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その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る
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印刷2011/04/13 00:00

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その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る

画像集#001のサムネイル/その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る

 TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)の魅力を,全4回にわたってお伝えしていく連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」。第3回となる今回は,前回紹介した冒険の顛末を,プレイヤーではなくダンジョン・マスター(以下,DM)の視点から振り返ってみることにしましょう。

 マフィア達の前に立ちはだかり,一行を苦しめたモンスターの数々。それらを操作していたDMは,一体どんなことを考えていたのか。ルール的な補足も付け加えつつ,それぞれのシーンを解説していきます。DMとして遊ぶための心得などについても触れていくので,もし前回の記事を読んでいない人がいたら,まずそちらから読んでおくのがオススメです。イラストを担当してくれたhounoriさんのレポートマンガも掲載していますので,そちらもお楽しみに!

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レベルアップ作業中のプレイヤー達。皆真剣です
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」日本語版公式サイト



初戦から波乱万丈


 まずゲームが始まって最初の戦闘は,ウルフ2匹とゴブリン2体の襲撃という,チュートリアル的なものを用意していました。チュートリアルという割にウルフはなかなか強いモンスターなんですが,ここでは皆が知識判定に失敗してしまい,ただ「大きい犬」としか分かりません。
 知識判定に成功すると,敵がどんな能力を持っていて,どんな攻撃を繰り出してくるかが分かり,戦闘を有利に進めることができます。しかし今回はこの場面に限らず,知識判定には皆失敗ばかりでした。でもそれはそれで,驚きがあって逆に面白かったかな,と思います。

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 ちなみにウルフの能力は,噛みつくと同時にキャラクターを引きずり倒し,その後すごい速さで退却するというもの。初撃でいきなりナツメグに飛びかかり,転ばせて逃げたときには,「きたいな,さすが狼きたない!」と皆に言われて,ちょっといい気分でした(笑)。

手前の廃墟の壁にゴブリンが2匹隠れています。奥のほうではマフィアが狼と戦闘中。中央で倒れているのはウルフに転ばされたナツメグです
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キャラクターの技能一覧は,キャラクターシートの左側にあります
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技能判定の仕方


 モンスターの特殊能力を知っているかどうか,険しい崖を登れるかどうか,はたまたドラゴンの目を盗んでお宝をくすねられるかどうか,などは,すべて「技能判定」によって成否を決定します。

 たとえばモンスターの知識であれば,20面ダイス(TRPGでは,これをD20と表記します)を振り,出た目にキャラクターの〈自然〉技能の修正値(クラスや能力値によって変わります)を足し,合計の数値が大きいほど,いろいろなことを知っていることになります。

 同様に,崖登りであれば〈運動〉技能で,スリをやるなら〈盗賊〉技能で判定し,あらかじめDMが決めておいた“難易度”以上の数値を出せば成功です。このように,冒険の最中には,いろいろな技能を使って判定を行います。




まずはゴブゴブ


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 今回探索したダンジョンには,ゴブリンが住んでいる地域と,コボルドの住んでいる地域があり,彼らは微妙に対立している設定になっていました。
 マフィアが二つの入り口でそれぞれ聞き耳を立ててみたところ(ルール的には〈知覚〉の技能判定をおこないます),片方からは「ゴブゴブ」という話し声,もう片方からは「コボコボ」という話し声が聞こえてきました。分かりやすっ。

 まずゴブリンのいるほうへ進んだ一行は,ゴブリンの飼っているガード・ドレイクの強さに驚愕することになりました。放っておけば阿鼻叫喚必至でしたが,コーラが部屋の中に押し戻してメイジ・ハンド(念動力で物を動かす呪文)で入口を閉めるという,見事な対処を見せてくれました。



戦闘中にできること


 コーラは自分のターンで,「移動してドアから中を覗き込み,ドレイクを見て『キャー!』と叫んでからチャーム・オヴ・ミスプレイスト・ラスの呪文を使ってドレイクを部屋に押し戻し,最後にメイジ・ハンドの呪文でドアを閉める」ということを一度に行いました。

 これをルール的に解説すると,

  1. 移動アクションで移動する
  2. フリー・アクションで叫ぶ
  3. 標準アクションでチャーム・オヴ・ミスプレイスト・ラスの呪文を撃つ
  4. マイナー・アクションでメイジ・ハンドの呪文を撃つ

という行動になります。
 戦闘中,キャラクターは「移動アクション(移動や立ちあがる行動)」「標準アクション(メインとなる攻撃)」「マイナー・アクション(武器を抜いたり,ドアを開けたりなどの簡単な行動)」を,自分のターンに1つずつ,好きな順番で行えます(「フリー・アクション」は何回でも行えます)。
 それぞれのアクションでどんな行動ができるかは,プレイヤーの手元にある,各キャラクターごとのパワーカードに書いてあります。
 ゲーム中のプレイヤーは,「まずマイナー・アクションでこのパワーを使ってから(手札から対応するカードを1枚出す),ここへ移動して(キャラクターのコマを動かす),最後に標準アクションでこのパワーを使い,この敵を攻撃します(手札から対応するカードを1枚出す)」というような感じで,宣言を行います。

このようなパワーカードを手持ちの中から選んで使います。黄色いカードは持っている魔法のアイテムを表します
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 また,パワーには,無限に使えるパワー(緑色のカード)1回の戦闘に1回だけ使える強力なパワー(赤色のカード)ゲーム内の1日に1回だけ使える切り札のパワー(黒色のカード)の3種類があります。
 戦闘では,これらのパワーをいかに効率的に組み合わせ,敵を倒していくかということが重要です。


ゴブリンとコボルドの対立を利用


 続いて反対側のコボルド区域に行ってみた一行は,彼らのボスであるホワイト・ドラゴンのところへ案内されることになりました。

ノコノコとコボルドについてきたら,こんなのとご対面!
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 このドラゴンはまだ子供ですが,1レベルの駆け出し冒険者にとってはやはり脅威。冷気ブレスで凍らされ,シャーベットにして食べられてしまうことは想像に難くありません。
 ただ,このドラゴンとは交渉が可能で,交渉は「技能チャレンジ」というルールで処理しています。全員でいろいろな技能判定を行い,決められた回数成功できればクリアとなりますが,その前に3回失敗してしまうとドラゴンが怒って襲いかかってくるのです。
 「邪魔なゴブリンと,それを率いているマラレスっていう魔法使いを倒してあげますから,褒美として宝物をください」とドラゴンを言いくるめるのに成功した一行は,一気にゴブリンの本拠地である奥へと突入します。

 ゴブリン達を束ねていたバグベアは,かなりの強敵の予定で,「いざとなったら命中力アップの特殊能力を忘れたフリして,手加減するって方法もあるなぁ……」などと考えていたのですが,フタを開けてみればまったくいいとこなしのタコ殴られ状態でした。手加減なんて思いあがってスミマセン……。

重傷マーカーやいろんな状態異常マーカーをくっつけられて瀕死のバグベア
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 ここの戦闘では,コーラがゴースト・サウンド(幻の音を立てる呪文)でドラゴンの吠え声を再現して奥の部屋にいる増援のゴブリンを脅かし,集まらせないようにして1体ずつ倒していったのがうまかったですね。
 さらにコーラのプレイヤーである柳田さんは,ふだんDMをやっている経験を生かし,敵に与えたダメージ合計をカウントしたり,状態異常をマーカーで示したりと,本来DMがやるべき仕事を手伝ってくれていました。おかげで私はモンスターの行動管理だけに集中できて,とてもラクができました。DMの仕事の中にも,プレイヤーと分担して管理できることがいくつかあります。柳田さんのように,手慣れたプレイヤーがいてくれると,DM初心者には心強いですね。

コードを束ねる時に使うようなワイヤーに,手書きのタグを付けた便利アイテム。ミニチュアにひっかけることで状態異常を示します
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ボス戦の大逆転


 いよいよこのダンジョンのボス,ネクロマンサーのマラレスとのバトルです。防御の固いスケルトン3体と,巨大なゾンビがマラレスを守るように控えており,激戦が予想されました。

右下にいるローブを着ているミニチュアがマラレス。研究室っぽい部屋を用意してみました
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 このボスとの戦闘で,アイオーグはスケルトンとゾンビの集中攻撃を受けて,早々に気絶してしまうことになります。ゲーム前の予想では,パーティがピンチに陥るとしたら,防御力の低いマフィアが真っ先に危ないのではないかと考えていました。ローグは鎧が薄いうえに,敵を挟んで急所攻撃を狙うことが多いので,敵陣奥に飛び込むことが求められるからです。しかし意外なことに,最初に死にかけるハメになったのは,防御力とヒットポイントがパーティで一番高いアイオーグでした。
 初っ端にテーブルに飛び乗り,「ワレニカゴー」と叫びながら敵の攻撃を引きつけたのは良いものの,直撃を喰らってしまって大ピンチです。しかもアイオーグは回復役のクレリック。ほかの人も応急手当こそできますが,回復役がいなくて果たして戦闘が続行できるのか? と,心中かなり不安なことに……。


「防御力」はキャラクターシートの中央上部に,能力値は左上,攻撃力とダメージは,中央部分に書いてあります
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攻撃力と防御力


 D&Dにおける防御力は「アーマークラス」(AC)という数値で表され,主に鎧の頑丈さで決まります。ただ,それ以外にも「頑健」「反応」「意志」という3つの防御値があり,それぞれ「頑健=毒などに対してどれくらいしぶといか」「反応=いかに素早く攻撃をよけられるか」「意志=精神への攻撃にどれくらい耐えられるか」を示しています。攻撃によってはACではなく,これらの3つの防御値で判定する場合もあり,うまく狙って使い分ければ,敵の弱点を突くことができます。

 一方いわゆる攻撃力は,キャラクターの能力値と使っている武器によって決まります。ファイターは高い筋力にものをいわせて斧をふるい,ローグは敏捷力を生かしてダガーを突き刺すというように(なおウィザードは知力を使って呪文をかけ,クレリックは判断力によって神からの加護を得ます)。
 攻撃する時は,まずD20を振って出た目に攻撃ボーナスを足し,命中判定を行います。敵の防御値を上回れば成功となり,武器ごとに設定されたダイスを振ってダメージを決定します。



本人も思わず「出来すぎでしょ!」と述懐したクリティカルの証拠写真
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 そんなピンチの中,奥で余裕しゃくしゃくのマラレスのところへ,スケルトンからの機会攻撃(敵の隣を移動すると受けてしまう攻撃)をものともせずマフィアが突っ込んでいきました。この思い切りの良さが,戦況を大きく変えます。
 敵に隣接していると,遠隔攻撃をしようとした相手に,機会攻撃で邪魔ができるので,マフィアに隣接されたマラレスは,遠距離範囲呪文が撃てなくなるのです。逃げ道を求めたマラレスは,仕方なくテーブルによじ登るハメになり,マフィアを足止めするしかできることがありません。
 そのスキにコーラが渾身の「カエルになあれ」呪文(スライミィ・トランスミューテーション)を発動!


マラレス「ふん,偉大なる死霊術師であるこの私が,そんな呪文になど……ケロケロ」

 ただカエルになったといっても,放っておけばすぐに元に戻ってしまいます。駆け付けたナツメグがカエルにアクションポイント(1回の戦闘に1度だけ使え,使うと追加でアクションがとれる)を使って攻撃を畳みかけ,出目20で劇的なクリティカル! 盾となったアイオーグの犠牲とマフィアの強行突破,コーラの的確な魔法,そしてナツメグのクリティカルと,見事なまでの連携で,絶望的状況からのすばらしい逆転劇となりました。


 なお気絶してしまったアイオーグは,毎ターン「死亡セーヴ」をおこなう必要がありました。D20を振って10以上を出せば気絶したままですが,9以下を出すと失敗です。3回失敗すると,「3アウト,チェンジ」となって,本当に死亡してしまいます。しかしこの死亡セーヴで20を出すと,奇跡的に自力でむっくり生き返れもするのです。
 というわけで,カエルが叩きつぶされた直後,アイオーグはスーパーヒーローよろしく20を出して立ち上がったのでした。いろいろ出来すぎてますね〜。


死ぬか生きるか


 古い時代のD&Dでは,「ウィザードのヒットポイントが1しかなくて蛇に噛まれて死んだ」なんてことも日常茶飯事でした。しかし現在のルールでは,かなり死ににくくなっています。
 ヒットポイントがゼロになってもいきなり死ぬわけではなく,気絶して毎ターン「死亡セーヴ」を行い,3回失敗で死亡となります。なのでそれまでに仲間が治療してくれれば助かることになります。ただし一度に大ダメージを受けてしまうと即死することもあるので,「死ぬときはあっさり死ぬ」というのもまた真理ではあります。


ボーナスステージでホワイト・ドラゴンに挑戦


 依頼をこなして得た経験値で,2レベルまで成長した一行は,ホワイト・ドラゴンを倒しに戻ることにしました。さすがにドラゴンは強くて,ナツメグが気絶して1アウトになるなど,パーティはかなりボロボロになりましたが,それぞれ2レベルになって得たパワーが活躍して,見事倒すことができました。

ドラゴンの冷気ブレスで動きが鈍くなっているナツメグとアイオーグ。しかしドラゴンの背後ではマフィアが急所を狙っています
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 後になって反省したのですが,DMはこのドラゴン戦で,一度に2回殴れる“爪攻撃”の対象を,けっこうバラけさせてしまいました。もしこれを全部一人に集中していれば,パーティをもっとピンチに追い込めていたかも。プレイヤー側が頭を振りしぼって全力でかかってくるのですから,DMも常に全力で立ち向かわないといけなかったですね。まだまだ未熟です。

 これにて今回のシナリオ「ねじれた迷宮」は無事おしまいになりましたが,依頼の箱から出てきた邪悪なドクロの話を受けて,さらに次の冒険へつなげていくこともできるようになっています。メンバーにも恵まれ,笑いの絶えないゲームでしたので,もっと遊んでいたい! と,筆者は強く思いました。


ゲームマスターだって簡単だ!


 さてこれまで見てきたように,ゲームマスター(D&Dではダンジョン・マスター,DM)というのは,ゲーム中に主に次のような仕事をする係です。

  1. キャラクターの目の前に何があるか描写する。
  2. 敵との戦闘になったら,モンスターを動かす。
  3. プレイヤーが操る以外のキャラクター(今回でいうと依頼人のドワーフとか,ホワイト・ドラゴンとか)になりかわってセリフを喋る。
  4. キャラクターが何かしようとしたとき,「じゃあこれこれの技能で判定して,いくつの目が出たら成功するよ」など,ルールの裁定を行う。

 やることが多くて大変そうに見えますが,今回は「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 スターター・セット」(通称「赤箱」)に入っているシナリオ「ねじれた迷宮」をそのまま使ったので,基本的には書いてあるとおりにやれば良いわけです。では今回の冒険の続きを自作する場合は,どうすれば良いのでしょうか。

DMとしてドラゴンを操っている筆者。手に持っているのが「ダンジョン・マスターの書」
画像集#021のサムネイル/その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る

(1) シナリオを用意する


 シナリオというのは,DMのために冒険のおおまかな筋書きと舞台設定,登場人物(NPC)などを書いたものです。プレイヤー達が受けることになる依頼の内容や,ゲームの目的などがここに含まれます。例えば,今回のゲームの続きなら,今回の依頼を無事こなすことで信頼を得た一行に,トレウスから次の依頼が舞い込む,なんてどうでしょうか。

トレウス「この邪悪なドクロは、寺院で安全に預かってもらうために運ぶところだったんじゃ。おぬしたち、寺院まで護衛を手伝ってくれんかの?」

 シナリオの内容は,まさにDMの見せどころ。「ダンジョン・マスターの書」には,今回の舞台になった場所一帯の地図が載っており,ほかの街や遺跡,冒険のきっかけになりそうな面白い場所の説明などが書いてあります(このようなものを,シナリオソースと呼びます)。そこから想像力の翼を広げてみるといいでしょう。TRPGのシナリオは,感動的な大団円から,シリアスなマルチエンディングまで自由自在。ただし最初は,単純なシナリオからやってみるのがオススメです。

「ダンジョン・マスターの書」にある「ねじれた迷宮」のシナリオサマリー。モンスターのデータやマップ上での初期配置,戦闘ではどんな行動をとるかなども全部書いてあります
画像集#010のサムネイル/その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る

(2) 冒険の舞台を設定する


 シナリオが決まったら,次は細かい冒険の舞台を設定します。今回のようにダンジョンに潜って敵を倒すような冒険なら,まずダンジョンの全体マップがあり,それぞれの部屋ごとにどんな敵がいるか,部屋の様子はどうなっているか,モンスターはどんな能力を持っているか,倒すとどんな宝物が得られるかなどを書いておきます。
 「ダンジョン・マスターの書」には,低レベルの冒険者が相手をするのに適した,さまざまなモンスターのデータが用意されています。またマップを組み替え,新しいダンジョンを作るやり方も載っているので,今回のシナリオなどを参考に,ちょうどいい広さのダンジョンを設定するといいでしょう。あまり広すぎても,探索に時間がかかってしまいます。

画像集#020のサムネイル/その時,神は何を思ったか。TRPG連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第3回はDM視点でマフィア達の冒険を振り返る

(3) 戦闘のバランスをチェックする


 戦闘はD&Dの一番の見せ場です。慣れてくれば「ダンジョン・マスターの書」にある目安を参考に戦闘バランスをとることも可能ですが,最初のうちは事前に模擬戦をやってみることをオススメします。(2)で設定した敵が,弱すぎず強すぎない,適切なバランスになっているかを,実際に戦闘を行ってみて,チェックするのです。
 2回目以降の冒険であれば,プレイヤーがどんな能力値で,どんなパワーを持っているかも分かっています。とくにボス戦なら,ちょっとキツイかな? というあたりに設定するのが,一番熱い展開になるでしょう。

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(番外編) ミニチュアとマップの準備


 「赤箱」の中にはモンスターが描かれたコマが入っているので,それを使えば足りますが,今回の冒険ではミニチュアを使うことにしました。敵を転ばせたときにミニチュアを倒して表現できますし,大きい敵ならいかにも「大きい!」という威圧感を表現できます。手持ちのD&D公式ミニチュア(残念ながら現在は生産終了)の中から,シナリオに出てくるものを選んでおきました。

用意したミニチュアの一部。お持ちの方はメタルフィギュアや小さいキャラクターフィギュアを使ってもいいと思います
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 マップについても,「赤箱」に入っているマップをそのまま使えば事足りますが,今回はせっかくなのでHobbyJapanから借りてきた「Master Maze」通称「立体ダンジョン」を使ってみました。重くて持ち運びが大変なのが難点ですが,これで冒険の雰囲気は10倍増しです。さらに,「Dungeon Works」というペーパークラフトも利用して,机や本棚などの小道具も用意しています。

ペーパークラフトを併用したダンジョンの入口。立体ダンジョンでリアルな洞窟の雰囲気を再現します
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※「赤箱」を使えば,このようなミニチュアや立体ダンジョンを無理に用意する必要はありません。準備しておくのは筆記用具だけです。


TRPGでしかできないことがある


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 「TRPGでできることは,オンラインゲームでもできるじゃないか」と言う人がいます。
 実際パーティの力を合わせて巨大なモンスターを倒したり,協力してダンジョンに挑んだりする楽しさは,「ファイナルファンタジーXI」「ラグナロクオンライン」といったMMORPG,「ファンタシースターオンライン」「モンスターハンター」シリーズといったMORPGなどとも共通するものです。でもTRPGには,オンラインゲームには絶対に真似できないことが,一つあります。それがゲームマスター,DMの存在です。

 ゲームマスターは,先に説明したように,いくらでもシナリオを生み出すことができます。そしてそれ故に,プレイヤーが取り得る行動もまた,(ゲームマスターが許す範囲において)無限です。
 プレイヤー達が行動範囲を広げるにつれて,ゲームマスターが作り出す世界は,少しずつ広がっていきます。その世界で起きる物語は,ほかのどこにもない,マスターとプレイヤーにとって,唯一無二のものなのです。

 ゲームマスターとなって神の視点から物語を紡ぎ,「こんなシチュエーションで皆はどう動くかな?」と,手のひらの上で転がすように楽しむこと。そんなゲームマスターの思惑を裏切り,プレイヤー自らが物語を切り開いていくこと。そのすべてが,TRPGの醍醐味なのではないでしょうか。

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 今回のゲームの終わりに,梶田さんから「DMは熟練してないとできなさそうですね」と言われましたが,D&D第4版はやることがシンプルなので,実はそんなに難しくありません。この連載で興味を持った人は,ぜひDMにも挑戦してほしいと思います。

レポート漫画


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次回予告


 さて次回は,いよいよ連載最終回。「TRPGは面白そうだけど,一緒に遊ぶ仲間もいないし,時間も場所もないし……」というそこのあなたのために,便利な文明の利器を紹介します。次回タイトルはズバリ,「オンラインセッションで遊ぼう」です。


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 「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の入門セットである,「新赤箱」こと「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 スターター・セット」(5040円,税込)は,最寄りのゲームショップ,または通信販売などで購入できる。

商品情報は「こちら」
D&D日本語版の取扱ショップ一覧は「こちら」

※今回の記事で使用した立体ダンジョンやミニチュア,ペーパークラフトなどは,本製品には含まれていません。ご注意下さい。


「D&D 第4版 スターター・セット」をAmazonで購入

「D&D 第4版 スターター・セット」をHobbyJapan OnlienShopで購入


「ダンジョンズ&ドラゴンズ」日本語版公式サイト


  • 関連タイトル:

    ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版

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