プレイレポート
カプコンの新作アドベンチャーのウリは立体音響だけじゃない。館の住人達との“対話”が面白い「謎惑館 〜音の間に間に〜」のインプレッションを掲載
ヘッドフォン(もしくはイヤフォン)を使ってプレイすると,さまざまな方向から音が聞こえてくると,4Gamerでも何度か報じてきたが,実のところ「謎惑館」は,そうした音響体感だけに集約されるゲームではなかった。
「公式サイト」でも紹介されているとおり,このタイトルの実態は立体音響をはじめ,3D立体視,ジャイロセンサー,3DSカメラ,マイクといった,ニンテンドー3DSの機能をフルに活用したゲームだったのである。
また,発売前には断片的な情報しか公開されなかったが,実際にプレイできるようになったことで,「謎惑館」の詳細がようやく判明したのだ。
今回は,「謎惑館」がどのようなゲームなのか,プレイした感想を交えつつ,ネタバレにならない程度にお伝えしよう。
「謎惑館」は目で見て,耳で聞いて,声で返答しながら進めていくゲーム
とはいえ,最初に出会う館の住人「案内人」が“ユルい”と表現するとおり,ストーリーは謎を含みつつ,時にはコミカルに,時にはシュールに展開していく。その一方で,たまに緊張感を漂わせたり,少しセクシーな雰囲気になったりと,内容はバラエティ豊かなものになっている。
十字キーやスライドパッド,ボタンによる入力は一切使わず,主にマイクからの音声入力と,タッチスクリーンでの入力によってゲームを進めていく。
たとえば,ゲーム冒頭では,案内人の問いかけに音声で答えるシーンが何度か登場するのだが,全編を通じて同様の音声入力が要求されるようだ。加えて,ジャイロセンサーを使ってゲームを進めるシーンも多々あり,3DS本体をさまざまな方向に傾けないと先に進めないケースも存在する。
ここまで書けば,察しの良い読者なら気がつくと思うが,「謎惑館」を人目のある屋外でプレイするのは,実質的に難しい……というか恥ずかしい。
3DS本体に話しかけたり,あるいはジャイロセンサーを機能させるためにアッチコッチ向いたりする姿を見られてもかまわないという人以外は,自宅でイヤフォンを付けて,じっくりプレイするほうが無難だろう。
また,好みは分かれるかもしれないが,登場人物達の“しゃべり”が絶妙のセンスというのも特筆しておきたい。聴いていて思わず吹き出してしまったり,ニヤニヤしてしまったりすることもあるほど。そういう意味でも個人的には,外でプレイするのは危険だと思う。
ちょっと話が逸れてしまったが,本作はヘッドフォン/イヤフォンで音の方向を聞き分け,音声入力が重要なファクターになるので,プレイ中の誤認識を防ぐという意味でも,静かな屋内かつ一人でプレイするのがお勧めなのだ。
洋館の一室にいながら,なぜか極めて庶民的な格好の彼女から,天井裏にいるネズミの駆除を依頼されるのだが,そこからストーリーは館モノの定番ともいえるホラーチックなものに移っていく。
そのあとは,心霊現象を追う女性カメラマン,鏡の前で嘆く老婆,壊れたマネキン,鬼退治をする子供達……。さまざまな住人とのやり取りと,その顛末はネタバレ防止のために伏せるが,仕上がりはかなり本格的なショートショートのホラーという感じだ。
登場する女性住人達が,ちょっと思わせぶりなセリフを耳元でささやいてくれるシーンもあって,嬉しいやら恥ずかしいやらという気分になることもあるだろう。というか,正直,筆者はそういう気分になってしまった。実際に3DS本体で“本物の音”を聞くのが一番なのだが,オトフォニクス恐るべしと唸ってしまうほどのクオリティなのだ。
公式サイトの豪華声優陣リストをチェックして「おっ」と思った声優ファンは,期待していいかもしれない。ただしレーティングはCERO Cなので,“そのくらい”と思っておいたほうがいいだろう。
本作には,このような「ホラー編」「モテモテ編」のほかにも,「学園編」「旅情編」といった展開があるとのこと。「洋館にいるのに学園? 旅情?」と不思議に思うかもしれないが,そういうものなのだから仕方ない。これらについては,「謎惑館」のディレクターを務めるカプコンの中井 実氏へのインタビュー記事に掲載しているので,気になる人はそちらをチェックしてほしい。
3DSの機能を生かしたゲームの紹介は,非常にメディア泣かせである。というのも,本作を実際にプレイしてみれば一発で「すごい!」「面白い!」と感じられるが,言葉と画像/動画だけでは魅力を表現しきれないからだ。
それを承知で書くならば,「謎惑館」は3DSの機能を文字通り最大限に活用したゲームである。アドベンチャーと聞いて想像するゲームとは一風変わった仕上がりかもしれないが,3DSでしかできない体験を,短時間で手軽に,そして十分に感じさせてくれるタイトルだ。
さらには,オトフォニクスによる立体音響が加わっている本作は,星の数ほどあるタイトルの中でも,“未知の体験”ができる唯一無二の存在といえる。
「謎惑館 〜音の間に間に〜」公式サイト
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謎惑館 〜音の間に間に〜
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