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国内のTCGが幕張メッセに集結した「TCGフェスティバル」フォトレポート。TCGの歴史と未来が語られた基調講演も
会場では「マジック:ザ・ギャザリング」から「遊戯王OCG デュエルモンスターズ」まで,さまざまなタイトルで対戦イベントが開催されたほか,関連企業によるブース展示やトークイベントなども行われ,大きな盛り上がりとなった。本稿ではその中から,9月2日に行われた基調講演の模様を中心にレポートしよう。
「TCGフェスティバル」公式サイト
アナログゲームの歴史と未来が語られた基調講演
イベントの開場と共にスタートした2日目の基調講演は,「アナログゲーム〜TCG、これまでとこれから」というテーマで,アナログゲーム業界の今昔を総括するものとなった。登壇したのは,TCGのみならず数多くのアナログゲームを手がけているアークライトの代表取締役社長・福本皇祐氏だ。
福本氏は,日本におけるアナログゲームの歴史から語り始めた。アナログゲーム全般を見わたすと,まず最初に受け入れたのはウォーゲームだ。1970年代から日本に紹介されはじめたウォーゲームは一時期大きなブームを作り出したが,それは長くは続かなかったという。しかしウォーゲームが落ち着きを見せ始めところで「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が大ヒット。これによってテーブルトークRPG(以下,TRPG)が脚光を浴びることになる。このTRPGブームは長く続いたが,そこには「ロードス島戦記」を初めとしたIPの力があり,それがTRPGの爆発的な普及につながったと分析を述べた。
ちなみにTRPGという名称は実は日本だけの呼び方であり,海外では単にRPGと呼ばれている。これは「ウィザードリィ」や「ドラゴンクエスト」といったデジタルのRPGが先に広まっていたために,日本ではそれらと区別するために作られたのだという。
また“アナログゲーム”という呼び方も,デジタルゲームと区別するために日本で作られた言葉であり,海外ではフィジカルゲームやテーブルトップゲームというのが一般的だそうだ。
さて今回の講演のメインであるTCGの時代は,そんなTRPGブームが一段落した1996年,TCGの元祖である「マジック:ザ・ギャザリング」(以下,M:TG)の日本語版が発売されたことで幕を開けた。福本氏曰く,ゲーム性の高さは当然として「デッキの概念」「レアリティという二次的なカードの価値」という,これまでになかった要素が組み込まれていたのが衝撃的だったとのこと。
そしてM:TGのヒットを受け,日本ではそれにインスパイアされたタイトルが幾つも登場することになる。中でも,現在のTCG業界への流れを決定づけたのが「遊戯王オフィシャルカードゲーム」の存在だ。同作が国産TCGを牽引したことで,ほかでは類を見ない1200億円規模の業界に成長したと福本氏は語った。
やがてブームが落ち着いた2003〜4年頃は,全盛期の半分程度まで規模は縮小したものの,そこに登場したブシロードは大規模なメディア戦略で新たなブームを作り上げ,市場規模は1000億を超えるほどに回復。さまざまなピンチはあれど,誕生から20年を超えて売れ続けるTCGは,息の長い商品になったと総括した。
一方で現在に目を向けてみると,現在のTCG業界はあまり“元気”だとは言い難いという。2017年には“底”と言って良いほど落ち込んだというが,ここ最近は(業界としては)やや意外なタイトルが客層を引っ張っている状況もあり,回復の兆しを見せつつあるそうだ。とはいえ,「現在流行っているのは,あくまでデジタルTCGなのでは」という指摘もあり,また「初心者にとってのハードルの高さ」といった問題点もまた,依然として存在していると指摘した。
一方で,ボードゲームを始めとしたアナログゲームの人気の高まりは世界的な流れであり,とくにコミュニケーションツールとして見直されつつある機運もある。福本氏は「行けば遊べる場所があり,好きな人が集まれる場所がある」というのが,アナログゲームの中でもTCGが優れている部分であり,こうした環境を作り上げてきた日本のTCGメーカーやショップの努力があるからこそ,TCGがついえることはないだろうとし,公演を締めくくった。
会場の熱気を写真と共に
「TCGフェスティバル」公式サイト
- 関連タイトル:
マジック:ザ・ギャザリング
- 関連タイトル:
遊戯王オフィシャルカードゲーム
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