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基本無料のPC向けMO「Warhammer」,コンシューマと連携するモバイルゲーム――「EA UK Showcase」の出展タイトルに見るEAの新たな試み
なかでも,PC向けMORPG「Warhammer Online: Wrath of Heroes」は4Gamer読者ならば気になるはず。EA傘下の開発スタジオ,BioWare初の基本プレイ無料タイトルということで,イベント来場者からの注目度も高かった作品だ。
また,今回のイベントではモバイル向けのタイトルの出展も目立った。モバイルやソーシャルゲームが世界各国で隆盛を極めるなかで,EAもChillingoやPopCap Gamesといったパブリッシャを次々に買収して,その潮流にのるべくコンテンツの拡充を図っているのである。
それではさっそく,今回会場で触れる機会を得られた「Warhammer Online: Wrath of Heroes」といくつかのモバイルゲームの新作タイトルを,紹介していこう。
Warhammer Online: Wrath of Heroes
「Warhammer Online: Wrath of Heroes」は,前述したように基本プレイ無料(アイテム課金制)のタイトル。現在オープンβテスト(OBT)が行われており、日本からでも参加可能だ。一応のジャンルはRPGだが,内容は1チーム6人でプレイヤー同士が戦うPvPに特化した内容となっている。
「Guild Wars」が人気を集める要因となった、レベルや装備の差をなくして戦えるPvPモードと似たような存在を、Warhammer Onlineシリーズでは、世界観を同じくした別のタイトルという形で用意したといえるかもしれない。
基本操作は[W/A/S/D]で移動し,数字キーでスキルを発動させるという非常にオーソドックスな作りで,今回プレイしたゲームのルールも「マップ内にある旗をとって守りきる」といういわゆるフラッグバトルだった。システム,ルール共にグローバルスタンダードに則っているので,どんなプレイヤーでもすんなりゲームに入り込めそうである。
ただ,ゲームをプレイするまでのハードルは低いものの,このタイトルならではの魅力は見つけづらい印象を受けた。近いうちに始まるであろう正式サービスで,ユニークな要素が入るのであれば,このゲームは一層面白くなりそうだ。
……まぁ実は,テストプレイでは,すでにOBTでゲームに触れているプレイヤーたちと対戦したために毎回「瞬殺」され,腰を据えてプレイできなかったのだが。
the act
1990年代にアーケードで稼働していたアクションゲーム「the act」のiOS版となるのがこのタイトル。配信予定は2012年夏だ。
ビルの窓ふき掃除が仕事の若者,エドワードを操作して,「一目惚れした相手に,夢の中でアプローチする」「一緒に働いている仕事嫌いの兄をなだめつつ,上司に怒られないように働かせる」といった,やや虚しさを感じなくもないステージをタッチ操作でクリアしていく。
ただ,ゲームは意外と難しく,ほかのタッチ対応タイトルと同じような感覚で「スッと」指をスライドさせるとすぐに失敗してしまった。アーケード版ではボール型コントローラを搭載した筐体で提供されていたらしいので,この繊細な操作のルーツはそこにあるのかもしれない。
ちなみに,開発者によると「アーケード版はヒットしなかった」とのこと。比較的カジュアルなゲームが流行しているモバイルゲーム市場で,当時の雪辱が果たせるのかどうかは個人的に楽しみである。
女性の反応をうかがいつつ,じわじわとにじり寄っていくエドワード |
上司と兄の板挟みとなるエドワード。エドワード…… |
Air Mail
「Air Mail」は飛行機を操作して自由に空を飛び回るiOS向けのフライトゲームで,配信は2012年春の予定……きっと間もなくだ。「メールを配達する」「鳩を追い払う」などの依頼をこなす「Mission」,飛行の正確さやタイムが評価される「Express Delivery」,自由に空を飛び回れる「Explore」という3つのモードが用意されている。
グラフィックスはiOS向けタイトルとしてはかなり綺麗な部類に入るだろう。
操作にはタッチと加速度センサーを用いる。ボタンをオーバーレイ表示する一般的なタイプ,画面の左右に配置されたカーソルを上下させて機体の傾きを変えるようなタイプと,複数の操作法が用意されるなど,かなり作り込まれている印象だった。
また,Exploreモードでは,ただ飛ぶだけでなく,マップの至る所に配置されたアイテムを見つける楽しみがあるなど,やりこみ要素もあった。
Mass Effect Infiltrator
「Mass Effect Infiltrator」は,「マスエフェクト3」(PC / PS3 / Xbox 360)と連動するiOS向けのTPS。マスエフェクト3の最新ニュースをチェックする「Mass Effect Datapa」と共に,3月より配信されている。
操作はすべて画面タッチで行う。敵をタッチするとズーム画面に移行して照準が表示され,その照準をスライドさせて敵に合わせれば自動的に弾が発射されて敵が倒れる,というちょっと変わった攻撃方法になっている。
特徴である「マスエフェクト3」との連携機能は,「Mass Effect Infiltrator」のステージクリアの報酬として手に入る「INTEL」をアップロードすると,「マスエフェクト3」のストーリーに影響を与えるというもの。ちなみに,INTELはアップロードせずに,Mass Effect Infiltrator内で使うコインへと変えることもできる。
この機能を設けたことで,マスエフェクト3をプレイしている人ならば,外出時にもゲームの世界に関わることができ,プレイしていない人でもマスエフェクト3を知るきっかけになる,という2つの層にアプローチできるメリットが生まれているようだ。
INTELをゲーム内コインと交換できる機能によって,マスエフェクト3に興味がない人でも,本作を十分に楽しめるようになっているというわけである。
「Mass Effect Infiltrator」が試みたコンシューマゲームとモバイルゲームの連携。ビジネス的には,フルプライスで販売するコンシューマ版の入口として,安価またはフリーミアムなモバイルゲームを用意するというのは理にかなっている。
また,それだけでは終わらず,作品の世界を一部とはいえ“持ち歩ける”ようにし,さらにそれを何らかの形でコンシューマ版へと還元できる仕組みを用意して,作品そのものをより楽しめるようにするなど,非常に面白い施策だと感じた。
日本でも,セガの「ファンタシースターオンライン2」など,類似するケースがいくつか見られるように,今後,このモデルが流行していく可能性は高そうだ。
以上,4タイトルを紹介した。個人的に気になったのは,the act。当時は受け入れられなかったというこのタイトルがモバイルで甦り,多くの人に認知されることになれば,同じように,隠れた名作がモバイル向けゲームとなって脚光を浴びる,という流れが生まれるかもしれない。
- 関連タイトル:
Warhammer Online: Wrath of Heroes
- 関連タイトル:
Mass Effect Infiltrator
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