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  • 発表日:2011/12/22
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「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
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印刷2012/02/01 00:00

テストレポート

「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く

HD 7950 2-way CrossFireX動作のイメージ
画像集#002のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
 2012年1月31日に発表されたRadeon HD 7900シリーズの下位モデル,「Radeon HD 7950」(以下,HD 7950)。4Gamerでは発表に合わせてレビュー記事を掲載済みだが,3D性能は競合のシングルGPU最上位モデル「GeForce GTX 580」(以下,GTX 580)に匹敵し,消費電力は上位モデルたる「Radeon HD 7970」(以下,HD 7970)から大きく下がるなど,ゲーマーにとって,かなり面白い存在となっていた。

 ちなみにそのレビュー記事では,HD 7950リファレンスカードを用いた定格動作でのテスト結果と,独自デザインを採用するSapphire Technology製カード「SAPPHIRE HD7950 3G GDDR5 PCI-E HDMI/DVI-I/DUAL MINI DP OC VERSION」(以下,SAPPHIRE HD7950)を用いてオーバークロックを試みたときのテスト結果とをお届けしたが,せっかく2枚あるのに,CrossFireX(以下,CFX)構成を試さないのももったいない話だ。
 というわけで今回は,レビューの追試として,HD 7950の2-way CFXをテストしてみたいと思う。

「Radeon HD 7950」レビュー。性能と消費電力のバランスに優れる



リファレンスカードをプライマリに設定

テスト環境は基本的にレビュー記事と同じ


 HD 7950というGPUがどういった製品なのかはレビュー記事を参照してもらうとして,さっそくテストのセットアップに入りたい。システム構成はのとおりだ。デュアルGPU検証用にセカンダリのグラフィックスカードを追加した以外,ハードウェアやドライバの変更はない。

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画像集#003のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
SAPPHIRE HD7950 3G GDDR5 PCI-E HDMI/DVI-I/DUAL MINI DP OC VERSION
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
販売代理店想定売価:5万円台前半(※2012年2月1日現在)
画像集#004のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
HD 7950リファレンスカード
 また,4Gamerのベンチマークレギュレーション11.2に準拠しつつ,「Battlefield: Bad Company 2」を外し,代わりに「Battlefield 3」を入れている点や,解像度を1920×1080&2560×1600ドットに絞る点,組み合わせるCPU「Core i7-3960X Extreme Edition/3.3GHz」で,負荷状況に応じた自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」を無効化している点なども変わりなし。マルチGPU構成のテストということもあり,テストは4xアンチエイリアシングと16x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」のみでテストすることにした点を除けば,テスト方法にも変更なしだ。
 細かいテスト方法が気になる場合は,先の記事を参照してもらえればと思うが,そういった事情のため,シングルカードのベンチマークスコアはレビュー記事からの流用となる。この点はご注意を。

 なお,今回用意したグラフィックスカードのうち,SAPPHIRE HD7950のみ,メーカーレベルのクロックアップモデルとなるが,CFX構成のテストにあたっては,リファレンスカードをプライマリで用い,SAPPHIRE HD7950はセカンダリとしている。CFXの仕様上,動作クロックが異なるカードを用いた場合,低いほうで揃うため,クロックアップモデルを利用することによる影響はないはずだ。


ドライバは荒削りな印象ながら

GTX 580 SLIに優位な違いを見せ付ける場面も


 以下,マルチGPU構成については,GPU名の後ろに「CFX」「SLI」と付記して区別する。では順にテスト結果を見て行こう。
 グラフ1は「3DMark 11」(Version 1.0.3)から,「Performance」と「Extreme」,両プリセットのスコアをまとめたものだ。HD 7950 CFXは,シングルカードと比べて,Performanceプリセットで約74%,Extremeプリセットで約95%ほどスコアを伸ばした。このあたりの数値は,HD 7970 CFXはもちろん,GTX 580 SLIやHD 6970 CFXでも同程度なので,AMD,NVIDIA両陣営とも,3DMark 11に向けた最適化は一定のレベルに達したということなのだと思われる。

画像集#007のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く

 続いて,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークソフトから,最も描画負荷の低い「Day」シークエンスと,最も高い「SunShafts」シークエンスにおけるテスト結果をそれぞれまとめたものがグラフ2,3となる。
 Dayを見てみると,HD 7950がGTX 580と同等以上のスコアを示しているのに対し,HD 7950 CFXはGTX 580 SLIの後塵を拝した。一方のSunShaftsだと,シングルカードの力関係がマルチGPU構成時でもそのまま踏襲されているので,描画負荷の低い局面に向けたドライバの最適化が足りていない,ということになりそうだ。

画像集#008のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
画像集#009のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く

 北米時間1月上旬公開のRadeon HD 7900シリーズ用ドライバを導入して行ったHD 7970 CFXのテストレポートで,2560×1600ドット設定時にスコアが伸びないと指摘したBF3だが,そのときよりも新しいドライバを用いた今回も,状況に変化はなかった(グラフ4)。いずれもベースは「Catalyst 11.12」なので,Catalyst 11.12に何らかの問題があるのだろう。
 1920×1080ドット時のスコアは,HD 7950 CFXでHD 7950に対して93%増し。きちんと動けば十分な性能向上が得られるだけに,AMDには早急な対応を望みたい。

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 グラフ5はDirectX 9.0c世代のFPS「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果。HD 7950 CFXとGTX 580 SLIの力関係はシングルカード時とほぼ同じだ。

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 DirectX 10世代の「Just Cause 2」における結果がグラフ6となる。
 本タイトルでは,1920×1080ドット時に130fpsあたりでCPUボトルネックによるスコアの頭打ちが見られるため,2560×1600ドット設定時のスコアに注目したいと思うが,HD 7950 CFXのスコアは,対シングルカードで約91%高い。Just Cause 2を前にするとスコアが伸びきらないGTX 580 SLIに対し,格の違いを見せつけている。
 また,HD 7970 CFXとのスコア差が大きくないことからは,CPUボトルネックの生じやすいタイトルだと,HD 7950 CFXとHD 7970 CFXで得られるものにそれほど大きな違いはない可能性も指摘できよう。

画像集#012のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く

 同じく1920×1080ドットではCPUボトルネックが生じる「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)だが,グラフ7で2560×1600ドット設定時のスコアを見ていくと,対シングルカードでは約96%高いスコアで,ほぼ理論値という伸び率を示した。HD 7950 CFXはGTX 580 SLIやHD 6970 CFXから30%ほど高いスコアを示しているのも見逃せないところである。

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 性能検証では最後となるグラフ8の「DiRT 3」だが,ここではシングルカードの力関係が,マルチGPU動作時にも引き継がれている。HD 7950 CFXとGTX 580 SLIはほぼ同じスコアだ。

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HD 7950 CFXでHD 7950から150W前後増加

GTX 580 SLIからは最大220W低い結果に


 HD 7950は,上位モデルから消費電力が大きく下がっているのが魅力の1つだが,CFX動作ではどういう傾向になるのか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測してみよう。
 計測にあたって,OSの起動後,30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時とするのはレビュー時と同じ。また,アイドル時にディスプレイが消灯しないようにしているのもレビュー時から変わらずだ。

 その結果をまとめたものがグラフ9で,アイドル時に,HD 7950 CFXは,HD 7970 CFXと並んで,110W程度に収まった。GTX 580シングルカードよりも低い値だが,これは,Radeon HD 7900シリーズのCFXで,アイドル時に「AMD ZeroCore Power Technology」(以下,ZeroCore)が有効になり,カードの消費電力が大きく抑えられているため。アイドル時にはセカンダリカードのファンが停止することも確認できている。

 次に各アプリケーション実行時を見ると,HD 7950 CFXの消費電力は429〜463W。HD 7950シングルカードからは139〜175W増加なので,ほぼスペックどおりと述べていいだろう。HD 7970 CFXやHD 6970 CFXからは100数十W,GTX 580 SLIからは最大220W低いというのはもちろんのこと,全体で500W以下に収まっている点も目を引くところ。消費電力あたりの性能からすると,HD 7950 CFXは相当にバランスがよい印象を受けた。

※グラフ画像をクリックすると,スコアの入った完全版を別ウインドウで表示します
画像集#015のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く

 3DMark 11の30分間連続実行時点を「高負荷時」として,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.5.8)でGPUの温度を取得した結果がグラフ10だ。
 シングルカードのスコアを流用するため,「室温24℃,PCケースに組み込まない」というテスト条件はレビュー記事と揃えている。また,マルチGPU構成ではプライマリとセカンダリでそれぞれスコアを取得しているが,アイドル時,高負荷時とも,HD 7950 CFXとHD 7970 CFXで大きな違いはない印象だ。HD 7950 CFXではセカンダリのGPU温度が低いのは,セカンダリで用いているSAPPHIRE HD7950が,今回のテスト対象中唯一のメーカー独自クーラー採用モデルだからだろう。

 なお,アイドル時にHD 7950 CFXとHD 7970 CFXのセカンダリGPU温度が取得できていないのは,ZeroCoreが正常に機能しているためである。このあたりの詳細はHD 7970 CFXのテストレポートを参照してほしい。

画像集#016のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く


HD 7970 CFXと同じ課題を抱えるが

アップグレードパスとして意味はある


画像集#005のサムネイル/「Radeon HD 7950」のCrossFireXテストレポート。消費電力あたりの性能は群を抜く
 全体として,HD 7950 CFXのベンチマークスコアはHD 7950のそれを踏襲したものとなっている。GTX 580 SLIのスコアを上回るケースが多く,しかも,既存のハイエンドGPUと比べて,2枚差し時の消費電力が100〜200W程度も低いというのは,相当に魅力的だ。HD 7970 CFXほどにはCPUのボトルネックが生じにくい,というのも,人によってはプラス評価材料となるかもしれない。

 ただ,HD 7970 CFXがそうだったように,BF3などでドライバの最適化に関する懸念が残るのも確か。このあたりは時間が解決するはずだが,Catalystの月例アップデートでRadeon HD 7900シリーズに対応する道筋がまだ示されていないのは,少々気になるところでもある。

 またそもそも,レビュー記事で指摘したとおり,現状ではHD 7950とHD 7970の価格差があまりないため,初めからHD 7950 CFXを選択するというのは,現実的な選択肢とはならない。しかし,いずれ価格がこなれてくれば,消費電力あたりの性能に優れるマルチGPU構成の選択肢として,HD 7950 CFXは存在感を示し得るだろう。

AMD公式Webサイト

Sapphire Technology日本語公式Webサイト

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    Radeon HD 7900

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