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[E3 2011]「Binary Domain」は,「愛してる」なんて台詞を理解する音声認識がすごい。仲間との連携に軸を置いたひと味違うTPSに仕上がる予感
「Binary Domain」プレイレポート
「Binary Domain」公式サイト
なお,先に掲載したプレイレポートでは,セガブースに出展されていたものを遊んだが,今回の取材はセガのプライベートスペースに一部メディアが招かれ,ブースに出展されているものとは別のバージョンを見せてもらえた。
仲間と主人公との間には「信頼度」という隠しパラメータがあり,プレイヤーが出す命令や,仲間への対応の仕方によってこれが増減する。こう書くと信頼度は高いほうがいいように思えるが,必ずしもそうとは言えない。あまりにも信頼されまくっていると,主人公の無茶な命令を意気に感じて敵に突っ込んでしまったり,自分のことを顧みずに助けにきてくれたりするのだ。もっとも,あまりにも信頼度が低すぎると,ほとんど命令を聞いてくれなくなってしまうので,何事もほどほどが一番といったところかもしれない。
さらに仲間によっては熱くなるワードがあり,それを言われると闘志をむき出しにして果敢に突っ込んでいくなんてこともある。ほかにも,シチュエーションによっては「愛しているよ」といった告白もでき,そういったコミュニケーションをとることで仲間との絆を深めていく楽しみもある。
ちなみに個人に命令を出すときは「相手の名前+コマンド」で,コマンドのみだと全員に指示を出したことになる。
仲間の動きを制御するAIも開発陣がこだわっているポイントで,主人公との信頼度や各仲間の能力に合わせて,賢く行動してくれるそうだ。敵の弱点を露出させたときなどは,なにも言わずともきちんと弱点を狙ってくれるし,主人公がピンチに陥っていれば,ちゃんと助けに来てくれる。つまり,誰も助けに来てくれなかったとしたら,それはAIが賢くないからではなく,信頼度が低いからということになるわけだ。
「Binary Domain」公式サイト
ちなみに,本作では,一定以上のダメージを与えれば敵を破壊できるが,それだと弾が不足しがちになる。的確に相手の弱点を見つけて,集中的にそこを攻撃すれば弾を節約できる仕様になっている。本作の設定上,ほとんどの敵はロボットなので,最も重要なパーツさえ破壊してしまえば,ほかのパーツが機能していようが関係なく倒せてしまうのだ。
ちなみに,頭を破壊すると相手を確認できなくなってしまい,敵味方お構いなしに攻撃し出す敵もいたりするとか。「動くものは全部撃つ」的なプレイスタイルだと厳しいタイプのゲームなのかもしれない。
本作は,外国籍の主人公が東京を舞台に活躍するストーリーとなっているが,ご存じのとおり日本人が制作している。
日本人が作っている以上,もちろん日本的な表現に間違った部分はない。それどころか,渋谷にはハチ公(らしきもの)がいたり,スクランブル交差点がそれと分かるように作り込まれていたりと,日本人にしか伝わらないこだわりが見つけられる。
最後にセガブース前で行われた,本作のプロデューサーである名越稔洋氏への囲み取材の模様をお伝えしよう。
名越氏:
まだ途中ですが,僕らは仕事が早いのでここから半年ぐらいで劇的に変わると思います。東京ゲームショウではさらに進化したものが見せられるでしょう。まあ,今回はとりあえずプレイしてもらえるようにした,という段階です。
――本作で新たに実現できたことはなんですか
名越氏:
基礎的な部分ですが,音声認識というファクターがあって,高度なAIを備えた仲間と共に戦えるところですかね。これからもっと練り込んでいきますが,基本的には面白くできていると思います。
――今回,あえてTPSにチャレンジしたのはなぜでしょうか
名越氏:
日本製でちゃんと成功したものがないからですね。また,龍が如くは,アクションアドベンチャーという飽きられているジャンルに活路を見いだした作品です。ジャンルがどうこうというよりは,面白いモノを作りたいと考えているので,そのための仕掛けを用意しています。そういったあたりに注目してもらいたいですね。
――TPSというジャンルは北米などでは作り方が決まりつつありますが,ゼロから作り出すのに不安はありませんでしたか
名越氏:
確かにゼロからのチャレンジは苦労を伴います。ですが,なにもないところから作り始めるからこそ,違いを見い出せるという利点もあるでしょう。
――海外のTPSに対する不満点を解消できていると思いますか
難しい質問ですね。僕は海外のTPSを難し過ぎると感じています。もちろんそれはそれでいいのですが,その難しさを日本なりに求めていくことに挑戦しているんです。かといって単に爽快感ばかりを求めてしまうと奥行きのないゲームになってしまうでしょう。ですから,どの部分で手応えや歯応えを作ればいいのかや,欧米で受けている部分が何なのかなどをきちんと分析しています。
――初心者がターゲットなのでしょうか
名越氏:
それは違いますね。初心者をターゲットしていたら別のジャンルのゲームを作りますよ。でも,初心者でも受け入れられる間口の広さみたいなものはあります。
名越氏:
少なくても敵が賢ければ歯応えもあるので,本作に関してはそういった部分を見てもらいたいですね。
――海外のTPSに操作感が似ていましたね
名越氏:
感覚は似ていますね。ただ,遊び比べてもらえれば分かると思いますが,ちゃんと弾を当てられるし,避けられるようにはしています。例えば,弾が飛んでくる方向が分かるようになっている点は,日本製ならではの親切さでしょう。
――ファンへのメッセージをお願いします
名越氏:
日本では東京ゲームショウでドカンと見てもらおうと思っていますので,楽しみにしていてください。
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- 関連タイトル:
バイナリー ドメイン
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