相変わらずの安心感とWii U版ならではの工夫が魅力。最初の1本としてもオススメしやすい「New スーパーマリオブラザーズ U」

　12月8日，任天堂の新プラットフォーム「Wii U」がついに発売された。ハードの特徴や発売当日の盛り上がりについては，4Gamerでもすでにお伝えしているが，本稿では，ローンチタイトルの一つである「New スーパーマリオブラザーズ U」について紹介しよう。

「New スーパーマリオブラザーズ U」公式サイト

4Gamer.net「Wii U特設ページ」

　説明するまでもないだろうが，本作は世界でもトップクラスの知名度を誇るアクションゲーム，「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの最新作だ。Wii U版では，クッパ一味に乗っ取られたピーチ城を取り戻すため，マリオやルイージといったおなじみのキャラクターを操作し，多種多様な仕掛けが施されたコースに挑むことになる。
　ゲームの基本的な部分は，従来の「New スーパーマリオブラザーズ」シリーズに準じており，同系統の作品をこれまで一つでもプレイしたことがある人なら，マニュアルを読まなくてもサクッとプレイできるだろう。簡単操作で多彩なアクションが楽しめる作品なので，今回が初めてという人でも，すぐに冒険を楽しめるはず。

　ゲームのインプレッションについては「こちら」でもお伝えしているが，まず驚かされるのは，そのグラフィックスの美しさ。ゲーム内容的に，映像の美しさがプレイに与える影響は軽微ながらも，大画面に映し出される表情豊かなキャラクター達や個性的なギミックは，本シリーズの「見ているだけでも楽しい」感を高めている。
　また，新たに追加されたパワーアップ「ムササビマリオ」（直線的に滑空できる）や，「フウセンちびヨッシー」「アワちびヨッシー」といった仲間が登場し，アクション性も確実にアップ。さらに，さまざまな課題に挑戦する「おだいモード」，画面が強制スクロールする「ブーストモード」といった新モードも盛り込まれており，遊びの幅も大きく広がっている。

上が通常のゲーム画面，下がWii U GamePadに映し出される画面。バディプレイでは，Wii U GamePadのタッチ操作で，マリオやルイージを操作しているプレイヤーをアシストすることができる

　Wii U版ならではの新要素としては，「こちら」でも紹介しているように，Wii U GamePadを利用した「タッチで楽しむバディプレイ」（2～5人用）が特筆すべきものだろう。
　本作ではゲーム中，Wii U GamePadにタッチすることで，画面上にブロックを出現させられる。このブロックは最大4つまで作れるのだが，一定時間が経過したり，下や横から触れたりすると消える特徴がある。Wii U GamePadを担当しているプレイヤーはこれを利用して，マリオやルイージを高所へ導いたり，落下を防いだり，敵からの攻撃を食い止めたりして，ゲーム進行のサポートができるというわけだ。

上が通常画面，下がWii U GamePad画面。プレイヤーをうまくサポートするためには，Wii U GamePadを手にするプレイヤーにも，それなりの知識が要求される

　このバディプレイ，最初は「Wii U GamePadを担当して何が楽しいんだろう……」などと心配していたのだが，実際に遊んでみると，これがすこぶる面白い。マリオやルイージを操作しているプレイヤーに対し，意味のあるサポートをするには，「ここでジャンプするはず」「このコインを取るにはここにブロックが必要」「この敵を足止めすれば進みやすい」といった，プレイヤーと同等の知識/判断力が要求される。当然，ゲームを理解し状況を把握しなければまともなサポートができないので，Wii U GamePadを担当していても気が抜けず，ついつい本気になってしまうのだ。
　なおバディプレイでは，Wii U GamePadのタッチ操作で，敵を直接倒したり，コース上のギミックを作動させたりもできる。サポートになれないうちは，プレイヤーと相談しながら，そういった操作をメインにしてもいいかもしれない。


　ちなみに筆者は，しばらくブロックの配置がうまくいかず，逆にプレイの邪魔をしてしまうケースが多かった。そこで発想を切り替え，「プレイの邪魔」に専念してみたのだが，これも非常に楽しかったことをお伝えしておく。マリオが何かを跳び越えようとする瞬間，頭上にブロックを作ってジャンプを邪魔したり，ブロックで敵やパワーアップキノコの進行方向を反転させたりするたびに，プレイヤー側から悲鳴があがり，うまいことワンミスを誘えたときには，こっちが大笑いという具合だ。
　仲の良い友人や会社の若手などでないと，場合によっては笑い事では済まなくなりそうだが，人が集まる機会の増える年末年始に，ぜひ一度は体験してみてほしい。とくに，ファミコン/スーファミ用の対戦モードのないゲームで，無理矢理「殺し合い」を楽しんだことのある人同士なら，爆笑しながら遊べるはずである。


　……もちろん本作では，通常のマルチプレイも可能だ。Wii U GamePadのバディプレイと，Wiiリモコンの4人協力プレイを組み合わせれば，最大5人でゲームを楽しめる。プレイヤーキャラクターがコースに2人いるだけでも，予期せぬミスが発生しがちなので，非常にカオスなゲーム展開が味わえるだろう。アクションゲームが得意な人が集まれば，マルチプレイならではのスーパープレイを繰り出すことも可能なので，これは腕自慢にもオススメしたいところである。

　ともあれ本作は，「New スーパーマリオブラザーズ」シリーズの最新作として，非常に丁寧に作られているタイトルだ。アクションゲームとしての完成度は元々高いため，前作と比べて劇的な変化が確認しづらいのは確かだ。しかし，アクション性やプレイの幅は確実に広がっており，Wii U GamePadを絡めた「ならでは」の要素も，ゲームの魅力を見事に高めている。
　1人用のアクションゲームとしても，みんなで楽しめるパーティゲームとしても綺麗にまとめられた「New スーパーマリオブラザーズ U」。尖ってはいないが安定感抜群で，ボリューム的にも大満足の本作は，シリーズファンだけでなく，Wii U「最初の1本」を悩んでいる人にもオススメしたい良作だ。

「New スーパーマリオブラザーズ U」公式サイト

4Gamer.net「Wii U特設ページ」