プレイレポート
自由意志を持った“軍神”の使いどころが攻略の鍵! アトラス×スティングが贈るPSP用本格SRPG「グングニル −魔槍の軍神と英雄戦争−」インプレッション
シミュレーションRPGとしては,比較的遊びやすいオーソドックスな作りだが,戦局を大きく左右する「タクティクスゲージ」や,行動順の“割り込み”を可能にする「スクランブル」といった要素が盛り込まれており,後述する魔槍「グングニル」の存在と共に,ゲームにさらなる戦略性を付与している。
なお本作はスティングが開発しており,企画・原案に「ユグドラ・ユニオン」「Riviera 〜約束の地リヴィエラ〜」「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」などを手がけた伊藤真一氏を迎え,シナリオは浅井大樹氏,キャラクターデザインは漫画家のきゆづきさとこ氏が担当している。
「真・女神転生」シリーズでお馴染みのアトラスと,シミュレーションRPGの雄であるスティングがタッグを組んだ「グングニル」がどのようなゲームなのか,本稿ではゲームの概要を,実際にプレイしたインプレッションとともにお伝えしていこう。
「グングニル −魔槍の軍神と英雄戦争−」公式サイト
オーソドックスなシステムの中にも独自性が光るSRPG
本作では戦闘開始前に,エースキャラクター設定する必要がある。エースとはチームの隊長のようなものであり,倒されるとゲームオーバーになってしまう“守るべきユニット”でもあるので,エース選定は慎重に行いたいところ。またゲームオーバーの条件として,「戦線維持限界時刻」というものがあり,一定時間内にクリア目標を達成できないと,敗戦となってしまう点にも注意してほしい。
基本的な戦闘システムは,マス目上に仲間を配置して,敵との距離や攻撃範囲を考えつつ戦略を練っていくという,シミュレーションRPGファンにはお馴染みのもの。敵ユニットとの高低差も,射程や行動範囲に影響するため,地の利を活かすことを常に意識するのが攻略のポイントとなる。
また,本作には「アクトシーケンス」というシステムがあり,各キャラクターはアクトシーケンスの数字が「0」になった順番に行動する。ターン制のシミュレーションRPGにおいて,行動順の把握は戦術レベルの勝敗に大きな影響を及ぼす要素なので,アクトシーケンスは常にチェックしておきたいところ。
なお,マップの各所には“拠点”が点在しており,そこを制圧していくことで「タクティクスゲージ」の最大値が上昇(「タクティクスポイント」は,キャラの行動や特定のアイテムを使用することで上昇)する。タクティクスポイントが上昇すると,ユニットの攻撃力が上がったり,後述する「スクランブル」が可能になったりなど,味方にとってさまざまなメリットが生じる。単に目の前の敵を倒すことを考えるのではなく,こういった要素も考慮しつつ,キャラクターの動きを決定していこう。
……なんてことを書いてしまうと,初心者お断りなゲームのように思われるかもしれないので一応付け加えておくが,決して理不尽な難度にはなっていない。戦闘に勝利しても敗北しても,納得しやすいバランスに仕上がっているので,その点は安心してほしい。
拠点の制圧がゲーム攻略の鍵を握る!?
「スクランブル」「ビート」を使いこなせ
戦闘では,タクティクスポイントを使用して,アクトシーケンスのディレイ(待ち時間)を一瞬にして0にすることができる「スクランブル」も重要な要素だ。早急に体力を回復したいときや,連続攻撃が必要なときなどにスクランブルを活用すれば,戦術の幅はグッと広がる。
いわゆる支援攻撃システム「ビート」も,うまく使いこなせば攻略の一助となる。ビートは,攻撃対象を中心とした十字型の範囲内にいるキャラクター達が,最大4人まで参加でき,強敵との戦いでは必須ともいえるシステムだ。ただし,ビート発動者とビート支援者の間に,敵や障害物があった場合には,支援を受けることができない。またビートの範囲は占拠した拠点の数によって増えていき,最大10マス分まで拡大する。このことからも,拠点の制圧がいかに重要かが理解できるだろう。
戦場へ赴く際,メインキャラクターのほかに「ユニットクラス」から自由に戦士達を選べるのも,本作の魅力。ユニットクラスには,重装備による接近戦が得意なギャリソン,機動力と状態異常攻撃で敵を翻弄するアサシン,トラップ設置や,命中率測定不能な博打的攻撃が可能なトリックスター,ボウガンを用いて中距離で戦うガンナー,ジャベリン(投げ槍)を使って,中距離〜遠距離で戦うシューター,攻撃魔法を得意とするソーサレスなどなど,その種類はさまざま。もちろんユニットクラスには得手不得手あるので,敵の能力を考慮した部隊編成が重要だ。筆者も,敗戦続きだったマップへ出撃する際,ユニットクラスの比率をちょっと近接戦闘寄りにしただけで,あっさりクリアできてしまったことがあるので,攻略に行き詰まったら部隊編成を見直してみるといいかもしれない。
ちなみに戦闘では,キャラクターのHPが0になると戦線離脱状態となるが,過度なダメージを食らう(オーバーキルされる)と死亡扱いになり,二度と復活できなくなるので要注意だ。
頼もしい(?)味方「軍神」の存在も見逃せない
ただしこの軍神は,“自由意志を持った畏怖すべき存在”であるため,プレイヤーが自由に操ることはできない。なので,使いどころによっては味方が不利になってしまうこともある。とはいえ軍神には,行動パターンにある程度の傾向があるので,使いどころを計算して降臨させれば,この上ない戦力となる。
軍神を降臨させるためにはタクティクスポイントが必要で,さらに同一マップで一度だけしか降臨させられないという制限があるのだが,プレイヤーにとって重要な戦力であり,本作最大の特徴でもある。グングニルを隅から隅まで楽しむためにも,ぜひ切り札として活用してほしい。
さて,ついに発売された「グングニル」。本作の制作には,SRPGを知り尽くしたスタッフ達が参加しているため,その完成度と歯応えは折り紙付きといってもいい。個人的には,視点によって見づらい場面があったり,ユニットクラスの種類が少なめだったり,ボイスが入っていない点が物足りなかったりと,気になる部分もあったのだが,SRPGとしての純粋な面白さという意味では非常に満足している。SRPGを好きになるきっかけにもなり得る作品だと思うので,SRPGファンもそうでない人も,興味が沸いたらまずは体験版に触れてみるといいだろう。体験版は,現在公式サイトを通じて配信されている。
「グングニル −魔槍の軍神と英雄戦争−」公式サイト
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