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7月に日本語完全対応を果たす「HAWKEN」は,「壁も床も壊せるマップ」を12月に実装。来日したシニアプロデューサーが予告
そんなわけで,ゴリゴリの技術解説ではなく,HAWKENファンでもかなり楽しめるものになった今回の内容をレポートしてみたい。
7月に完全日本語版がリリースされるHAWKEN。驚きの出自が明らかに
さて,まずHAWKENとはどんなゲームかだが,一言でまとめるなら,「Free-to-PlayのロボットFPS」である。重量感のある巨大ロボットのコクピットに座った一人称視点でプレイできる,基本プレイ無料のオンライン専用FPSという理解でいいだろう。
ただし,もちろんMechが好きというだけでHAWKENが作られたわけではない。「兵士になるFPSはよくあるが,走り回って撃って撃たれて……と,どのFPSもあまり変わり映えがしない。一方,プレイヤーがMechを操縦するとなると,人間の兵士とは感覚がまったく変わってくる。たとえば,武器や,操作する対象のサイズの巨大化。HAWKENではその感覚の違いを核に据え,自分が強大なロボットを操作しているという感覚を得られるように設計している」(Loynd氏)。
さらにLoynd氏は,HAWKENに関する興味深い出自を語ってくれた。HAWKENはAdhesive Gamesが開発し,Meteor Entertainmentが提供するタイトルだが,「元『Project Offset』のメンバーが中心になって開発している」(Loynd氏)というのである。
Project Offsetは,「Offset Engine」と呼ばれる独自のゲームエンジンを開発していた独立系デベロッパだったが,2008年,単体GPU計画「Larrabee」(ララビー)を進めていたIntelから,その将来性を見込まれて買収され(関連記事)。その後はIntel傘下の企業としてエンジンやゲームタイトルの開発を進めていた。
しかし,4Gamer読者もよくご存じのように,Intelは単体GPU投入計画としてのLarrabeeを断念。その研究成果はスーパーコンピュータ向け数値演算プロセッサ「Xeon Phi」へと引き継がれたが,ハシゴを外されたOffset Engineの開発は2010年に中断されてしまった。その後,Project Offsetのコアメンバーが独立したという話は流れていたが(関連記事),それがAdhesive Gamesだったというわけである。
マシーネンクリーガーは雑誌『モデルグラフィックス』などでの連載だけでなく,プラモデルやフィギュアなどが企画されたメディアミックス的なプロジェクトだが,言われてみれば確かにHAWKENのデザインや世界観はマシーネンクリーガー的な感じがする。
そんなHAWKENが,現在はオープンβテスト中で,かなりの部分が日本語化されていることは,プレイヤーには説明不要だろう。17日に「日本語ローカライズ版をリリースする。日本円での支払いにも対応する」というリリースが出たので(関連記事),「どっちももう対応してるんじゃないの?」と思ったプレイヤーは少なくないと思われるが,Loynd氏によれば,
- ゲーム内の日本語化はほぼ終了しており,いまはバグフィックス中
- アップデート情報(※おそらく「HAWKEN NEWS」「PATCH NOTES」のこと)やFAQといった部分はまだ英語だが,これが日本語化される
- 決済手段は現在のところクレジットカードおよびPayPalのみだが,「WebMoney」など,日本でよく使われるものを利用可能にする
とのことだ。17日に発表されたとおり,リリースは7月の予定だが,その目処が立ったからこその,今回のリリースということなのだろう。
APEX Destructionを用いた「破壊可能なマップ」が12月に登場予定
技術面の解説を担当したのは,NVIDIAでアジア太平洋地域のシニアテクニカルマーケティングマネージャーを務めるJeff Yen(ジェフ・イェン)氏だ。
現状で使われているのは「APEX Particles」(粒子の表現)と「APEX Turbulence」(煙や霧が流れる表現)の2つ。これらがHAWKENにおいてどのように用いられているのかは,Yen氏による解説(と通訳による日本語)を収録したムービーでチェックしてほしい。
ムービー自体はすでに公開されているものだが(関連記事),APEX Particlesは爆発にともなう粉塵のリアルな動きなどの表現に応用され,APEX Turbulenceが「火の粉がリアルに舞う様子」を再現するのに効果的に使われているのが分かる。Yen氏によれば,これによって表現が細かくなり,没入感がアップするとのことだ。
PhysXアクセラレーションに対応したグラフィックスカードを搭載した環境,要するにここ数年の間に登場したGeForceを搭載する環境なら,設定メニューから有効化するだけで,こういったエフェクトを(フレームレートの低下と引き替えに)楽しめる。
それに対し,いまHAWKENで実装すべく開発が進められている「APEX Destruction」ベースの「破壊」は,ゲーム性にも影響を与えることになるというというのが,本セッションにおける新情報となる。
ちなみに,E3 2013で披露されたBattlefield 4のマルチプレイで,ゲーム中にビルが倒壊するということが大きな注目を集めたが(関連記事),これまでなぜそういった要素が出てこなかったのかというと,「ネットワークゲームでリアルタイムに壁などの破壊を多数のプレイヤーが共有することが技術的に難しかった」(Yen氏)からだ。マップ上の建物が破壊されると,これまでのFPSでは考えられなかったような戦い方が可能になる期待があるわけだが,その破壊表現が,HAWKENにも実装されるのだという。
開発中のマップを用いたデモの模様は下にムービーでまとめたが,APEX Destructionを用いた破壊表現は,12月にリリースの新マップで対応予定とのこと。まずは新マップでサポートしたうえで,以後,様子を見ながら対応を広げていく予定だとLoynd氏は語っていた。破壊はゲームバランスにも大きな影響を与えるだけに,導入するとしたら,既存のマップではなく,新しいマップということになるのではなかろうか。
Loynd氏は最後に「NVIDIAの技術をどんどん統合していき,さらなる高みを目指したい」とセッションを締めていたので,今後が大いに期待できそうである。
HAWKENの日本語化と連動したキャンペーンが始まる
具体的には,6月20日以降,対象GPU搭載のグラフィックスカード,もしくはHAWKEN推奨PCを購入すると,HAWKENおよび「World of Tanks」で使えるポイントがクーポンとしてプレゼントされるという。具体的な対象製品とクーポンの内訳は下記のとおりだ。
・GeForce GTX 770・690・670・660 Ti・660
- HAWKEN:50ドル分
- World of Tanks:25ドル分
・GeForce GTX 650 Ti Boost・650 Ti・650
- HAWKEN:25ドル分
- World of Tanks:25ドル分
23日(日曜)20:00にはニコニコ生放送へLoynd氏が登場する予定にもなっているので,HAWKENファンはこちらもチェックしておくとよさそうだ。
キャンペーンやイベントの詳細は,下にリンクボタンで示したキャンペーンページをチェックしてほしい。
NVIDIAのHAWKEN日本語版登場キャンペーンページ
HAWKEN公式Webサイト(英語)
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