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「初音ミク and Future Stars Project mirai」発売記念。店頭体験会を訪れた大崎プロデューサーと高部ディレクターにインタビューしてきた
「初音ミク and Future Stars Project mirai」公式サイト
体験会では本作のリズムゲーム部分をプレイ可能で,用意されていた楽曲は,「PIANO*GIRL」「LOL -lots of laugh-」「私の時間」「トリコロール・エア・ライン」だ。なお「トリコロール・エア・ライン」は,ボーカルがリン/ルカ/MEIKOのバージョンも選べた。
なお,ニンテンドーeショップでは本作の体験版が配信されているので,興味はあるけど体験会に参加できなかったという人は,ニンテンドー3DSをインターネット接続して,体験版をダウンロードしてみてほしい。
また会場では,本作のプロデューサーである大崎 誠氏と,デイレクターの高部元志氏のお二人に,メディア合同ではあるが話を聞くことができたので,本稿の締めとして掲載しよう。
――ついに「初音ミク and Future Stars Project mirai」が発売日を迎えました。今の感想を聞かせてください。
大崎氏:
うちの“中の人”が1月中旬につぶやいてしまっていたので,知っている人も多いと思いますけど,ゲーム自体は,早いうちにマスターアップしていたんです。
最初に作っているときは「本当に出るのかな?」と思っていたので,すごく感慨深いです……けど,今日はこれからライブ※があるので,若干浮ついています(笑)。
僕は,この業界に入って19年目なんですけど,こんなにユーザーの皆さんに来ていただけるタイトルってなかなかないです。やっぱりミクさんはすごいなと。
これも,ミクさんと,応援してくださっている皆さんのおかげだと思いますので,本当に感謝しております。
※「初音ミクライブパーティー2012」
――本当に出るのかな,と思うほど制作が難航したのは,どのようなことが理由だったのでしょうか?
大崎氏:
最初は企画が難航したというか,どういうゲームを作ったらいいかまったく分からなかったんです。
その理由は,「初音ミク」を扱ったゲームとしてすでに「Project DIVA」があって,まったく同じものを作ってもしかたがない,というところだったんです。それなら「DIVA」でいいじゃないかと。
「mirai」は「mirai」なりにどんな形で行くべきか,それを考えている期間が長かったですね。
最初に,もっといろいろな層に「初音ミク」を知ってほしい,そのゲームでもっと遊んでもらいたい,という狙いがあったんです。
そういう意味では,任天堂さんのプラットフォームがベストマッチだったと思います。ですから,年齢の低い層から高い層まで楽しめるようにしています。ただ,今まで「DIVA」シリーズを遊んできた人が「これは違うんじゃないの?」と思ってしまうような,あまりにもかけ離れたものにはならないよう,選曲からゲーム性に至るまでのすべてをチューニングしてきました。
製品版を触っていただければ,「ちゃんとやっているんだな,いろいろと仕込んでいるんだな」と感じていただける仕上がりになっていると思います。
大崎氏:
やはり“電子の歌姫”ですから,技術的側面でも「すごいことをやりたいね」という気持ちはありました。好きな人はご存じだと思うんですけど,“ニコニコ技術部”でも,「初音ミク」を題材にしていろいろなことをやっていらっしゃいますから。ちなみに,僕がもう一つ担当している「初音ミク Project DIVA Arcade」でも,無駄にすごくがんばっていますし(笑)。
ニンテンドー3DSですから,3D立体視は当然フィーチャーしないといけないんですけど,3D立体視をフィーチャーするだけで大丈夫なのか,どうフィーチャーするのかなど,すごく試行錯誤していたんですよ。
高部氏:
「初音ミク」イコール未来というキーワードにピンと来て,“未来ガジェット”でパッケージングするということを思いついてからは,けっこう早かったですよね。
大崎氏:
クリプトン・フューチャー・メディアさんも,「初音ミク」の名前の由来が未来だとおっしゃっていましたから。最初はProject miraiという名前じゃなかったんですけど,やはり「mirai」かなと。そこから,絵の雰囲気とか,ガジェット的なところもまとまってきたんです。
あと,かなり苦しい時間は長かったんですけど,デザイナーががんばってくれたことが大きいですね。
最初は,PSPのモデルを出してみたら「違う」と感じて,だんだん頭身を下げていったら,結果「ねんどろいど」になったんですよ。正直な話,最初は「ねんどろいど」に見えなかったんですけど,デザイナーが質感にもかなりこだわってくれたおかげで,本当に「ねんどろいど」が画面の中にいるような仕上がりになったんです。
その絵を見て,「このミクさんをこういう風に動かしたいよね」というアイデアも見えてきたので,絵が最初にできあがったというのは,すごく大きかったと思います。
――ちなみに,ポリゴン数はどのくらい使っているんですか?
高部氏:
具体的な数字は言えないんですが,メインキャラクターは,3DSのソフトの中でもポリゴンを使っているほうだと思います。デザイナーが作った元のモデルは,ソフト側のスタッフに「これじゃ動かないから,もう少し減らせ」と言われるくらいでした。そこは,数字にも愛が表れていたということで(笑)。
大崎氏:
デザイナーはまず,ベストを尽くしたものを作るので,だいたいはあとで削ることになる,というパターンが多いんです。元がAM2研なんで「とりあえず突っ込む」という発想なんですよ(笑)。
落とし込んだところは,生々しすぎず,プラスチックっぽくなりすぎず,その中間ですね。
ニンテンドー3DSって,いろいろな機能が満載されていて,ソフト側の開発としても,「それを使わない手はない」と,いじりたくなるようなハードなんですよ。ですから「mirai」は,ニンテンドー3DSの技術的ショーケースを狙っていたという側面もあるんです。
大崎氏:
音声認識や顔認識も,でき上がったものを試したときには,感動しましたね。
セガの開発って,若干適当というか,プログラマーがけっこう自由にやっているところがあるんですよ。「そんなの入っちゃったわけ?」というようなものがいつの間にか入っていることもあって。まあ,僕も「いいじゃん。分かってるねー」ってOKしちゃうんですが(笑)。
やっぱり,ゲームってプログラマーが実装してくれないと完成しないものですから,今回はプログラマーが遊んでくれたというか,いろいろとチャレンジしてくれたのが大きかったと思いますね。
――音声認識はどのような感じで使われているんですか?
大崎氏:
分かりやすいのは,楽曲のセレクトですね。
高部氏:
そうですね。選曲するときが一番便利に感じられると思います。楽曲名がずらっと並んでいるので,「あの曲はどこだっけ?」となることもあると思います。そういうときに曲名を言えば,ぱっと選択してくれるんです。それだけではなく,メインメニューでも音声認識でモードを選べるようになっています。
大崎氏:
すごい勢いで曲リストが動くので,最初は驚くんじゃないでしょうか。僕は,「これ,本当に分かって動いているの?」と思ってしまったほどなので(笑)。でも,精度は本当に高いです。
高部氏:
もしかしたら,AR機能より未来を感じてもらえるかもしれませんね(笑)。
――では,顔認識はどのような機能として使われているんですか?
高部氏:
購入していただいた方はもう楽しんでいると思いますが,ルームのカメラモードのオプションに,フェイストラックがあるんです。それに切り替えると,プレイヤーのいる位置をインカメラで追うようになります。カメラアングルだけじゃなく,ミクさん達の視線もプレイヤーのほうに向くんです。
上から覗き込むと上目遣いのミクさん達が見られますので,その筋の方にもご満足いただけるのではないかと(笑)。
――そのほか,紹介しておきたい機能には,どんなものがありますか?
マイルームのカメラモードの一つで,ジャイロセンサーを使っているんですよ。これを使うと,自分の向いた方向に合わせてカメラアングルも動くんですが,3DS本体を縦持ちにすることもできるんですね。新鮮な気持ちでマイルームを眺められると思います。
あと,加速度センサーを使った要素も仕込んでいます。3DS本体をちょっと揺らすと,ミクさんがよろけたりします。ちょっとしたコミュニケーション要素も入っていて,何度も揺らしていると,しまいには怒られます(笑)。
大崎氏:
あと,日本の伝統的な行事など,月に1個くらいイベントが発生するといった,カレンダーと連動した仕掛けも入っていますから,末永く触っていただけると嬉しいです。
高部氏:
マイルームごとに演出も違っているので,切り替えて見ていただければと。
大崎氏:
細かいところで勝手に入っているというか(笑)。
――それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
大崎氏:
「DIVA」の開発チームも同様のことを言っていますが,やっぱり,ミクさんのゲームを作るうえで一番大切にしなきゃいけないのは,「可愛くなければいけない」ということです。そこは「mirai」も間違いなく可愛いです。
ゲーム全体としても,簡単なところから遊びごたえのあるところまで,全体として面白くなっているというのも,製品版を触っていただくと実感していただけるはずです。
「mirai」は,“やり続ければうまくなる系”のゲームで,「もう絶対ムリ!」というものはありません。プレイを重ねることで上達が感じられるようになっていますので,ぜひプレイしていただきたいです。
それからやはり,3D立体視のPVです。3D深度も調整してありますし,「LOL -lots of laugh-」や「PIANO*GIRL」が3DになったPVを見ていただければ,その魅力を実感していただけると思います。また,ファンの方なら分かっていただけるネタも仕込んであるので,ぜひ探してみてください。「なるほどね」と思っていただけるはずです。
やはり,3Dは見てナンボのものなので,実機で見ていただかないと伝わらないと思います。ぜひ買ってください!
高部氏:
買った直後は,曲を解禁するためにリズムゲームを中心にプレイされると思います。そういう風に作ってしまった僕らが言うのも申し訳ないのですが,曲が全部解禁されたら,ぜひPVをじっくり楽しんでほしいです。AM2研が,初めてコンテから起こして作っているものも多いです。がんばって作りました。
3DのPVクリップ集としても,じっくり長く楽しめるように作ってありますので,ぜひ味わっていただきたいと思います。
また,すれちがい通信では,コメントを編集できるようになっていますので,ぜひ外に持ち出して,ほかの人とすれ違って,自分だけの弾幕を作りあげていただければと思います。末永く,ご愛顧のほどよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
「初音ミク and Future Stars Project mirai」公式サイト
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