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[E3 2012]物語だけでなくプレイヤーも交差させる“クロスオーバー”とは? 気になる「バイオハザード6」の詳細をがっつりレポート!
カプコンブースで配られた試遊台の整理券は,会期中の3日間,いずれも会場オープンから1時間を待たずして配布終了となり,同じくプレイアブル版の用意されたMicrosoftブースも,常に長蛇の列が絶えない状態。数多くのゲームが展示されていたE3 2012会場の中でも,「バイオハザード6」は,最も注目を集めていたタイトルの一つだった。
本稿では,本作のエグゼクティブプロデューサーを務める小林裕幸氏とプロデューサーの平林良章氏,そしてディレクターの佐々木栄一郎氏によるプレゼンテーションの内容と,実際に本作をプレイしてみたレポートを合わせてお届けしよう。
ネット越しの誰かと自動的に共闘できる“クロスオーバー”とは
カプコンブースで行われたプレゼンテーションでは,主に本作の大きなウリの一つである,「クロスオーバー」という要素についての説明が重点的に行われた。
まず大枠のところから解説すると,「バイオハザード6」では「レオン」「クリス」「ジェイク」という3人の主人公ごとにシナリオが用意されており,プレイヤーは,その中から一人を選んでプレイする。この3つのシナリオは,基本的にそれぞれ独立したストーリーラインになっていて,各主人公の立場から,全世界規模で巻き起こっている事件の真相に迫っていく……というのが,本作を俯瞰したときの流れだ。
まぁここまでは,従来のバイオシリーズとそう変わらず,要するに「レオン編」「クリス編」「ジェイク編」という3本のキャンペーンがあるといった感じなのだが,本作の面白いところは,そのシナリオの要所で主人公達が“交差する”という点である。しかも,さらにそこにマルチプレイ要素までが絡められているのだ。
例えば自分がレオン編を遊んでいるとする。そしてストーリー上,クリスと交差する場面に出くわしたとき,そのクリスは,世界のどこかでクリス編を遊んでいるほかのプレイヤーが操作している――そんなシステムになっているのである。
「これまでのゲームでは,単純にストーリーが交差して,それが終わればまた別れるみたいな形になっていたと思うんですけど,本作では,シナリオだけじゃなくて“ゲームそのものが交差”するのが最大の特徴なんです」
と,本作のプロデューサー平林氏は熱っぽく語る。最近のほかのゲームの例では,「風ノ旅ビト」のオートマッチングシステムや,「DARK SOULS」(PlayStation 3 / Xbox 360)のマッチング/オンラインシステムに近いと言えば,なんとなくそのイメージが掴めるだろうか。
要するに,フレンドを招待したり,あるいは何かしらほかのプレイヤーを募集したりといった手続きを経ずに,普段どおりキャンペーンを遊んでいるだけで,自然な形で自動的にマルチプレイが楽しめる仕組みというわけだ。
クロスオーバーという要素のアナウンス自体は,すでに公開済みではあったのだが,今回,直接説明を受けてようやく「なるほど,そういうことか!」と得心した。これは確かに面白い仕掛けである。
本作は「バイオハザード5」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360)と同様に主人公とパートナーの二人一組でゲームが進んでいき,キャンペーンをほかのプレイヤーと一緒に遊ぶこともできる。また,上述のクロスオーバー機能も使って,最大4人でのマルチプレイを楽しめるのだという。友達とCo-opを楽しみながら,ストーリーの要所では,オンライン上の誰かと“交差”して,4人でボスに立ち向かう……などといったシチュエーションが生まれるわけだ。
プレゼンテーションで流されたデモ映像では,レオン/ヘレナのコンビと,ジェイク/シェリーのコンビが交差するシーンが上映されており,開発者曰く「このクリーチャーは,執拗にジェイクを追い回す強敵で,レオンとヘレナはそれに“巻き込まれてしまう”んです」ということらしい。
またこのクロスオーバーは,同期的な共闘プレイのみならず,非同期的な使い方もされるようだ。
例えば,あるポイントに先にほかのプレイヤーが到達していたとき,そのプレイヤーが置いていったアイテムを獲得できたり,ほかのプレイヤーの痕跡を追えたりする要素も盛り込まれているという。このあたりの仕組みは,同じカプコンの「Dragon’s Dogma」(PlayStation 3 / Xbox 360)のポーンシステムにも見られる,“ゆるい繋がり”を意識したシステムだといえよう。
ちなみにクロスオーバーで誰かと共闘している時,ほかのプレイヤーを助けたりすると,「スキルポイント」なるものを獲得できる。スキルポイントとは,プレイヤーキャラクターの能力を伸ばすときに使うもので,本作には,このスキルポイントを使った成長要素も実装されるらしい。詳しくは「追って情報を出します!」とのことだったが,「基本的には,ちゃんと協力して遊んだほうが得になる仕組みになっています」とのことである。
さらにクロスオーバーには,「パートナーチェンジ」というギミックもある。
例えば,ヘレナとパートナーを組んでいたレオンが,敵に行く手を遮られることでシェリーとパートナーを組むことになったりする。
クロスオーバーのシステムには,自分のフレンドとつながりやすくする設定があるほか,プレイヤーが途中で抜けた場合は自動的にAIに切り替わるなど,とにかくストレスフリーな設計を心がけているとのこと。昨今,オンライン要素を単純な対戦や協力プレイだけではなく,独自の切り口で活用しようという試みがさまざまなゲームで見られるわけだが,本作の挑戦も非常に興味深い試みと言えるだろう。
ちなみに,最初に3つあると説明した本作のキャンペーンだが,一つ一つのボリュームは,前作の7〜8割ほどになっているという。つまり,全部遊ぼうとすると,前作の倍以上の時間がかかるというわけだ。さらに,それぞれのキャンペーンは,主人公だけではなく,パートナーを選択してプレイすることもできるそうで,えーと,つまりは,とんでもなく“ボリューミィ”な内容になっているのだという。
エグゼクティブプロデューサーの小林氏は,「だから作るのはめちゃくちゃ大変なんですけどね」と笑いながら語る。……そりゃそうでしょう。ただ,プレイに時間が掛かるからといって中だるみするわけでもなく,自然発生するマルチプレイの仕組みを含めて,プレイヤーを飽きさせないさまざまな試みがなされているそうだ。
操作系が一新。より洗練されたゲームシステムに刮目!
プレゼンテーションの話はこのくらいにして,では実際,触ってみてどうだったかについてもレポートしておこう。
今回出展されていたプレイアブルデモは,レオン,クリス,ジェイクの3人の主人公を選ぶことができ,それぞれで違ったシュチュエーションを楽しめるというもの。レオン編は,昔ながらのバイオハザードのような,じりじりと暗がりを探索していく内容。クリス編は,対バイオテロ部隊BSAAの隊員達と共にアサルトライフルやショットガンを撃ちまくる,アクションシューティング寄りの展開だ。そしてジェイク編では,迫り来る巨大な敵の攻撃を避けながら戦う,緊張感あるボス戦を楽しめた。
筆者が遊んだのはレオン編(試遊台はXbox 360)。レオンといえば,正義感に溢れる新人の警察官から,大統領直轄の凄腕エージェントにまで登り詰めた歴代シリーズの主人公の一人なわけだが,若く精悍だったレオンも,今作では36歳という,世間では“中年”と呼ばれる年齢になっている。無精ひげを生やしていたりして,若かりし日の初々しさは無くなっているわけがだが,革ジャンを着た中年レオンも渋くていいじゃない……。まぁいずれにせよ,ハリソン・フォードのような味があるキャラクターになっている点は好印象だ。やっぱり,オッサンのヒーローが一番かっこいいんですよ。渋みがあって。
ともあれ,ゲームが始まって最初に気が付いたのは,操作系が前作から一新されている点。「Gears of War」などに代表される,昨今のTPSに近い操作方法といえばいいだろうか。方向キーで素早く武器やアイテムを切り替えられたり,移動や視点の操作が直感的になったりしている点は大いに歓迎したいところである。
また銃を使う場合,「狙う[LB]」で構えてから「撃つ[RB]」という流れになっているのだが,これも銃を撃った手応えを感じやすく,良い変更点だといえる。前作をやり込んだプレイヤーは多少戸惑うかもしれないが,慣れてしまえばこちらのほうが遊びやすいのではないかと思われる。ボタン一つで特殊技を繰り出せるようになっている点も大きい。
ちなみに今回のプレイアブル版は,ゾンビになり果てた大統領にレオンとヘレナが銃を向けているシーンから始まる。なぜ,一国を預かる立場の大統領がゾンビになってしまったのかは不明だが,ヘレナは「私のせいだ……」と悲痛な面持ちであった。
舞台となっているアメリカ・トールオークスの大学は,すでにバイオテロにより壊滅状態となっており,いたる所にゾンビが徘徊し,生存者も次々と犠牲になっていく。シチュエーションとしては,これぞ「ゾンビもの!」というような,おどろおどろしい雰囲気で,なんとなく「バイオハザード2」を連想させる展開なのは,ゾンビファン的には嬉しいところ。途中で出会う生存者と一緒に脱出を図るも,生存者の中にいた「いかにも死亡フラグが立っていそうな女性」がやっぱりゾンビになって襲ってきたり,エレベーターを出たらゾンビの大群が襲ってきたりと,ツボを押さえた演出がいちいち憎い。そうそう,ゾンビものはこうあるべきなんですよ。
いずれにせよ,本作はシステム面がかなり洗練されて遊びやすくなっているという印象だ。操作系も見直され,ナビゲーションの見せ方やメニューの使い方など,細かいところに配慮が行き届いていると感じられた。この調子で開発が進めば,隙の無い作品に仕上がることは間違いないだろう。
エグゼクティブプロデューサーの小林氏曰く「スタッフロールの名前の数でいうと,600人前後。過去最大の開発規模ですよ」という本作。ナンバリングタイトルとしての重圧に負けず,さまざまな取り組みにも果敢に挑戦しており,とにかく完成が楽しみな作品である。
スクリーンショット
「バイオハザード6」公式サイト
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