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国内のTCGが幕張メッセに集結した「TCGフェスティバル」フォトレポート。TCGの歴史と未来が語られた基調講演も
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印刷2018/09/12 14:35

イベント

国内のTCGが幕張メッセに集結した「TCGフェスティバル」フォトレポート。TCGの歴史と未来が語られた基調講演も

 2018年9月1日と2日の2日間,千葉の幕張メッセにて,トレーディングカードゲーム(以下,TCG)をテーマにしたイベント「TCGフェスティバル」が開催された。
 会場では「マジック:ザ・ギャザリング」から「遊戯王OCG デュエルモンスターズ」まで,さまざまなタイトルで対戦イベントが開催されたほか,関連企業によるブース展示やトークイベントなども行われ,大きな盛り上がりとなった。本稿ではその中から,9月2日に行われた基調講演の模様を中心にレポートしよう。

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「TCGフェスティバル」公式サイト



アナログゲームの歴史と未来が語られた基調講演


 イベントの開場と共にスタートした2日目の基調講演は,「アナログゲーム〜TCG、これまでとこれから」というテーマで,アナログゲーム業界の今昔を総括するものとなった。登壇したのは,TCGのみならず数多くのアナログゲームを手がけているアークライトの代表取締役社長・福本皇祐氏だ。

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 福本氏は,日本におけるアナログゲームの歴史から語り始めた。アナログゲーム全般を見わたすと,まず最初に受け入れたのはウォーゲームだ。1970年代から日本に紹介されはじめたウォーゲームは一時期大きなブームを作り出したが,それは長くは続かなかったという。しかしウォーゲームが落ち着きを見せ始めところで「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が大ヒット。これによってテーブルトークRPG(以下,TRPG)が脚光を浴びることになる。このTRPGブームは長く続いたが,そこには「ロードス島戦記」を初めとしたIPの力があり,それがTRPGの爆発的な普及につながったと分析を述べた。
 ちなみにTRPGという名称は実は日本だけの呼び方であり,海外では単にRPGと呼ばれている。これは「ウィザードリィ」「ドラゴンクエスト」といったデジタルのRPGが先に広まっていたために,日本ではそれらと区別するために作られたのだという。
 また“アナログゲーム”という呼び方も,デジタルゲームと区別するために日本で作られた言葉であり,海外ではフィジカルゲームやテーブルトップゲームというのが一般的だそうだ。

 さて今回の講演のメインであるTCGの時代は,そんなTRPGブームが一段落した1996年,TCGの元祖である「マジック:ザ・ギャザリング」(以下,M:TG)の日本語版が発売されたことで幕を開けた。福本氏曰く,ゲーム性の高さは当然として「デッキの概念」「レアリティという二次的なカードの価値」という,これまでになかった要素が組み込まれていたのが衝撃的だったとのこと。
 そしてM:TGのヒットを受け,日本ではそれにインスパイアされたタイトルが幾つも登場することになる。中でも,現在のTCG業界への流れを決定づけたのが「遊戯王オフィシャルカードゲーム」の存在だ。同作が国産TCGを牽引したことで,ほかでは類を見ない1200億円規模の業界に成長したと福本氏は語った。
 やがてブームが落ち着いた2003〜4年頃は,全盛期の半分程度まで規模は縮小したものの,そこに登場したブシロードは大規模なメディア戦略で新たなブームを作り上げ,市場規模は1000億を超えるほどに回復。さまざまなピンチはあれど,誕生から20年を超えて売れ続けるTCGは,息の長い商品になったと総括した。

 一方で現在に目を向けてみると,現在のTCG業界はあまり“元気”だとは言い難いという。2017年には“底”と言って良いほど落ち込んだというが,ここ最近は(業界としては)やや意外なタイトルが客層を引っ張っている状況もあり,回復の兆しを見せつつあるそうだ。とはいえ,「現在流行っているのは,あくまでデジタルTCGなのでは」という指摘もあり,また「初心者にとってのハードルの高さ」といった問題点もまた,依然として存在していると指摘した。

 一方で,ボードゲームを始めとしたアナログゲームの人気の高まりは世界的な流れであり,とくにコミュニケーションツールとして見直されつつある機運もある。福本氏は「行けば遊べる場所があり,好きな人が集まれる場所がある」というのが,アナログゲームの中でもTCGが優れている部分であり,こうした環境を作り上げてきた日本のTCGメーカーやショップの努力があるからこそ,TCGがついえることはないだろうとし,公演を締めくくった。

「TCGを盛り上げるためにも,ぜひとも遊ぶ仲間を作ってください」と来場者にメッセージを贈った福本氏
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会場の熱気を写真と共に


ここからは,各ステージの模様や会場の風景をダイジェストで紹介していこう。まず各社のTCGタイトルのプロデューサーが集結した「新旧TCGプロデューザートークショー」では,開発にまつわるさまざまな裏話が繰り広げられた。写真は左から「ヴァイスシュヴァルツ」「カードファイト!! ヴァンガード」を手がけるブシロードの島村匡俊氏,「ファイアーエムブレム0」のインテリジェントシステムズ 川出亮太氏,「コロッサス・オーダー」クリエイティブディレクターの赤羽卓美氏,「三国志大戦トレーディングカードゲーム」を手がけたニトロプラスの北岡 功氏
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アナログTCGの今後について,デジタルTCGにはない流通の問題をどう解決するかが重要だと語った島村氏。一方,川出氏は「人が集まらないと遊べない」というTCGのデメリットを逆転させ,「遊ぶために人が集まる」として利用するのが今後の発展のカギと述べた
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「バディファイト」の原作などで知られる池っち店長こと池田芳正氏(左)と,M:TGのジャッジほか,さまざまなタイトルで活躍する進藤欣也氏(右)のトークでは,池田氏が「今のTCGのゲームデザイナーはM:TGから学ぶ人が多いが,日本で一番売れている遊戯王からも学ぶべき」と強く主張した
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TGのプロツアー神戸で作られたダサTシャツでトークに望んだ進藤氏。「TCGを止めてしまった人へ伝えたいこと」というトークテーマでは,「TCGで嫌なことがあったとき,その原因はTCGではなく,必ず相手の人間にある。そんな人間とは付き合わなければいい」と語った
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「炎上上等!」と銘打たれたこちらのトークでは,うっかりしたことを喋ってしまうと,観客席からボールを投げつけられるという趣向も用意されていた。ちなみに観客席にはブンケイPこと田中文啓氏もおり,観客と共にボールを投げつける姿も
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TCGのイラスト制作や大会運営のノウハウなどが語られるセミナー「TCG産業展」では,工画堂スタジオのアートディレクター・百瀬寿氏が登壇。「イラストレーターは皆がなりたがるアイドル,アートディレクションはそれらを管理するマネージャー」と解説しつつ,イラスト制作のテクニックなどを紹介
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システム・フューチャーの福島弘美氏は,TCGの大会運営総合システムである「TCGマイスター」をプレゼンしつつ,実際の大会で起きた困った事例を紹介。「ふりがながなく参加者名が読めない」「256文字を超えるチーム名」といったシステム的なものから,「着席場所を間違えたままゲームが終わってしまった」といった運営面のトラブルまで,幅広く紹介が行われた
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会場内には「ポケモン」のプロモーションなどで知られる「イマクニ?」さんの姿も。一般の参加者と「ポケモンカードゲーム」や,さまざまなTCGで対戦を楽しんでいた
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カードの状態を鑑定する「PSA(Professional Sports Authenticator)」のブース。ここで良い状態と鑑定されたカードは,オークションで数十倍の価格で取引されることも。最近日本に支社ができたそうで,今後はいろいろな所で見かけるかもしれない
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撮った写真をその場で印刷し,世界で1枚のカードを作るというデモが行われていた。パッケージも用意されていて,まるで本物の製品のようである
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日本のTCG黎明期を支えた「モンスターコレクション」。現在は休止中のシリーズだが,会場では新作Ver.のデモプレイが行われていた
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インディーズTCGの出展も。ゲームマーケットにも出展しているとのこと
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「ヴァイスシュヴァルツ」のブースでは,新作「BanG Dream!」の発売に合わせ,選んだバンドのカードを全部山札にして遊ぶ変則プレイを体験できた。また「LYCEE」のブースでは,「詰めリセ」という詰め将棋のような一風変わった遊び方の紹介も
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複数のカードを切り抜いて立体的に見せる「シャドーボックス」の展示。シャドーボックス作成を体験できるコーナーも用意されていた
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「辻斬りエリア」では,さまざまなタイトルで野試合が行われていた。過去発売されていたレアなTCGで,対戦相手を探す人も
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「TCG可能な限り全種類展示コーナー」では,その名のとおり,日本で発売されたほぼすべてのタイトルを展示。恐らく,これだけの数が一堂に会したのは初と思われる
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「TCGフェスティバル」公式サイト

  • 関連タイトル:

    マジック:ザ・ギャザリング

  • 関連タイトル:

    遊戯王オフィシャルカードゲーム

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