プレイレポート
「UFC Undisputed 3」で「PRIDE」がリボーン!? 日本の総合格闘技ファンが待ち望んでいた本作の見どころをチェック
ここでは,格闘技ファン目線で新要素を中心にインプレッションをお届けする。
UFCとは,金網に囲まれたオクタゴンの中,2人の男が打撃,投げ,関節技を駆使して闘う格闘スポーツである。本作は,それをアクションゲーム化したもの。
ゲーム内に登場するのは,実際の競技で活躍している総勢150名以上ものファイター達と,自分でクリエイトできるオリジナル選手。そして,彼らを使ったオンライン対戦にも対応している。
見よ,研ぎ澄まされたファイター達の肉体の再現度。体を伝う汗や,傷やあざといったダメージ表現がリアルタイムに変化していく様子もまた,高い臨場感を生み出す |
現在進行形のUFCの再現度はバッチリ。つい先日,日本で開催された,UFC 144で目の覚めるような熱戦を繰り広げたフランク・エドガー vs. ベンソン・ヘンダーソンもこのとおり! |
「UFC Undisputed 3」公式サイト
■登場選手
UFCヘビー級 | UFCライトヘビー級 | UFCミドル級 |
Antonio Rodrigo Nogueira | Antonio Rogerio Nogueira | Alan Belcher |
Ben Rothwell | Brandon Vera | Anderson Silva |
Brendan Schaub | Chuck Liddell※ | Chael Sonnen |
Brock Lesnar | Cyrille Diabate | Chris Leben |
Cain Velasquez | Dan Henderson | Court McGee |
Cheick Kongo | Forrest Griffin | Demian Maia |
Frank Mir | Jason Brillz | Jorge Rivera |
Gabriel Gonzaga | Jon Jones | Kendall Grove |
Junior Dos Santos | Lyoto Machida | Mark Munoz |
Mirko Crocop | Matt Hamill | Michael Bisping |
Pat Barry | Mauricio Rua | Nate Marquardt |
Roy Nelson | Quinton Jackson | Rousimar Palhares |
Sean Mccorkle | Rashad Evans | Wanderlei Silva |
Shane Carwin | Rich Franklin | Yoshihiro Akiyama |
Stefan Struve | Ryan Bader | Yushin Okami |
Travis Browne | Thiago Silva | |
Tito Ortiz | ||
Vitor Belfort | ||
Vladimir Matyushenko |
UFCウェルター級 | UFCライト級UFCフェザー級 | Carlos Condit | Bj Penn | Kenny Florian | Chris Lytle | Clay Guida | Chad Mendes | Dan Hardy | Dennis Siver | Cub Swanson | Diego Sanchez | Evan Dunham | Diego Nunes | Dong Hyun Kim | Frankie Edgar | Erik Koch | Georges St. Pierre | George Sotiropoulous | Fredson Paixao | Jake Shields | Gray Maynard | George Roop | Jon Fitch | Jim Miller | Javier Vazquez | Josh Koscheck | Joe Stevenson | Jose Aldo | Martin Kampmann | Melvin Guillard | Josh Grispi | Matt Serra | Ross Pearson | Leonard Garcia | Matt Hughes | Sean Sherk | Manvel Gamburyan | Mike Swick | Takanori Gomi | Mark Hominick | Nate Diaz | Anthony Pettis | Mike Brown | Paulo Thiago | Ben Henderson | Raphael Assuncao | Thiago Alves | Donald Cerrone | Tiequan Zhang | |
UFCバンタム級 | PRIDEヘビー級 | PRIDEミドル級 |
Norifumi Yamamoto | Antonio Rogerio Nogueira | Anderson Silva |
Antonio Banuelos | Bob Sapp | Antonio Rodrigo Nogueira |
Brad Pickett | Dan Severn※ | Carlos Newton |
Brian Bowles | Don Frye | Chuck Liddell※ |
Charlie Valencia | Gary Goodridge | Dan Henderson |
Chris Caraiso | Gilbert Yvel | Kazuhiro Nakamura |
Damacio Page | Heath Herring※ | Kevin Randleman |
Demetrious Johnson | Kevin Randleman | Mauricio Shogun |
Dominick Cruz | Mark Hunt | Murilo Bustamante |
Eddie Wineland | Mark Coleman※ | Murilo Ninja |
Joseph Benavidez | Mirko Crocop | Paulo Filho |
Miguel Angel Torres | Phil Baroni | |
Renan Barao | Quinton Jackson | |
Scott Jorgensen | Sokoudjou | |
Takeya Mizugaki | Vitor Belfort | |
Urijah Faber | Wanderlei Silva |
PRIDEウェルター級 | PRIDEライト級 |
Akihiro Gono | Jens Pulver |
Anderson Silva | Marcus Aurelio |
Carlos Newton | Takanori Gomi |
Dan Henderson | |
Denis kang | |
Murilo Bustamante | |
Royce Gracie | |
Ryo Chonan | |
Wanderlei Silva |
※「※」の付いている選手はゲーム内ショップで購入すると,プレイヤーキャラクターとして使用可能になる。なお,複数の階級にまたがって名前のある選手は,それぞれの階級で戦ったときの容姿や能力となっている
列挙した選手名を見て「えっ?」と思った人もいるだろうが,日本の総合格闘技ファンにとって大きな目玉の一つが,2000年代に一大ブームを築き上げた日本発の総合格闘技,「PRIDE」の選手までが含まれたラインナップだ。もちろん,PRIDEルールでの試合も可能だ。
昨今の格闘技事情に明るくない人は「なんでUFCのゲームにPRIDEが入ってるの?」と思うかもしれないが,実はPRIDEは,2007年にUFCを運営するZuffa社のオーナー,ロレンゾ・フェティータ氏に買収されており,そのため現在はPRIDEにまつわる各種権利を,UFC側が自由に行使できるようになっているのだ。
一方で,日本では元PRIDEファイターがテレビ出演するときなど,当時の試合の模様が写真で紹介されることはあっても,映像が流されることはほぼない。が,PRIDEの過去の名勝負が北米ではテレビ放送されていたりして,日本のPRIDEファンにとっては何だか残念きわまりない状態になっている。
ゲームに話を戻そう。UFC Undisputedシリーズの開発を担当しているのは,プロレスゲーム「WWE」シリーズなどで知られるユークスである。そのため,“日本生まれのPRIDEがアメリカ資本に買われて,さらにそのゲーム化を日本のメーカーであるユークスが手がける”という,何となくややこしい状況となっている。
シリーズが1ケタの頃からPRIDE観戦にハマり,関東圏での興行は皆勤,ときには地方まで“密航”していたほど入れあげていた筆者としては,一言では説明できないむず痒い気持ちになるワケで……。
ちなみに本作,UFC Undisputed 3はシリーズ3作目ということもあり,いろいろな要素が充実していて,“かゆい所に手が届く”こなれた仕上がりであることも付け加えておきたい。各モードのざっくりとした説明は,下記を参照してほしい。
■ゲームモード
■カスタムモード
■オンラインモード
名勝負を再現する「アルティメットファイトモード」は
“60億分の1”級の熱さ!
基本操作は前々作「UFC 2009 Undisputed」(PlayStation 3 / Xbox 360),前作「UFC Undisputed 2010」(PlayStation 3 / Xbox 360)とほぼ同じ。左スティックで移動して,四肢に対応した4ボタンで打撃を繰り出す。右スティックは,タックルやクリンチ,ポジションチェンジなど,状態変化のために使用する。体の各部位は試合を進めていくとダメージが溜まっていくため,エネルギー(スタミナ)とともに管理が重要となる戦略性の高さも,前作と同様だ。
攻防のシステムの中で大きく変更されているのが,サブミッション(関節や締め技)だ。前作まではサブミッションを仕掛ける(仕掛けられる)と右スティックをひたすらグルグルと回すことを,技が極まるまでの攻防としていたのだが,今作では画面中央に表示される八角形のゲージを使って行う。
ゲージの中には赤・青コーナーそれぞれの選手を示すバーがあり,両者がそのバーを右スティックで操作して重なりあうと“極め”の状態が進んでいくという仕組みだ。
細かに説明するといささかややこしいが,要は攻める側にとっては“自分のゲージを相手のゲージに重ねればOK”で,守る側は“自分のゲージを相手のゲージに重ねられないように逃げればOK”ということ。プレイしてみれば,直感的に理解できるはずだ。
前作のスティックグルグルも力が入って好きだったが,今作のシステムのほうが,ずっとスマートにサブミッションの攻防が楽しめるだろう。
さて,今回初登場の新モードが「アルティメットファイトモード」,いわゆる“名勝負再現モード”だ。
「ベストオブ・PRIDE」「アルティメット・サブミッション」「アルティメット・ノックアウト」「アルティメット・ライバル」「アルティメット・アップセット」の5つのカテゴリからなる,29試合の中から再現したい試合を選ぶと,試合中に「相手の攻撃を受けずローキックを当てろ」といったタスクが次々と出現するので,それぞれを制限時間内に達成していくことが目的となる(一部の試合を再現するには,別途DLCの取得が必要)。
条件を達成するごとに,ゲーム内ショップでの買い物に使えるポイントや,選手のカスタマイズ用アイテムが入手できるのだが,それ以上に楽しいのは,やはり自分の手で“あの時”の名勝負を再現できてしまうこと。まだPRIDEの“外敵”だったミルコをノゲイラが十字で仕留める姿には,やはり心が震えるワケで……(遠い目)。
格闘テーマパークに熱狂した“あの頃”に戻れる
「PRIDE」要素の数々に涙
本作から搭載されるPRIDE要素で,何が一番ウレシイかと言えば,メインテーマと勝利のテーマが収録されていること。現在がんばっているMMAファイターの皆さんには恐縮しきりなのだが,観る側としてはやはり「ダン・ダン・ダダン!」の旋律を耳にすると,心が“あの頃”にタイムスリップして熱くなってしまうのですよぉぉ!(炎上)
……具体的な説明を続けます。PRIDE形式の試合は,エキシビション(オンライン含む)で選択可能。また,アルティメットファイトモードに,「ジャクソン vs. シウバ」「ヒーリング vs. ノゲイラ」「ショーグン vs. ジャクソン」「ダンヘン vs. ノゲイラ弟」「ミルコ vs. ヒーリング」「ノゲイラ vs. ミルコ」の6試合が用意され,キャリアモード中にPRIDEに参戦することもある。
補足だが,PRIDEルールで,PRIDEファイター vs. 現役UFCファイターというマッチメイクも可能。こうした時空を超えたドリーム(あ!)マッチが楽しめるのも興味深い。
初期設定でのPRIDEルールは,10分,5分,5分の変則3ラウンド制。グラウンド状態にある相手へのヒザ,踏みつけ攻撃も認められる。ゲーム的な視点で語るなら,10分という長いラウンドで,かつ踏みつけありなので,ロック(ふらつき)状態になりやすく,よりスリリングな試合展開になりやすいと感じた。
演出面の再現度もかなりのもので,“PRIDEの聖地”とまで呼ばれた「さいたまスーパーアリーナ」を舞台に,巻き舌でオナジミのレニー・ハートさん(青二プロダクション所属)の呼び込みに乗って花道を歩く選手を眺めていると,あまりの郷愁に胸が熱くなる。
ほかにも,流血した際に試合を中断してのドクターチェックがあったり,勝利時のレフェリーカメラが再現されていたりと,細かい点まで再現は及んでいる。リングアナの顔が巨大バルーンに映し出される……といったビックリ演出までは期待していなかったが,「どうせ選手とリングとルールぐらいだけでしょ」という先入観を抱いていただけに,これほどまでに“らしさ”が再現されていたことは,嬉しい誤算であった。
と,ナイスな点ばかり書いてきたが,やっぱりマニアなので不満点も見えてきてしまう。選手一覧でもお分かりのとおり,PRIDE側の登場選手が少ないのだ。想像するに権利関係とか大人の事情がたくさんあるのは分かるものの,桜庭和志やエメリヤーエンコ・ヒョードルといったPRIDEを代表する人気選手の姿が見られないのはやはり残念。いや,結局はクリエイトでなんとかするんですけどね。
また,無差別級のマッチアップが不可能なのもやや残念ではある。競技化が進むUFCを再現するにあたってあり得ないのも分かるし,ゲームバランス的には破綻するのだろうけど,“ゲームでしか実現できないこと”を,もっと楽しんでみたかった。
また,音声関係にも少々ツッコミたい。それは,試合中の実況・解説が英語である点だ。そもそもはUFCのゲームであるし,PRIDEの現在を考えれば仕方がないのだろうが,日本語での実況・解説にも対応してほしかったと思う。ゲームを入り口に,UFCに興味を持つ人だっているかもしれないのだし,そのための環境作りには万全を期してほしかったなぁ,と。
ついでに,レニー女史の声はホンモノだけど,リングアナとレフェリーが別人。姿や声は似ているし,ちゃんと日本語でしゃべるんだけど,ちょっとした違和感が残るだけに,余計に気になるというか。
ほかにも,インターバル中の曲が原曲じゃなかったり(なぜか「武士道」の曲っぽい),PRIDEガールが造形的にいまいちだったりとか,「煽りV」ねぇのかよ(絶対ムリ)とか,気になる点はちょいちょいある。でもこれらは,全体の再現度が高くて,思い出再生ツールとしての完成度も高いからこそ,細部が気になってしまうことの裏返しだ。
つまり,格闘技界に元気のない2012年の日本に,いわばデジタルで“リボーン”した“フメツ”のPRIDEというワケなんですよ!
UFC+PRIDE=究極のMMAゲーム
元PRIDEファンよ,やれんのか!?
えー,最後となってしまいましたがー(エグゼクティブ・プロデューサー口調),ゲームとしての完成度はいうまでもなく高い。操作にすべてのボタンを使う必要があるため,うまく戦えるようになるまではある程度の練習が必要だが,豊富なモードがいい練習場所として機能しているので,飽きずに上達していけるだろう。格闘ゲームとしてのアクション性や駆け引きの部分もキッチリしているので,格闘ゲーマーにもオススメだ。
そして,PRIDE終焉とともに格闘技への熱が冷めてしまった人達に一言。キミたちこそ,この“セカンドカミング”を,自分の目と手で確かめるべきだ。実際のUFCと同じで「いざ体験してみたら面白かった」って,食わず嫌いが治るかもしれない。エライ人はこう言ってた。そう,行けばわかるさ!
「UFC Undisputed 3」公式サイト
- 関連タイトル:
UFC UNDISPUTED 3
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