プレイレポート
超常能力とユニークな武器で,極めろ,暗殺道!
Dishonored
ベセスダ・ソフトワークスから2012年10月11日に発売される予定のアクションアドベンチャー「Dishonored(ディスオナード)」(以下,ディスオナード。PlayStation 3/Xbox 360)。一人称視点のステルスアクションという個性的なゲームシステムや,ファンタジーと現実的な世界が融合する独自の雰囲気などで,国内でも発売前からゲームファンの話題となっている本作については,4Gamerでもこれまで多くの記事を掲載してきた。
完全新規IPであり,主観視点という見た目ながらもバリバリ弾を撃つ攻撃的なFPSではなく,武器と超常能力を駆使してターゲットを暗殺していくというステルスアクションとなっている本作。独自のゲームシステムであるため,イベントなどで体験できる10分程度のプレイでは,本作の面白さの本質がプレイヤーに伝わりづらいのでは? という懸念が,送り手側にもあるのだという。
そこで今回は,ほぼ完成となった日本語ローカライズ版で,ゲームのチュートリアルも含めたオープニングから序盤までを,また,ゲームの中盤程度まで進めたセーブデータからいくつかのミッションを,合計3時間ほどプレイさせてもらい,本作をじっくり体験してきたので,ここでは,その模様をお伝えしたい。
なお,今回プレイしたのはPlayStation 3版で,記事中のボタン表記もPlayStation 3版のものに準じている。
「Dishonored」公式サイト
まずは,敵に見つからないように行動するのが重要
主人公であるコルヴォは,疫病が蔓延する国を救う方法を探すため,女王の使いとして他国へ渡るが,成果なく帰国する。その報告をする彼の目の前で,女王は突如現れた何者かに暗殺され,コルヴォはその濡れ衣を着せられ投獄されてしまう。
投獄された監獄からの脱出が,本作で描かれるコルヴォの復讐劇の始まりだ。女王と謁見する直前,女王の娘とかくれんぼをするシーンがあるのだが,それがステルスアクションのちょっとしたチュートリアルとなっていて,その成果を最初に試せるのが脱獄シーンになっている。衛兵に気づかれないようにカギを盗んだり,スイッチを使って扉を開けて先に進んでいくのだが,衛兵が監獄を巡回しているため,思うほど簡単ではない。
このシーンにおいてはもちろんのこと,ゲーム全体のステルスアクションにおいてとくに重要になるのが,○ボタンによるステルス移動だ。○ボタンを押すと,コルヴォは身をかがめ,静かに移動できる。足音を立てずに歩けるため,敵の視界にさえ入らなければ,気づかれずに移動ができるわけだ。
また,急いで移動したいときは,L3(左スティック押し込み)+移動で走ることもできるが,敵の近くを走って移動するとほとんどの場合,音で気づかれてしまう。敵に自分の存在が気づかれていないときは,できる限り○ボタンを使ってステルス移動するのがベストだろう。
また,ステルス状態で物陰などにいるときに△ボタンを押しながら左スティックを左右に動かすことで,敵に気づかれないように,先の状況をうかがえるようにもなっている。
ディスオナードでは,たとえ敵に見つかっても,ゲームオーバーになることはなく,腕に自信さえあれば,正面から斬り込んで倒して進んでいくことも可能だ。しかし正面から戦うと,仲間を呼ばれて相手が増えてしまうことも多く,たくさんの敵を相手にするとかなりつらい。本作では,ステルスを駆使した戦略が重要になっているのだ。
ステルスを使った戦いでは,倒した敵をどう処理するのかもポイントになる。
死体をそのまま放置すると,通りかかった敵に発見され警戒モードになることもあるし,この国の疫病蔓延の原因である凶暴化したネズミが増えて感染を広げることにもなる。さらには,死体が“ウィーパー”(Weeper=泣き人)に変異したりと,あまりいいことはない。
残った死体は□ボタンでかつぎ,目立たない場所に隠したり,いずれ習得することになる超常能力で消し去ったりできる。できる限り痕跡を残さないようにすることが重要だ。
また,ステルス状態で敵の背後まで近づき,R1ボタンを押すことで,ほとんどの敵を一撃で暗殺できるのだが,R2ボタンを押して締め上げ,気絶状態にすることも可能だ。殺さなければ,ネズミに死体を食い荒らされることもなく,また,敵に見つかっても大騒ぎにはならない。
プレイヤーのパラメータには「カオス」という値が存在し,敵を殺すたびにこの値が上がる。ハッキリしたことは分からないが,カオス値は,その後のゲーム展開に多少の影響を与えていくとのことで,基本的に殺し過ぎはプレイヤーにとってメリットがないらしい。そのため,「殺さない」という選択肢があることを常に頭に入れてプレイする必要があるだろう。
コルヴォを助ける,さまざまな超常能力
脱獄したコルヴォは,女王を暗殺して娘を誘拐した反女王派に対抗する女王支持派組織と合流し,そこで仮面を着けられ,復讐にすべてを捧げたアサシン(暗殺者)として生きることになる。さらに,ここでコルヴォは,「アウトサイダー」という謎の存在から,普通の人間には使えない超常能力を授かる。この力こそが,暗殺者となったコルヴォを助ける最大の味方であり,剣や銃などによる攻撃とこの能力を組み合わせることで,華麗な暗殺術を自在に使いこなせるようにもなるのだ。
最初に習得するのは,短い距離をテレポートできる「ブリンク」という能力。このブリンクを左手に装備しL1ボタンを押したままにすると,自分の少し先に光の柱が現れる。光の柱の場所を左スティックで決めてL1ボタンを放すと,その場所まで瞬間移動ができるという寸法だ。
移動先に十分な足場があれば,高いところや離れた場所にも一瞬で移動ができるという,非常に便利な能力だ。ブリンクはステルス性も高く,無音で一瞬のうちに移動ができるので,先の脱獄時にこれが使えればいかに楽だったか……などと考えてしまったが,実際,このあとの展開でも大いに役立つ能力だ。序盤できちんと使い方を覚えておこう。
超常能力には10種類があり,主に敵に対する攻撃的なものと,コルヴォ自身を強化するものに分類できる。概要については,2012年7月19日に掲載した記事でも紹介しているので,合わせてチェックしてほしい。
最初はブリンクしか使うことができないコルヴォだが,フィールドのどこかに隠されている「ルーン」というアイテムを集めることで,別の超常能力を使えるようになる(習得すると,集めたルーンは消費される)仕組みだ。ブリンクを習得した時点で使える能力はすべて分かるようになっているが,習得するのに必要なルーン数が異なるため,序盤から多数のルーンが必要な(つまり強力な)能力を習得するのは物理的に難しい。
プレイヤーは,ルーンを貯めて強い能力の獲得を目指してもいいし,ルーンの消費が少ないものから順に習得していくこともできる。能力はそれぞれ個性的で,2段階にパワーアップできるが,どういう順番で超常能力を習得していくか,また,どの能力を強化するのかはすべてプレイヤーに委ねられているのだ。
本作の特徴はここから。これらの超常能力を使いこなすことで,非常に面白い攻略が可能になっていくのだ。
例えば上記のブリンクであれば,建物などに潜入する際に,正面からだけでなく,建物の高い場所から敵に気づかれないように潜入できるし,動物や人間に憑依できる「ポゼッション」という能力を使えば,ネズミに憑依して普段は通れない小さな穴を通ったり,魚に憑依して水路を泳いで進むことなどもできるのだ。
建物には,超常能力を使った場合を想定した複数の潜入ルートが用意されているほか,すべてのミッションに,超常能力を使いこなすことでより楽しめるデザインが施されている。プレイヤーの持つ超常能力や装備により,同じミッションでも,さまざまな攻略法が楽しめるというわけだ。
これらの超常能力と武器を複数を組み合わせることで,「クリエイティブ・キル」と呼ばれる頭脳プレイも可能だ。例えば,敵が銃を撃った瞬間,自分以外の時間をゆっくり進める「ベンド・タイム」で時間を遅くし,ポゼッションで撃った敵に憑依して,飛んでくる弾の前に移動し,能力を解除すれば,敵は自分の撃った銃弾で撃ち倒されることになる。
また,ネズミの大群を呼び出す能力,「ラット・スワーム」で出現したネズミにスプリングレーザー(敵を切り刻んで倒すアイテム)を装着し,ポゼッションでそのネズミに憑依して敵の中に飛び込んでいくということもできる。
クリエイティブ・キルについては,8月10日に掲載したムービーでも紹介しているが,開発スタッフが考えたものだけでなく,プレイヤーが自らあみ出すのも大きな楽しみになるだろう。
今回の試遊をナビゲートしてくれたベセスダ・ソフトワークスの担当者によれば,「できるだけいろんな発想で,自由に遊んでほしい」とのことで,開発スタッフも思いつかなかったようなクリエイティブ・キルを編み出してほしい。
暗殺者の道をアクションで極める!
また,ミッションによっては,ターゲットを殺さずに解決できるような仕掛けが用意されていることもある。詳細は書けないが,筆者がプレイした「仮面舞踏会に潜入して重要人物の夫人を暗殺する」というミッションでは,舞踏会の参加者数人をうまく口説くことで,夫人を含めて誰も殺さずにミッションをクリアすることも可能だったのだ。
とはいえ,実際のプレイで筆者は,慎重にミッションを進めてきたにもかかわらず,最後にうっかりR2ボタンとR1ボタンを押し間違えて夫人を殺してしまうというミスを冒し,普通に暗殺クリアとなってしまった。残念だ。
これらのミッションは,クリア後に最初からやり直すことが可能なので,結果に納得がいかないときはとことんやり直すのもいいかもしれない。
19世紀のロンドンを思わせる風景と,主要なエネルギー源として「鯨油」が世界を支えるというスチームパンク的な設定については,多少好みが分かれるかもしれないが,個人的にはすんなりと入っていけた。何より,一人称視点のステルスアクションは緊張感がハンパなく,初めてミッションに挑戦するときなど,コントローラーを握る手にじっとりと汗をかいてしまったほどだ。
プレイヤーであるコルヴォのアクションが多彩なため,操作はコントローラのほとんどのボタンを使用し,さらに超常能力も習得するたびにその性質を知るのに多少の慣れと時間が必要となるが,それだけに華麗に暗殺を決められたときの爽快感は格別だ。また,完全日本語吹き替えにより,字幕を読まずにゲームに集中できるのは嬉しい仕様だった。
こうした独自のセンスを持つ新規のアクションゲームの登場は個人的に嬉しい話であり,見た目はFPSながら,敵を正面から倒すことよりも,ステルスで敵を欺くことに重きを置いたシステムはユニークだ。「極めてみたい」と思わせる緻密なゲームデザインが施されたゲームを楽しみたい人にとって,このディスオナードはうってつけの1本となるだろう。筆者も,今回遊んだ続きに,この秋じっくりと挑戦しようと思っている。10月11日の発売を楽しみに待とう。
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