レビュー
「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」レビュー。「ジョーカー」の血を受け継ぎ進化した,対戦ツールとしても満足度の高い「DQM」
本作は,1998年にゲームボーイ用ソフトとして発売された,「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」をニンテンドー3DS向けにリメイクした作品だ。
「ドラゴンクエスト」シリーズでお馴染みのモンスターが多数登場するだけでなく,それを仲間にして成長させ,配合を繰り返すことでより強力なモンスターを生み出していくという,中毒性の高いシステムが人気の「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズ。その外伝的作品である「テリーのワンダーランド」は,累計230万本以上のセールスを記録した人気作だ。
シリーズはその後も,2001年に「ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵」,2003年に「ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート」,2006年に「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー」(以下,ジョーカー),2010年に「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」,そして2011年に「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2 プロフェッショナル」と発展し,それぞれが見事なセールスを記録しているが,「テリーのワンダーランド」がとくに好きだというファンはいまだに多く,続編の登場が待ち望まれていた。
新たな追加モンスター(なんと「ドラゴンクエストX」のモンスターも先行で登場する)も合わせると,実に600種類以上のモンスターが収録されていることや,「Wi-Fiランキングバトル」「すれちがいバトル」といった対戦要素が充実している点は,4Gamerでもニュース記事で紹介済み。本稿では,そういった基礎情報は控えめにして,筆者が実際にプレイした印象を交えつつ,本作の魅力についてあらためて紹介していきたい。
「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」公式サイト
グラフィックスを一新し「スカウトシステム」を採用した
新たな「テリーのワンダーランド」
本作ではグラフィックスを,2Dのドット絵から3Dグラフィックスに一新したことで,キャラクターの表情やバトルのエフェクト,オープニングやボス戦前のデモといった演出面が大幅に強化されている。筆者はオリジナル版の経験者だが,懐かしさと驚きを常に感じながらゲームを楽しめた。
人それぞれ好みがあるので,もともとドット絵で表現されていたグラフィックスが,3Dにリファインされたことに否定的な感情を抱く人もいるかもしれないが,本作には,すべての「ドラゴンクエスト」シリーズに備わっている温かみのようなものが,確かに存在している。むしろ,オリジナル版では想像力に頼らざるを得なかった部分が,万人が理解しやすい形で表現されているわけだだから,ここは素直に,本作の「良いところ」と考えていいだろう。
ちなみにボス戦前のデモは,歴代「ドラゴンクエスト」シリーズの名シーンを再現しているものが多く,シリーズファンではあればニヤリとしてしまうネタも仕込まれている。3Dグラフィックスで表現されたそれらのイベントシーンを見て,思わずDQ/DQMシリーズの旧作を再プレイしたくなったというファンも多いのではないだろうか。
オリジナル版をベースにさまざまな面がパワーアップ
コマンド指示や移動の煩わしさを感じさせない作りが○
バトルシステムは,シリーズおなじみのコマンド選択式/ターン制で,作戦(AI任せ)で戦うだけでなく,個別に指示を出すこともできる。パーティ編成は,従来の最大3キャラクターから,シリーズで初めて最大4キャラクターまで対応するようになったが,通常戦闘は作戦,ボス戦などシビアな場面では個別指示といった具合にプレイできるので,ストレスなく快適にプレイできる。
モンスターといえば,冒険中に出現する大型モンスターの存在を忘れてはならない。大型モンスターとはその名の通り,見上げるほどの巨体を持つモンスターのことで,「ブオーン」「メドーサボール」「おおなめくじ」等がそれに該当する。これらは序盤でもときおり遭遇するのだが,大型モンスターだけに,高めのHPや強力な全体攻撃を備えていることが多いので,半端なパーティ編成では太刀打ちできないことが多い。もちろん,楽勝できる程度の戦力を持っていなければ,大型モンスターをスカウトするのはかなり難しい。
なお本作では,Sサイズのモンスターであれば最大4体までのパーティを編成できるが,2〜3キャラ分の“枠”を必要とする大型モンスター(M/Gサイズ)を加える場合はその限りではない。モンスターの単純な強さだけでなく,枠のことも考えつつパーティ編成を試行錯誤する楽しみは,対戦プレイの面白さに定評のある「ジョーカー」シリーズから継承された要素。パーティ編成の自由度がさらに高まっている本作では,その魅力が確実にアップしている印象だ。
ゲームを一通りプレイしてみた感想としては,バトル演出のスキップができないため,レベル上げをしている際などに若干ストレスを感じたりもしたが,基本的には作戦で戦えること,そしてゲームの性質上,パーティメンバーが頻繁に入れ替わることもあり,全体的な印象としては楽しく遊べている。タイジュの国の主要エリアをルーラで移動できたり,ダンジョンの最終エリア前に設置されている“いざないの水晶”(チェックポイント)まで,いざないルーラでひとっ飛びできたりと,プレイアビリティがすこぶる高い点も,プレイヤーとしてはありがたい要素だった。
究極のモンスターを生み出し全国の猛者とバトル
長期的な盛り上がりが約束された秀作
本作はオリジナル版に準拠しつつも,「ジョーカー」シリーズをベースにしたさまざまな要素が追加されている。配合の結果が選べたり,「あくまの書」でスキルをキープできたり,同じ種族のモンスターを配合して「プラス値」を高めていくことで,そのモンスターの能力を限界まで引き出す「究極配合」があったりと,自由度の高い配合が可能になっている。
なお,配合をするのに必要不可欠なモンスターは,冒険中のスカウトだけでなく,すれちがいバトルでのスカウトや,“タマゴ”の孵化によっても入手できる(タマゴはゲーム内通貨で購入できるほか,Wi-Fiランキングバトルの賞品としても入手可能)。ニンテンドー3DSステーションでの“プレゼント対戦”などで,モンスター配信も行われているので,本作をプレイしている間は,3DSが手放せなくなること請け合いだ。
「パッケージゲームが売れない」と囁かれるようになって久しいこのご時世に,発売初週の販売本数が50万本を突破(関連記事)したことからも,本作がどれだけ待ち望まれていたタイトルだったのかが理解できるだろう。ゲーム好きなら誰もが知っている「ドラゴンクエスト」シリーズのモンスターが,600種類以上も登場するというだけでも大きなウリだが,本作はそこで終わらず,確実に面白く,遊びやすい作品に仕上がっている。加えて,プレイヤーを長期的に楽しませようというスクウェア・エニックスの姿勢が分かりやすい形で見えているのも嬉しい。「DQ/DQM好きなら絶対にプレイすべき」と明言しても,「それ,言いすぎ」と突っ込まれることはないはずの秀作である。
「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」公式サイト
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ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D
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