューを掲載
また4Gamerでは,本作のディレクター兼プロデューサーであるジニアス・ソノリティの山名 学氏と,サウンドディレクターとして楽曲を手掛けたベイシスケイプの崎元 仁氏のインタビュー記事を掲載しているので,気になる人はぜひ目を通して欲しい。
「電波人間のRPG」公式サイト
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・「電波人間のRPG」という作品は,どのようにして生まれたのか。そしてサウンドをベイシスケイプが担当した理由とは? プロデューサーの山名 学氏と,サウンドディレクターの崎元 仁氏に聞く「電波人間のRPG」の目的は,主人公となる“電波人間”が魔王にさらわれた大事な人を助け出すという,RPGとしてはオーソドックスなもの。本作の面白いところは,捕まえて仲間にする電波人間が“実際の電波”と連動している点で,実際に“電波”(無線LAN対応機器が発する電波)のある場所に行き,AR機能を通じて漂っている電波人間を捕獲して仲間にし,パーティを組んでダンジョンを冒険していくのだ。
漂う電波人間をカメラでキャッチせよ!
ゲームでは最初に,パーティを組むための電波人間を捕獲して,仲間にするところから始めることになる。拠点となる「デンパ島」で「アンテナ塔」を選ぶと,ニンテンドー3DSのカメラが起動して“キャッチ画面”が表示される。カメラに映し出された風景に,AR機能によって電波人間が出現するので,それを捕獲するという仕組みだ。
捕獲する場所によって,体の色,頭の形,体型,アンテナ,顔つき,名前など,個性の異なる電波人間達が現れる。電波人間の姿形は,パラメータや特技などにリンクしていて,たとえば体型ならHPや素早さ,体の色なら属性耐性,アンテナなら特技の種類などに影響する。パラメータや特技などのデータは,捕獲したときに確認が可能だ。
なお,キャッチ画面で体が光っている,レアな電波人間が見つかることがある。レアな電波人間は,全体攻撃や特殊な特技など,一般の電波人間にはない特徴を持っている。
主人公となる電波人間の姿形は,ゲームをやり直したら名前やルックスなどが変わっていたので,ランダムで決まる模様。ただし「アンテナ」の能力は“ふっかつ”に統一されていた |
電波人間達は,Aボタンを押すと発射されるネットを使って捕まえられるが,空中を飛び回っているうえに,こちらの気配を察知して逃げてしまうこともある。3DS本体を動かして電波人間を画面内に収め,方向を見定めて捕まえるといいだろう |
筆者が確認した限り,さまざまな場所で捕獲した電波人間の中に,まったく同じ姿形のキャラは見つけられなかった。しかし,別のニンテンドー3DS本体で確認してみたところ,同じ場所に同じ電波人間が出現したので,おそらくは,電波を発する無線LAN対応機器のMACアドレスなどから,姿形が決まってくるのではないかと思われる。
さまざまな種類の電波人間を捕まえるには,やはり外出するのがオススメだ。駅や喫茶店のような,公衆無線LANのアクセスポイントがある場所に行ったり,ニンテンドーWi-Fiステーションのような,Wi-Fi機器を持った人が集まりそうな場所に行ったりすれば,さまざまな電波人間と出会えるはずだ。
なお,捕まえた電波人間は,QRコードを使って配布することもできる。自分の行動範囲内で電波人間を見つけられないという人は,友達からもらったり,本作の公式サイトなどから電波人間を仲間にしてみたりするといいだろう。
電波人間ハウスに戻ってくれば,リーダー以外のパーティメンバーをいつでも入れ替えられる。ダンジョンに適した電波人間を連れていこう |
捕まえた電波人間は,QRコード化してほかのプレイヤーに渡すことができる。ゲームを進めると,島のパソコンから読み込めるようになる |
オールドスタイルのダンジョンRPGで活躍するキュートな電波人間達
敵のシンボルは,パーティに気付くと追いかけてくる。気付かれる前に背後から接触すれば,先制攻撃できることもある |
ダンジョン内には,回復できる場所や,外へのワープホールなども用意されている |
システムは,オーソドックスなダンジョンRPGの体裁が採られている。ダンジョン最深部まで進み,そこにいるボスを倒すことでクリア,次のダンジョンに挑戦できるようになる――というスタイルだ。なおダンジョンの形状は固定で,シンボルエンカウント制が採られている。
ダンジョンの構造はそれほど複雑ではなく,歩いた場所のマップなども下画面に表示されるので,道に迷うようなことはあまりないだろう。また,ダンジョンごとに推奨レベルが表示されるという親切設計だ。ただし,ダンジョンごとに指定されている推奨レベルを満たしていても,属性などの相性を考慮しないと手こずることもあるので,注意が必要だ。
戦闘時,電波人間達のターンが続くときは,“総攻撃”でまとめて処理されるなど,要所にユーザーフレンドリーで遊びやすい仕様が見られる |
ダンジョンの敵キャラクターもかなり個性的だ。毒や麻痺などの特殊攻撃をしてくる敵もいるので,それに対応できる電波人間を連れていこう |
最初に捕獲できる電波人間の数は最大18人となっており,以降,特定のダンジョンやイベントをクリアすると,電波人間をストックできる数が増えていく。パーティメンバーは最初は最大4人で,ゲームを進めることで最大8人まで増えていく。
なお,捕獲できる電波人間のレベルやデンパ島にいる控えの電波人間のレベルは,主人公のレベルに合わせて上昇するようになっている。捕獲した電波人間のレベル上げのような作業はほぼ不要なので,安心してほしい。
先に少し触れたように,電波人間は“アンテナ能力”を持っており,これは一般的なRPGの魔法に相当するものだ。
ただ,1人の電波人間が覚える能力は1種類だけなので,ゲームを進めていくと,ダンジョンに登場する敵に合わせて,パーティメンバーを入れ替えていくのが定石となる。
敵の攻撃属性に対する耐性は,電波人間の色が関連しているので,できる限り多彩な種類の電波人間を捕獲しておいたほうが,ゲームを有利に進められるというわけだ。
アンテナ能力はAP(アンテナパワー)を消費して使用する。敵を攻撃するものだけでなく,味方を補助したり回復させたりするものなど多数存在する |
電波人間達は色に応じた耐性や弱点を持つが,服を装備することで弱点を補ったり耐性を強化したりできる |
最新の技術とレトロなゲームシステムの融合が新しい面白さを生み出す
「電波人間のRPG」は,コマンド式バトルを採用したオーソドックスな作りで,いわばレトロな手触り感を再現しているタイトルだが,ニンテンドー3DSというハードの機能を活かし,カジュアルで新しい楽しさの方向性を打ち出していると感じられた。
電波人間達を集めていくこと自体が,まるで昆虫採集のような感覚で実に面白く,またいかに身の回りに無数の電波が飛んでいるのかを,その目で確かめることもできるのだ。
筆者はこの“電波人間探し”に見事にハマってしまい,電波人間を集めるために,いろいろな場所に3DSを持って出かけてしまったほどだ。
電波人間を集めたり,彼らの服や装備品を集めるコレクション的要素も用意されているなど,遊びとしてのボリュームも十分に備えている。価格のわりにお得感のあるタイトルであるのは確実だ。
本作の面白さの一部は,本編とは別に無料で配信されている体験版で味わうことができる。プレイできる回数は30回まで,パーティは4人まで(パーティ以外に15人まで集められる),プレイできるのは最初のダンジョンである“デンパ島のどうくつ”だけ,という制限はあるが,本作の“手触り”を確認するには十分なはず。
体験版のデータは製品版に引き継ぐこともできるので,“ニンテンドーゾーン”対応店舗などからインターネットに接続して,本作の体験版をダウンロードしてみてほしい。
「電波人間のRPG」公式サイト
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