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「バイオハザード ダムネーション」の記者発表会で監督の神谷 誠氏とプロデューサーの小林 裕幸氏が語った本作の見どころとは
まずは小林氏から,前作「バイオハザード ディジェネレーション」がきちんとヒットしたからこそ,ダムネーションの製作を行うことができたと経緯を説明。一方の神谷氏は,再びバイオハザードのCG映画のオファーが来た時のことを聞かれると,「やる気満々でした。いつでも来いって感じでしたね」と即答していた。
バイオハザード ダムネーションの監督 神谷 誠氏 |
バイオハザード ダムネーションのプロデューサー 小林 裕幸氏 |
ちなみに本作は,東スラブ共和国という架空の国が舞台なのだが,小林氏によると,前作「バイオハザード ディジェネレーション」の舞台がアメリカだったため,「ダムネーション」ではアメリカ以外の国を舞台にすることを考えていた。そんな時,神谷氏の「東欧はどうですか」という意見がきっかけで,東スラブ共和国に決まったとのことだ。
神谷氏いわく,同氏が別の仕事でポーランドに行ったときにレンガ造りの家を見て,そこにゴシックホラーの要素を感じたのだそうだ。加えて,風景に軍事色も強かったということから,「バイオの世界観にピッタリだ」と思ったという。
続いてトークは,サンディエゴで行われたComic‐Con International(コミコン)に関する話題へ。ここではファンを招いた「バイオハザード ダムネーション」のパネルディスカッションが行われており,小林氏と神谷氏がファンからの質問に答えている。
小林氏によると,このパネルディスカッションには毎年欠かさず参加している熱心なファンも多数おり,海外ファンの「バイオハザード」に対する熱意を非常に感じるとのこと。ちなみにファンからは,以前より「エイダ」登場の要望が多かったらしく,今回「ダムネーション」でエイダが登場したのも,ファンの声の影響が大きいとのことだ。ファンの声がなかったら,ひょっとしたら出ていなかったかもしれないとも話していた。
イベントの後半では,本作のテーマソングである「CARRY ON」を歌う土屋アンナさんについての話題も。最初,土屋さんからテーマソングのデモ曲が送られてきた時,「もうこの曲しかないだろ!」と,その場にいた人の満場一致で決まったと話す。
また土屋さんが手がけた歌詞についても,作品の世界観にピッタリと合っていると絶賛。小林氏は「ダムネーションにマッチした主題歌を用意していただけました」と満足げに語っていた。なお土屋さんは,ステージにゲストとして登場する予定だったのだが,体調不良のため残念ながら欠席だった。
そして小林氏は,「『バイオハザードV リトリビューション』という実写映画は,ポール・W・S・アンダーソン監督が描く『バイオハザード』です。一方の『ダムネーション』は,神谷監督が描いた,ゲームの世界観が好きで作られたCG映画です。『ダムネーション』は『バイオハザード 6』の前の話になるので,ファンの方には,『レオンとエイダは,こうしてバイオ6に繋がっていくのか……』と納得してもらえると思います。もちろん『ダムネーション』だけ観た方でも,『レオンってこんなカッコイイ奴だったのか。こいつの後日談はどうなるんだろう』といった感じで気になると思います。そういう方は,「ダムネーション」のその後を知るべく『バイオハザード 6』をプレイしてほしいですね。ちなみに劇場では2Dもあるのですが,3Dはものすごい迫力ですので,ぜひ3Dで観てほしいですね。なお3D版を上映するのは日本だけなので,ぜひ見逃さないようにしてほしいです」と挨拶してステージを締めくくった。
10月27日よりついに全国ロードショーとなる,「バイオハザード ダムネーション」。「バイオハザード」ファンはもちろん,興味はあるけど,まだ「バイオハザード」の世界に触れていないという人も,ぜひ劇場に足を運んでほしい。
「ダムネーション」では,「ディジェネレーション」の続きを描きたかった
ここからは,ステージ終了後に行われた,小林氏と神谷氏のインタビューをお届けしよう。ステージでは聞けなかった話も色々と聞けたので,ぜひ目を通してほしい。
4Gamer:
約1か月後の10月27日,「バイオハザード ダムネーション」がついに公開されますが,今の率直な感想をお聞かせ下さい。
小林氏:
10月に入って公開が迫ってこないと,あまり実感はないんですよ(笑)。ただ,ものすごく完成度の高い映画なので,早く皆さんに観てもらいたいです。ステージでも触れましたが,かなり迫力があるので,ぜひとも3Dで観てほしいと思います。
神谷氏:
「ダムネーション」に関しては,もう3年くらい製作に関わっていて,3D版に関してはついこの間完成したのですが,2D版は(2012年)7月の頭には完成していました。ですので,とにかく早く観てもらいたいの一言に尽きますね。
4Gamer:
本作の見どころはどのあたりになるのでしょうか。
小林氏:
本作はバディムービー(相棒もの)としてストーリーを描いているのですが,オリジナルキャラクターのバディとレオンがタッグを組むんですよ。軸としては,この「男のドラマ」を観てほしいというのもありますね。
神谷氏:
見どころは全部ですね(笑)。前作「ディジェネレーション」が終わったとき,「これもやりたかったな。あれもやりたかったな」と悔いが残っていたのですが,そんな時に続編のお話をいただいたので,「よし,あれもやるぞ,これもやるぞ!」って感じで,一気に妄想が膨らんでいきましたね。なので今回は,僕の好きな要素であるミリタリー,ホラー,アクション,クリーチャーなどをどんどん積み上げていきました。それが観て欲しいところなので,見どころは全部なんです。
小林氏:
舞台が東欧なので,アメリカとは違う現地ならではの武器にも注目してほしいですね。あとクリーチャーとクリーチャーがバトルするんですけど,そこもぜひチェックしていただければと。
4Gamer:
クリーチャー同士のバトルシーンとは,非常に楽しみです。
ところで,レオンは「ディジェネレーション」でも主人公として登場しましたよね。二作連続でレオンが主人公となった理由は?
小林氏:
僕がレオンを好きだからです(笑)。まあ,それもありますけど,「ディジェネレーションの続編」という「ダムネーション」の位置付けを考えたとき,主人公がクリスだったら,また一からになっちゃうんですよね。「ディジェネレーション」のときも「バイオハザード4」の続きをやりたかったので,今回も「ディジェネレーション」の「続き」ということで「ダムネーション」を作りました。
あと「ダムネーション」を作るとき,「もう一回レオンで作りませんか?」という提案を僕がしたら,神谷さんが「ぜひやりましょう」と言ってくれたんですね。「ディジェネレーション」のときも,かなり長いあいだ神谷さんと菅(正太郎)さん(「バイオハザード ダムネーションの脚本)と一緒にやってきてますから,レオンに対する愛着もすごくあるんです。
神谷氏:
レオンは「ディジェネレーション」で苦労した仲間ですから,「よし,いっちょもんだろうか」と(笑)。あと小林さんも言ってましたけど,レオンは「ディジェネレーション」ではスーパーマンみたいに強く描かれてますので,今回は逆に,レオンに酷い目に遭ってもらおう,というところから話がスタートしました。
あと今回は「レオンを出すんだったらエイダも出しましょう」ということになったので,二人を描くことができました。前作では見せられなかったレオンを描いているので,ぜひそこも注目してほしいですね。
4Gamer:
「ディジェネレーション」では観られなかったレオンですか。ぜひエイダ共々注目したいですね。ちなみに,ゲームのキャラクターで,惜しくも「ダムネーション」に出られなかったキャラクターっていますか?
小林氏:
「ディジェネレーション」のときはクレアがご無沙汰だったのでクレアを出したんですけど,「ダムネーション」のキャラクターは割とすんなり決まりました。むしろクリーチャーのほうが悩んだと思いますね。
4Gamer:
出ていないキャラクターというと,レベッカとかもいますね。
小林氏:
レベッカが主人公というのは,ないですね……(笑)。ただクレアに関してはファンも多いので,「ディジェネレーション」ではいいタイミングで出せたと思いますよ。
4Gamer:
ただクレアは,ゲームではちょっとご無沙汰ですよね。
小林氏:
まあ,彼女は彼女の道があるので,なかなか出せないんですよね(笑)。あと,実はバディの彼女を出す予定だったんですけど,尺の問題で今回は登場してないんですよ。オーディションまでやっていたので,非常に残念ではありますけど。
4Gamer:
そんなキャラクターがいたんですね。
小林氏:
ええ。でも設定はなくなってないですよ。劇中で名前も出てきますしね。
神谷氏:
あとクリーチャーに関しても,候補はいろいろあったんですけど,登場できなかったのも多いですよ。
小林氏:
だからといって数が足りてないわけではないですよ。ストーリーもキレイに収まっているので。
4Gamer:
ちなみに神谷さんは実写映画も手がけていらっしゃいますが,CG映画の製作でやりやすかった部分と,逆にこれは大変だったと思う部分はありますか?
神谷氏:
ただ,日本映画ってハリウッド映画に比べると予算もないですし,仮に予算を多くできたとしてもかなりの制約が出てきちゃうんですね。CG映画だと基本的に制約があまりない。まあ,小林さんから「レオンはこういうことはしませんよ」とか言われることはありますけど(笑)。
小林氏:
レオンはうちのタレントなので,マネージャーとしてはチェックしますよね(笑)。
神谷氏:
まあ,多少はあるにしても,どんな舞台にも出せるし,どんなこともやらせられますから,そういう意味では,実写映画よりもやりやすいですよね。
あとCG映画の場合,人種的な垣根がないので世界の人に観てもらえるというのが大きいですね。基本的に日本の映画はなかなか海外に持っていくことができないので,そこは嬉しいですね。まあ「ダムネーション」を日本映画というのかどうかは,ちょっと分からない部分はありますけど。
4Gamer:
ちなみに「バイオハザード」シリーズって,基本的には英語ですよね。日本語の演技だと上手い下手とか分かりますけど,英語のセリフだと演技に関する部分はどのように判断しているんですか?
神谷氏:
以前「ディノクライシス 3」を演出させていただいたとき,外国人のタレントさんを集めてモーションキャプチャーを行ったんです。ただあくまでタレントさんなので,必ずしも適切なお芝居ではなかったりするんですよ。そういうところで英語喋れないとなると,なかなか難しくなっちゃうんですね。
ただ,近年ではそういうこともなく,ちゃんとしたお芝居をやっている海外の方達をオーディションで選んでいるので,当初に比べるとかなり違いますよ。彼らはちゃんと台本を読んで,自分なりの演技の取り組み方が出来上がってから来てくれるので,かなりやりやすいですね。
あとセリフの間違いなどに関しては,英語の堪能な助監督や音響監督がきちんとチェックしてくれるので,僕は感情表現や動きのニュアンスがいいかどうかに注力して演出できるんです。役者さんに対して「もうちょっとこういう感じにしてくれ」とか提示するとちゃんと応えてくれるので,これなら垣根なくできるんじゃないかな,と勝手に思っています。
4Gamer:
小林さんはいかがですか?
小林氏:
僕も英語は分からないので,まず日本語でセリフなどをチェックして,それを英語が分かる方に翻訳してもらっています。あと英語で聞いたときに表情と行動が合っていて,変じゃないかなとか,そういう部分はチェックしますよ。映画であれば監督と,ゲームであればディレクターと相談して決めていく感じですね。
4Gamer:
分かりました。本日はありがとうございました。
バイオハザード ダムネーション公式サイト
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(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
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