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「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた
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印刷2013/02/13 14:14

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「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた

画像集#001のサムネイル/「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた
 2013年2月13日から24日まで,第16回文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が,国立新美術館をメイン会場として開催されている。文化庁メディア芸術祭は,「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4部門から優れた作品を選出して表彰するとともに,受賞作品の鑑賞機会を提供する催し。今回は全3503作品の応募があり,そのうち海外からのものは,71の国と地域からの1502作品にものぼったという。

 各部門の受賞作品は,本稿の末尾に掲載しているとおり。ゲーム作品では,エンターテインメント部門で「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において,彼女の内宇宙に生じた摂動」が優秀賞を受賞した。また審査員の推薦作品として「orgarhythm(オルガリズム)」「ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack」「箱!-OPEN ME-」「初音ミク -Project DIVA- f」「DARK SOULS」「EXODUS -another side-」「The Elder Scrolls V: Skyrim」の7タイトルが選出されている。

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 今回,受賞作品展内覧会の会場にて,「GRAVITY DAZE」のディレクターを務めた外山圭一郎氏と,「orgarhythm」のプロデューサーであるネイロ代表取締役社長 平井武史氏に,それぞれ話を聞くことができた。その模様をお伝えしよう。


「GRAVITY DAZE」で得た確信を持って

次回作に取り組む外山圭一郎氏


4Gamer:
 「GRAVITY DAZE」のエンターテインメント部門優秀賞受賞おめでとうございます。まずは受賞の感想を聞かせてください。

画像集#004のサムネイル/「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた
「GRAVITY DAZE」ディレクター 外山圭一郎氏
外山圭一郎氏(以下,外山氏):
 開発中は,こういった賞をいただけるとはまったく考えていませんでした。それどころか,かなり苦しい時期がありましたので,こうして意外とも思える評価をいただけて,本当にうれしいです。

4Gamer:
 具体的に「GRAVITY DAZE」のどんな部分が評価されたのか,もうお聞きになっていますか。

外山氏:
 総評という形でうかがっています。ゲームに必要なエンターテインメント性と,今までにないアート性との両立やせめぎ合い,新しいことへの挑戦や意気込みを評価していただけたんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 2月17日には,外山さんが受賞者プレゼンテーションで講演をなされますよね。どういったお話をする予定でしょうか。

画像集#005のサムネイル/「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた
GRAVITY DAZEの展示スペース
外山氏:
 実はまだ詳しくは決めていないんです。ただ,ゲームメディアや開発者に向けたプレゼンとは趣旨が異なりますから,エンターテインメントとして世界観をどう構築していくのかというような話をしようかと。僕達にとっては当たり前のような話でも,ほかの業界や分野の方には,新鮮に感じていただけるんじゃないかと考えています。

4Gamer:
 「GRAVITY DAZE」は,2012年の発売当初,国内はもちろん,海外でも高い評価を得ました。それから1年経ち,プレイヤーの評価に変化はあるでしょうか。

外山氏:
 ゲームとして単純に「いいね!」「面白い」というだけでなく,キャラクターや世界観込みで評価していただいていると思います。「一緒に盛りあげていきたい」という感じで,親身になってくださる方が多いですね。海外の方からも,Twitterなどを通じてこまめにメッセージをいただきます。発売1周年の2月9日には,「Happy Birthday」のメッセージが来てうれしかったです。

4Gamer:
 そうやって,ワールドワイドに受け入れられるゲームを開発するうえで,外山さんが考えるポイントがあれば教えてください。

外山氏:
 国や地域を問わず共感を呼ぶ,普遍的なエンターテインメント性ってあると思うんですよ。たとえば,勝利したときの喜びとか。「GRAVITY DAZE」では,そういった普遍性と,僕らが持つ表現のオリジナリティがバランスよく融合すると,海外でも受け入れられるという確信を得られました。今後は,その確信を持ってゲーム作りに取り組みます。

4Gamer:
 そういうお話になると,どうしても次回作が気になるところですけれども。

外山氏:
 まだ詳しくはお話できませんが,ファンの皆さんの期待に応えつつ,さらにいい方向に裏切れるような発表をするべく,日々努力している最中です。ぜひ長い目で見守ってください。

4Gamer:
 最後に,この受賞作品展の「GRAVITY DAZE」の展示について,ぜひ外山さんご自身から,見どころをうかがいたいのですが。

外山氏:
 ゲーム本編のプレイアブル展示はもちろんのこと,製品だけでは見えて来ないような舞台裏の部分──たとえばボツになった映像,設定資料の変遷,絵コンテなども観られますよ。

4Gamer:
 分かりました。今後の一層のご活躍に期待しています。ありがとうございました。

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会場には「GRAVITY DAZE」の設定資料や,イメージボードなどが展示されている
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「orgarhythm」で平井武史氏が目指したのは

「意識の集中と解放」


4Gamer:
 「orgarhythm」が,エンターテインメント部門にて,審査員推薦作品に選出されました。ぜひ感想を聞かせてください。

平井武史氏(以下,平井氏):
 大変,光栄です。パブリッシャのアクワイアと,ネイロの開発スタッフに非常に感謝しています。

4Gamer:
 「orgarhythm」の開発には,どのくらいの期間がかかったのでしょうか。

ネイロ 代表取締役社長/プロデューサー 平井武史氏。残念ながら,会場には「orgarhythm」は展示されていなかった
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平井氏:
 企画から9か月です。コンシューマゲームとしては小規模ですが,音楽ゲームとストラテジーという,ジャンルをまたいだ内容に仕上がりました。……実は今回の推薦理由を教えていただいていないので,実際のところ,「orgarhythm」の何を評価されたのか分からないのですが(笑)。

4Gamer:
 推薦作品に選出されたほかのゲームタイトルを眺めると,「orgarhythm」は少し異色ですよね。ほかのタイトルはシリーズ作品,言ってみれば以前から基盤が存在するものが多いです。

平井氏:
 私達としては,新しいジャンル,新しい遊びを生み出そうという意気込みを評価していただいたと捉えています。とくに私自身,「日本人は発想力がすべて」という考えを持っています。「orgarhythm」のようなタイトルが評価されることで,また次の新しいゲームが日本から生まれるチャンスになるんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 ちなみに,音楽とストラテジーを結びつけるというアイデアは,どこから生まれたのですか。

平井氏:
 直感的な音楽ゲームと,思考するストラテジーという,相反するジャンルを両立するときに生まれるエネルギーは,すごく大きくなるのではないかと考えました。もっとも,思いついたのは風呂に入っているときですが(笑)。

4Gamer:
 以前,4Gamerの取材に「『orgarhythm』は右脳と左脳の双方を使うので,脳が活性化される」とおっしゃっていましたけれども。

平井氏:
 すごく集中力が必要になるゲームですね。なので,電車に乗っているときにプレイするのはオススメしません。目的の駅を乗り過ごしかねませんから(笑)。
 実はこのゲームで一番やりたかったのは,「意識の集中と解放」だったんです。今までのゲームでは,リスクに対してリターンがあるモデルがほとんどでしたが,「orgarhythm」ではストラテジーゲームで感情の部分を揺さぶることを目指したんです。

4Gamer:
 オリジナルのPS Vita版に加え,Android向けの「orgarhythm THD」もリリースされましたよね。

平井氏:
 Android版を遊んでいただいた方からは,非常に高い評価をいただいています。ただ,ファイルサイズが大きいことと,NVIDIAのチップを搭載していない端末では動作しないという点で,一部の方にご迷惑をお掛けしたことは申し訳なく思っています。

4Gamer:
 iOS向けの「orgarhythm」を出す予定はあるのでしょうか。

平井氏:
 「orgarhythm」は非常にいいトライでしたから,また違った形の音楽系アプリを出したいという気持ちがあります。先ほども発想力の話をしましたが,新しいことに挑戦していかなければ,この先世界で戦うのは難しいでしょう。そういう意味において,ネイロでは,AndroidやiOSはもちろんのこと,今後出てくるであろう新しい端末や規格に向けてゲームを提供していきます。もうすぐ次回作もご紹介できると思いますよ。

4Gamer:
 今後のご活躍を期待しています。ありがとうございました。


■「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品

●アート部門

大賞「Pendulum Choir」
作者:Cod.Act (Michel DECOSTERD / Andre DECOSTERD)

画像集#015のサムネイル/「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた

優秀賞「欲望のコード」
作者:三上晴子

優秀賞「BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW]
作者:SOL CHORD(前田真二郎/岡澤理奈)

優秀賞「Bye Buy」
作者:Neil BRYANT

優秀賞「On Pause」
作者:Mikhail ZHELEZNIKOV

新人賞「Outback and Beyond」
作者:Grayson COOKE / Mike COOPER

新人賞「Species series」
作者:YANG Wonbin

新人賞「Strata #4」
作者:Quayola

●エンターテインメント部門

大賞「Perfume "Global Site Project"」
作者:真鍋大度/MIKIKO/中田ヤスタカ/堀井哲史/木村浩康

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優秀賞「あさっての森」
作者:三木俊一郎

優秀賞「勝手に入るゴミ箱」
作者:倉田 稔

優秀賞「水道橋重工『KURATAS』」
作者:倉田光吾郎/吉崎 航

優秀賞「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において,彼女の内宇宙に生じた摂動」作者:外山圭一郎(GRAVITY DAZE チーム)

新人賞「どうでもいいね!」
作者:IDPW

新人賞「永野 亮『はじめよう』」
作者:新井風愉

新人賞「ハイスイノナサ『地下鉄の動態』」
作者:大西景太

●アニメーション部門

大賞「火要鎮」
作者:大友克洋

画像集#017のサムネイル/「第16回 文化庁メディア芸術祭」受賞作品展が開催中。エンターテインメント部門優秀賞「GRAVITY DAZE」の外山圭一郎氏,推薦作品「orgarhythm」の平井武史氏,両クリエイターに話を聞いた

優秀賞「アシュラ」
作者:ジョージ秋山/さとう けいいち

優秀賞「おおかみこどもの雨と雪」
作者:細田 守

優秀賞「グスコーブドリの伝記」
作者:杉井ギサブロー

優秀賞「グレートラビット」
作者:和田 淳

新人賞「布団」
作者:水尻自子

新人賞「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」
作者:モンキー・パンチ/山本沙代

新人賞「Oh Willy...」
作者:Emma De SWAEF / Marc James ROELS

●マンガ部門

大賞「闇の国々」
作者:ブノワ・ペータース/フランソワ・スクイテン
訳:古永真一/原 正人

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優秀賞「みんなの山」
作者:石塚真一

優秀賞「ましろのおと」
作者:羅川真里茂

優秀賞「ムチャチョ―ある少年の革命」
作者:エマニュエル・ルパージュ

優秀賞「GUNSLINGER GIRL」
作者:相田 裕

新人賞「凍りの掌 シベリア抑留記」
作者:おざわ ゆき

新人賞「千年万年りんごの子」
作者:田中 相

新人賞「ぼくらのフンカ祭」
作者:真造圭伍

●功労賞

佐藤 茂(音響技術者)

江並直美(電子出版物プロデューサー)

大河原邦男(メカニックデザイナー)

小長井信昌(編集者)

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大河原邦男氏
会場には,大河原氏の書いたイラストや原画(複製)などが展示されている
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文化庁メディア芸術祭公式サイト

  • 関連タイトル:

    GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

  • 関連タイトル:

    orgarhythm(オルガリズム)

  • 関連タイトル:

    orgarhythm THD

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