テストレポート
正当進化の中に目を惹く特徴を持つ「isai FL」&「Xperia ZL2」。KDDI 2014夏モデルスマートフォンをじっくり触ってきた(前編)
スマートフォン新製品を眺めてみると,いずれも前面のデザインは似たような狭額縁仕様で,見た目の違いは小さい。奇抜なものといえば,高耐久性をウリとした「TORQUE G01」くらいなものだ。
スペック面も似通っており,5インチ以上で解像度1080×1920ドット(以下,フルHD解像度)のディスプレイを搭載するのは今や標準となっているし,SoC(System-on-a-Chip)には,Qualcomm製の「Snapdragon 800/801」シリーズに属する「MSM8974AB」「MSM8974AC」を採用するものばかり。大容量バッテリーの搭載も当たり前となっており,機種ごとの差はあまりない。スペックがほとんど横並びという状況は,2013年冬モデルや2014年春モデルと変わらずといったところか。
スペック横並びの新製品では,どこに注目すべきかを考えると,やはりトータルでの使い勝手となる。とくにゲーム用途であれば,液晶パネルの見え方やタッチ操作の応答性,ボディの持ちやすさなどだ。スペックについてはそんなに気にしなくてもよくなっているぶん,感性や好みに近いところで選んでも失敗しにくいのはありがたい。
さて,今回の新製品は5月発売のものから8月発売のものまで,発売時期がマチマチである。それゆえ,展示機の完成度にもばらつきがあったので,主にチェックした端末は下記4製品となる。残る4製品は,まだ絶賛開発中の状態であったのでテストは見送らざるを得なかった。
Intelの「Atom Z3580」を搭載する「ASUS MeMO Pad 8」はかなり気になる存在だが,発売は8月下旬とのことで,動作している個体すらなかったのは残念だ。
- isai FL LGL24:2014年7月下旬発売予定
- Xperia ZL2 SOL25:2014年5月下旬発売予定
- GALAXY S5 SCL23:2014年5月15日発売予定
- AQUOS SERIE SHL25:2014年6月下旬発売予定
KDDI 2014年夏モデルテストレポートの前編となる今回は,「isai FL LGL24」と「Xperia ZL2 SOL25」の2製品を評価している。後編では残る2製品と,TORQUE G01をレポートしたい。
国内メーカーならではのチューニングに期待の「AQUOS SERIE」。KDDI 2014夏モデルスマートフォンテストレポート(後編)
isai FL LGL24
LG Electronics(以下,LG)製の「isai FL LGL24」(以下,isai)は,5.5インチサイズで解像度1440×2560ドット,ピクセル密度538ppiの高精細液晶パネルを採用するという,インパクトのある製品だ。
このピクセル密度のおかげで,小さい文字が見やすく,写真や映像を楽しむデバイスとしても満足度に差を感じられそうだ。それにしても,スマートフォンではすっかり300ppi以上のパネルを採用するのが当たり前になってしまった。
4K解像度のサンプルムービーをisaiで表示した様子。当然縮小表示されているわけだが,夜景の細かい明かりまで鮮明に描かれている |
フルHD解像度と1440×2560ドットのisaiを比較。顔を近づけて見ると,見えかたはかなり違う。なお,最高輝度はちょっと低めのようだ |
ただし,ちょっと画面を見る程度ならば問題ないが,片手で画面を操作するのは厳しい。普段の使い方で不自由がないか,実機でチェックすることをお勧めしておこう。
本体上側面。防水カバーに覆われたmicroSDカードスロットと,ヘッドフォン端子がある |
本体下側面には,キャップレス防水タイプのUSB Micro-B端子を採用している |
本体右側面。[電源/スリープ]ボタンの配置は,右手で持ったときに親指が届きやすく,左手で持った場合は人差し指が届きやすい |
バックパネルは開閉可能で,内部にnanoSIMカードスロットがあった。シールに警告があるものの,バッテリーの交換もできそうだ |
本体の重心位置が中心よりもやや下に設定されているため,体感ではそれほど重く感じない点も,ゲームプレイに適しているといえるのではないだろうか。
ノックコードは画面を4つに分け,それらを決めたパターンで2〜8タップするとロックが解除されるというものだ。画面全体を単純に4分割するのではなく,「最初にタップした場所を基準に4分割する」という凝った処理を採用しているそうだ。そのおかげで,片手持ち状態でのロック解除もしやすく,タップのパターンを他人に見られても分かりにくいというメリットがあるそうだ。
奇抜な機能に聞こえるが,これは「意外にありだ」と感じた。
なお,発売時期がしばらく先であるため,残念ながらベンチマークテストは行えなかった。試用機を触った感触を,2013年冬モデル「isai LGL22」での印象を思い出しながら比較してみたが,操作に対するレスポンスはそつのないものだった。
●isai FL LGL24の主なスペック
- メーカー:LG Electronics
- OS:Android 4.4(KitKat)
- ディスプレイパネル:5.5インチAH-IPS,解像度1440×2560ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「MSM8974AC」(クアッドCPUコア,最大CPU動作クロック2.5GHz)
- メインメモリ容量:2GB
- ストレージ:内蔵(容量32GB)
- アウトカメラ:有効画素数約1320万画素
- インカメラ:有効画素数約130万画素
- バッテリー容量:3000mAh
- SIMサイズ:未公開
- LTE対応:受信時最大150Mbps
- 無線LAN対応:IEEE 802.11a/g/n/ac
- 連続通話/3G待受時間/LTE待受時間:未公開
- 本体サイズ:約76(W)×145(D)×10.5(H)mm
- 本体重量:約160g
- 本体カラー:ホワイト,ブルー,ピンク
- 主な対応サービス&機能:Eメール(@ezweb.ne.jp),SMS,グローバルパスポート(LTE/GSM/UMTS),ワンセグ,フルセグ(アンテナ内蔵),おサイフケータイ,NFC,赤外線通信,Bluetooth 4.0,Wi-Fiテザリング(最大8台),キャリアアグリゲーション,WiMAX 2+,WIN HIGH SPEED,緊急速報メール,防水
Xperia ZL2 SOL25
日本メーカー製のAndroidスマートフォンでは,いまやトップクラスのブランドとなったソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」。その最新モデルが「Xperia ZL2 SOL25」(以下,ZL2)だ。製品名からも分かるかもしれないが,世界市場で「Xperia Z2」として発表された製品の,日本向けバージョンという位置付けである。
本体背面。こんもりと膨らんているように見えるが,ラウンドフォルムというほどではない(左)。全体的には持ちやすく,手から滑り落ちることもなさそうだ。カラーバリエーションは3色で(右),中央の「ターコイズ」がなかなかいい |
本体サイズは約72(W)×137
本体上側面。キャップレス防水仕様のヘッドフォン端子がある。その隣にある穴はノイズキャンセル用のマイクだ |
本体下側面。左端にストラップホールがあり,右寄りにマイク穴が2つ。左が通常時,右が水没時に使用するマイクとのこと |
本体左側面。左から,防水カバーに覆われたUSB Micro-B端子,専用クレードルの接点,microSDカードスロットとSIMカードスロットが並ぶ |
本体右側面。Xperiaシリーズの特徴でもある,銀色の丸い[電源/スリープ]ボタンが目を引く。その左には音量調節ボタンとシャッターボタンがある |
SoCには「Snapdragon 801 MSM8974AB」を採用し,メインメモリ容量は3GBと,今回発表のAndroidスマートフォンでは最大の容量を誇る。CPUコアの動作クロックは,GALAXY S5 SCL23よりも200MHzほど低いが,大きな性能差を生むほどではない。それはベンチマークテスト結果からもうかがえる。
まずは3DMarkの結果だが,「Ice Strom」プリセットと「Ice Strome Ex
スペックの割にはスコアが低いので,「バッテリー残量に応じて,タッチの処理ペースを下げるような制御が行われているのではないか」と疑ったが,説明員によると,「STAMINAモードをオフにしている場合,そういった制御は一切行っていない」そうだ。
連打の応答性は抜群にいいほどではなかったが,フリックやドラッグ操作に対する反応は上々だったので,激しい連打を要求されないゲームなら,ZL2は合格点に達しているといえるだろう。
●Xperia ZL2 SOL25の主なスペック
- メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
- OS:Android 4.4(KitKat)
- ディスプレイパネル:5インチトリルミナスディスプレイ for mobile,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「MSM8974AB」(クアッドCPUコア,最大CPU動作クロック2.3GHz)
- メインメモリ容量:3GB
- ストレージ:内蔵(容量32GB)
- アウトカメラ:有効画素数約2070万画素
- インカメラ:有効画素数約31万画素
- バッテリー容量:3000mAh
- SIM:microSIM
- LTE対応:受信時最大150Mbps
- 無線LAN対応:IEEE 802.11a/g/n/ac
- 連続通話/3G待受時間/LTE待受時間:約1340分/約670時間/約640時間
- 本体サイズ:約72(W)×137(D)×10.8(H)mm
- 本体重量:約167g
- 本体カラー:ターコイズ,ホワイト,ブラック
- 主な対応サービス&機能:Eメール(@ezweb.ne.jp),SMS,グローバルパスポート(LTE/GSM/UMTS),ワンセグ,フルセグ(アンテナ内蔵),おサイフケータイ,NFC,Bluetooth 4.0,Wi-Fiテザリング(最大10台),キャリアアグリゲーション,WiMAX 2+,WIN HIGH SPEED,緊急速報メール,防水,防塵
国内メーカーならではのチューニングに期待の「AQUOS SERIE」。KDDI 2014夏モデルスマートフォンテストレポート(後編)
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