インタビュー
KONAMIとトライエースのタッグで制作される3DS用新作RPG「ラビリンスの彼方」。開発陣が目指す“新しさ”とは?
考えるべきことは多いが,
誰でもすぐに理解できる戦闘システム
4Gamer:
戦闘のシステムについても聞かせてください。
TGSで出展されていたものを触ってみましたが,戦闘中に考えることが多いという印象を受けました。
鏡氏:
戦闘の内容自体は複雑ではないんです。コマンドはなくて攻撃の強さと,どの敵を攻撃するかを選んでAボタンで終わりですからね。三すくみの属性についてもパッと見て視覚的にわかるよう,デザイナー内でデザインを徹底させましたし。
戦闘では“グーテシウム”“チョキロム”“パーティリウム”の3つの属性攻撃があり,有利な属性で攻撃すると,ダメージを与えた分のHPが次に同属性の攻撃を行うキャラに吸収される |
パーティの属性は,レベルアップ時やアイテムなどで変更可能。ボスなどを相手にするときは,直前に属性を変えて挑むのも攻略の糸口となる |
勝呂氏:
戦闘時の下画面のアニメーションやデザインには,デザイナーやプログラマーにかなり指示を出しました。プレイすればスッと理解できると思います。
4Gamer:
あの三すくみのルールがわからない人は少ないでしょうね。
勝呂氏:
攻撃のダメージが一旦プールされるのがポイントなんですよ。数手先を読むという戦略性が必要になるんです。相性のいい攻撃をしたときにHPが放出されて,次に回ってくる同じ属性の攻撃をしたキャラクターに吸収されるというルールになっています。これらの要素は,画面やエフェクトなどでできる限り視覚化しているので,一度体験してしまえば画面を見るだけで理解できると思います。
米山氏:
見えている敵とシームレスに遭遇して,複雑なコマンドを必要とせずにターンで戦っていく一連の流れができたおかげで,戦闘の臨場感やリアルタイム感はうまく表現できたと感じていますね。
4Gamer:
既存のものではなく,新しいものを作るために尽力していることがすごく感じられたシステムでした。
向峠氏:
先ほどもお話しましたが,既存のゲームデザインも無視せず,そこに触れつつも独自の進化を遂げているという方向性を目指しました。新しいことだからと突飛なことをやりすぎて,分かりにくいものにはしたくないですからね。これまでゲームを遊んできた方ならば,すんなりと入っていけるものになっていると思いますよ。
4Gamer:
では,ダンジョンの階層と広さはどのぐらいあるんですか?
具体的な数はまだ言えませんが,背景が異なるブロックが複数存在していて,それがさらに細かく階層に分かれているので,相当な数があると予想していただいて構いません。ブロックごとにビジュアルのテーマが分けてあって,屋外や屋内など背景の見た目のバリエーションもいろいろ用意していますので,最後まで飽きずに楽しめると思います。
ダンジョンの広さについても階層によってまちまちですが,探索しがちのあるかなり広い場所もあります。
米山氏:
ダンジョンだからと言ってあまり閉鎖的ではなく,開放感がある場所もほしいという話は開発当初からしていまして,そこをデザイナーさんがうまく処理してくれました。おかげさまで,3DSのゲームの中でも,かなり高いレベルのグラフィックスで実現できています。ぜひ移動中に上を見上げて眺めてほしいですね。
4Gamer:
ダンジョンRPGというと,随所にトラップが仕掛けられていることがありますが,そういったものは用意されていますか?
勝呂氏:
正攻法でクリアできるギミックはいくつか仕掛けていますが,ダンジョンRPGにありがちな意地悪なトラップはありませんのでご安心ください。
4Gamer:
安心しました(笑)。
ダンジョンはかなりの階層があり,ギミックもある……となると,クリアまでのプレイ時間が気になるのですが,それについてはいかがでしょう?
勝呂氏:
人にもよると思いますが,初見ですと単純にクリアするだけでも30〜40時間くらいはかかるかもしれません。さらに,ダンジョンの隅々まで探索すると50時間以上かかるかもしれませんね。
それと難度がノーマルから数えて5段階あるので,それによってもプレイ時間は大きく変わると思います。
4Gamer:
あれ? ノーマルから数えてということは,イージーはないんですか?
イージーはありません。どこを難度の基準にするかの調整は難しいんですが,あまり簡単にしすぎてAボタン連打でクリアできるようにはしたくなかったんです。あくまでノーマルが基準で,それ以上に手応えのあるプレイをしたい方は,難度を上げていただければと思いますね。
ちなみに,難度は敵とプレイヤーの強さで調整しています。TGSで出展したバージョンでは,プレイヤーが2倍強くて敵が2倍弱い補正をかけていたので,実際のゲームではもう少し手こずるものになっているはずです。
4Gamer:
なかなか手ごわそうですね。
ところでこの「ラビリンスの彼方」というタイトルの由来はどこにあるんでしょうか。
向峠氏:
開発当初の呼び名は単純に「ラビリンス」でしたが,諸事情によりそのままでは使えなかったため,“ラビリンス”という言葉を含んだタイトルを考えたんです。かなりたくさんの候補があった中で,勝呂さんのアイデアを採用させていただきました。
このタイトルって,KONAMI製品にもトライエース製品にもあまりないタイプで,ちょっとチャレンジ的なところもあるんですよね。
4Gamer:
“ダンジョン”ではなく“ラビリンス”なんですね。
米山氏:
そうですね,そこはあくまでラビリンスで。ダンジョンと聞くとすごく閉鎖的で狭いイメージがあるので,ラビリンスという言葉の響きは残したかったんですよ。
サウンド担当は桜庭 統氏
ダンジョンごとに異なるBGMを楽しめる
4Gamer:
サウンドは桜庭 統さんが手掛けていますが,起用の理由はどこにあったんですか?
全体のビジュアルにトライエースさんらしい雰囲気が出ていますので,サウンドもトライエースさんとはつながりも深い桜庭さんを起用することで,それがさらに魅力的になるのでは? と考えて,オファーしました。
4Gamer:
桜庭さんには具体的にどのようなオーダーをしたんですか?
勝呂氏:
女の子が常に画面にいるゲームなので,そこだけは意識していただくよう,最初にイメージを渡すなどのやりとりはしました。でも,あとはほとんど桜庭さんにお任せしましたね。
実はオファー後すぐに1曲目ができてきて,その時点でかなりイメージに近いものになっていて,このままお願いします! となったんです。
4Gamer:
コナミスタイルでサウンドトラックを試聴したんですが,「ライラックの霧」という曲が印象に残りました。
勝呂氏:
それこそがまさに1曲目にいただいた曲で,開発段階ではこれをダンジョンのBGMに沿えていた,メインテーマ的な扱いの曲ですね。実際にゲーム中でも,序盤のダンジョンで聴くことができますが,これをいただいた時点で我々も問題ナシと判断して,その後も滞りなく全曲を制作していただけました。
4Gamer:
BGMはダンジョンごとに用意されているんですか?
勝呂氏:
そうですね……と答えると,サントラの曲の数でダンジョンの種類がわかってしまいそうですが(笑)。
4Gamer:
そういえば,コナミスタイルでのみ販売される特別版には,「ラビリンスの彼方 2012 ARカレンダー」が付くそうですね(関連記事)。
実は最初の企画の段階では,立体視だけでなく3DSのさまざまな機能を使うことも考えたんですが,ゲームの内容に沿うものを考えると,しっくりくるものが少なかったんです。
でも,トライエースさんから時間的に可能ならARを使って何かをやりたいという案があって,こちらとしてもぜひお願いしたかったので,無理を言って入れていただきました。
米山氏:
AR機能って,表示させるキャラクターを作るだけでも,結構手間がかかるんです。にも関わらず,特別版のカレンダーのARでは,月ごとに女の子の衣装と動きが違うものを作っていただきました。なので,ぜひ特別版をご購入いただいて,カレンダーのARマーカーでトライエースさんの苦労の成果を見ていただければと思います(笑)。
4Gamer:
さて,発売まで2か月を切りましたが,最後に皆さんから一言ずつ,本作を楽しみにしているプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
米山氏:
今回トライエースさんと組んで,3DSという新しいハードで新しい試みの作品を世に出していこうという挑戦をしてきましたが,うまく両者の個性が出せたと思っています。そこを楽しみに,ぜひプレイをしていただければと思っています。
向峠氏:
この年末年始は3DSのタイトルがすごく充実していますが,このラビリンスの彼方は新規タイトルとして,どのゲームにもない新しい魅力があります。3DSの中でも,かなりエポックメイキングな作品になっていますので,年明けにぜひプレイしてみてください。
勝呂氏:
芯のあるゲームを求めている方にも満足していただけるよう,開発を続けてきましたので,ぜひじっくり楽しんでほしいですね。
といっても,決して完全なコアゲーマー向けというわけではないので,雰囲気などに興味を持った方にも,満足していただける作品になっていると思います。
鏡氏:
ビジュアル的にもシステム的にも新しいことに挑戦しながら作ったゲームですので,目新しい内容のものを探している人にはピッタリの作品です。ぜひ女の子と一緒に,最後まで旅を続けてください。
4Gamer:
ありがとうございました。年始の発売を楽しみにしています!
これまで数々のダンジョンRPGが世に出てきた中で,それらとはひと味違った作品を目指して制作されたラビリンスの彼方。
KONAMIとトライエースのこだわりがうまく合致したことで,女の子と一緒に旅をするという,一風変わったスタイルの3DダンジョンRPGが完成した。来年1月の発売日には,女の子と一緒に新しくて美しい世界を旅しよう。
「ラビリンスの彼方」公式サイト
- 関連タイトル:
ラビリンスの彼方
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(C)2011 Konami Digital Entertainment