業界動向
Imagination,画像認識などに最適化したフラグシップGPUコア「PowerVR Series7XT Plus」を発表,8bit整数演算性能は4倍に
今回発表されたのは,64基のALUを搭載する「PowerVR GT7200 Plus」と128基のALUを搭載する「PowerVR GT7400 Plus」だ。型番から察せられるように,以前発表されていた「PowerVR Series7XT」の一部を改良したものという位置付けになるようである。
OpenCL 2.0では,CPUコアとGPUコアでの仮想記憶領域の共有や並列実行に関する強化が行われており,GPGPU的な用途での活用の幅が大きく広がることとなる。
それに合わせて,性能面では16bit浮動小数点演算性能が2倍,8bit浮動小数点演算性能が4倍に向上しているという。8bit整数というと,HDRが普及したため一般的なゲームではあまり使われることがない部分ではあるが,色成分の処理では多用されそうなフォーマットだと察しのつく人もいるだろう。画像認識に強いというのはこのあたりの強化によるものと思われる。
近しい型番にしては,4倍の性能向上というのは驚異的である。どのようにしてこの強化が図られたのか? Imaginationが以前同様に16bit演算性能を2倍に向上させたときには,16bit演算ユニットを物理的に倍増させるという手法を用いていた。この流れに沿うと,16bit演算機をさらに倍増させ,新たに8bit演算ユニットを大量に搭載してきたのかもしれない。ただ,それだとかなり大規模な仕様追加となり,コアサイズもかなり大きくなってしまうだろう。
実際,ALU部分のブロック図を見ると,演算ユニットとして整数演算専用のものがどっさりと追加されていることが分かる。
なお,画像認識やGPGPU用途での強化が顕著ではあるが,描画系APIではテッセレータやジオメトリシェーダなどに対応したOpenGL ES 3.2(Series7XTはOpenGL ES 3.1)とValcanに対応しているほか,メモリ周りの強化も実現しており,ゲーム系の分野でも期待のできそうな仕様となっている。
PowerVRの最新製品は伝統的にiPhoneの新型機に搭載される傾向が強いので,今年以降に発表される製品では画像認識を活用した使い方が提唱されるのかもしれない。いろいろと楽しみだ。
Imagination Technologiesによるリリース(英文)
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