レビュー
ダンジョンに潜る楽しみとキャラクター育成の楽しさを再確認させてくれる3DダンジョンRPG「エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜」のレビューを掲載
ダンジョンに潜る楽しみとキャラクター育成の楽しさを再確認
エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜
前作,前々作から続くシステムに新要素を加えて,よりダンジョン探索を楽しめるものとなっている。本稿ではゲームをプレイした感想を交えつつ,いかにダンジョンに潜ることが魅力溢れる楽しいことであるのかを紹介していこう。
「エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜」公式サイト
闇に閉ざされた太陽宮を奪還するため
冒険者達はここに集う
■ストーリー
天空に浮かぶ太陽宮から,光の恵みを大地に与えてきた太陽の神ラーファ。しかし,闇の眷属により太陽宮は乗っ取られ,大地から光が奪われようとしていた。未曾有の危機にラーファ信仰の中心地である星都ルミステネスは,各国へ対応を打診する。エルフの皇帝リアンナが治めるロスカディル帝国は魔空艇で太陽宮到達を目指し,オーグルベイを支配するフルグラントは巨大な大砲で太陽宮を撃ち落とすことを思いつく。そして人間の王バルゲルトに統治されている城塞都市アルグランツは,太陽宮に続くと伝えられる光の階段を復活させることを検討し始めた。
この光の階段を探すために集められたのが,プレイヤーの分身たる冒険者達だ。ゲーム上では,とくに時間制限があるわけではないため,プレイヤーそれぞれのペースでゲームを進められる。前作,前々作とストーリー上の繋がりはないため,初めてのプレイヤーでも楽しめるだろう。逆にファンならばお馴染みのアイテムなどが多々出現するため,ニヤリとできるところもある。
何時間でもこだわれるキャラクターメイキング
新要素のエクストラスキルでさらに拍車がかかる?
伝統的な3DダンジョンRPGの楽しさの半分は,キャラクターメイキングにあるといっても良いだろう。
本作では,12種類の種族と16種類の職業を組み合わせることで,多彩なキャラクターを作ることができるのだが,さらにキャラクターメイキングの新要素として,「エクストラスキル」が追加されている。
エクストラスキルは,職業ごとに追加で覚えることができるスキルで,ものすごいスキルというわけではないが,地味ながらも便利なものが揃えられている。スキルは,各キャラクターに一つずつしか付けられないので,パーティの組み合わせなども考えながら,うまく活用していこう。なお,このエクストラスキルは,訓練所の登録変更で自由に変更できるので,あまり神経質にならなくてもいいだろう。
ちなみに,個人的には「食いしばり」に大変お世話になった。これは致死ダメージを受けても1回だけギリギリ耐えられるというスキルなのだ。まあ,ほとんどの場合,そのあとで死んでしまうけど。
性別は,男と女と?。?って何……とツッコミたくなるが,深く考えないようにしよう。ちなみに筆者は,序盤に?専用の装備品を入手して複雑な気持ちになってしまった |
エクストラスキルは,使いようによってはかなり便利。マニュアルを参照しながら,自分のスタイルにあったものを選ぼう |
エクストラスキルと同様に,キャラクターメイキングに関わる新要素として「二つ名」と「スタイルロード」が追加されている。これらはゲームそのものには影響を与えないが,よりキャラクターに愛着が持てるシステムだ。
スタイルロードは,前作から引き続き採用されているフェイスロードが発展したもので,自分の好きな画像をキャラクター画像として使用できるシステム。PCなどが必要なため多少の知識と技術,そして手間が掛かるのだが,それだけに,より愛着の湧くキャラクターが作れるだろう。
情け容赦ない難度のダンジョン
フロアマスターの存在により緊張感も倍々ゲームに
さて,伝統的な3DダンジョンRPGの楽しさのもう半分は,その名のとおりダンジョンの探索だ。
ダンジョンを一歩一歩探索してマップを完成させていく様は,まだ誰も足を踏み入れていない新雪に足跡を残すかのような楽しさと爽快感がある。つい,もう少し探索しようと足を進めて,うっかり全滅してしまう。これも悔しさと楽しさが同居する,このジャンルならではの不思議な感覚だ。もっとも,ダンジョンの中でもちゃんとセーブができるので,こまめにセーブすることを忘れないように心がけよう。
なお,ダンジョン内ではアイテム「天使の小窓」を持っていると画面上にミニマップが表示されるので,探索の大きな助けとなるだろう。中にはこういった機能は邪道だという人もいるかもしれないが,個人的には嬉しいところ。
しかし,新たなダンジョン=新たなモンスター=新たなアイテムという構図があるため,行くなと言われても自制するのはなかなか難しいもの。じっくりレベルを上げたり,装備を整えたりしてからチャレンジするもよし,無謀にも突撃して,何とか勝利を掴み取りアイテムを持ち帰るもよし。このあたりの選択がプレイヤーに委ねられているのも,3DダンジョンRPGの醍醐味だ。
また本作では,フロアマスターの登場と昼夜の区別,気候の変動といった新要素が追加されている。
フロアマスターは,ダンジョンを闊歩する強力なモンスターで,マップ上では赤く表示されている。ダンジョンの各フロアに数体存在しており,そのダンジョンのレベルをはるかに超える強さのモンスターがほとんどだ。遭遇してしまったら,すくなくとも序盤は全力で逃げることをお勧めする。また,マップ上の表示はフロアマスターと同じだが,光の階段を探すほかの冒険者達と出会うと,戦闘になることも。接触するかどうかはプレイヤー次第だ。
フロアマスターは冒険者には目もくれず,規則正しいルートを歩き回っている者と,冒険者を追跡する者がいる。なるべく近寄らないように注意して進もう |
最初のダンジョンである「コンヌ草原遺跡」にはキメラが登場。その瞬間の絶望感といったら,言葉にできない |
ほかの冒険者との戦闘は,フロマスター以上の難度になることも。なるべくなら戦わずに済ませたいところだが…… |
ダンジョンを歩き回ったり,ダンジョンや街を出たり入ったりすると時間が経過し,昼や夜に変化する。
このとき,ワールドマップ上はグラフィックスの違いしかないのだが,街の中では入れる場所が変わり,昼間には会えない人と会うことができたり,ダンジョンでは出現するモンスターに変化が訪れたりする。夜になると,そのダンジョンに出現するモンスターに加え,霊・不死系のモンスターが出現するようになるのだ。これらのモンスターには,通常攻撃ではほとんどダメージが与えられないものもいるため,疲弊した状態で戦闘になると思わぬ苦戦を強いられることがある。とくに序盤は使用できる魔法の回数も少ないので,できる限り昼間に冒険し,夜になったら街へ戻るほうが良いだろう。
プリーストや巫(かんなぎ),神女(ヴァルキリー)がいれば,ディスペルで霊・不死系を対処しやすい。しかし,失敗することもあるため,無理はしないほうがいいだろう |
ときには雨が降ることもある。天候によって,戦闘に変化が起こる場合も…… |
ストーリーを進めることで現われる謎の敵
クエストをこなしながら太陽の宮殿に迫れ
最初のダンジョン「コンヌ草原遺跡」の探索を進めていくと,光の階段の跡地,光の階跡を発見する。しかし,これはゲームのほんの序章で,ここからが本番となるのだ。
光の階跡に光の階段を出現させるには,3つの宝石が必要となる。その宝石を発見するため必要となるのが「フェイム」だ。フェイムを増やすためには,ダンジョン内で起こるイベントをこなしたり,街などで頼まれるクエストをクリアしていかなくてはならない。
たいていのクエストでは,クリアに必要なアイテムがダンジョンの中にあるため,ある程度の強さが必要になる。多少ダンジョンの難度が高い場合もあるが,プレイヤーをダンジョンへと向かわせる,このあたりの導線はかなり絶妙。楽しいとはいえ単調なダンジョン潜りだが,フェイムの入手という目的と,登場人物の内面や日常が垣間見られる微笑ましいクエストで,上手くそれを緩和している印象だ。クエストクリアと同時にフェイムは手に入るが,とある街の施設に報告に行くと別途報酬ももらえるので,フェイム目的以外でも,クエストを積極的にこなしたほうが良いだろう。
そうして宝石を手に入れると,謎の敵が現われ宝石を奪おうと戦いを挑んでくる。クエストとは一転してシリアスな,そしてストーリーに直接関係する展開に緊張感が高まってくる。この先,謎の敵がどうストーリーに関わってくるかは,プレイヤー自身の目で確かめてほしい。
新しい光の灯った古き良きダンジョンRPG
困るのは止め時を見つけるのが難しいことだ
昨今のゲームは,初心者に向けて手厚いチュートリアルやヘルプがあるものが多いが,本作にはそれがない。そのためか,ところどころで行き詰まることがある。そのたびにマニュアルを開きながら確認することもあるため,慣れないうちはちょっと面倒だな,と思うことも。また,リセットはあるものの,その場でのロードがないため,やり直すのが少々手間なところもある。
だが,それらを乗り越えてしまえば,小さな一つの楽園が手に入るだろう。自らの思いの丈を込めたキャラクターを育成する楽しさ,未知のダンジョンを切り開いていく新鮮さ,そしてまだ見ぬアイテムを探して歩き回るのは,たしかに苦労の連続だが,得も言われぬ充実感があるのだ。
初心者にはちょっと難しいゲームかも知れないが,ほとんどの場合,どこかに解法があるのでめげずに遊び続けて,ぜひ3DダンジョンRPGの魅力を感じとってほしい。そして,3Dダンジョンゲームファンならば,押さえておいて間違いない一本と言えるだろう。
本作は,一気にガーっと遊んで終わらせるシロモノではなく,遊んでも遊んでも「まだあるの?」という印象のある,気の長いゲームだ。のんびりコツコツと,ダンジョンの探索やキャラクター育成を楽しみたい人には,ぜひ本作を手に遊び続けてほしい。
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「エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜」公式サイト
- 関連タイトル:
エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜
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