「これからの日本を創る若者達にぜひ観てほしい」。4月5日から始まるドラマ版「クロヒョウ2」について，右京龍也役の斎藤 工さんにあれこれ聞いてみた

　セガが2012年3月22日に発売を予定しているPSP用ソフト「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」（以下，クロヒョウ2）のテレビドラマが，いよいよ4月5日から放送開始となる。本ドラマはゲーム「クロヒョウ2」同様の“熱い人間ドラマ”をテーマとしながらも，新たなキャラクターや，ゲームとは異なるシナリオなど，ゲームを遊んだ人でも新鮮な気持ちで見られるような内容となっている作品である。

クロヒョウ２ 龍が如く 阿修羅編　（全11回）
　
TBS 毎週日曜日 24時50分 4月8日〜
MBS 毎週木曜日 25時25分 4月5日〜
CBC 毎週金曜日 26時00分 4月13日〜

　加えて本ドラマは，右京龍也役の斎藤 工さんを始め，若手俳優陣の熱の入った演技にも注目が集まっている。今回は，収録を終えた直後の斎藤 工さんに，ドラマ版「クロヒョウ2」の見どころや，演じるうえでの心持ちなどを聞いてきたので，さっそくお伝えしよう。

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4Gamer.net（以下，4Gamer）：
　ご自身の演技で，ここはぜひ注目してほしいという部分はありますか？

斎藤 工さん（以下，斎藤さん）：
　やはりアクションですね。初代のドラマ版から一貫してそこは変わっていません。このドラマは若者を中心に展開していく物語で，人の命を背負っていくような重いシーンがあったりするんです。僕の中では震災の影響がものすごく大きいので，余計にその重みを感じてしまいます。そんなこともあって，今回は「この説得力はどうやったら出せるんだろう」ということを考えながら演じました。

4Gamer：
　1年ぶりに「ドラゴンヒート」の舞台に立ってみて，どのような想いでしたか？

斎藤さん：
　やっぱり安心しますよね。前回はスタッフ一同直球を投げるような感じで制作に取り組んでいたので，（ドラゴンヒートの）床の弾力を感じることで，精神的に時間が戻った感覚です。


4Gamer：
　今回はドラマ版だけではなく，ゲーム版「クロヒョウ2」でも右京龍也役の声優として出演されていますが，ドラマ版を演じるとき，ゲーム版を意識するようなことはありましたか？


斎藤さん：
　ゲームとドラマの融合っていうのは，ほかのドラマにはない大きな特徴だと思うんです。僕は「龍が如く」シリーズは非常に映画っぽい作品だなと思いながらプレイしていたんですけど，そういう意味でこの作品は，若者目線で描いた映画……，それ以上に重厚なものになると思います。名越さん（「龍が如く」シリーズ総合監督の名越稔洋氏）も，わざわざ連絡をくださって僕の意見を求めてくれたり，「龍也だったらどうかな？」っていう風に，僕を龍也として見てくれているので，役者としてこんなに嬉しいことはないと思いましたね。
　龍也というのは，ただ単純に演じるだけではだめだと思います。いい意味で複雑に自分の中に宿っている役なので，その辺の「生っぽさ」がファンの方に伝わってくれれば嬉しいです。

4Gamer：
　ゲーム版の収録を経たことで，ご自身の中で，龍也を演じる時の変化はありましたか？

斎藤さん：
　僕の場合，最初に初代「クロヒョウ」のドラマ版を演じていたので，ゲーム版「クロヒョウ2」の収録はドラマ版の延長で演じていました。なので，変に意識を変えてゲーム版の収録に臨むのではなく，「自分の皮膚に宿った経験値をゲームに生かせたら，ほかの人には出せない右京龍也になる」と思いながら演じました。
　ゲーム版「クロヒョウ2」に関しては，声優としてというよりも，“右京龍也として”関わらせてもらったので，あまりゲームという意識はなかったですね。ただゲーム版とドラマ版ではシナリオが少し違うので，ドラマでは，生身の人間を見せていきたいです。ゲーム版とドラマ版は同時発進なので，ゲーム版とはいい意味での戦いになると思いますし，そこが相乗効果になればいいなと思います。

4Gamer：
　ドラマ版のストーリーの魅力を教えてください。


斎藤さん：
　脚本に名越さんが大きく関わっているというのが，僕としては嬉しいですね。今回は，キャスティングが決まったあとにシナリオがどんどん進化していったんですよ。というのも，名越さんのキャスティングって，誰でもいいというのが一つもないんです。なので，今回参加したキャストに関しても，それぞれに特徴があります。その瞬間で「こう演じてくれ」というよりは，「この人だからこうなんじゃないかな」っていう名越さんの観点がすごく入っていると思います。ある意味脇役がおらず，全員主役ということなので，とても素晴らしいと思います。

4Gamer：
　ドラマ版の収録では，ゲーム版の右京龍也と同じジャージを着ていらっしゃいますが，着てみていかがですか？

斎藤さん：
　前回のドラマ版撮影の時もこのジャージを着ていたんですけど，歌舞伎町で「クロヒョウ！」って言われることが多かったんですよ。でも今回は，そんな初代ドラマ版を経ているので，前回以上に言われますね。実は今回，このジャージとほかの服の割合は半々くらいですが，やっぱりこのジャージのほうがしっくりきます。


4Gamer：
　先ほど名越さんからアドバイスを受けることもあったとおっしゃってましたが，一番参考になったアドバイスはなんでしょう。

斎藤さん：
　名越さんとは震災直後も連絡を取り合ってました。その時にいろいろと話をして，震災はお互い無視できない非常に大きな出来事だということを，ものすごく実感しましたね。
　これは名越さんから直接言われたことではないんですが，人って大切なものを失った時はすごく悲しいけど，同時に得ているものも多いと思います。初代「クロヒョウ」もそうで，龍也っていろいろと大きなものを失っていくんですよね。だけど失った時に，同時に得ているものもある。「失った時にどうするか」というのは，今の日本のテーマだと思うし，自分もそれは同じです。失っても，そこでちゃんと前進できるかどうかってすごく大切だなと。
　たぶん名越さんもいろいろなものを失いながら，自分の力でたくさんの物を得てきたと思います。まだここでは言えませんが，ドラマの最後のセリフにすべてが集約されていて，その時「これは名越さんの物語でもあるんだ」って感じましたね。
　ただ，だからといって「クロヒョウ2」が名越さんだけのものとは思っていないんです。僕は僕のものだと思っているし，ほかのキャストの方は，自分自身の「クロヒョウ」だと思ってるんじゃないでしょうか。


4Gamer：
　それでは最後に，ファンの方へメッセージをお願いします。

斎藤さん：
　これから役者がエンターテイメントを作っていくということは，今までにない具体性が必要だと思います。「多くの人に響けばいいな」じゃなくて，「ここにいるこの人に届ける」，そしてそれが広まっていくっていう濃度の高さが必要だと思いますし，それが僕の基準にもなっています。
　深夜ドラマとはいえ，スタッフ全員，この作品を命を削りながら作っています。今は，失ったものに何かが宿っていないと心に響かない時代になっています。ただそれは決してリスキーな事ではなく，むしろチャンスだと思っています。
　命がけで取り組めばちゃんと想いは届くんだっていうことを，初代ドラマ版「クロヒョウ」の時に学んだので，今はやるべき事がはっきりしています。震災から一年経ったこの時期にスタートするドラマ版「クロヒョウ2」は，僕の中では嬉しい挑戦なんです。
　このドラマがどこかの少年や少女の心に響いて，何か強いものを感じてくれたら嬉しいですね。もちろん年齢が上の世代にも観てほしいんですけど，これからの日本を創る若者達にはぜひ観てほしいです。よろしくお願いします。

4Gamer：
　ありがとうございました。

「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」公式サイト