インタビュー
ボールは友達!――「ニコニコアプリ」でついにサービスインした「キャプテン翼 つくろうドリームチーム」開発者インタビュー
「ニコニコ動画上でもっと遊んでほしい」――ニコニコアプリの狙いとは
4Gamer:
少しキャプテン翼から離れますけど,ニコニコ動画(ニコニコアプリ)をゲーム/アプリのプラットフォームとして見た場合,やはり他のサービス(mixi,GREE,モバゲーなど)とは決定的に違うという印象があるんです。
西本氏:
と言いますと?
4Gamer:
簡単に言うと,ニコニコ動画は匿名前提のコミュニティであり,フレンド同士で何かをやったりというサービスではない,と言いますか。
コミュニティのあり方にしても,例えば,動画や生放送の“主(ぬし)”が頂点にいて,そこにファンが付いてる形ですよね。mixiなんかの提唱するソーシャルグラフとは全然性質が違う。
なるほど。そこは仰るとおりですね。
ただ,我々もそこは認識していまして,ニコニコアプリを他社さんのプラットフォームと同様のサービスだという風には考えていないんですよ。
弊社としては,ニコニコ動画というサービスの中で,ユーザーさんにもっと時間を使ってもらいたい,もっと楽しんでもらいたいというのが前提にあって,その一つのサービスとしてニコニコアプリという選択肢もあるよね,と。
4Gamer:
例えば,mixiのコミュニティってどちらかというと“横並びの関係”で,ニコニコ動画やニコニコ生放送は,先ほども言いましたが,主にファンが付いているという“ピラミッド型”の構造ですよね。
そうしたコミュニティの性質の違いが,「ゲームの遊ばれ方」の違いにも繋がっていくと考えているんでしょうか。例えば,生放送の主が呼びかけてみんなでゲームを遊んだりといった感じで。
西本氏:
ニコニコアプリを通して,ユーザー同士がどのように繋がっていくのかは,本当にやってみなければわからないと思っています。ソーシャルグラフを無理強いすると逆にユーザーさんが居づらくなる可能性もありますし,あくまでユーザーさん主導でどういったコミュニケーションが生まれていくのか,我々もそこは注意深くみていきたいと思っています。
ただ弊社としても,ニコニコ動画内のコミュニティや生放送を利用したアプリを作りやすいように,開発環境を提供していく計画はあります。
4Gamer:
KLabさんは,これまで携帯電話向けにいくつもタイトルをリリースしてきた経験があると思いますが,今回のプロジェクトを進めるにあたって,ニコニコ動画をとくに意識した要素などはありますか?
藤好氏:
携帯のソーシャルゲームでは,ゲームをベースとしたコミュニティがあり,あくまでゲーム上での繋がりも強くなっています。
だから,ゲーム内で協力するっていうのは,ある程度当たり前になってきていて,知らない人とコミュニケーションをとるという部分は,割とすんなり受け入れてもらえるのではないかと思っています。
ゲームの目的達成のために友だちを作り始めていき,そこからコミュニケーションできるツールが,ゲームの中に用意されているか,もしくはプラットホームサイドにあるか。そこで次のステップが変わってくるとは思いますが。
西本氏:
例えば,mixiではリアルの友達が繋がっていて,ゲームも友達に誘われてやるという形じゃないですか。友達が主で,ゲームが従という。
4Gamer:
最近,巷で言われるソーシャルという言葉だけが先行していて,その定義が曖昧ですけれど,原則としては,ゲームよりも上位にある仕組みのところにソーシャルな要素があるかどうか,がポイントですよね。
西本氏:
少し前にTwitterで「ソーシャルの定義」の話を振ったら凄い反応があって,みんなやっぱり気になってるんだなぁと(笑)
4Gamer:
どういう反応だったんですか?
西本氏:
「バーチャルな世界での関係だけでも,人との繋がりでさえあればソーシャルだ」という意見が予想以上に多かったですね。だとすると「MMORPGもソーシャルゲーム」ということにはなると思うんですけどね。個人的には少し違うかなと思っていますが。
4Gamer:
それはそれで興味深い。
西本氏:
まぁソーシャルサービスというところで見ると,mixiアプリなどは,根っこ部分がリアルなソーシャルありきなので,ゲームに飽きてもコミュニティは続きますし,ずっと繋がっていますよね。だから忙しくなってゲームを止めても,また時間ができたら別のゲームで同じ人たち(友達)と遊んだりすると思うのです。
4Gamer:
そうですね。
西本氏:
ニコニコアプリでのフレンドは,どちらかというとゲームがベースになる方向だとは思っています。そこからコミュニケーションが広がっていって,動画や他のサービスに繋がっていけばいいなとは思っていますが,そこはユーザーさんが決めることですし,無理してそちらへ持って行こうとは考えていないですね。
「キャプテン翼」ならではの魅力を楽しんでほしい
4Gamer:
話をキャプテン翼に戻しますが,開発時で苦労した点などはありますか?
藤好氏:
やはりクオリティチェックが大変でしたね。ひとりひとりの選手のイラストや試合中のキャラの動きのチェックはもちろん,ユニフォームデザインまで。集英社さんからいろいろご指摘いただきました。
4Gamer:
なるほど。
4Gamer:
やはり“キャプテン翼らしさ”を出すための細かいチェックがあるんですね。
藤好氏:
はい。言い方を変えれば,そういう部分は監修いただいているので,キャプテン翼の魅力をゲームとしてもちゃんと表現できていると思います。
4Gamer:
そういえば,選手のパラメータで苦労した点などはありますか? たとえば「翼はこんなに弱くない」と言われたりとか。
パラメータに関しては,編集部に「選手の強さで並べると,こうなると思うんですが」と,“ボクの中の強い順リスト”とかを提出したんですが,そのあたりは「それでいいと思うよ」って言ってもらえて,一ファンとしても嬉しかったですね(笑)。
西本氏:
その気持ちは分かります(笑)。
4Gamer:
では,そろそろ時間も頃合いですので,最後にキャプテン翼のファンや読者に向けて一言お願いします。
藤好氏:
キャプテン翼をテーマにしたこれまでのゲームでは,好きな選手を集めて「自分だけのチームを作る」というコンセプトはなかなかなかったと思います。カードのイラストや必殺技の演出には拘りもって取り組んでいるので,往年のファンはもちろんですが,ニコニコ動画を見てるいろいろなプレイヤーさんに遊んでみてほしいですね。そして,このゲームを通じて,キャプテン翼という作品の魅力を伝えられればと思います。
西本氏:
「キャプテン翼」が遊べるのは,ニコニコアプリだけ!……というアピールはさておき,キャプテン翼の原作をもしかして知らない若い世代の人達にも,是非遊んでほしいですね。もし,そこから原作にも興味をもっていただけたのなら,本当の意味でニコニコアプリでキャプテン翼をサービスした甲斐があったと思います。
ニコニコアプリ自体も,さらにいくつかのタイトルを用意しています。発表はまだ少し先になっていますが,ぜひ期待していてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「キャプテン翼 つくろうドリームチーム」公式ページ
「ニコニコ動画」公式サイト
「ニコニコアプリ」公式サイト
- 関連タイトル:
キャプテン翼 〜つくろうドリームチーム〜
- 関連タイトル:
ニコニコアプリ
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