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インテル,ソフトウェア開発者向に大規模イベントを開催。次世代Ultrabookは各種センサーを備え,Windows 8での利用が前提に
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印刷2012/08/01 18:41

イベント

インテル,ソフトウェア開発者向に大規模イベントを開催。次世代Ultrabookは各種センサーを備え,Windows 8での利用が前提に

 Intelの日本法人であるインテルは2012年7月31日,ソフトウェア開発者向けに,「Intel Software Innovation Forum 2012 Tokyo」と題するイベントを開催。今回のイベントでは,3つの技術トラックに分かれた合計19のセッションが行われた。そんな本イベントの基調講演を中心にイベントを紹介してみたい。


ソフトウェアに力を入れ,新たな付加価値を創造したい


吉田和正氏(インテル 代表取締役社長)
画像集#001のサムネイル/インテル,ソフトウェア開発者向に大規模イベントを開催。次世代Ultrabookは各種センサーを備え,Windows 8での利用が前提に
 Intelは,言うまでもなくハードウェアメーカーだが,ソフトウェア開発にも熱心に取り組んできた歴史がある企業だ。それだけにソフトウェア技術者に対するケアも手厚く行っている。
 これまでもIntelは,ソフトウェア開発者向けイベントを何度か開催しているが,基調講演に先立って登壇したインテルの吉田和正氏は,「今回が初めの開催になる」と強調していた。確かに,「Intel Software Innovation Forum」という名の付くイベントは今回が初めてで,これまで行われた同種の国内イベントと比べてもかなり規模が大きい印象ではある。

Scott Apeland氏(Director of Developer Network, Intel)は,かつて日本に住んでいたことがあるとのことだ
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 続く基調講演には,Intelでソフトウェア開発ネットワーク部門のディレクターを務めるScott Apeland(スコット・アペランド)氏が登壇した。
 Apeland氏は,Intelがソフトウェアに投資する狙いを「素晴らしいユーザー体験を実現するためにはソフトウェアが最重要だからだ」と語る。ゲーム向け物理エンジンのミドルウェアで知られる「Havok」や,ソフトウェア開発の「Wind River」といった知名度が高い企業の買収に加え,オープンソースにも多額の投資を行なっているのはそういった考えがあるためだという。そして,「Intelがオープンソースに提供しているコードの量は,企業団体の中でナンバー1だ」とオープンソース界への貢献を強調した。

Intelは,HavokやWind River,そしてMcAfeeなどの著名なソフトウェア企業を買収し,傘下に収めている
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Apeland氏は,実際に業務で使用しているという次世代Ultrabookの試作機を掲げ,「キーボードを備えているので,文字入力も快適に行える。また,画面を回転させればタブレットとしても使えるのでとても便利だ」とその魅力をアピール
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 Intelは,同社のGPUに対応したソースコードをいち早く公開するなど,Linuxカーネルの開発に多大な貢献をし,オープンソース界隈では,名の通った優等生企業ということになっている。ではなぜ,Apeland氏はわざわざこの場で強調したのだろうか。
 もしかすると,先日Linus Torvalds(リーナス・トーヴァルズ)氏に厳しい言葉を浴びせられたNVIDIAを意識してのことなのかもしれない……というのはさておき,実際のところは,ここまで右肩上がりの成長を続けてきたPC市場に,若干の陰りが出てきたためだろう。ARMベースのスマートフォンやタブレットが席巻し,PC業界に影響を与えていると囁かれているのは周知の事実である。
 それに対抗するIntelの有力なデバイスは,言うまでもなく同社が猛烈にプッシュしているUltrabookであり,今回Apeland氏が推していたのは,「第2世代」になる次世代Ultrabookだ。

 次世代Ultrabookでは,スマートフォンやタブレットなどで採用されている,加速度,ジャイロ,GPSなどといったセンサーを搭載しているのも特徴だとApeland氏は語っていた。今回のイベントでIntelは,これらセンサーの活用に向けた技術セッションを設けていたが,それだけソフトウェア開発者に向けてアピールしたいということなのだろう。

画像集#005のサムネイル/インテル,ソフトウェア開発者向に大規模イベントを開催。次世代Ultrabookは各種センサーを備え,Windows 8での利用が前提に
次世代のUltrabookは,ディスプレイにタッチパネルを備え,回転させることでタブレットのようにも利用できるのが特徴だ。スマートフォンなどと同様に加速度センサーやGPSなども備えるという
画像集#006のサムネイル/インテル,ソフトウェア開発者向に大規模イベントを開催。次世代Ultrabookは各種センサーを備え,Windows 8での利用が前提に
次世代Ultrabookが備えるセンサー群。センサーそのものは現行のタブレットなどが備えるもなので新鮮味はなかったりもするが,PCで利用できるようになるのというのがトピックだ


Windows 8が前提となる次世代Ultrabook


秋庭正之氏(インテル インテル技術本部 IA技術部長)
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 スマートフォンやタブレットでは,各種センサーやタッチパネルを利用するゲームが多くあるが,次世代Ultrabookにも各種センサーやタッチパネルなどの機能が搭載されてくるので,そうしたゲームが次世代Ultrabook向けに登場してくるかもしれない。
 ただ,ここで注意が必要なのは,各種センサーの制御法が,スマートフォンやタブレットのそれとは異なることだ。Intelでは,センサー群をとりまとめる「Sensor Hub」というハードウェアを提供するとし,その概要をインテルの秋庭正之氏が紹介していたので,以下にまとめてみたい。

 「Ultrabookのハードウェア概要」という題のセッションに登壇した秋庭氏いわく,各種センサーが接続されるSensor Hubには,「Metro」アプリケーションのAPIである「WinRT API」でアクセスする形になるだろうとのこと。「従来の『Win32 API』からも使えないことはないだろうが,ポータビリティ(移植性)を考えるとWinRT APIからアクセスすることになるだろう」と秋庭氏は語っていた。

 WinRT APIには,センサーデータの取得や制御を行うAPIセットが標準で用意されているのに対し,Win32 APIには,そういったAPIセットが用意されていない。そのため,Win32 APIからセンサーを使うには,独自のソフトウェアスタックを利用するなどの必要があり,ソフトウェアやハードウェアごとに個別対応となってしまうわけだ。
 そうなると,各種センサーを利用するようなゲームはほとんどがMetro向けということになる。登場してくるタイトルは,既存のタブレット向けゲームのようなものが中心になるのではなかろうか。

 なお,秋庭氏は,「次世代Ultrabookは,国内メーカーも開発中の段階にあり,2013年に発売されるUltrabookにそれらのセンサー類が搭載される見込み」と述べていた。

次世代Ultrabookに採用されるというセンサーシステムを示したスライド。Sensor Hubというチップに,GPSやALS(環境光センサー),Accelerometer(加速度計),Magnetometer(地磁気センサー),Gyroscope(ジャイロ)といった各種センサーが接続される構成だ。将来的にはSensor Hubがチップセットに組み込まれるかもしれない
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Haswell世代の電力効率は,Ivy Bridge世代比で20倍になるという。つまり,同性能なら消費電力が20分の1になる理屈だ
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 秋庭氏のセッションでは,開発コードネーム「Haswell」(ハスウェル)アーキテクチャの省電力機能についても言及があった。ご存知の読者も多いと思うが,Haswell世代では,現行のIvy Brdige世代に比べて消費電力を20分の1にするとIntelは公言している。
 その鍵を握るのが「Power Optimizer」という省電力機構になるとのことだが,Power Optimizerは,Windows 8ありきで機能するものなのだそうだ。

 Power Optimizerは,CPUだけでなく,液晶ディスプレイや各種デバイスを制御して省電力化を実現する。Haswellのアイドルステートは「S0ix」と名付けられ,アイドル時の消費電力を「数十mWにまで低減する」(秋庭氏)とのことだが,これは,アイドルステートから復帰させる割り込みの制御によって実現しているという。

 アイドルステートでは,定期的にOSからの割り込みが発生しており,その度にCPUが動作することになる。そこでS0ixでは,その割り込みをある程度まとめることで,CPUがアイドル状態から復帰する頻度を低減するのだそうだ。
 さらに秋庭氏によると,「Windows 8では,定期的な割り込みの頻度を調節できるため,Windows 7で利用するよりもアイドルステート時に低消費電力となる」とのこと。また,秋庭氏は,HaswellとWindows 8とを組み合わせたときに,電力効率が最大になるとも述べていた。

 各種センサーと省電力機能を備えた次世代Ultrabookでは,Windows 8の利用が前提になりそうなので,その点だけは覚えておくといいかもしれない。

このグラフは,Ivy Bridgeのアイドルステート時(左)とHaswellのアイドルステート時(右)とで,それぞれの消費電力推移を示したものだ。Haswellでは,アイドル時の電力が数十mWにまで低減されるという
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S0ix時における割り込みの扱いを示したスライド。一番上が現行CPUとWindows 7の組み合わせの場合,中央がS0ixとWindows 7の場合,そして一番下がS0ixとWindows 8の場合をそれぞれ示している。S0ixでは,定期的に発生するOSからの割り込みを束ねることで,アイドルステートからの復帰頻度を少なくできるというのがポイント。Windows 8と組み合わせた場合はさらに復帰頻度を落とせるとのことだ
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インテル公式サイト

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-4000番台(Haswell)

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