インタビュー
[E3 2012]クラウドゲーミングサービス「Gaikai」,噂のパートナーシップのお相手はSamsungだった。E3 2012でGaikaiのDavid Perry氏にインタビュー
これにより,2013年以降に発売されるSamsungの新型モデルのテレビでは,ゲーム機に接続することなく,Gaikaiがサービスを行っているゲームソフトをストリーミングしてプレイできるようになる。
今回,Gaikaiの商談ブースで,同社CEOのデイビッド・ペリー(Daivid Perry)氏に合同インタビューする機会が設けられたので,本稿ではその内容をお伝えしよう。
ここでGaikai(社名とサービス名が同じ)のクラウドゲーミングがどのようなものかを簡単に説明しておこう。
Gaikaiは,各地にあるサーバーからストリーミングされる情報と,プレイヤーのインプットを,ソフトウェアで交信させ続けることで,ソフトをクライアント側にダウンロードすることなく,ゲームが遊べるというもの。そのためプレイヤー側は,ディスプレイとインプットデバイスがあればゲームをプレイでき,テレビやパソコンのスペックなどに左右されることなく遊べる。
実際にGaikaiは「World of Warcraft」をiPadでプレイするデモを行ったり,Androidタブレットで「Bulletstorm」を60fpsで動作させたりしている。すべてがサーバーで処理されているため,マシンスペックに依存しないクロスプラットフォームが実現できるわけで,次世代的なゲーム環境として非常に興味深いものがある。
そんなGaikaiを率いるペリー氏と言えば,14歳でゲームデザイナーとなり,「Earthwarm Jim」や「MDK」といった作品を手がけてきたゲーム業界の著名人の一人。ペリー氏は,Gaikaiで何を実現しようとしているのだろうか?
デイビッド・ペリー氏(以下,ペリー氏):
ゲームが,映画や音楽のように,誰にでもアクセスできるようなものになってほしいと常々思っています。例えば,ショッピングサイトを覗いていて,音楽をダウンロード購入したり,DVDを衝動買いしたりする人は多いはずですが,ゲームではあまりそういうことはありません。
そこには値段という問題もあるのでしょうが,実際にどんなゲームなのかを事前に知る方法が,短い動画やプレビュー記事を能動的に探して判断することくらいしかなくて,ゲームのデモを即座にプレイすることができないからだと思います。Gaikaiでは,ゲームデモのクライアントをダウンロードすることなく,クリック数回で気軽にプレイできますし,ゲーム本編だって遊べてしまうわけです。
――ここのところ,Gaikaiのロゴもいろいろな場所で見かけるようになりました。
ペリー氏:
はい。世界最大の量販店であるウォルマートのゲーム販売ページ「Walmart Game Center」では,Gaikaiと連動して,Electronic Artsなどのゲームソフトがストリーミングできるようになってます。同じく,ゲームチェーンとしては世界最大のGameStopとも提携しましたし,Electronic Artsの「Origin」やUbisoft Entertainmentの「Ubisoft Store」などでも,Gaikaiがフィーチャーされるようになってきています。
――今回,Samsungと提携されたことについては聞かせてください。
ペリー氏:
考えてみてください。例えば「Call of Duty: Modern Warfare 3」などは,2000万本を超えるようなメガヒットになりましたが,恩恵を受けているのはパブリッシャとプラットフォームホルダーくらいで,そのゲームを映し出すテレビの販売会社は何の恩恵も受けることができません。
そういった話を各電器メーカーに説得していたのですが,クラウドゲーミングによるチャンスに気付いたメーカーの一つがSamsungだったということです。
――Gaikaiは,2012年1月に行われたCES(Consumer Electronic Show)でもLGとの提携を発表していますが,LGとSamsungのテレビの購買者は,双方で対戦できたりするのでしょうか?
ペリー氏:
対戦できるかどうかは技術的には可能ですが,それはメーカーがどこまでオープンにするかという話になります。現時点では,LGとSamsungがそういった意味でのクロスプラットフォームを実現させることはないでしょう。
――Samsungと言えば,タブレット端末の生産も行っていますが,スマートTVとタブレット端末の間で対戦を行うことは可能なのでしょうか。
ペリー氏:
いえ,現時点ではスマートTVのみの提携で,まだタブレット端末の話は出ていません。ただ,技術的には,テレビとタブレット,パソコンの間でマルチプレイモードを楽しむことが可能で,それがクラウドゲーミングの特徴でもあります。
――すでに相当数のサーバーが世界各地に設置されている様子ですが,その資金はどう調達しているのでしょうか。
ペリー氏:
もともとはサーバー会社と共同でやっていたのですが,現在はLGやSamsungといった提携先がその必要性を認識して,サーバー設置を進んで行ってくれています。我々は,クラウドゲーミングを行うためのソフトウェアを担当するサービス会社であり,ハード面での出費はほとんどないのです。
――先週から,ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)に買収されるとか,PlayStation 2タイトルのバックワード対応をGaikaiで実現するというウワサが流れていましたが。
ペリー氏:
クレイジーな1週間でしたね。Microsoftが次世代ゲーム機でクラウドサービスを行うと発表していることから,そういう憶測が流れたのだとは思いますが,噂は噂です(笑)。
――では,SCEと提携を行う可能性はあるのでしょうか。
ペリー氏:
それはメーカー次第です。次世代ゲーム機にクラウドゲーミングが必須になるのは間違いないでしょう。テレビメーカーがその気になれば,ゲーム機のない次世代ゲーム産業も実現できるわけですから。
もちろん,Gaikaiがどのようなラインアップを持つかによっても,サービスとしての質は変化するだろうが,すでにElectronic Arts,Sega America,THQ,Ubisoft,CD Projekt,Deep Silver,そしてNVIDIAといった,数々の企業とのパートナーシップ契約を結んでおり,実際に「Mass Effect 3」「Need for Speed: The Run」「The Witcher 2: Assassin’s of Kings」「Saint’s Row: The Third」といった本格的なゲームが,クラウド環境で楽しめるようになっている。
Samsungとの提携の施行は2013年以降とのことで,Samsung製テレビの現行モデルで今すぐゲームが楽しめるというわけではないものの,世界でもっとも販売台数を伸ばしているテレビメーカーだけに,ゲーム業界への影響は少なくないはずだ。
「Gaikai」公式サイト
「E3 2012の特設ページはこちら」
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