インタビュー
「拡散性ミリオンアーサー」が目指すソーシャルゲームとは? スクウェア・エニックスの安藤武博氏と音楽担当の前山田健一氏に聞く
ゲームの内容は,カードを集めてデッキを組み,バトルを楽しむというもの。ソーシャルゲームに慣れ親しんでいる人であれば,違和感なく楽しめる,スタンダードな作りになっている。
その一方で本作は,ソーシャルゲームとしては珍しく,しっかりしたストーリーと,RPGらしいBGMといった演出面に力が入れられており,多くのソーシャルゲームとは一線を画した作品となっている。
ストーリーを手がけているのは,「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」といった大ヒット作を生み出した鎌池和馬氏。音楽を手がけているのは,ヒャダインこと前山田健一氏だ。ちなみに前山田氏にとって本作は,本格的にゲーム音楽に取り組んだ,最初の作品となる。
今回は,スクウェア・エニックスにおいて数々のスマートフォン用ゲームを手がけている安藤武博プロデューサーと前山田氏のお二人に,ミリオンアーサーという作品が生まれた背景と,この作品の音楽に関する話などを聞いた。
「拡散性ミリオンアーサー」公式サイト
AppStore「拡散性ミリオンアーサー」(iTunesが起動します)
岩野プロデューサーが
鎌池和馬さんと仕事をしたくて立ち上げた企画
4Gamer:
今回は「拡散性ミリオンアーサー」の音楽担当として,安藤さんが前山田さんにオファーをしたということなので,そのあたりの理由やエピソードから聞かせていただこうかな,と。
安藤武博氏(以下,安藤氏):
いやその前に,言っておきたいことがあるんです。
4Gamer:
(´・ω・`)
前山田健一氏(以下,前山田氏):
まただ(笑)。
安藤氏:
今,ミリオンアーサーはApp StoreのトップセールスAppランキングで,ガンホー・オンライン・エンターテイメントさんの「パズル&ドラゴンズ」と競り合ってるんですが,パズドラの音楽は伊藤賢治さんが担当しているんですよ。そしてこちらは,前山田さんです。
前山田氏:
うわ,そうなんですか。
21世紀をオンラインゲームのトッププレイヤーとして突っ走ってきたガンホーさんが,元スクウェアのイトケンさんに音楽を依頼して,スクウェア・エニックスがイトケンさんの音楽に影響を受けたと公言してはばからない前山田さんに音楽を依頼しているわけですよ。こんな日がやってくることを,誰が想像できましたか? これが,2012年4月の現実なんです!
4Gamer:
そう言われてみると,妙にねじれた因果のようなものを感じますね。
安藤氏:
でしょう? しかもジャンルこそ違うものの,戦ってる舞台がiPhoneのソーシャルゲームになってるんです。ソーシャルに限定されない場合もあるので,僕はまとめて「スマゲ」(スマホのゲーム)と名付けています。
こういう風に,いろんなものが“せーの”でがらっと変わっていく時代に入り始めたんだと思うんですよね。
4Gamer:
そんな中,ミリオンアーサーはソーシャルゲームのフォーマットを踏襲しつつも,ストーリーや音楽などで,どこか従来のスクウェア・エニックスらしいエッセンスを詰め込もうという狙いが込められているように感じました。
安藤氏:
そもそもこの企画って,プロデューサーの岩野(弘明氏)の中に,鎌池和馬さんと仕事をしたい,鎌池さん原作のゲームを作りたいという強いモチベーションがあったんです。要は何を作るかより,誰と作るか,みたいなところが大きかったんですよ。
岩野はまだ20代なので,そういう初期衝動だけで突っ走った結果,立ち上がっていった企画なんです。
前山田氏:
ゲームで遊んでいると,随所に“鎌池さん節”のようなものが出てきますよね。サブストーリーなんかもついつい全部見たくなります。
安藤氏:
ですよね。本来,この手のゲームの文法においては,お話ばかりだとテンポが悪くなってしまうという不文律があったんですけど,ミリオンアーサーではあえてそこに真っ向から立ち向かっています。お話を読み進めたいというモチベーションでゲームを進めるのって,こういったゲームとしては,ほとんどなかったものなんですよね。
鎌池さんのシナリオだから,というのも大きいんでしょうねぇ。読まなきゃ損みたいな気持ちになりますし。
安藤氏:
鎌池さんの作品って,背景に物凄く細かな設定があるんです。それを少しずつ明らかにしていく作風なので,ほとんどの人は最初のうち,何が何だか分からないと思います。でも,読み進めていくと,伏線が回収されて全貌がちゃんと理解できるようになっていますし,どんどん面白くなっていって続きを読みたくなるんですよね。
実は,ここまで冒頭で突き放す構成って,ゲームのシナリオではあまりやらないことなんですよ。「お姫様がさらわれちゃったので助けに行きましょう!」みたいな大きな目標は最初から提示するものですし。
4Gamer:
ミリオンアーサーでは,シナリオを回収して読み進めていくことそのものを,ゲームの楽しさの一つとして提示しているわけですね。
安藤氏:
ええ。ラノベを読む楽しさも,きっとそういうところにあると思うんですけど,それをゲームに入れてみたというのは,一つの発明だったと思ってますね。
前山田氏:
早く続きを読みたいんですけど,レベルが上がらないと次を読めない! みたいになるんですよね。うまく出来てるなぁと思いました。
安藤氏:
ありがとうございます。ただ,ゲームとしてバランスが悪い部分がまだまだあるのは申し訳ないです。なにぶん,若者が突っ走って作ったものなので。でも常に改良はしていきます。
例えばバンドを組んで5年後ぐらいになってから,結成時に作った初めてのオリジナル曲を振り返ってみると,もう二度と同じようなものは書けないぐらいに初期衝動に溢れていることに気付くじゃないですか。技術的にも荒削りなんだけど,いいところはちゃんとあるような。今のミリオンアーサーはそういう状態なんです。
前山田氏:
サザンオールスターズでいうところの,「勝手にシンドバッド」状態なんですねぇ。
安藤氏:
そう,まさにそれです。そこから成長していって,もっと皆さんに愛されるようなバンドを目指していこうと。しっかりとした,ぶれない方向性はちゃんと持っていますから。うまいこと岩野と一緒にこの作品も成長していってほしいんですよね。
今は初めてライブをやって,お客さんの反応を見ている段階なんです。それで,「MCが長い」みたいに言われているという。
4Gamer:
実際,アクションポイントやバトルコストの回復も,最初は3分に1ポイントだったのが,リリースから2日後には1分に1ポイントに改良されてますよね。
安藤氏:
ええ,要はお前の話が長い,それよりとにかく曲を聴かせろと言われたので,MCを短くしたという感じです。
プレイヤーとキャッチボールをしながら
もっともっと面白くしていく
4Gamer:
運営していくタイプのゲームだからこそ,こうした素早い対応もできるわけですよね。
以前,カプコンの方と話したことなんですけど,これまでのパッケージ販売型のゲームって映画――それも,いわゆる銀幕の時代みたいなものだったと思うんです。でも,ネットワークが整備されてスマートフォンが登場して,リアルタイムにやりとりできるようになったということは,動画メディアの主役が映画からテレビに移り変わったのと同じぐらいの革命なんですよ。
4Gamer:
何となくイメージしやすい例えですね。テレビの登場によって映画がなくなったわけではないという意味でも。
安藤氏:
ですね。これまで,ゲームというプラットフォームは映画でいうところの“巨匠”を目指す人に優しくて,やり甲斐や挑み甲斐のあるものでした。もちろん,これはこれで残っていくと思うんです。
でも今は,スピード感でも勝負できる分野が新たに立ち上がってきたわけで,そこではいいところも悪いところも含めて全部見せながら突っ走っていくようなゲーム作りが適していると思うんです。常に,プレイヤーの声を聞きながら改善していくような。
4Gamer:
ただその場合,「なんで完成してないものを世に出すんだ?」という批判も出てきますよね?
安藤氏:
そういった声が出るのは当然だと思います。「今,一生懸命面白くしてますから」と釈明したって,普通は「面白くしてから出せ」って言う人のほうが多いでしょう。
でも僕は,とくに運営もののゲームの場合は骨の部分さえしっかりしていれば,プレイヤーとキャッチボールしつつ,走りながら考えればいいんじゃない? というスタンスなんです。
4Gamer:
スクウェア・エニックスという会社では異端ですよね?
安藤氏:
そうですね。任天堂さんの「社長が訊く」を読むと,野村(哲也氏)なんかはハッキリと「苦労したところは語るな」という言葉に影響されていると発言していますし。エンターテイナーがしんどいところを見せたらいけないという考え方は,確かに一つの価値観だと思うんです。
でも僕は,テレビの,しかもバラエティ番組のように,良い意味でしっちゃかめっちゃかにやっているドライブ感を出していきたいんですよ。少なくとも僕の関わるものに関しては,熱も生まれますから。
……まあ,それを僕はかつてパッケージでやって,失敗してるんですけど。
それ,ももいろクローバーZと同じですよ(笑)。
4Gamer:
成長過程を作り手とファンが共有することで,独特の熱を生んでいますし,メジャーになりつつある中でも,おかしなことばっかりやってますし。
安藤氏:
それなんですよ。ニコニコ生放送のライブ感だって,視聴者とのやりとりによって“完成”に向かっていく過程を共有できるからこそ,楽しいというところがありますよね。
スマートフォン向けのゲームについても,今後はスペックが向上していって,ゲームを作るときのさまざまな負担も大きくなっていく可能性はありますけど,少なくとも今の時点では,何でもスピーディに対応できるんですよ。これって,このプラットフォームだからこそ初めて実現されつつあることだと思うんですけど,そのこと自体が凄く面白いんです。
4Gamer:
プレイヤーと一緒になって楽しみながら,今までに無かったものを作っていくことの面白さ,ということでしょうか。
安藤氏:
ええ。今あるもので終わりじゃなくて,これからどんどん良くしていきますから。
4Gamer:
さっきの繰り返しみたいになりますけど,「面白くしてから出せよ」みたいな声も,当然想定はしていますよね?
安藤氏:
ええ。でもね,今回みたいに鎌池さんを呼んで,前山田さんを呼んで,声優さん達を呼んでという時点で,本来はハードルが高いものなんです。それに加え,ゲームとしても完成度の高い“完璧に”面白いものにしてからじゃないと,リリースできないとなったら,出来上がるまで何年もかかってしまいかねないんです。
4Gamer:
いわゆる“大作”の作り方にはなりますよね。
安藤氏:
はい。今だからできる座組で,今できることをやりつつ,走りながら発明して,それを付け足していくというイメージなんです。で,その発明の追加ができるような仕組みで,ミリオンアーサーは作っています。
4Gamer:
ミリオンアーサーはソーシャルゲームなのに,きちんとストーリーがあるというのが一つの特徴ですが,今後のストーリー展開すら,プレイヤーの要望によって変わっていく可能性もありそうですね。
安藤氏:
もちろんです。絵も声もどんどん追加していきます。音楽だってそう。例えば第2シーズンみたいな展開をすることになったら,そのタイミングで音楽を全部新しくしてもいいかもしれないですし。それこそ,ロマサガみたいに主人公ごとにBGMが違うものになるとか。
前山田氏:
あれは楽しかったですよね。あの仕組みがあるからこそ,何度も繰り返し遊びたくなりましたし。
安藤氏:
スクウェアのゲームでも,河津(秋敏氏)や時田(貴司氏)が作るものって,それまでのゲームの文法からしてみたら破天荒で自由なものが多かったですよね。
今,スマートフォンというプラットフォームで,ああいう自由さを表現したいような気持ちも持っています。
時代を切り取る感覚の持ち主として
前山田氏に音楽を依頼
4Gamer:
そもそも今回,どういう経緯で前山田さんにミリオンアーサーの音楽を依頼したんでしょうか。
安藤氏:
岩野がミリオンアーサーの企画を考えているときに,僕は隣で仕事しながら見ていたんですが,それがもう若者が初期衝動をたぎらせている姿そのものだったんですよ。それで何かサポートできないかな? と思っているときに,ある人を介して前山田さんを紹介していただきまして。
4Gamer:
僕ですね(笑)。
安藤氏:
「安藤さんと同じようにバカバカしいことを真面目にやる音楽家がいるんですけど,興味あります?」って。ひどい話ですよ!
前山田氏:
ホントですよ!
4Gamer:
確かに言いました。すみません……。
安藤氏:
まったく間違ってないんですけどね(笑)。
で,実際に新大久保の韓国料理屋でお会いしてみて,これはもう,岩野と組ませると凄いことになるんじゃないかって思って,すぐにお願いしたんです。
本来であれば自分の企画でご一緒したいという気持ちもあったんですけど,それよりも岩野と鎌池さんと前山田さんを組み合わせたときにどんな化学反応が生まれるのかって想像したら,ワクワクできたんで,もうミリオンアーサーしかなかろう,と。
前山田氏:
ありがとうございます!
安藤氏:
でもそれも,あのタイミングで出会えたからこそだと思うんです。もうちょっとあとだったら,ミリオンアーサーの音楽をほかの人に依頼していた可能性だってありますから。
前山田氏:
一期一会ですよねぇ。
4Gamer:
実際,スクウェア・エニックスから音楽のオファーを受けたとき,どんなお気持ちでした?
いやぁ,興奮しましたよね。だって僕,別の名義がヒャダインですよ? 僕がスクウェア・エニックスに呼ばれて,仕事を依頼されたんですよ。これ,かなりおかしな話だと思うんです。
安藤氏:
おかしいから,OKなんですよ。
プロデュースって,いかに時代を切り取っていくかみたいなことだったりするんですけど,それは人との出会いに尽きるんですよ。まさに一期一会で。目の前に時代を切り取れるポイントがあったら,そこに迷わず切り込みたいんです。
前山田氏:
僕もまさに,このタイミングだからこそやりたい! っていうのはありました。
安藤氏:
でしょう? そういう感覚を持っている人であれば,こちらがお願いしたものをきっちり仕上げてくれるんですよ。だから今回,こちらからのリクエストは最低限で,リテイクもほとんどありませんでしたよね。
時代がガラッと変わるときって,その業界の外側から来た人達の影響は大きいんですよ。ゲーム音楽だって,すぎやまこういちさんの登場によって時代が変わりましたよね。それと同じようなことを,前山田さんには期待しています。
4Gamer:
時代がガラッと変わるとき,というのはゲーム音楽だけでなく,ゲーム業界のことも含まれていますか?
安藤氏:
ええ。ソーシャルゲームなんかは,まさにそれですよね。Webサービス系の方達や,FacebookやGREE,モバゲーの存在なくしては,今のような形にはなっていないでしょう。従来型のゲーム会社ではなく,全然違うところから新たな潮流が生まれて,それが従来型の“ゲーム”と混じり合いながら,新しいものが生まれつつある。それが,今だと思うんです。
4Gamer:
そういう化学反応が起きている,と。
安藤氏:
実は僕自身,そういう化学反応を起こすことを意図的にやりたいと思って,ここ10年ぐらいゲーム業界外の人達と仕事をしてきたんです。例えば僕が最初に作った「鈴木爆発」というゲームでは,Fantastic Plastic Machineの田中知之さんに音楽をお願いしました。田中さんがゲーム音楽を手がけることの凄さって,当時のゲームファンには全然伝わらなかったんですけどね(笑)。
4Gamer:
時代が早すぎたのか,説明が足りなさすぎなのか……。
安藤氏:
両方ですね! 当時の僕の力不足です。で,そういった試みと同じようなことを,ミリオンアーサーでも本気でやってみようと。そこで,今の時代を切り取れるうえに,さまざまな分野でマルチに活躍している前山田さんに白羽の矢を立てたんです。この人だったら,大きな化学反応を起こしてくれるだろう,と。
アーサー王のモチーフだからクラシカルに
スマートフォン用ゲームだから新しく
4Gamer:
前山田さんはゲームの音楽を作っているということを,どのタイミングで実感できました?
実際に出来上がったのを触ってから,初めて実感がわきましたね。旅をしながらフィールドで自分の曲が流れて,「お,これいいじゃん」とか。戦闘曲なんかも嬉しいですね。「ちゃんと盛り上がるじゃん!」って。
安藤氏:
今回は画面を見ながら調整してもらうようなこともなくて,ざっくりしたイメージでオーダーしたんです。
そして出来上がってきたものを,こちらで当てはめていったんですよ。
前山田氏:
だから,フィールド用に書いたはずの曲が,ストーリーで使われていたりもして(笑)。
安藤氏:
それができるのって,前山田さんの許容範囲が広くて,一つの曲でもいろいろな聞こえ方をするものを作れるからこそなんですよ。かちっと決まったものだけしか書けない方だと,別のシーンに当てはめられず,ボツになったりもしますし。
4Gamer:
ちなみに今回,前山田さんは何曲ぐらい書いているんでしょう。
前山田氏:
30曲くらいでしたね。
それぞれのスペックはExcelで来ました。○○のシーン,コンセプト,尺,締め切り,みたいなものが羅列されていて。
4Gamer:
想像以上にざっくりした発注なんですねぇ。
安藤氏:
僕がコンポーザーの方にお願いするポイントは2つしかないんですよ。まず,戦いをモチーフにするのであれば,ドラマチックであること。そして,どんな複雑なアプローチをしてもいいけど,鼻歌でそらんじられるようなメロディを持っていること,という。細かい部分は,制作会社の人が必要なスペックを詰めていきますので。
リテイクを出すときも,基本はこの2つを満たしていない場合だけです。
前山田氏:
でも今回は,ほぼダメ出しはありませんでしたよね。
そうですね。けっこうのびのびとやってもらった感じはあります。もうちょっと,かつてのスクウェアやエニックスのRPGへのオマージュみたいな感じで来るかな? とも思っていたんですが,そうでもなくて,ちゃんと前山田さんの曲になっているなって。
とくに音の紡ぎ方はユニークで,前山田節というようなものがあると思うんですけど,くり返しのフレーズや途中に入るシーケンスのフレーズが印象的で,凄く気に入ってます。
前山田氏:
ありがとうございます。キャッチーさは,すべてにおいて絶対に入れようと思っていたので,嬉しいです。
4Gamer:
前山田さんは,どんなイメージを描いて,ミリオンアーサーの音楽に取り組まれたんでしょうか。
前山田氏:
アーサー王がモチーフということで,ちょっぴり気取った感じは出そうと思いました。
ただ,具体的なイメージというよりは,今までに遊んできたRPGの音楽を全部自分なりに咀嚼して,最近作ってきた曲――ももクロちゃんなんかも含んでいるんですけど――の文脈を通してひねり出した感じですね。
4Gamer:
フィールド曲なんかは,楽器の選び方がごくスタンダードなRPGっぽいと感じました。
前山田氏:
そうですね。ドラクエっぽいクラシカルな曲と,ゴリゴリのトランスな曲の両極に寄せたかったんです。
アーサー王の伝説というモチーフだから,クラシカルな音。iPhoneという新しいプラットフォームだから,新しい音。そういうミクスチャー的な感じは意識しました。
安藤氏:
そのどちらも上品なんですよね。前山田さんの曲は情報量が多い印象があるから,ゲームを遊び始めたときに,ゲームそのものより音楽がグワーッとくる感じかな? とも思ってたんですけど,ゲームにしっかり寄り添って,なじんでいるんです。
前山田氏:
もうちょっと暴れても大丈夫でした? 実は,あまり自己主張しないでおこうかなと思ったんです(笑)。
4Gamer:
いわゆる劇判的な作り方ということでしょうか?
前山田氏:
ですね。
安藤氏:
まさに劇判っぽいですよね。それでいて,ドタバタしたイベントシーンの曲なんかは,前山田さんの持ち味が凄く出ていて楽しいんです。
実はああいうドタバタの曲って,ゲームの中だと目立たないことが多いんです。最近のラノベ原作のアニメなんかだと,そういう曲にもフォーカスが当たるんですけど,ゲームだとどうしてもタイトルテーマ曲や戦闘曲にばかり注目が集まりがちで。
前山田氏:
サブストーリーで流れるような三枚目っぽいコミカルの曲は,本当にいつもの感じで作りましたね。
でも,サブストーリー自体があっという間に終わっちゃうんで,あんまり曲を聴けなくて。
4Gamer:
あえて画面をタップして読み進めずに,曲を最後まで聴くしかないという。
安藤氏:
ああ,でも昔のRPGなんかだと,一度しか聴けないボス曲を,ボスを倒さずにじっと聴いたりしてましたよね。
4Gamer:
非リアルタイムのターン制バトルだったからこその楽しみ方でしたね。
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