プレイレポート
今,MOBAが熱い。「カオス ヒーローズ オンライン」プレイレポート,日本語で遊べる本作でMOBAデビューしてみよう
まずはMOBA(Multi-player Online Battle Arena:セガではAOSと呼んでいる)というジャンルについて,簡単に解説を加えておこう。カオス ヒーローズ オンラインを含む,MOBA系と総称されるゲームは,だいたい以下の3要素からなっている。
●チーム戦要素:
プレイヤーは複数名(5人ずつが多い),二つのチームに分かれ,それぞれ個性的な能力を持つヒーローを選択して出陣する
●RTS要素:
NPC兵群(一般に「クリープ」と呼ばれる。カオス ヒーローズ オンラインでは「兵士」とも)とともに,「レーン」と呼ばれるルートを進軍して,敵陣の制圧を目指す。レーンの途中には強大な攻撃力を有する塔が配置されており,これを順に破壊することで次の侵攻目標を攻撃できるようになる
●RPG要素:
敵NPCや敵ヒーローを倒すと経験値やお金を獲得でき,レベルアップやアイテムの購入を通じて,ヒーローを強化できる
このようにさまざまなジャンルの要素を盛り込みながらも,操作自体はかなりシンプルなことも特徴といえるだろう。右クリックで任意の地点へと移動,およびクリックした地点にいる敵への通常攻撃ができ,Q/W/E/Rキーで,それぞれに割り振られたスキルを使用できる。「Diablo」などのハック&スラッシュ系ゲームに近い操作感だ。
操作が簡単とはいえ,勝利するためには敵のヒーローに合わせた立ち回りが必要になるほか,戦術や戦況に応じてスキルやアイテムの取得順を変える――いわゆる“ビルド”の考察も重要になり,さらにそのうえで相手チームと戦略を読み合う駆け引きの要素もあって,何度も繰り返し遊べる奥深さを持っているのだ。そしてなにより,チームメンバー同士の連係がうまくハマった末に勝利できたときの気持ちよさは,筆舌に尽くしがたいものがある。プレイ時間が1プレイあたり30〜40分程度という手軽さも相まって,筆者も最近はマウスとキーボードで日夜戦闘を繰り返している。
対戦プレイまでの流れ
ゲームを起動するとゲームロビー画面になる。操作方法が分からない場合はチュートリアルから始めるのがよいだろうが,ある程度理解したら対人戦に進んでみよう。慣れないうちは初心者戦を選ぶのが無難だ。
本作には,前述のとおり,神聖連合と不死軍勢の二つの陣営が用意されている。それぞれ選択できるヒーローが異なるので,対戦を検索する前に,自分の参加する陣営を選ぶことになる。日曜朝のアニメを見て(現在進行形で)育っている筆者は,迷わず神聖連合を選んだ。正義こそジャスティス。ちなみに,不死軍勢には,なんとなくダークな雰囲気のヒーローが揃っている。
なお,ヒーローには,攻撃力と防御力に優れた力タイプ,攻撃速度に優れる敏捷タイプ,そしてMPが高くスキルが強力な知能タイプの3種類がおり,それぞれ得意な役割(ロール)は変わってくる。
プレイヤーが利用できるヒーローは,神聖連合,不死軍勢ともに15体ずつ(2013年5月11日現在)だ。プレイヤーは最初から両陣営それぞれ5人ずつの“永久契約ヒーロー”を所持している。それ以外のヒーローを使用する場合は,対戦するたびにもらえる魔力石を消費するか,ゲーム内通貨であるGPや課金で追加できるCPを使って永久契約できるという仕組みになっている。
筆者はひとまず永久契約ヒーローであるシルクをチョイスした。彼女は敏捷タイプとなっていて,通常攻撃の速度に優れる遠距離攻撃型ヒーローでありつつも,一定距離を瞬間移動できるスキル(MOBA用語ではこれをブリンクと呼ぶ)を持っていたり,タワーの破壊に便利な究極スキルを持っていたりと,幅広い戦術を取ることができるのだ。……まあ,キャラクター性能どうこうよりも,「不死軍勢の誰もが自分のことを知らないという事実に衝撃を受け、自分の美しさを世に知らしめる事を決意」するというストーリーに心を惹かれたというのもある。
序盤戦はラストヒットとハラス,消費アイテムを巡る駆け引きが面白い
本作の対戦の最終目的は先にも述べたとおり,敵陣の陥落。しかし,開始直後のヒーローはレベル1のひよっこなので,いきなり敵陣に特攻しても,目的を完遂できる可能性は限りなく低い。なので,対戦がスタートしたあとは,それぞれのレーンの自軍タワーまで移動し,ある程度ヒーローのレベルが上がるまで,敵のクリープを倒して経験値やお金を稼ぐことになる。どうして自軍タワーの下にいるべきかというと,タワーは攻撃力が非常に高いため,敵ヒーローに攻め込まれにくい=こちらが余計なダメージを受けにくいからだ。
敵側のクリープが倒れると,誰が倒したかに関わらず,周囲にいるヒーローは経験値を獲得できる。とはいっても,ただ漫然とクリープを攻撃すればよいわけではない。ここで重要となるのが,“ラストヒット”と呼ばれるテクニックだ。敵のクリープにトドメを刺したときだけ,ボーナスとしてお金を獲得できる。この精度如何で,強力なアイテムを購入できるタイミングが変わってくる。つまり,育成度で差が付く要因となっているのだ。
「あれ? 敵ヒーローを攻撃しなくていいの?」と疑問に思う読者もいるだろう。もちろん,敵ヒーローを攻撃することも重要ではある。ただし,ただなんとなく攻撃するだけでは反撃を受けやすく危険なのだ。では,相手が反撃できないタイミングはどこだろうか。それは,先述した重要テクニック,ラストヒットを狙おうとする瞬間である。実はこれ,“ハラス(嫌がらせ)”と呼ばれる,MOBA系ゲームの序盤戦における常套手段で,もちろんカオス ヒーローズ オンラインでも非常に有効に機能する。
本作では,“消費アイテム”は購入した時点で使用される方式が採用されている。
初期設定ではF3キーに回復ポーション,F5キーにアルペンハイムのチーズといった回復アイテムが割り当てられており,例えばアルペンハイムのチーズであれば,200Gと引き替えに消費HPとMPを即時回復できるのだ。各種消費アイテムにはリキャストタイムが設けられているものの,お金がある限りはレーンに居続けられる(=経験値を獲得できる)と考えてよいだろう。
これらの3要素――ラストヒットとハラス,消費アイテムは,カオスヒーローズオンラインのレーニングフェイズ(MOBA用語で,お互いにレーンに張り付いて敵クリープを狩り,経験値を稼ぎ合うという場面――,いわゆる序盤戦のこと)におけるじゃんけんを成立させている。
一方的なハラスに成功すれば,相手は回復アイテムを使わざるをえず,結果的に相手のお金を削っていける。それにより相手は装備アイテムを購入するのが遅くなり,ステータスの面で差が付いていく,というわけだ。逆に,ハラスに失敗すると,こちらもダメージを受けてしまうので,装備が整うのが遅くなる。
しかし,まったくハラスをしなければ相手もすくすく育ってしまう……,といった具合にジレンマが用意されているのである。この3すくみはMOBA系ゲームにとってなにより基本となる駆け引きで,本作においても十分に満喫できる。
チームファイトの戦略性と爽快感が最大の魅力
戦闘が進んで,ヒーローのレベルが6を超えると,究極スキル(Rキーで発動)を覚えられるようになる。その効果はヒーローによってさまざまだが,総じてほかの3種類のスキルよりも強力で,とくに敵ヒーローのキルを狙うときや,タワーを破壊する際に役に立つものが多いのだ。
とはいえ,ヒーローにはそれぞれ特性があり,得意な役割も異なるため,自分一人でできることには限りがある。そこで重要となるのが,ヒーロー同士の連係だ。複数のヒーローで行動を共にし,お互いの長所を活かすように動けば,キルを取りやすく,タワーも破壊しやすくなるのだ。
そこで,ある程度レベルが上がったら,状況に応じてほかのレーンへ出張っていく。このとき,レーンの間に広がる森を通って移動するのがポイント。森の中の状況はミニマップに表示されないので,こちらの移動を敵軍に察知されにくいというわけだ。また,森に生えている木を攻撃で切り倒し,道を切り拓くことができるので,奇襲のためのルートの自由度もかなり高い。
中盤戦では,これを繰り返して敵のタワーやガーディアンを破壊,または自陣タワーやガーディアンを防衛しつつ,敵本拠地への侵攻ルートを確保していくことになる。基本的には数的に有利,もしくは互角の状況では攻勢に出て,味方の人数が少ないときはタワーなどの下で防衛するのだが,例えば4人で敵チームを引き付けておき,タワー破壊能力に秀でたヒーロー――神聖連合であればロカン,不死軍勢であればレオニックなど――に敵のタワーを攻めてもらう(MOBA系ではバックドアなどと呼ばれる)といったように,ヒーローの組み合わせによって,戦略は無限に広がっていく。
また,多数VS.多数での戦闘――,いわゆるチームファイトに持ち込んだときは,個々の役割を果たすことが大事となる。体力が多いヒーローは矢面に立って攻撃を引き付け,状態異常系スキル(MOBA用語では,Crowd Control――略してCCと呼ばれる。RPG用語とは異なり,スタンなどが中心となる)を持つヒーローは,攻撃力の高い敵ヒーローの無力化を狙い,攻撃速度に優れたヒーローであればもっとも近い敵を狙っていくといった具合である。こうした戦略案をチーム内で出し合うだけでも面白いし,その成否が勝敗へダイレクトに響いてくる点は,本作をはじめとするMOBAの醍醐味といってよいだろう。
対戦の面白さを味わえるでき映え,MOBAの入門にも最適
ただ,筆者としては,ゲームバランスに関してはまだまだ調整の余地があるかな,と感じているところもある。まず一つ。神聖連合VS.不死軍勢という対立構造は本作の特徴の一つではあるのだが,現状は各軍勢で選択できるヒーローの強さがアンバランスであるためか,不死軍勢で待ち受けるプレイヤーが多くなってしまっている。まあ,使えるヒーローが限られているがゆえの現象だとは思うので,ヒーローが増えてくれば解消されるとは思うのだが。今後の新キャラクターとしては,セガの運営であることだし,アキラとかソニック,芭月 涼などの登場にも期待したいところだ。
もう一点。カオス ヒーローズ オンラインならではのシステムとして,Ctrl+Zキーで即時帰還(使用した瞬間に無敵となって本陣に帰還できる)というものが用意されている。数的に不利な状況で敵に戦いを挑まれたときや,戦闘中に体力が残りわずかになったときに役立つ,いわゆる救済措置なのだが,せっかく敵を追い詰めたのにこれで逃げられると,なんとも後味が悪い。一度使うと5分間のリキャストタイムが発生するので,“敵の即時帰還を落とした”こと自体が大きな報酬ではあるのだが,MOBAをプレイしていて一番盛り上がるのは,やはりキルを取ったときだと思う。
一応,これも対策がないわけではなく,吹き飛びなどの状態異常中は即時帰還もできないので,その間に敵にトドメを刺せばキルは取れる。ただ,相手の残り体力を計算したうえで状態異常を誘発するのはかなりのやり込みが必要だし,そもそもそういったスキルのないヒーローではキルを取る機会が少ないというのは,ちょっと玄人好みすぎる気がしないでもないのだ。
とはいえ,そのあたりを差し引いたとしても,日本語で気軽にプレイできるMOBAの登場は,国内ではまだ馴染みの薄い同ジャンルにとって,嚆矢となりえる記念すべき出来事だろう。少しでも興味の湧いた人は,ぜひとも一度プレイしてみてほしい。対人戦型のゲームが好きならば,どこかしらにピンとくるものがあるハズだ。また,アップデートでさらなるヒーローやアバターカードが追加されていくとのことなので,今後の展開にも期待しつつ,日夜対戦に明け暮れてみてはいかがだろうか。
「カオス ヒーローズ オンライン」公式サイト
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