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X79搭載のGIGA-BYTE製ゲーマー向けマザーボード「G1.Assassin 2」を写真でチェックする
G1-Killerが,「Intel X58 Express」(以下,X58)搭載の「G1.Assassin」「G1.Sniper」「G1.Guerrilla」の3製品で2011年春に立ち上がったことを,憶えている読者も多いことだろう。その後,「Intel Z68 Express」(以下,Z68)搭載の「G1.Sniper2」が発売されているので,今回のG1.Assassin 2は5番目の製品ということになる。
X58搭載製品では,Assassin,Sniper,Guerrillaの順にランク付けがされていたので,G1.Assassin 2は,最上位モデルの第2弾ということもできるだろう。
そんなG1.Assassin 2の製品版をGIGA-BYTEの日本法人である日本ギガバイトから借用することができたので,今回は写真でその外観と仕様を見ていこう。
マザーボードの全体像を確認。ハンドガン風のヒートシンクが特徴
G1.Assassin 2は,これまでと同様に,黒ベースに黄緑をアクセントとしたマザーボードである。Extended ATXフォームファクタが採用されており,サイズは実測で長辺が305mm,短辺が264mm。ATXフォームファクタのマザーボードよりも短辺が約20mm長いだけなので,ATXフォームファクタ対応のPCケースにも組み込める可能性も高そうだが,念のため,事前にPCケース側のチェックはしておいたほうがいいかもしれない。
さらにチップセット部と電源部に取り付けられている2つのヒートシンクが,ヒートパイプで接続されているのも見て取れる。ちなみにこのヒートパイプは,実測で6mm径のものが採用されていた。チップセットの熱がヒートパイプを伝わり電源部のヒートシンクに移動し,CPUクーラーの風によって冷却される構造と思われる。
GIGA-BYTEによれば,これらのヒートシンクは,独自の「フルーティング」(fluting,溝彫り)技術を採用しており,冷却性能が高いとのことだ。ヒートシンクに溝を設けることにより,ヒートシンクの表面積が増えるのは確かなので,冷却性能が高いというのも一理ある。……「チップセット部も電源部も熱源なので,うまく熱移動するのか」という疑問も多少残るのだが。
VRM部に取り付けられているヒートシンクは,銃身の先端をイメージしたデザインを採用 |
チップセット部とVRM部は,DIMMスロットに沿って配置されたヒートパイプで接続されている |
G1.Assassin 2は,DIMMスロットを4本備えており,Core i7-3000番台がサポートする4ch構成に対応している。最大で容量32GBまでのメインメモリを搭載可能だ。また,PC3-19200までのDDR3メモリモジュールをサポートする。
GIGA-BYTEによると,PCI Express x16形状のスロットは,いずれもPCI Express 3.0に対応しているとのこと。PCI Express 3.0世代のグラフィックスカードが登場しておらず,チップセットレベルでのサポートも謳われていないので,今のところは何ともいえないが,マザーボードレベルでの対応が謳われていることは押えておきたい。
デジタルPWMコントローラの採用により安定した電源供給が可能に
さてここからは,マザーボード上の細部を確認するためにヒートシンクを取り外してみよう。今回はフォトレポートということでヒートシンクを外しているが,通常は保証外となる行為であるという点には注意してほしい。
ヒートシンクの着脱は簡単で,裏面からこれを固定している合計6か所のネジを外せば取り外せる。
マザーボード上のヒートシンクを取り外したところ。電源部とチップセット部が目視できるように |
Assassin 2に搭載されているX79チップセット。S-Specは「SLJHW」となっている |
G1.Assassin 2の電源部 |
MOSFETには,International Rectifier製の「IRFH8318(H8318)」と「IRFH8330(H8330)」が採用されている |
CPUソケット周辺に置かれた主電源回路は見る限り10フェーズ仕様。GIGA-BYTEは,「CPUに8フェーズの電源回路を採用する」と謳っているため,おそらくVcore用が8フェーズ,VCCSA用が2フェーズの「8+2」仕様なのではないだろうか。
従来のG1-Killerシリーズでは,MOSFETとドライバICとを1つのパッケージに統合したDriver MOSFETが採用されていたが,G1.Assassin 2では,International Rectifier製の小型MOSFETで,発熱量の低さが謳われる「HEXFET Power MOSFET」を採用してきた。これは,CPU部とDIMMスロット部に用意されたデジタルPWMコントローラにより,CPUやメモリモジュールを高効率で駆動させるための仕様変更だそうで,GIGA-BYTEは「3系統のデジタル(PWMコントローラ)」という意味で,G1.Assassin 2の電源部に「3D Power」という名を与えている。
ちなみにGIGA-BYTEによれば,リアルタイムで柔軟に電圧設定を変更できるため,オーバークロック耐性や,省電力性の向上という面でも3D Powerにはメリットがあるとのことだ。3D Powerの設定は,Windows上から,付属ソフト「3D Power Utility」で制御できるという。
なお,3基のPWMコントローラもInternational Rectifier製となっている。
CPU用のPWMコントローラはInternational Rectifier製の「IR3567」だ |
DIMMスロット用のPWMコントローラはやはりInternational Rectifier製の「IR3570」 |
「X-Fi Xtreme Fidelity」など,オンボード機能は従来モデルから継承
G1-Killerシリーズといえば,ゲームで役に立つものだけを搭載したとされる,充実したオンボードデバイスも特徴の1つだ。たとえばサウンドチップはCreative Technology製の「X-Fi Xtreme Fidelity」(型番:CA20K2-2AG HF),1000BASE-Tコントローラは(2011年9月にQualcomm Atherosによる買収が発表された)Bigfoot Networksの「Killer 2100」をそれぞれ採用しているのが見どころといえよう。
D/Aコンバータには,7.1ch対応となるCirrus Logic製「CS4382」を採用し,新日本無線製「JRC 4556A」×1と,STMicroelectronics製「C4558」×3をOPAMP(オペアンプ)として搭載する。そしてA/Dコンバータには,4chに対応したWolfson Microelectronics製「WM8775」と,旭化成エレクトロニクス製「AK5358B」を備えているのが確認できた。
金属板の下にあるので少々分かりづらいかもしれないが,採用されているD/Aコンバータは,Cirrus Logic製の「CS4382」だ |
オーディオ向けと謳われているニチコン製コンデンサの「Muse」シリーズ。効果はさておき金属板でシールドされている |
採用されているオペアンプは,新日本無線製「JRC 4556A」が1基,STMicroelectronics製「MC4558」が3基の合計4つだ |
A/Dコンバータには,Wolfson Microelectronics製「WM8775」と旭化成エレクトロニクス製「AK5358B」が採用されている |
MPC8308は,「PowerPC e300」コアを搭載したマイクロプロセッサ「PowerQUICC II Pro」である。1000BASE-T LANコントローラの論理層やPCI Express x1,USB 2.0などのインタフェースを統合しているが,この中から1000BASE-T LANコントローラの論理層のみを利用する仕様だ。そしてLANコントローラの物理層には,Marvell製「88E1118R-NNC2」が採用されている。
MPC8308の周囲には,3枚のメモリチップが取り付けられているのも見て取れるが,その内訳は,容量64MBのSpansion製「GL064」×1と,容量512MBのSamsung Electronics製DDR2 SDRAM「K4T51163QI」×2だ。おそらくGL064がファームウェア用で,K4T51163QIがMPC8308のメインメモリということになるだろう。
搭載されているサウンドデバイスやネットワークデバイスを見る限りは,2011年8月17日に掲載した「G1.Sniper 2」や,そのほかのG1-Killerシリーズのマザーボードなどで採用されているものと同じである。
そのほかSerial ATA周りでは,X79によるSerial ATA 6Gbps×2とSerial ATA 3Gbps×4に加えて,2基のMarvell製コントローラ「88SE9172」によりSerial ATA 6Gbps×2とSerial ATA 6Gbps対応のeSATA×2を備えている。
USB 3.0コントローラには,Fresco Logic製「FL1009」を採用。合計2つのFL1009により,I/Oインタフェース部に2ポート,マザーボード上にピンヘッダとして2ポート分が備えられている。
Fresco Logic製のUSB 3.0コントローラ「FL1009」を2つ搭載しており,合計4つのUSB 3.0ポートが備わっている |
GIGA-BYTE製マザーボードではお馴染みの「DualBIOS」も備えている。I/Oインタフェース部のボタンでBIOSを切り換えられるとのこと |
以上,G1.Assassin 2の仕様を見てきたが,チップセットにX79を採用し,デジタルPWMコントローラを備えたという点以外は,従来のG1-Killerシリーズを継承していると見て問題ないだろう。
G1.Assassin 2は,2011年12月10日時点で実勢価格が4万円〜4万6000円程度となっており,X79搭載マザーボードの中では相当に高価な製品である。そのため,用意されている豊富なオンボード機能をどれだけ重要視するかというのが購入時の決め手になりそうだ。
GIGA-BYTEのG1.Assassin 2製品紹介ページ
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