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[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る
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印刷2013/04/01 12:58

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[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る

 米国時間の2013年3月29日,Game Developers Conference 2013で,Crystal DynamicsのDarrell Gallagher(ダレル・ギャラガー)氏Noah Hughes(ノア・ヒューズ)氏による「The Reinvention of TOMB RAIDER」(TOMB RAIDERの改革)と題されたセッションが行われた。

 若く未熟なララ・クロフトを描き,生まれ変わりに成功した本作はどのように開発されたのか。両氏の創意工夫と苦労の跡がうかがえるセッションの内容をお届けしよう。

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Darrell Gallagher氏
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Noah Hughes氏

 両氏はセッションの冒頭で,北米では3月に発売された本作が好調なセールスを記録していると報告。「売れている前提で今日の資料を作っていたから,ほっとしています」と会場を笑わせてから本題に入った。

 最初に紹介されたのは,本作を開発することになった2009年当時の状況だ。第1作が1996年に発売された本シリーズは,長い歴史とともに,さまざまな問題を抱えていたという。
 まずはプレイヤーの世代交代だ。初期のプレイヤーがゲームを離れていく一方で,第1作発売当時に生まれていなかった層がターゲットに入りつつあった。
 さらには,アサシン クリードやアンチャーテッドといった新たなライバルの出現も脅威となっていたという。

画像集#003のサムネイル/[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る

 当初は前作までの流れを引き継いだ作品が開発される予定だったそうだが,こういった状況から,Crystal Dynamicsは,本作を従来とはまったく違った設定や手法で開発することを決断した。

 そして定められたのが,「人間的に共感できる,魅力的なララ」をはじめとするる新たなTOMB RAIDER像だ。ただし,すべてを壊してしまっては意味がないので,開発チームには,シリーズの根本的な部分は残しつつリブートする(生まれ変わる),という困難なミッションが課せられた。

 そこでGallagher氏とHughes氏はリブートの成功例を探し,「007 カジノ・ロワイヤル」「ダークナイト」といった映画を参考にしたという。
 Gallagher氏は両作品の大胆な選択に感銘を受け,「TOMB RAIDERもやらなければ」と思ったそうだ。

画像集#004のサムネイル/[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る

 そんな中で生まれたのが「サバイバル」というコンセプトだ。生々しく,危険で,生と死の狭間をギリギリで生き延びるという要素が,スーパーヒロインではない「人間」ララ・クロフトを描くのにぴったりだったという。

 作品のコンセプトのほか,「約12時間のシングルプレイモードに加えてマルチプレイモードを搭載」というボリューム,「外注を最大限に活用」といった開発方針も定まり,いよいよ開発作業に入ることに。ここでチームには「3分の1フェーズルール」というものが定められた。

画像集#005のサムネイル/[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る

 これは,主に評価用のプレイアブルデモを作成する「プリプロダクション」,プレイアブルデモの評価を受けて本格的な開発を行う「プロダクション」,デバッグをはじめとするの品質向上作業を行う「ポストプロダクション」という3つの開発段階に,それぞれ同じ時間をかけるというもの。
 通常,プリプロダクションとポストプロダクションの時間は削られがちとのことだが,本作では同じ1年ずつの期間が与えられた。以下でそれぞれの具体的な作業内容を紹介しよう。
 
●プリプロダクション
 プリプロダクションでは,まず5か月かけて社内評価用のファーストプレイアブルデモを制作。その後7か月かけて「バーティカルスライス」と呼ばれる,約1.5時間分ながら製品版とほぼ同等のクオリティーを持ったものが作られた。このバーティカルスライスは,以降の作業における品質基準になったほか,E3などで行われたデモにも使用されたとのことだ。

 バーティカルスライスには,本作の新たな試みである「Pillars」という仕組みも取り入れられた。
 サバイバルアクションを,危険な地形などで一歩間違えたら死ぬという緊張感を演出する「Dynamic Traversal」,戦闘でララの強さやもろさを見せる「Desperate Combat」,パズルのような,考えて解く仕掛けなどの「Smart Lara」という3要素に分け,ステージのどこでどの要素を強めるか,ということが細かく管理されたのだ。

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●プロダクション
 プロダクションでは,1年で9時間分のコンテンツを作ることが目的。バーティカルスライスでは7か月かけて1.5時間分だったので,素人目から見るとかなりのハードスケジュールとなりそうだが,もともとバーティカルスライスを通しての作業効率向上を見込んでいたとのことで,実際開発は問題なくすすんだとのことだ。

モーションキャプチャーのシステムも,顔の表情まで捕らえられたり,収録現場でプレビューが確認できたりするものが導入され,作業の効率化が図られた
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 プロダクションにおける作業内容の紹介で目を引いたのが,「Beat Docs」と呼ばれる文書。これにはゲームのシーンごとにララの感情が細かく描写されているほか,その感情を表現するために各作業担当者が行うべきことが書かれているとのこと。チームのすみずみにまで意思統一が図られたというわけだ。

画像集#010のサムネイル/[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る

●ポストプロダクション
 プロダクションで制作したコンテンツのデバッグやユーサービリティテストを行って,クオリティを高める作業。通常はかなり時間が足りない中での作業となるようで,Gallagher氏とHughes氏はとくにユーザービリティテストを繰り返せたのが良かったと振り返っていた。

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ストーリー理解度のテストでは,当初,後半部分の数値が低かったが(水色のライン),その後の修正作業により,再度行われたテストでは大幅に改善した(黄緑のライン)
画像集#012のサムネイル/[GDC 2013]名作はいかにして生まれ変わったか。「TOMB RAIDER」の開発者が舞台裏を語る
もちろん,プレイヤーがどこでミスをしたか,といった細かな情報もレベルデザインの参考にされている

 セッションの最後でも,両氏はポストプロダクションの重要性を強調していた,おそらく,ふだんは真っ先に削られるデバッグやユーザビリティテストを思う存分にできたことで,その有効性に気付いたのではないだろうか。
 
 日本での発売が4月25日に予定されている本作。開発者達の努力によって,見事に生まれ変わった人気シリーズをぜひプレイしてほしい。 
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