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中東で最大級の格闘ゲームイベント「K.O. Fighting Game Festival」。実況を担当したアールによる,クウェート滞在レポート(前編)
しかし配信は試合の内容がメインだったため,実際にどんな雰囲気でイベントが進行したのかは,あまり伝わっていないはず。記事の掲載が若干遅くなってしまったが,本稿では日本からの招待枠として参加した筆者の視点から,現場の様子を2回の記事に分けてお伝えしていく。格闘ゲームファンなら誰でも知っているこれらのタイトルが,中東という,日本人からするとちょっと馴染みの薄い場所で,いったいどんな風に遊ばれているのか。前編となる今回は,大成功となったイベントの模様を写真とともにレポートしていこう。
「K.O. FIGHTING GAME FESTIVAL」公式サイト(英語)
石油の国からの招待状
さて,これを読んでいる読者は,中東にどんなイメージを持っているだろう。イスラム教と砂漠の世界? 石油王がいるお金持ちの国? あるいは紛争やテロで危ない場所,といったあたりだろうか。正直なところ,今回クウェートに赴く以前の筆者も,だいたいその程度のイメージしか持っていなかった。今回筆者は,大会の主催者側から招待を受けた形での参加だったのだが,正直不安がなかったと言えば嘘になる。なにせ,これが初の海外旅行なのだ。それがいきなり中東ってヤバくない?
そんな漠然とした不安を押し込めつつ,成田を発つこと約12時間。中東の玄関口であるドーハ空港に降り立った筆者を待っていたのは,予想外に近代的な建物だった。空港なんだから当たり前という気がしないでもないが,筆者の中学生レベルの英語(+身振り手振り)でも,スームズに乗り継ぎを済ませることができ,ここから一路クウェート国際空港へ。ちなみに海外慣れしているTeam Mad Catzの面々と,成田空港で偶然にも合流することができたのは,不安を抱えた筆者にとって,大いに心強かったのは言うまでもない。
ドーハ空港から1.5時間のフライトを経てたどり着いたクウェートは,やはり想像とは大きく違っていた。世界中から有名プレイヤーを呼び寄せるようなイベントなのだから,きっとマハラジャ感あふれる豪勢な会場なのだろうと思っていたのだが,案内された会場は,かなり手作り感が強いもの。どうやらイベントのスタッフ達も,「WHITE TOWER」(タワーといっても2階建てだが)という現地のゲームセンターの関係者+常連で構成されているらしい。プレイヤー達の熱気によって支えられたこの場所で,これから3日間にわたる激闘が繰り広げられていくこととなる。
イベントで使用されていたコンパネは手作りの机一体型。イスとの高さが調整されていた |
会場には日本のアニメ文化やゲーム文化を象徴するフィギュアなどもならんでいた |
日本vs.中東vs.インターナショナルのエキシビションマッチ
主催者からの招待を受け,日本からこの戦いに臨んだプレイヤーは,以下のメンバーだ(※選手名の並びは基本オーダー順)。
- ガチくん選手
- おっくん選手
- ラリケン選手
- ☆シン☆選手
- NISHIKIN選手
- -R-選手
- あきも選手
- 吉祥寺ケン選手
- すーぱー三太郎マン選手
これに筆者を加えた10人が,日本チームとなってバトルを繰り広げた。一進一退の攻防が続くなか,抜群の活躍を見せたのはジュリ使いの☆シン☆選手。クウェートにジュリの使い手がいないこともあってか,ウルトラコンボの風水エンジンを最大限に活用して,不利な状況をも覆していく。結果なんと6人抜きを達成し,観客達を驚かせた。
招待選手には,それぞれ挨拶の時間も設けられていた。とくにTeam MadCatzのウメハラ選手は,サプライズゲストとして招待が伏せられていたらしく,登場時には会場は大きな歓声に包まれた |
抜群の活躍を見せたジュリ使いの☆シン☆選手 |
一方のクウェート勢はというと,とくにサガットへの対策が巧みだった印象だ。現行バージョンでは,クウェートにサガットのトッププレイヤーはいないにも関わらず,ガチくん選手,ラリケン選手といった,日本でも有数のサガット使いを相手に互角の立ち回りを見せていた。このあたりは,初代スト4時代からのやり込みがうかがえるところだろう。
この対戦は,先の☆シン☆選手の6人抜きが大きく影響し,最終的には日本チームが4人の控えを残したまま勝利となった。筆者はMCとして実況もしていた(日本語で!)のだが,結果的に対戦することなく終わってしまったのがちょっと残念だ。
いよいよ本戦開始の2日目と,ドラマ続出の3日目
2日目からは,いよいよ本戦がスタート。鉄拳TAG2とアルカプ3はシングルで,スパ4AEは3on3で,それぞれダブルエリミネーション方式のトーナメントが開催された。
またイギリスから参戦したWestern Wolves.所属のRyan Hart選手も,翌9日に行われた決勝トーナメントで,クウェート勢のペク使いに敗れ去っている(結果は5位)。クウェート流テコンドー,侮りがたしといったところだろうか。
続いて行われたアルカプ3予選では,強豪同士の組み合わせが序盤から数多く見られ,目の離せない展開に。しかしその中でも,優勝候補と目されていたときど選手と,北米マヴカプ界の帝王・EG所属のJustin Wong選手は順当に予選を勝ち上がる。
結果,9日のグランドファイナルで相まみえることとなった両者だったが,試合は一方的な展開に。Justin選手のウルヴァリンが猛威を振るい,ときど選手をストレートで粉砕。Justin選手が帝王の貫禄を見せつけ,優勝を飾ることとなった。……筆者としては,試合後のときど選手の悔しそうな表情が印象的だった。
決勝で相まみえたJustin Wong選手vs.ときど選手。会場が大きく沸いた一戦だ |
観客で埋め尽くされた会場。どのタイトルも大盛況だった |
そして,なにより注目を集めたスパ4AEの3on3トーナメント。エントリー数が最も多く,海外からの招待選手だけでも5チームが参加し,クウェート勢の強豪を合わせると,80名を越えるトーナメントとなった。
トップ8までを決定した2日目には,優勝候補筆頭のTeam Mad Catzを,おっくん選手がなんと逆3タテ。Team Mad Catzが早々にLoser'sにたたき落とされ,会場を大きく沸かせる展開となる。
翌9日には,地元クウェートの強豪がインターナショナルチームを下すなどで,決勝を前にして会場のボルテージはMAXとなった。そして迎えたグランドファイナル。相対するのは,吉祥寺ケン選手の大活躍でWinner'sを勝ち抜いた指喧チーム(吉祥寺ケン選手/ラリケン選手/あきも選手)と,Loser'sから這い上がってきたTeam Mad Catzの,日本勢対決となる。Loser'sからの挑戦で,4セットとらなければ優勝できないTeam Mad Catzだったが,ここでときど選手,マゴ選手がプロの意地を見せつけ,なんとそれぞれ3人抜き。非常に盛り上がる展開で,Team Mad Catzを優勝へ導いた。
スパ4AEの試合は予選からいずれもハイレベルで,活躍した選手へは会場からコールも飛び交うなど,アットホームさも兼ね備えた素晴らしい大会だった。とくに地元クウェートの選手が活躍したときの盛り上がりは尋常ではなく,何度もスタンディングオベーションが巻き起こり,その度に会場が揺れるほどだった。
Team Mad Catzに3タテで土を付けた,おっくん選手率いるチーム(左から☆シン☆選手,おっくん選手,ガチくん選手)。会場からは惜しみない拍手が贈られた |
準優勝の立役者となった吉祥寺ケン選手には,サプライズとしてギターのプレゼントも。彼の活躍に感動した,クウェート勢ギタリストのお手製とのこと |
終始フレンドリーだった中東勢と,彼らの格闘ゲームシーン
最高潮の盛り上がりを見せた決勝ラウンドの後に行われたセレモニーでは,大会の上位入賞者へはもちろんのこと,イベントの盛り上げに一役買ったプレイヤーに対しても,表彰が行われた。ストリーミングの配信席で実況を行っていた筆者も,僭越ながら表彰を受けることになり,ちょっと戸惑ってしまった次第だ。そのほか,当日たまたま誕生日だったニシキン選手には,バースデーケーキも用意されていた。
全体を通して,常にアットホームな雰囲気で,拍手とともに終わりを迎えた今回のイベント。日本からの招待選手達も,「また参加したい」「来年も開催してほしい」と口々に言うほど,満足度の高い内容となった。個人的にも,日本を発つ前の不安はなんだったのか,というくらい,楽しんでいたほどだ。
またイベントの外でも,招待選手への歓待ぶりはかなりのものだったようで,車での送迎はもちろん,例えば練習したいと言えばゲーム機を担いで持ってきてくれるし,足りないものがあれば買ってきてくれたりと,まさに至れり尽くせりな環境だった。ちなみに,なぜそこまでしてくれるか筆者が聞いてみた(クウェート人の多くは,アラビア語と英語が話せる)ところ,「わざわざクウェートまで来てくれたゲストを精一杯もてなしたい」との答えが返ってきた。その言葉に,筆者の英語力では,“Thank you!”としか返せなかったのが,今でも悔しいくらいだ。
一方で,クウェートの格闘ゲームシーン,とくにスパ4AEでの対戦レベルに目を向けてみると,先にもお伝えしたように,非常に高いレベルだと感じられた。筆者はトーナメントには参加しなかったが,野試合で対戦してみたところ,どのプレイヤーもとにかく反応が速いのだ。とくに確定状況での反撃精度や,中段攻撃のガード成功率は顕著で,日本からの招待選手達も,皆驚いていたほどだ。
そこで普段の練習方法について聞いてみたところ,YouTubeなどにアップロードされているトッププレイヤー達の動画をひたすら研究していることが多いのだとか。ただ,プレイヤー人口の少なさから,使い手がいないキャラクターに対しては対策不足になりがちで,そこが悩みのタネだという。また大きな大会経験が少ないことから,今回のKOFGFでも,緊張で本来の動きができなかったと悔やむプレイヤーも多かったようだ。この辺りは,クウェートプレイヤーの今後の課題といえるかもしれない。
……ちなみにクウェートのトッププレイヤー達の多くは,皆ボディビルディングが趣味とのことで,そういった超反応のプレイヤーに限って,筋骨隆々という共通点があった。反応速度と筋肉にどういう関係があるのかは分からないが,反応速度を鍛えたいという人は,まずは体から鍛えてみるというのもありかもしれない。
ウメハラも認めたクウェートのリュウ使いのババハーニ選手 |
元ボディビルダーというキャプテン選手。彼の操るセスの反応速度には,日本人プレイヤーも舌を巻いた |
といったあたりで,今回のクウェートレポートの前半は終わり。近日掲載予定の後半では,今回のイベントの企画者でもあり,クウェートの数少ないゲームセンター・WHITE TOWERのオーナーでもあるアハメッド氏へのインタビューをお届けする。クウェートでの格ゲー事情から,イベントにかける想いまで,さまざまなトピックスを聞いているので,こちらもぜひ楽しみにしていてほしい。
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